民法證據篇再調査案第三十五回議事筆記
自第千三百十四條至第千三百三十一條
明治二十一年十二月十二日午前九時三十分開會
(栗塚委員)
時效篇トアルハ證據篇トナリマスノデ之ハ書キ誤リデアリマス證據ヲ見セル事ニナリマスカラ證據篇ト御改メヲ願ヒマス
第千三百十四條朗讀ス
第五編 證據時效編
第一部 證據
總則
第千三百十四條 有的又ハ無的ノ事實ヨリ利益ヲ得ンカ爲メ裁判上ニテ之ヲ主張スル者ハ此事實ヲ證シ卽チ其眞正ナルヲ表明スルコトヲ要ス
相手方ハ亦自己ニ對シテ證セラレタル事實ニ對抗スル反言ヲ疏明シ或ハ此事實ノ效力ヲ滅却セシムル事實トシテ主張スルモノヲ證スルコトヲ要ス
(村田委員)
有的無的ハ前ニ有無ト地役ノ處ニアリマシタ
(栗塚委員)
アレハ再調査デ有的無的ト直テ來タノデアリマス
(松岡委員)
證據篇ノ中ニハ訴訟法ヘ送ルモノガアロウト思フカラ訴訟法ノ報吿委員ヲ一人出シテ置クト都合ガ良イト思ヒマス
(村田委員)
地役ノ處ノ二百九十四條ニ有無トアルガ有的無的ハオカシイ
(南部委員)
地役ノ處モ後チニ有的無的ト違ツタノデアリマス
(松岡委員)
作爲不作爲ト云フモノモアリマシタ
(南部委員)
作爲不作爲トハ違イマス
(箕作委員)
證スルコトヲ要スデハ往カンカ
(栗塚委員)
證スルト云フ字ニ講釋ガアリマスカラ實ハ實ノ眞正ナルヲ要スト遣ロウト思ツタノデアリマス
(松岡委員)
前譯ハ事實ヲ證シ卽チ眞正ナルヲ表明スルコトヲ要ストアル、事實ヲ證明スルヲ要ストシテ良イダロウ
(栗塚委員)
事實ノ眞正ナルヲ表明スル丈ケハ要スルト云フノデ其レヲ約メテ證明トシテ良イダロウ
(南部委員)
證明ハ往カンダロウ此事實ヲ證スルデモ良カロウ
(栗塚委員)
卽チカラ表明マデ刪リマスカ
(松岡委員)
有的無的ハドウカ
(南部委員)
有的無的ハ前ニ定ツテ居ルカラ良シイ
(箕作委員)
私ハ事實ヲ證スルコトヲ要ストシテ貰ヒタイ
(栗塚委員)
ソレデハ此事實ヲ證スルコトヲ要スト致シマシヨウ
(渡委員)
事實ヲ證スルコトヲ要ストシテ宜シイ
(南部委員)
四百三十六條有爲無爲ト云フヲ有的無的ト換ヘマシタカラ有的無的デ宜シイ
(村田委員)
ソウスルト占有ノ方モ換ヘナケレバナリマセン
(箕作委員)
其レデハ仕方ガ無イ
(淸岡委員)
有的無的ハ宜シイ
(村田委員)
地役ノ方ハ有爲ニシテ置クノカ
(南部委員)
仕方ガ無イ
(村田委員)
有的無的ハ地役ニハ困ル
(南部委員)
爲ス有ルト讀メバ宜シイ
(箕作委員)
宜シイ
(南部委員)
二項ハドウデスカ
(箕作委員)
二項ノ疏明ハドウデスカ
(松岡委員)
變デス
(箕作委員)
反言ト云フノモオカシイ
(松岡委員)
之ハ元トノ通リデ宜シイ立證ノ責ガ此方ヘ廻ツテ來タ丈ケノ話シデス
(村田委員)
元トノ通リガ宜シイ
(南部委員)
事項ト云フノハ違フダロウ向フガ證シテアル貸シタト云フ事實ダ證シタ其レハ返シタト云フ反言スル其ヲ證スルノデアリマス
(箕作委員)
反對ノ事項デソウナリマセンカ
(南部委員)
ソウスルト滅却セシムル事實ト同ジ樣ニナル
(松岡委員)
事項ト云フト向カラ言フノヲ此方ガ成立タント云フノニモアル
(南部委員)
始メ私ガ貸シタト云フヲ反對ニ證スルノデアリマス
(松岡委員)
向フデ貸シタト云フヲ借ナイト證スルダガ返シタト云フノデス
(南部委員)
下ハ半額シカ借リントカ或ハ返シタトカ云フノ事實ヲ證スルノデアリマス
(村田委員)
反對ノ事項ヲ證明スルト云フノガ分リ易イガ反言ヲ證スルハ分リ惡イ
(槇村委員)
反對ノ事項ノ方ガ宜シイ反言ハオカシイ
(村田委員)
疏明ハ矢張リ證スルデ宜シイ
(栗塚委員)
反言ト言ツタカラ疏明ト言ツタノデアリマス
(松岡委員)
立證ノ責メハ何處ニアルカト云フコトヲ書イタノデアリマスカラ證スガ宜シイ
(元尾崎委員)
反對ノ事項ヲ證スルデ宜シイ
(槇村委員)
ソウ致シマシヨウ
(南部委員)
味イガ無クナル
(栗塚委員)
多少意ヲ用ヒテ態々事實ナラ證スルダガ反言ダカラ反言ト反對ノ事項トハ違フ、成程似寄ツタ場合モアリマスガ反對ノ事項ト云フ裏ヲ云フコトヲ反對ノ事項ト譯ス主意デハ違フト思フ反對ノ事項ノコトモ多イダロウケレドモガ反對ノ事項ヲ證スルト云フノデ反言デ向フノ言フ裏ヲ言フト言フ事柄ヲ裏ノ陳述ヲ爲スト云フ意味ニナリマセン後トノハ丁度同ジニナル或ハ事項ノ事實ノ效力ヲ滅却セシムル事實ヲ證スルト違フカト云フト說キ明シガ出來マセン
(淸岡委員)
同ジコトデス
(栗塚委員)
向フデ言フ裏ヲ證シ又ハ證據ヲ以テ向フノ云フコトヲ打ツト云ノデアリマス
(淸岡委員)
ソウデシヨウドウモ事項ト云フノハ氣ニ入ラン
(村田委員)
英文ニハ反對ノ事項トアリマス
(箕作委員)
反對ノ事項デ栗塚サンノ云フ通リニ見ヘルノデハナイカ
(淸岡委員)
兎モ角モ之ハソウデハ御座ラント言ツテ返シタト云フ返サント云フ處ヲ反言ヲ以テ證明スルノデアリマス
(南部委員)
前項ト照應シテ有的無的ノ事實ヲ主張スル其ニ反シテ反言スルカラ反言シタ事實ヲ證スト云フコトニ照應シテ居ルノデアリマス
(栗塚委員)
反對ノ陳述ヲ爲ストデモシテハドウカ
(松岡委員)
之ガ所謂證ヲ擧ゲルハ原吿ノ責メト云フ格言ヲヒツクリ返シテ自分ガ證明シナケレバナラント云フノデ陳述デハ弱イ
(淸岡委員)
事項ト云フノハ良クナイカラ反對ヲ證明スルト言ツテモ良シイ
(松岡委員)
反對ヲ證スデモ宜シイダロウ
(淸岡委員)
向フガ返サント云フノヲ返シタト云ヒ消スノデアリマスカ
(栗塚委員)
左樣デス
(南部委員)
反言シテカ
(箕作委員)
反言ト云フノハ自分ノコトデハ無イカ自分ガ言ツタコトヲ言消スニ使フ字デハナイカ
(栗塚委員)
其デハ困リマス
(南部委員)
謀〓ナドモ皆ナ反スルハ向フデ言フノヲヒツクリ返スノデ向フニ對スル字デアリマス
(村田委員)
自分デハ善イト言ツタヲ惡イト云フノデス
(箕作委員)
翻スト云フ自分デ言ツタコトヲ卽チ善イト云ツタコトヲ惡イト云ツタ樣ナ字ニナルアレデアリマセンカ
(村田委員)
反言ト云フトアレニ見ヘマス
(北畠委員)
返ノ字ハ向フカラ言ツテ來タノヲ返スノハ善イガ反ノ字ニテハ辶ガナイト當ラン
(松岡委員)
全體ドウ云フ字ガ原文ニアリマスカ
(箕作委員)
向フカラ云フコトヲ抵抗シテ言フ字デアリマス
(松岡委員)
事實ニ反對スル抗辯ヲ證スデアリマシヨウ
(箕作委員)
反對ヲ證シデモ宜シイ
(松岡委員)
其位デ宜シイ殆ンド之ハ法律ノ格言デアリマスカラソウ云フ語デ書イテ置ク方ガ宜シイ
(箕作委員)
證據篇ノ原則デアリマス
(大尾崎委員)
向フガ事實ヲ擧ゲテ來ルノデ其ニ反スルノデアルカラ反對ノ事項ヲ證スデ良カリソウナモノデス
(南部委員)
證據法ダカラ是非貸シタト云フ主張ガアツテ其カラ借ラント言ツテ其カラ證明ヲシテ往クノデアリマス
(松岡委員)
反言ト云フノハ抗辯ノ積リダロウ
(南部委員)
抗辯トハ違フ
(北畠委員)
事實ト云フコトハ反言モスルコトハ出來ンノデス因テ證明セラレタル事項ニ對シテ自分ヲ反對シテ事實ヲ此方カ言フノデアリマス
(箕作委員)
前ノ一項モ有的無的間違イガナイナラ證スルコトモ入ラン有的無的ノ事柄ト云フノデアリマス
(南部委員)
事實ト云フノハ事實上ト云フノモ同ジデシヨウ
(箕作委員)
事實ト云フハ八釜敷說クト字ノ通リ證スルコトハ無イノデス
(松岡委員)
證セラレタル事實ノ反對ヲ證スト云フヨリ外ハ無イ
(大尾崎委員)
事項ヲ證スルデ良シイ
(箕作委員)
證セラレタル事實ノ反對ヲ證シデ良イデシヨウ
(松岡委員)
良カロウ
(南部委員)
衆議ナラ良イガ私ハ原ノ通リ保存シタイ
(淸岡委員)
反言ノ字ハドウカ之ガ良ケレバ原案ノ通リデ良シイ
(村田委員)
反言ハ惡イ
(南部委員)
反對ヲ證スト言ヘルカ
(渡委員)
反ノ字ハ三島ニ質シテ宜カロウ
(松岡委員)
反言ヲ疏明スルト云フノハ不同意デアリマス
(元尾崎委員)
證セラレタル事實ノ反對ヲ證シハ良カロウ
(村田委員)
良カロウ
(松岡委員)
英文ニモ又ト云フ字ガアリマスカ
(箕作委員)
アツテモ良イデシヨウ
(村田委員)
事實ニ對抗スル反對ヲ證スデ良カロウ
(渡委員)
ソウ云フコトハ入ラン反對ト云フ字ハ對抗ト云フ意味ガアルデアリマス
(淸岡委員)
矢張リ對抗ハアツタ方ガ宜シイ
(村田委員)
證セラレタルハ於前借リタデハ無イカト云フニ否ナ私ハ借リント云フ證據ヲ出スノデアリマス
(箕作委員)
反對ヲ證シデ宜シイ
(元尾崎委員)
宜シイ
本條ハ第一項「シ卽チ其眞正ナルヲ表明」ノ數字ヲ刪リ第二項事實ニ對抗スル反言ヲ疏明シ」トアルヲ「事實ノ反對ヲ證シ」ト改メ其他原案ニ決ス
第千三百十五條朗讀ス
第千三百十五條 自己ノ主張ノ全部又ハ一分ヲ法律ニ從ヒテ疏明セス又判事カ證據ヲ查定スルノ權ノ自由ナル場合ニ於テ判事ニ此主張ノ心證ヲ起サシメサリシ原吿若クハ被吿ハ其疏明セサリシ點ニ付キ請求又ハ抗辯ニ於テ敗訴ス
(元尾崎委員)
之ハ疏明ダロウカ
(松岡委員)
皆ナ證ノ字デナケレバナリマセン
(元尾崎委員)
疏明ハオカシイ
(松岡委員)
證セズトシテ宜シイ
(元尾崎委員)
證セズデ宜シイ
(渡委員)
宜シイ
(南部委員)
疏明ハ證明トシテ宜シイ
(村田委員)
前ノモ證明トシテ宜シイ
(大尾崎委員)
證明ガ宜シイ
(箕作委員)
ソンナラ皆ナ證明トシテ宜シイ
(南部委員)
皆ナスルナラ證スルデモ同ジデアリマス
(箕作委員)
前ハ證シデ置キマシヨウ
(委員長)
證セズトシテ置コウデハナイカ
(栗塚委員)
事實ガアツタラ證スルトハ言ヘン事實ガ無イ以上ハ證スルトハ申セン辯明スルノデス
(松岡委員)
此處ハ證明ト云フカ
(箕作委員)
詰リ證據ヲ立ツルコトデシヨウドレモ證スルデハ往カンカ
(栗塚委員)
疏明ト云フ字ヲ證明トナスツテ下サイ
(村田委員)
其デ宜シイ
(松岡委員)
疏明ト證明ト違フカ
(箕作委員)
同ジデス
(松岡委員)
ソウスレバ疏明ト云ツテ證スルト言ツテモ變ラン
(栗塚委員)
意味ガ違フトナンデスガソウデハ無イ
(松岡委員)
此處デ疏明ト云フノハドウナルカ
(栗塚委員)
卽チ辯明デ御座イマス
(元尾崎委員)
斯ウ云フ時ハ證明ガ良イデハ無イカ
(箕作委員)
私ハ證スルデ良イト思フ
(南部委員)
ソレデハ證スルトナスツテ下サイ
(大尾崎委員)
ソレデハ證スルデ宜シイ
(栗塚委員)
疏明ト云フノハ證據立ツタノモ這入ル廣イ言葉デ疏明ノ中内譯ニナルト證據ヲ以テ言ツテ遣ルノモアリマス私ハ此々ノ權ガ御座イマスト言ヘバ卽チ證明トシテモ疏明トシテモ宜シイ訴訟中證據ヲ持テ往クノモ證明デモ良イノデス
(渡委員)
疏明ハ退ケルトシテ一樣ニ證明ト直サウト云フ希望デアリマスガ其レハ處ニ因テ證スルト證明トニ分ケタイ論モ有リマス
(南部委員)
皆ナ悉ク證明ニ改メル論ト云フハ今日始メテノ論デアリマスカラ一樣ニスル主義ヲ貫クナラ證スルトシテ宜シイ
(栗塚委員)
證據ヲ以テ出ルノハ證スルト云フノデ私ニ權利ガ御座イマスト云フノハ箇樣々々ノ權利ガ御座イマスト云フノハ疏明ト云ツテモ證明ト云ツテモ廣イ字デ證ト云ツテハ證據立タト云フ字デアリマス
(箕作委員)
實名詞ナラ證明ヲ立テルトハ言ヘンカ前ノモ事實ヲ證明デモ良イノデアリマス
(松岡委員)
證據立ツル時分ハ何時モ證明トシテ宜シイデシヨウ
(箕作委員)
證シデ貫クカ證明デ貫クカ何ンカ一樣ニシタイ
(松岡委員)
ソウシテ實名詞ノ時ハ證トカ何ントカスレバ宜シイ
(槇村委員)
我輩ハ證スルデ宜シイ
(淸岡委員)
訴訟法ニハ言譯ヲスル丈ケハ疏明ソレカラ證明ト云フハ證據モノヲ持テ往クノヲ證明ト云フ分解デ遣ツテ來テ居ルガ此處ホ當リハ唯言分ケヲスルガ矢張リ證明ト言ハナケレバナラント困ル寧ロ證明ト云フヨリ仕方ガ無イ疏明ト言ヘバ證明モ這入ツテ居ルト云ヘバ證明ト云ツテモ疏明モ這入ツテ居ルト云ヘル疏明ハ廣イ證明ハ狹イト云フ譯ケハ無イ
(元尾崎委員)
訴訟法ハ疏明ト云フハ輕ク見テ居ルソレヲ疏明ト言ヘバ證明モ籠ツテ居ル廣イモノト民法デ言フノハ困リマス
(渡委員)
證明トシテ宜シイ
(大尾崎委員)
宜カロウ
(槇村委員)
證スルデ宜シイ
(箕作委員)
若シ證スルガ負レバ證明デモ宜シイ一定ニスレバ宜シイ
(南部委員)
一定ニ證スルデ御通シ下サイ
(北畠委員)
證ト一字デハ足ラン樣ナコトガアルカラ證明デ宜シイ
(委員長)
證明ト疏明ノ區別ハナイノカ
(栗塚委員)
區別ハ無イノデ戶長役場ヘ持ツテ往ツテ登記ヲ願ヒマス登記ニ之レ丈ケ私ハ斯ウ云フ權利ガ御座イマスト云フ廣イ語ガ使ヘ無クナルノデアリマス
(委員長)
原文ニ書イタモノハ無茶苦茶ダロウガ見分ケヲシテ之ハ疏明之ハ證明トシナケレバナラン原文ニ付テ區別ガ出來ルカ
(元尾崎委員)
出來ソウニ思ヒマス
(本多委員)
確カリ請合ヒハ出來マセンガ訴訟法ニ疏明ト云ツテ居ルノヲ栗塚サンカラ說明シヲ聞クト云ツテ居ル樣ニ思イマス疏明ト云フノハ信ズベキ樣ト云フノダカラ廣ク見レバ證據モ這入ランコトハ無イ
(委員長)
疏明ハ幅ガ廣イ立證方法ヲ用ヒルハ狹ト云ハナケレバナリマセン此證據篇デ確メナイト徃ケナイ
(南部委員)
千三百十六條ヲ御覽ナサイ喪失ノ危險トヲ疏明シテ云云證據立ツルコトヲ要ストアリマス疏明シテト證ヲ立ツルト二ツニ爲ツテ居リマス
(松岡委員)
證據保存ノ處デ訴訟法ニハ何ントアリマスカ
(栗塚委員)
私ハ一人信ジマスガ獨乙デハ何ント云フカ知リマセンガ佛蘭西デハ辯明ト云フ字デ良ク合ヒマス
(松岡委員)
其樣ニ云フナラ疏明ト證明デ皆ナ兼ネナケレバナリマセン
(栗塚委員)
證據ヲ持ツテ往クトキ立證方法ノトキハ證スルトシカ申セマセン
(委員長)
訴訟法ノ疏明ナリ疏明ト云フ字ヲ書キ分ケガ付クダロウカ
(松岡委員)
證據保全ノ樣ナ場合デ無イトキハ卽チ次ノ條ノ如キ證據ガ後チニ無クナル恐レガアルトカ箇樣ナ譯ケデアリマスカラ登記シテ下サイト云フ其レハ疏明デ宜シイ
(栗塚委員)
私ハ權利ガ御座イマスト云フ說明シヲスルノハ疏明デス併シ證據ヲ持ツテ往クトキハ卽チ證スルデアリマス
(本多委員)
此處ニ疏明トアルハ訴訟法デハ其理由ヲ述ベルト云フノデアリマス
(槇村委員)
疏明ニモ證明ニモ當リマセンカ
(本多委員)
當リマセン
(南部委員)
十六條ノ疏明ハドウカ譯ケガ分ラン
(本多委員)
ドウモ區別ガアル樣デアリマス
(槇村委員)
ドウシテモ證據立テハ證明トシテ其レカラ原文疏明ト云フハ訴訟法ニ置クト一々面倒デモソウナスツテハドウカ
(委員長)
今一遍遣リ換ヘナケレバナラン
(箕作委員)
前ニ言ツテ居リハセンカ
(南部委員)
皆ナ證スルデアリマス
(箕作委員)
疏明ト云フノモアリマスロウ
(南部委員)
アリマシタ疏明トアルハ疏明デ置クノデス證スルト云フ字ハ定マツテ居リマス
(箕作委員)
疏明ト云フ字ガ無ケレバナランノデスカ
(栗塚委員)
ドウデモ定メ次第デス疏明ト云フ字ヲ書イテ見方ハ證スル意味此處ニ疏明ハ證據モ何ニモ持ツテ出ナイ字ト云フコトニ御覺ナスツタ方ガ良イト思ヒマス
(松岡委員)
事柄デ見分ケヲサセルノデスカ
(栗塚委員)
左樣デス
(大尾崎委員)
ソレハ六ケ敷
(栗塚委員)
之ハ何ント云フ字カ箇所々々デ字ヲ定メテ往ク心配ヨリハ疏明ガ惡ルケレバ證明トシテ宜シイ二ツノ字ヲ置イテ見方デ定メル方ハ誤リガ少ナカロウ
(松岡委員)
見ル人每ニ間違イマスカラ其レハ往カン
(箕作委員)
「ボアソナード」ガ一々意ヲ用ヒテ同ジ樣ナ字ガアリマスガ論究シテ見レバソウデ無イ
(栗塚委員)
ソレダカラ見ル人ノ意味デ論ジテ往ツテハドウカ
(箕作委員)
疏明ト證明ハ場合デ定メルヨリ外ニ道ハ無イ
(栗塚委員)
疏明ト云ツテ證明スルト無クツテモ矢張リ證スル意味ヨリ外ニアリマセン
(委員長)
事實ニ因テ實際調ベテモ宜シカロウ往キマシヨウカドウデシヨウ疏明ハ事實ニ付テ區別ガ付ケバ宜シイ
(箕作委員)
民法ヲ研究シテ遣ルコトハ出來ンコトハ無イ
(南部委員)
少シ不完全デモ疏明ト云フ字ハ訴訟法ノ字ト換ヘテ證スト云フ字ヲ餘リ差支ナイ樣ニシテハ往カンカ
(松岡委員)
十四條デ證ノ字ヲ言ツテ此處デ疏明ト遣ルト困ルノデス
(本多委員)
訴訟法ト區別ヲ願ヒマス
(委員長)
證據篇デ良ク定メテ置クト外ハ之ヲ元トニシテアルノデアリマスカラ後トハ直ストモ直サントモ栗塚ノ言フ樣ニ一ツニシテ置キ人ノ頭ノ中デ區別ヲスルカ
(松岡委員)
ソレハ幡知ラズノ籔ヘ入レル樣ナ話シデアリマス
(栗塚委員)
訴訟法デハ疏明トシテモ此方デハ何ントカ拵ヘマシヨウ
(槇村委員)
訴訟法ノ疏明トモ當ラント云ヘバ別ノ字ヲ考ヘナケレバナラン
(箕作委員)
證スルトカ證明トカ云フ字ニ當ルノデアリマス
(栗塚委員)
權利アリト主張スル疏明トスレバ宜シイ
(槇村委員)
訴訟法ノ疏明ニモ當ランノデシヨウ
(本多委員)
當ランノデアリマス訴訟法ニモ證スルト云フガアリマスルガ其レニモ當ランノデアリマス
(箕作委員)
當ラント云フコトハ無イ
(本多委員)
證明スルト云フノハ後トノ手段デアリマス
(箕作委員)
後トノ手段前キノ手段ト云フコトハ無イ
(本多委員)
後トノコトモ有リマシヨウト云フノデ疏明ト云フノハ訴訟法デハ證據立テナクテモ良イノデアリマス
(箕作委員)
此處ハ證據立テナケレバ敗訴スルト云フノデアリマス
(栗塚委員)
建議ヲ致シマスガ殘ラズ證明トシテ證スルト云フノハ立證トシテハドウカ
(槇村委員)
證據立ツテ金ハ拂ツタト證據ヲ立テル其時此方カラ否ナ未ダ拂ハンノダト云フコトヲ言聞クニ矢張リ證據ガナケレバナランカ
(栗塚委員)
證據ガアルトキハ證スルト云フ有無ニ拘ハラズ申開キヲスルトキハ疏明デアリマス槇村サンノ云フニ付テ申スガ一人カ金ヲ貸シテアルト云フ私ハ返シマシタト云ツテ何時何日ニ斯ウ云フ時ニ返シマシタト口デ言フ計リデハ說明シ丈ケデアリマスサテ相違ナイニ付テ某ヲ呼ンデ說明サセマス斯ウ云フ證據人ガアルト云フノハ證據ニナルガ返濟致シマシタト云フノハ其證明丈ケハ疏明デ證明デモ宜シイ其カラ後トデ證據ヲ擧ゲテ私ノ言ツタ處ヲ疑グルナラ證人ヲ吟味ヲ願ヒタイト云フノハ卽チ證スルト云フガ宜シイ併シナガラ證スルヤ否ヤ廣ク有爲無爲ヲ說明ス丈ケノ言葉ヲ付ケテ下サイ
(委員長)
證據立ツル時計リ證明トシテ後トハ皆ナ疏明トシテハドウカ
(元尾崎委員)
宜シイ
(松岡委員)
宜シイ
(委員長)
外國デ何程種類アツテモ日本デハ證明ト疏明トノ二ツシカナイ證明ハ證據立ツル字其他ハ皆ナ疏明ト見レバ宜シイ
(松岡委員)
一人角力ヲ取レバ疏明取組ム時ハ證明ト見レバ宜シイ
(元尾崎委員)
宜シイ
(栗塚委員)
相手ガアツテ言開キガ付テ向フガ承知ヲシタ時ニハ何ント云フ語ヲ使フカ
(箕作委員)
疏明ダロウ
(松岡委員)
向フガ承知スル以上ハ何ニモ入ランデシヨウ
(南部委員)
ソレヲ訴訟法デハ疏明ト云ツテ居リマス
(松岡委員)
此方ハ證據ヲ持タズ向ウガ承知スレバ濟ンダ話デソレハ證據論ニハ關係ヲ持チマセン
(栗塚委員)
併シナガラ口ノ上デ說明辯明シタ爲メニ相手ガ證人ヲ呼ンデ見ルニハ及バン證據論ヲ出スニ及バントナツタトキニ使ウ字デアリマス
(松岡委員)
ソウ云フ時ハアリ樣ハナイ
(栗塚委員)
自分ノ權利ヲ說明シテ人ニモ依ラズ明カニ出來ルノハ何ト云フ字ヲ用ヒルカ疏明デ良カロウ
(箕作委員)
疏明デ宜シイ
(委員長)
寧ロソウ云フモノハ疏明トシテ宜シイ、本多サン訴訟法ノ方ニモ疏明ト云フノハ今迄證スルトナツタガ其レモ矢張リ二ツヲ使ツテ居ツテ證スルナラ明ノ字サヘ使ヘバ良イ民法ト合ハン樣ナ字ハ使ハン樣ニ研究シテ下サイ
(本多委員)
ソウスルト疏明ト御定メニナルト證據立テルニモ這入ルデシヨウ
(松岡委員)
ソウデナイ訴訟法ノ疏明ノ樣ナ意味デアリマス
(本多委員)
ソレナラ良イデシヨウガ民法ノ意味ガ變リハセンカ
(委員長)
民法ハ疏明ノ方ハ何モ箇モ含ムノデ證據ヲ持ツテ出ナケレバナランコトバカリ證明スルトナルノデアリマス
(本多委員)
民法ノ疏明ハ證據ヲ以テ出ルノモ這入ツテ居ルノデハナイカ
(松岡委員)
ソレハ入レンコトニ致シマス
(本多委員)
ソレナラ宜シイ
(委員長)
民法ノ方ハ能ク調ベテシナケレバナリマセン
(箕作委員)
商法ニモ疏明ト云フノガアリマス
(栗塚委員)
訴訟法ノ疏明ト云フ字ハ違ウカラ困ツタモノデス
(委員長)
訴訟法ノ註解ノ處デハ民法ノ疏明ト同ジニシテハドウカ
(栗塚委員)
訴訟法ニハ外ノ字ガアルニ其レト同ジ譯ニスルノハ無理デシヨウ
(箕作委員)
獨乙デハ「グラーハブトマーヘン」ト云フ字デス
(委員長)
本多サンニ調ベテ貰ツテ疏明ト證明ト云フ字丈ケノコトハ栗塚ト相談シテ若シ其上都合良ク行ケバ良シイカントキハ其コト丈ケヲ書イテ出スガ宜シイ
(箕作委員)
十四條ノ一項ハ事實ヲ證明トスルカ
(南部委員)
之ハ證スデモ宜シイ
(委員長)
證スデモ宜シイ
(元尾崎委員)
其レデハ證スルニシテ置キマシヨウ
(箕作委員)
證セザリシ點ニ付キ請求又ハ抗辯ト云フカ
本條ハ「疏明」ヲ「證」ト改メ其他原案ニ決シ尙ホ疏明ト證明トハ訴訟法報吿委員ト調ヘルコトトス
第千三百十六條朗讀ス
第千三百十六條 當事者ノ一方ハ或ル事實ノ證據カ將來己レノ爲メニ利益アルトキハ其利益ト證據喪失ノ危險トヲ疏明シテ未タ訴訟手續ノ始マラサル前其事實ノ證ヲ立ツルコトヲ裁判上主トシテ請求スルコトヲ得
(松岡委員)
之ハ證據保全ノ場合ガ別段ニ立ツテアル位ダカラ事柄ハ彼レデ分ツテ居ル
(本多委員)
ソウデス
(栗塚委員)
此處ハ報吿委員デ置キマシタ旨意ハ事ガ起ツテカラデハナイ起ラン前ニ行クト云フノデス
(松岡委員)
訴訟法ニハ其レガ爲メ長イ條ガアリマス
(本多委員)
重復シテ居リマス
(箕作委員)
未ダ訴訟手續ノ始マラザル前返シマスカ
(槇村委員)
豫テト云フノデシヨウ
(箕作委員)
訴訟スルコトハ定マツテ居ラン氣味ハアリマセンカ
(槇村委員)
ソウ見ヘマス一體訴訟事ハナクツテモデシヨウ
(松岡委員)
訴訟法ニハ二ツニナツテ居リマス既ニ訴訟ガ繼續トナツテ居ルトキト上訴裁判所ヘ未ダ繼續トナツテ居ラント現裁判所云々トアリマス
(本多委員)
訴訟ノ起ルバカリデハナイ前後デアリマス
(南部委員)
雖モト云フト宜シイ
(元尾崎委員)
未ダト云フノハ可笑シイ
(南部委員)
訴訟ノ始マラザル前ト雖ドモト云ツテハドウカ
(北畠委員)
事ノ始マラザル前デス
(松岡委員)
訴訟前ト雖モカ
(箕作委員)
「タバレス」豫メト註ニアリマス
(松岡委員)
此儘デモ前ニト言フハ狹イカラ前ト雖モト云ヘバ宜シイ
(村田委員)
實ハ訴訟法ノ方ヘ入レテ置イテモ宜シイ
(栗塚委員)
此處ハ訴訟法ガ始マツタ時デナクツテ往ケル趣意デアリマス
(元尾崎委員)
前ト雖ドモトシテ宜シイ
(栗塚委員)
未ダ、ヲ止メテ訴訟ノ始マラザル前ト雖モデス
(元尾崎委員)
訴訟ノ起ラザル前ト雖モデス
(淸岡委員)
訴訟前ト雖モデ宜シイ
(大尾崎委員)
ソレデ宜シイ
(栗塚委員)
訴訟法ノ起ラザル前ト雖ドモトシテハ如何
(松岡委員)
起ラザルト云フト他人ガ起ス樣ニナルガ訴訟前デ宜シイ
(箕作委員)
訴訟法前デ宜シイ
(栗塚委員)
訴訟ノ起ラザル前ト雖モト云ツテドウカ
(元尾崎委員)
宜シイ
(委員長)
宜シイ樣デス
(松岡委員)
上ハ證據トシテ下ハ證トアルガドウカ元トハ皆ナ證デアリマシタ
(箕作委員)
證據ト云フト證據ヲ立ツルト云フノデシヨウ
(南部委員)
宜カロウ
(松岡委員)
宜カロウ
本條ハ「未タ」ノ二字ヲ刪リ「訴訟ノ起ラサル前ト雖モ其事實ノ證ヲ立ツルコトヲ云々」ト改メ其他原案ニ決ス
第千三百十七條朗讀ス
第千三百十七條 下ニ定メタル規則ハ物權、人權及ヒ人ノ身分ニ關スル證據ニ共通ノモノトス但特別ノ規定ヲ妨ケス
右ノ規則ハ證據ノ事項ニ關シテ前三編ニ記載シタル特別ナル條例ノ妨ケト爲ラス
右ノ規則ハ人ノ身分ノ問題ニモ之ヲ適用但特ニ第一編ニ定メタルモノハ此限ニ在ラス
(南部委員)
二、三項ハ刪リマス
(委員長)
之ハ無論宜シイ
(村田委員)
人ノ身分ハドウカ商人非商人トカ云フノデスカ
(栗塚委員)
婚姻シテ居ルトカ居ラントカ云フノデアリマス
(元尾崎委員)
宜シイ
(箕作委員)
下ニ定メタル規則デ良イカ
(栗塚委員)
下ニ定メタ證據ハデアリマス
(南部委員)
相續デアリマスカラ相續ノ條ヲ適用ニナルハ無論ト云フ積リデアリマス
(栗塚委員)
直接ノ證據間接ノ證據ト云フノデアリマス
本條ハ二、三項刪除其他原案ニ決ス
第千三百十八條朗讀ス
第千三百十八條 證據ハ左ノ諸件ヨリ成ル
第一 裁判所自己ノ考覈
第二 直接證據
第三 間接證據
(栗塚委員)
第一裁判所トアルハ判事自己ノト願ヒマス
(箕作委員)
考覈ハドウカ
(松岡委員)
考覈ハオカシイ
(大尾崎委員)
考ヘテ覈カニシタラ證據ニナルト云フハドウカ
(松岡委員)
心證デヤルト云フノデシヨウ
(元尾崎委員)
考覈ハ宜シイ
(栗塚委員)
判事ノ識別ト云フノデアリマス
(槇村委員)
裁判所ト云フハ相違ヒカ
(栗塚委員)
左樣デス自己ト云フ字モ刪ツテ宜シイ
(箕作委員)
判事ノ考覈デ宜シイ
(元尾崎委員)
宜シイ
本條ハ第一「裁判所自己ノ考覈」トアルヲ「判事ノ考覈」ト改メ其他原案ニ決ス
第千三百十九條朗讀ス
第一章 判事自己ノ考覈
第千三百十九條 判事ハ左ノ諸件ニ依リ主張セラレタル事實ノ確實ヲ得タルトキハ自己ノ考覈ニ依リテ爭ヲ決スルコトヲ得
第一 當事者又ハ其代人ノ申述ノ聽取係爭物竝ニ證書外ノ書類ノ調查及ヒ法律ノ解釋
第二 臨檢
第三 鑑定
(栗塚委員)
之モ判事ノ考覈デアリマス
(村田委員)
法律ノ解釋ト云フ字ヲ入レタノデスカ
(栗塚委員)
左樣デス
(箕作委員)
證書外ノ證書ト云フノハドウカ
(栗塚委員)
千三百二十條カラ先キニアリマス
(委員長)
證書ト云フコトガ拔ケテハオカシイダロウ
(南部委員)
證書ト云フモノハ此處ヘ這入ラン判事ノ考覈カラ生ズル證據デアリマス證書バ直接ノ證據ニナリマス
(栗塚委員)
證書デナスモノト云フノデアリマス
(松岡委員)
法律ノ解釋ハオカシイ
(栗塚委員)
併シ千三百二十二條ヲ見ルト法律ノ解釋ト云フノガアリマス
(松岡委員)
アツテモ證據ノ處ヘ入レルノハオカシイ
(栗塚委員)
法律ノ解釋ト云フハ元トハナイガ一節ニアツタカラ入レタノデアリマス
(元尾崎委員)
證書外ノ書類一ト云フト證書ハ調査シナイ樣デス
(箕作委員)
證書外ノ書類ト云フノハ分リマセン直接ノ證據ニハナラン證據外ノ書類ト云フ意味デシヨウ
(南部委員)
左樣デス
(箕作委員)
願書繪圖面手紙ナド云フモノデアリマシヨウ
(南部委員)
左樣デス
(松岡委員)
事實ノ確實ト云フノハオカシクハナイカ
(箕作委員)
法律ノ解釋ノコトハ先キニアリマセンカ
(栗塚委員)
一節ニモアリマスガ千三百二十二條ニモアリマス
(南部委員)
一節ノモ法律解釋云々ハ刪リマスカ
(渡委員)
條ノ中ニハアツテモ宜シイガ表題ハ刪ツテモ宜シイ
(委員長)
只證書外ノコトヲ言ハンデモ分ルデシヨウ此處ニ證書外トシテハ惡イダロウ
(松岡委員)
係爭書類ノ方ガ良クハ御座イマセンカ
(南部委員)
係爭書類ニ關シタコトハナイ係爭デナクツテモ良イノデアリマス
(箕作委員)
先ヅ法律ノ解釋ハ置キマシヨウ
(松岡委員)
置キマスカ
本條ハ表題ノ「自己」ノ二字ヲ刪リ其外原案ニ決ス
于時正午十二時休憩
于時午後一時五分開會
(委員長)
ヤリマシヨウ
第千三百二十條朗讀ス
第一節 當事者申述ノ聽取係爭物竝ニ證書外ノ書類ノ調查及ヒ法律ノ解釋
第千三百二十條 當事者ノ自白アル場合ノ外當事者又ハ其代人ノ申述及ヒ說明ヨリ請求ノ證明セラレサル事又ハ請求ノ尙ホ早キコトノ顯ハルヽニ於テハ裁判所ハ其請求ヲ棄却シ又ハ其裁判ヲ爲スコトヲ中止ス右裁判所ノ心證カ係爭物及ヒ訴訟書類ノ調查ヨリ生スルトキモ亦同シ
(委員長)
之ハ留保ニナツテ居ルカ
(南部委員)
裁判中止ト云フコトヲ問合セマシタノデアリマス
(栗塚委員)
本條ハ中止云々ノコトヲ聞キニヤツテアリマスカラ返事ガ來テカラ願ヒマス
(南部委員)
又殘スノモ蒼蠅イカラ請求又ハ抗辯ノ證明セラレザル時トシテ歳シイ
(淸岡委員)
裁判所トハ言ヘンダロウ矢張リ判事デシヨウ
(栗塚委員)
申述及ビ說明ヨリ請求若クハ抗辯ノ證明セラレザルコト又ハ尙ホ早キコトノ顯ハルルニ於テハ判事ハデス
(元尾崎委員)
抗辯ガ早過ギルノカ
(南部委員)
事柄ガ早過ギルノデス
(栗塚委員)
尙ホ早キコトノ顯ハルルニ於テハ判事ハ其請求若クハ抗辯ヲ棄却シト直シマス其レカラ二項ハ「裁判」ハ「判事ノ心證カ係爭物及ヒ證書外ノ書類」云々ト
(大尾崎委員)
棄却スルト云フノハ請求ヲ棄却スルノデ負ケルトキハ判決デシヨウ棄却ト云フコトハアリマスマイ
(粟塚委員)
請求ヲ棄却スルノデス
(南部委員)
請求ヲ棄却スルト資ケニナルノデス積リ裁判スルト云フコトデアリマス
(村田委員)
證書外ト云フハ前ノ字ト原文ガ違ツテ居リマシヨウ
(栗塚委員)
同ジデアリマス
(元尾崎委員)
中止スハコウシテ置キマスカ
(栗塚委員)
左樣デス
(淸岡委員)
一體ドウ云フ場合ヲ云フノカ
(栗塚委員)
原被自白ガアレバ能ク分ルカラシテ自白ニ依ルケレドモ自白ノナイトキニコウスルト云フノデアリマス
(淸岡委員)
訴訟手續見タ樣デス
(南部委員)
ソウデナイ申述說明ト云フ字ヲ御覽ナサルト卽チ千三百十九條ノ第一ノ處ヲ云フノデ代人ノ言ツタコトヲ聞キ辯論ノ申述ノトキカラ自然裁判官ノ考ニ徵シテ觀ルト成程請求ガ早イト證セラレナイト云フコトガ裁判官ノ腦裏ニ感ジテ來ルノデ其レガ一番ニ證據ニナツテ來ルト云フノデアリマス
(淸岡委員)
尙ホ早シト云フコトハ何ニカ
(南部委員)
請求ガ早イノデアリマス
(栗塚委員)
抗辯ガ早イノデス
(大尾崎委員)
中止ト云フハ矢張リ請求ヲ棄却スル譯ケデアリマセンカ
(栗塚委員)
其處ハドンナ意味カ質問中デアリマス
本條ハ「說明ヨリ若クハ抗辯ノ證セラレサルコト又ハ尙ホ早キコトノ顯ハルルニ於テハ判事ハ其請求ヲ却下シ云々」トシ第二項「右判事ノ心證カ係爭物及ヒ證書外ノ書類云々」ト改メ「裁判」以下質問中ニ付キ留保
第千三百二十一條朗讀ス
第千三百二十一條 爭カ受ケタル損害若クハ失ヒタル利益ニ付キ又ハ爭ハレサル原因ノ爲メニ供給ス可キ其他ノ價額ニ付キ爲ス可キ評價ノミニ存スル場合ニ於テ裁判所カ當事者又ハ其代人ノ陳述ヲ聽キテ右ノ評價ニ必要ナル元素ヲ得タルトキハ自ラ其評價ヲ爲スコトヲ得
(村田委員)
元素ト云フ字ハ前ニ使ツタコトハアリマセン
(栗塚委員)
爭ヒガ評價ノミニト言フノデアリマス
(渡委員)
元素ハ少シオカシイ
(南部委員)
爭ヒガ存スルトキト見ナケレバナリマセン
(栗塚委員)
裁判所ガトアルハ判事ガデアリマス
(南部委員)
右ノ評價トアルハ此評價デアリマス
(松岡委員)
訴訟法ニモ此通リノコトガアリマシタ
(南部委員)
評價ノミニ爭ヒノ存ストキハデ宜シイ
(元尾崎委員)
其レデ宜シイ
(栗塚委員)
之ハ間違イデアリマス「受ケタル損害若クハ失ヒタル利益其外原因ニ爭ヒカナクシテ供給ス可キ價額ニ付キ爲ス可キ評價ノミニ爭ヒノ存スル場合ニ於テ判事カ云々」トナリマス
(元尾崎委員)
其他原案ナクシテトシテ宜シイ
(箕作委員)
宜シイ
本條ハ左ノ如ク改ム
受ケタル損害若クハ失ヒタル利益其他原因ニ學ヒナクシテ供給ス可キ價額ニ付キ爲ス可キ評價ノミニ爭ヒノ存スル場合ニ於テ判事カ當事者又ハ其代人ノ陳述ヲ聽キ其評價ニ必要ナル元素ヲ得タルトキハ自ラ其評價ヲ爲スコトヲ得
第千三百二十二條朗讀ス
第千三百二十二條 若シ爭ハレサル事實ニ關シ法律ノ點ノミニ爭ノ存スルトキハ裁判所ハ當事者又ハ其代辯人ノ陳述ヲ聽キタル後其精神ト其明文トニ因リ解釋シ且公正ト條理トノ普通原則ニ因リテ完補スヘキトキハ之ヲ以テ完補シタル法律ノ條例トニ基キ自己ノ心證ヲ取ル
(松岡委員)
之ハ起案者ガ直シタノカ
(栗塚委員)
再調査デアリマス
(元尾崎委員)
始メノ如ク補完ス可キトキハ之ヲ以テ補完シト云フ方ガ宜シイ
(南部委員)
餘リ長クナルカラデアリマス
(松岡委員)
法律ノ規定ニ基キヲ刪ツテ宜シイソウスルト完補ス可キトキハト云ハンデモ上ハ法律ノ精神ト明文ニ因テ解釋シ其法律ニ明文ノ足リナイトキハ條理ト事柄デデス
(淸岡委員)
完補ス可キハ宜シイ
(箕作委員)
解釋シタル法律ノ規定ト云フノデシヨウ
(南部委員)
ソウデス
(元尾崎委員)
之ヲ以テト云フコトハ刪レマセン
(淸岡委員)
之ヲガナイト往カン
(村田委員)
法律ガ不完全ナルトキハ裁判官ハコウト云フノデアリマス
(箕作委員)
法律ノ規定ヲ其精神ト且トシテハドウカ
(南部委員)
宜カロウ
(栗塚委員)
「法律ノ規定ヲ其精神ト明文トニ因リ解釋シ又ハ條理」云々トシテ宜シイ
(淸岡委員)
補完シテ其レガ法律ニ外レテハ往カンカラ法律ノ規定ニ基イテダロウ
(南部委員)
ソウデハナイ解釋ヲスル方デシヨウ
(松岡委員)
法律ノ明文アルモノハ法律ニ因ルナレバ條理ト習慣トニ因ルト云フ意味デシヨウ
(栗塚委員)
左樣デス
(箕作委員)
此處ニ限ツテ代辯人トアルガ代辯人デモ辯護人デモ宜シイガナゼ辯ノ字ガ付クカ外ノ代人ト云フノハドウカ
(松岡委員)
訴訟代人デナケレバナリマセン
(箕作委員)
千三百二十條デモ當事者又ハ代人云々トアリマス外ハ代人トアリナガラ此處ニ限ツテ代辯人トカ云フノハドウ云フ譯ケカ
(栗塚委員)
同ジコトデアリマス
(箕作委員)
代人トシテハドウカ
(栗塚委員)
代人トシマシヨウ
(南部委員)
ソレデハ代人トシテ宜シイ
(元尾崎委員)
代言人ハ這入ランカ
(栗塚委員)
無論這入ルノデアリマス
(松岡委員)
訴訟法トノ關係ニ因テ代人デ宜シイ
本條ハ左ノ如ク改メ
事實爭ヒナク法律ノ點ノミニ爭ヒノ存スルトキハ判事ハ當事者又ハ其代人ノ陳述ヲ聽キ法律ノ規定ヲ其精神ト明文トニ因リ解釋ス且條理ト公道トノ普通原則ニ因リ之ヲ完補シ自己ノ心證ヲ取ル
第千三百二十三條朗讀ス
第二節 場所ノ臨檢
第千三百二十三條 所有地ノ境界、地役、占有、財產ノ損害不動產ニ於ケル工事ノ執行ニ關スル爭其他右ニ類似ノ爭ニ付テハ勿論裁判所ニ移送スルコトヲ得サル動產ノ景狀ヲ證明スルニ關スルトキト雖モ若シ判事カ陳述セラレタル事實ヲ直接ニ且自ラ知ルコトヲ以テ訴訟事件ヲ明カナラシムルニ必要又ハ有益ナリト思考スルトキハ或ハ職權ヲ以テ或ハ當事者一方ノ請求ニ因リテ此カ爲メ係爭物又ハ爭ノ決定元素ノ存在スル場所ニ臨檢スルコトヲ得
若シ裁判所カ數名ノ判事ヨリ構成セラルルトキハ裁判所ハ其中一人ヲ右臨檢ノ爲メ委員判事ニ選任シ且臨檢ノ報吿ヲ爲サシム
(箕作委員)
請求ト云フノハ訴訟法ハ何時モ申立テズ
(松岡委員)
私モソウ思フ
(南部委員)
處ガ登ノ處ニ要求者ト云ツテ居リマス
(粟塚委員)
係爭物又ハ爭ヒノ存スルトキデアリマス
(委員長)
爭ヒヲ決定スルトヤルカ
(箕作委員)
爭ヒノ決定スル元素ト云テモ良シイ
(委員長)
爭ヒヲ決定スル元素ノ存在スルトヤルカ
(栗塚委員)
左樣ソレカラ爭ヒニ付テハ勿論動產ノ形朕ヲ顯證スルトヤツテハ如何
(箕作委員)
良カロウ
(本多委員)
臨檢ト云フハ當リマセン訴訟法ニハ出張シナイデ宜イヨウニナツテ居リマス
(箕作委員)
顯證ヲ止メテ證スルデ良イダロウ、又ハ有益ト云フ字ヲナゼ刪タカ
(南部委員)
訴訟法ニハ必要トアルノデ有益ト云フ字ハナイ
(箕作委員)
必要ト云フハ是非ナケレバナラント云フ有益ト云フハ是非デハナイ、何方カト云ヘバ職權デモ出來ルト云フノダカラアル方ガ良クハナイカ
(松岡委員)
此儘デ宜シイ
(槇村委員)
有益モ良イデハナイカ
(元尾崎委員)
必要デ、良イデハナイカ
(栗塚委員)
質問ノ返答ガ參リマシタガ此所ハ原則ヲ民法ニ揭ゲタ積リダカラ手續ハ訴訟法ニモ原則ヲ書カナケレバナラン之ヲ以テ原則トモ見ヘナイノデ矢張手續デアリマスカラ訴訟法中ニアツテ然ル可キト言テ更ニ申上ル積リデアリマス
(委員長)
本條ノ末項ハ刪タデハナイカ
(栗塚委員)
ソレハ宜シウ御座イマス
本條ハ左ノ如ク改ム
第二節臨檢第千三百二十三條所有地ノ境界、地役、占有、財產ノ損害及ヒ不動產工事ノ執行ニ關スル爭ヒ其他之ニ類似ノ爭ヒニ付テ勿論裁判所ニ移送スルコトヲ得サル動產ノ形狀ヲ證スルニ關スルトキト雖モ判事カ主張セラレタル事實ヲ直據ニ知ルコトヲ以テ訴訟事件ヲ明カナラシムルニ必要ナリト思考スルトキハ或ハ職權ヲ以テ或ハ當事者一方ノ申立ニ因リテ係爭物又ハ爭ヒヲ決定スル元素ノ存在スル場所ニ臨檢スルコトヲ得ト改メ末項ハ刪除
第千三百二十四條朗讀ス
第千三百二十四條 當事者ハ判事ノ臨檢ニ當リ其判事ノ定メタル日時ニ於テ其定メタル場所ニ自身ニテ出頭シ又ハ其代理人ヲ出頭セシムルノ催吿ヲ豫メ受ク可シ然レトモ其出頭セサル事ハ臨檢ノ有效ヲ妨ケス
(栗塚委員)
之ハ訴訟法ニ同ジコトガアリマスノデ削リ度イ
(本多委員)
訴訟法ニアリマス
(松岡委員)
之ハ訴訟法ノ二百七十九條二百八十三條ニアリマスカラ削ツテ宜シイ
(淸岡委員)
削ツテ宜シイ
(箕作委員)
ソレデハ削リマシヨウ
(元尾崎委員)
之ハ削ラン方ガ宜シイ
(南部委員)
成ル丈ケ訴訟法ニ讓ツテ宜シイ
(委員長)
宜シイ
本條ハ削除ニ決ス
第千三百二十五條朗讀ス
第千三百二十五條 判事ハ場所ノ臨檢ノ爲メ爭ノ性質ニ從ヒテ適當ノ鑑定人ヲ己レニ添ユルコトヲ得
臨檢ヲ命シタル判決ヲ以テ鑑定人ヲ選任シタルトキハ次節ニ定メタル鑑定ノ規則ヲ遵守ス可シ
若シ鑑定人ガ物ノ調查ニ於テ判事ヲ輔佐スル爲メ臨檢ノ當時ニ於テ召喚セラレタルトキハ其鑑定人ハ宣誓ヲ爲サス又裁判所ニ報吿ヲ爲サヽルモノトス然レトモ其出頭ト其意見ハ判事ノ報吿中ニ之ヲ記載ス
(箕作委員)
之モ削ルカ
(栗塚委員)
之ハ此内初メノ項丈ケハ無論訴訟法中ニ在テ宜シイ
(本多委員)
訴訟法ノ三百五十五條ニ似寄ツタコトガアリマス
(南部委員)
之ハ訴訟法ニ入レルトシテ調ベテ下サイ
(松岡委員)
宜シイ
(栗塚委員)
訴訟法ニ入レルニ付テ削ルト言フ丈ケデアリマス
(委員長)
宜カロウ
本條ハ削除ニ決ス
第千三百二十六條朗讀ス
第三節 鑑定
第千三百二十六條 法律ニ於テ裁判所カ鑑定ニ依ル可キ旨ヲ定メタル場合ノ外爭ノ判決ニ付キ特別ノ知識ヲ要スル時ハ裁判所ハ何時ニテモ或ハ職權ヲ以テ或ハ當事者一方ノ請求ニ因リテ自己ノ經驗ヲ助ケシムル爲メ鑑定人ノ報吿ヲ爲ス可キ旨ヲ命スルコトヲ得
鑑定ヲ命スル判決ニハ其鑑定ヲ爲ス可キ事實ヲ定ム
(栗塚委員)
本條ハ法律ニ於テ鑑定ニ因ル可キ旨ヲ定メタル場合ノ外判事ハ爭ヒノ判決ニ付キ特別ノ知識ヲ要スルトキハ何時ニテモ云々ト直リマス且末項ハ削ル積リデアリマス「經驗」ハ「考窮」ト直リマス
(松岡委員)
宜シイ
(箕作委員)
之ハ訴訟法ニ在リマセンカ
(本多委員)
アリマセン
(栗塚委員)
第千三百三十一條第一項ヲ本條ノ末項ニ入レタイソウスルト後トハ削レルノデアリマス
(委員長)
宜カロウ
本條ハ左ノ如ク決ス
法律ニ於テ鑑定ニ因ル可キ旨ヲ定メタル場合ノ外判事ハ爭ヒノ判決ニ付キ特別ノ知識ヲ要スルトキハ何時ニテモ或ハ職權ヲ以テ或ハ當事者一方ノ申立ニ因リテ自己ノ考窮ヲ助ケシムル爲メ鑑定人ノ報吿ヲ爲ス可キ旨ヲ命スルコトヲ得判事ハ鑑定人總員一致ノ說ト雖モ之ニ從フノ義務ナシ
第千三百二十七條朗讀ス
第千三百二十七條 其判決ニ於テハ爭ノ輕重又ハ難易ニ從ヒテ一人又ハ三人ノ鑑定人ヲ選任ス
然レトモ當事者ハ裁判所ヨリ自己ノ權利ノ吿知ヲ受ケタル後協議ノ上自ラ一人又ハ三人ノ鑑定人ヲ選任スルコトヲ得
若シ當事者カ各一人ノ鑑定人ヲ選任スルコトノミヲ協議シタルトキハ裁判所ヨリ第三ノ鑑定人ヲ選任ス
(栗塚委員)
之モ削ル論デアリマス
(松岡委員)
訴訟法ノ第三百二十二條ニアリマス
(箕作委員)
一人又ハ三人ト云フハ訴訟法ニアリマセンカ
(本多委員)
アリマセン
(栗塚委員)
佛蘭西流儀デハ二人ハヤランノデアリマス
(松岡委員)
宜ク考窮ヲ助ケル方ダカラ場合ニ任シテ宜シイ例ヘ全員一致シテ屈從シナケレバナランコトハナイノデアリマス
(北畠委員)
任シテ置イテ宜カロウ
(松岡委員)
宜シイ
本條ハ削除ニ決ス
第千三百二十八條朗讀ス
第千三百二十八條 何人ニテモ日本臣民ニシテ且國士權ヲ行使スルノ權利ヲ有スル者ニ非サレハ鑑定人ニ選任セラルヽコトヲ得ス
然レトモ若シ爭ノ判決カ外國ノ書類又ハ產物ノ調查ヲ要スルトキ其地ニ於テ必要ノ能力ヲ有スル日本臣民ヲ發見スルコトヲ能ハサルニ於テハ裁判所ハ此事ニ付キ當事者ノ申立ヲ聞キタル後判決中ニ右不能ノ旨及ヒ當事者ノ申立ヲ聽キタル旨ヲ證記シテ一人又ハ數人ノ外國鑑定人ヲ選任スルコトヲ得
(箕作委員)
之ハ訴訟法ニドウカ
(南部委員)
訴訟法ニ御座イマセン
(栗塚委員)
訴訟法ニ御置キヲ願ヒタイ
(委員長)
日本人民權ニ於テ公權剥奪サレン奴デナケレバ出來ント云フノダ
(松岡委員)
鑑定ヲ命ゼラレタトキハ義務アリトシテ日本國民ハ云云ト訴訟法ノ三百二十三條ニアリマスガ外國人云々ト云フコトハ御座イマセン
(委員長)
訴訟法ノ三百二十三條ニ終リガアレバ宜シイ
(松岡委員)
左樣デス
本條削除ニ決ス
第千三百二十九條朗讀ス
第千三百二十九條 鑑定人ハ民事訴訟法ニ定メタル方式ニ從ヒ「謹愼且誠實ニ其委任ヲ履行ス可シ」トノ宣誓ヲ爲ス
宣誓ハ鑑定ヲ命シタル裁判所又ハ鑑定ヲ爲ス可キ裁判所ニ於テ之ヲ爲スモノトス
(粟塚委員)
之モ亦訴訟法ノ三百二十五條ニアリマスカラ削除致シマス
本條削除ニ決ス
第千三百三十條朗讀ス
第千三百三十條 鑑定ハ當事者ヲ立會ハシメ又ハ合式ニ之ヲ召喚シタル上ニテ之ヲ爲ス
鑑定人忌避ノ原由及ヒ鑑定人ノ報吿書ヲ錄製シテ之ヲ裁判所ニ差出スノ方式ハ民事訴訟法ニ之ヲ規定ス
(本多委員)
之モ訴訟法ノ三百二十四條ニアリマス
(委員長)
訴訟法ニ入レルコトトシテ削ルカ
(元尾崎委員)
宜シイ
本條削除ニ決ス
第千三百三十一條朗讀ス
第千三百三十一條 裁判所ハ鑑定人總員一致ノ說ト雖モ之ニ從フノ義務ナシ
又裁判所ハ再度ノ鑑定ヲ命スルコトヲ得但其再度ノ鑑定ニ付キ更ラニ鑑定人ヲ選任スルノ必要アリト思量スルトキハ之ヲ命スヘシ
總テノ場合ニ於テ裁判所ハ訴訟本案ノ判決文中ニ鑑定人ノ報吿ヲ取調ヘタル旨ヲ附記スルコトヲ要ス
(栗塚委員)
本條一項ハ前ニ入レマシタガ二項ハ訴訟法ニナケレバ置イテ貰ヒ度イ
(松岡委員)
訴訟法ニアリマス
(委員長)
之ハ言フマデモナイ訴訟法ニ是非ナケレバナリマスマイ
(南部委員)
左樣デス
本條モ削除ニ決ス
于時午後三時閉會