民法債權擔保篇再調査按第二十七回議事筆記
自第千七十一條至第千百二十條
明治二十一年十一月二十九日午前九時三十分開會
第千七十一條朗讀ス
第三款 債務者間ノ連帶ノ終了
第千七十一條 債權者カ總債務者ニ對シテ連帶ヲ抛棄スルトキハ第四百五十八條第一項ニ規定シタル如ク其債務者ノ義務ハ單ニ連合ノモノトナリテ存シ其他ノ性質ヲ變スルコト無シ
(渡)
連帶ヲ抛棄スルハ
(南部)
連帶ヲ止メテ仕舞ウ債務者ノ連帶ヲ許シテヤル
本條ハ原按ニ決ス
第千七十二條朗讀ス
第千七十二條 第五百三十二條ニ從ヒ明示又ハ默示ニテ債務者ノ一人又ハ數人ニ對シテノミ連帶ノ抛棄アリタルトキハ他ノ債務者ハ連帶ノ免除ヲ得タル者ノ部分ニ於テノミ其義務ヲ免カル
若シ連帶ノ免除ヲ得サル債務者中ニ無資力者アルトキハ債權者ハ其無資力ニ付キ連帶ノ免除ヲ得タル者ノ部分ヲ負擔ス
(松岡)
二項ノ「若シ」ハ入ランノダロウ
(栗塚)
之ハ入リマセン
本條第二項「若シ」ヲ削ル
第千七十三條朗讀ス
第千七十三條 債權者カ連帶債務者ノ一人ヨリ供シタル擔保ニシテ他ノ債務者ノ辨濟シテ代位スルコトヲ得ヘキモノヽ全部又ハ一人ヲ毁損シ又ハ滅失セシメタルトキハ他ノ債務者ハ其擔保ヲ供シタル者ノ部分ニ付キ連帶ノ義務ヲ免カレント請求スルコトヲ得
右ノ請求ニ因リ宣吿シタル免除ハ連帶ノ任意免除ト同一ノ効力ヲ有ス
(南部)
免責ハ免除ダロウ
(栗塚)
免除ダロウ
(渡)
品物ヲ毀ハシタラ辨濟シタト同ジニナルダロウ
(村田)
目的ガナクナツテ仕舞ウノダカラ
(元尾崎)
ソレ丈ケ債權者ガ損ニナル
本條第二項「免責」ヲ「免除」ト改ム
第千七十四條朗讀ス
第四款 全部義務
第千七十四條 第三百九十八條、第五百十九條、第二項及ヒ其他法律カ數人ノ債務者ノ義務ヲ其各自ニ對シ全部ノモノト定メタル場合ニ於テハ相互代理ニ付シタル連帶ノ効力ヲ適用スルコトヲ得ス但其總債務者又ハ其中ノ一人カ債務ノ全部ヲ辨濟スルノ言渡ヲ受ケタルトキモ亦同シ
然レトモ一人ノ債務者ノ爲シタル辨濟ハ債權者ニ對シ他ノ債務者ヲ免レシム又辨濟シタル者ハ事務管理ノ訴推ニ依リ又ハ債權者ノ代位訴權ニ依リ他ノ債務者ニ對シ其部分ニ付キ求償權ヲ有ス
(村田)
全部辨濟ノ方ガ良クハナイカ
(南部)
其義務ハ全部ナリト掛ケタ處ガアルカラ宜シイ
(大尾崎)
全部ノモノト定メタ場合ハ連帶デシヨウ
(栗塚)
連帶ト同ジデハアルガ連帶中ノ相互代理ニ附スト云フ効力ハナイ三人デ一軒ノ家ヲ借リテ居ル和ガ出レバ三人デ義務ヲ負フ誰レニ向ツテモ全部出來ル處ガ誰レカ一人拂ツタトキハ代理トシテ拂ツタカ拂ハンカト云フト連帶ハ代理トシテ拂ツタノデアルガ之ハソウデナイ事務管理ニナリマス
(松岡)
代理ハ其時カラノ利息ガ起ルトカ利益ニナラナクモ立テ替ヘタ金ハ取ラナケレバナラン事務管理ハ其人ノ利益ニナラナケレバ假令自分カラ百圓出シテモ先キノ人ニ八十圓外利益ガナケレバ自分デ二十圓ハ損ヲシナケレバナラン併シ家ヲ一所ニ借リテ一所ニ燒ケレバ償ハナケレバナラント云フノハ事務管理デハ起ラン譯ダ
(大尾崎)
此書キ出ハ連帶ニナツテ居ル
(松岡)
連帶ト云ハズシテ完全ト云フ名ニシテヤル
(栗塚)
之ハ不充分ナル連帶ト云フ字デ御座イマス本當ノ連帶ナレバ債務者ノ一人ニ對シテ訴追ヲスレバ時効モ中斷スルニ利息モ生ズルガ之ハ生ゼン
(松岡)
三人ガ一ツノモノヲ借リテ居テ之ハ連帶デナイト云フト喧嘩ガ始マルダロウ
(南部)
喧嘩ハ起ラン
(栗塚)
然ルニ連帶ト云フテモ不完全デアル何ガ不完全ダト云フト時効モ中斷セン利息モ生ゼン
(元尾崎)
之ハ止メルガ宜シイ
(南部)
三百九十八條ガアルカラ止メルコトハ出來ナイ
(栗塚)
暇今バ私ト尾崎サント共ニ持ツテ居ツタ馬車デ松岡サンノ息子ニ怪我ヲサシタトキ償ハナケレバナラン其時松岡サンガ私一人ニ向ツテモ損害ガ取レル尾崎サンニ向ツテモ損害ガ取レル連帶デアルカト云フト連帶デハナイ何トナレバ代理シテ人ヲ傷ケルト云フコトハナイカラ
(元尾崎)
求償權ガアルカラ同ジコトニナル
(松岡)
三百九十八條ハ連帶トナツテ居リマセヌカ
(南部)
彼レハ直シテアル
(松岡)
連帶ハ明示デナケレバ出來ント云フコトヲ主張スル爲メニ之ガ出來テ來タニ相違ナイ併シ一所ニ馬ニ乘テ怪我ヲサセタトキ事務管理ニナルト事務管理ハ自分ガ好ンデスル話デ人カラ厭ヘラレテ事務管理ニナル筈ハナイ
(栗塚)
事務管理デナイモ代理デナイノデ御座イマシヨウ
(松岡)
何レカト云ヘバ代理ノ方ニ付ケル
(栗塚)
事務管理ニ當ルカト云フト事務管理ト同ジ結果ヲ生ズルト云フノデアリマス
(松岡)
ソレハ大變不適當ト云ナケレバナラン一所ニ乘ツテ怪我ヲサセレバ二人ニ責ガアル其時ニ一人ノ人ガ訴ヘラレテ悉ク拂ツタトキ之ハ事務管理ダカラ利息ノ取リ立テ方モ利益ノ處モ取ル程ノ權ヲ持タズ少ナイ權外持テント云フ理窟ハナイ
(栗塚)
貴君ガ遲滯ニ附シタトキカラ利息ガ生ズルカト云フトソウデナイ
(松岡)
私ガ訴ヘテ貴君ガ全額出シテ事務管理ノ訴權ガ尾崎サンニ向イタトキハ事務管理ニナルガ何ゼ事務管理ト云ハナケレバナランカ貴君ハ尾崎サンノ事務管理ヲ自分デ好ンデシタノデナイ法律上デ素首ヲ押ヘラレテシタノダ
(南部)
債務者ノ知ランノニ保證人ニナツタトキト同ジダ
(松岡)
強制サレテ事務管理者ニナルト云フコトガアロウカ
(南部)
強制デハナイ同ジ二人デ損害ヲヤツタトキニ他ノ一人ガ一所ニナツテ居ランケレバ自然全都ヲ負擔スルトナツテ居ル以上ハ其金ヲ拂ヘバ事務管理ヲシテ拂ツタト同ジニナル假令バ主人ガ他ヘ行ツタ留守ニ事務管理ヲシタノニ同ジニナル
(松岡)
事務管理ハ自由ニ行クガ強制ヲ受ケタモノト云フト事務管理ハイツモ自由ノ場合ダ
(南部)
代理ト云フモノハ本人ガ知ツテ初メテ代理ナル連帶ハ代理ノ性質ヲ持ツテ居ナイソレデ種類ガ違ウ
(栗塚)
事務管理ト云ハンデモ代理ト云ハンデモ連帶ト同ジ結果ヲ生ゼシメテ宜シイト云フト此場合デハ同ジ結果ヲ生ズルコトハ出來ナイデアリマシヨウ列擧シタル効果ヲ生ゼシメルコトガ出來ルカ出來ンカデス
(松岡)
モツト外ノ種類ガ出テ來テ如何ニモト云ヘバ兎モ角モ頭カラ事務管理ト見ナケレバナランカ連帶デ何ンデモ取レルトスルカ
(栗塚)
連帶ナレバ相互代理ノ効ヲ生ズ
(松岡)
連帶ト云フモノデハナイノダ連帶ニシヨウト云フノハ法律ガ被害者ヲ助ケル爲メニ過失ハ惡ルイガ故意デスル奴ハ惡ルイカラ片々デ償ウデシヨウソレダカラ遠慮ニ及バン遠慮スルト二人ノ仲間ノ一方ガ大變迷惑ヲスル事務管理ト代理トハ大變區別ガアル
(南部)
損害ヲ蒙ツタトキ私ヲ訴ヘレバ當リ前ノ連帶ナレバ時効ヲ中斷シテ期滿免除ガ自然ニ繋ガレテ行ク併シ此場合デハ私ヲ訴ヘテモ貴君ニ關係ハナイソレヲ私ガ訴ヘラレテモ貴君ノ時効ヲ中斷スルト云フノハ良クナイ
(松岡)
其處ガ價値ガアルトシテモ尾崎サント栗塚サンガ馬車ニ乘ツテ私ニ怪我ヲサセタ私ハ栗塚サンニ向ツテ全額ノ損害ヲ取ツタ其時栗塚サンガ金ヲ出シタノハ事務管理デ自分ガ好ンデ貴君ノ爲メニ勝手ニシタモノト同ジ丈ケノ地位ニホカ出ラレナイ、連帶ナレバ御前ト馬ニ乘ツタ爲メニ半分出シナサイ云フコトガ出來ル、然ルニ事務管理トスレバ栗塚サンガ七分出シテ貴君ハ三分デ濟ムヨウニナルカ知レン
(村田)
ソレハ連帶トハ云ヘナイ此連帶ハ法律デ推定ヲセント云フ明示デナケレバイケント云フカラソウ云フ場合ノモノハイケナイ
(栗塚)
事務管理ト代理ノ結果ヲ貴君ハ栗塚ト尾崎サンノ間ト見テ居ルガソウデハナイ貴君ト尾崎サンノ間ト見ナケレバナラン
(松岡)
結果ノ陷イル處ハ誰レガ引受ケルト云フコトヲ規定スレバ宜シイ取ルノハ事務管理デモ代理デモ宜シイ
(栗塚)
取ラレル方ハ代理者トシテ訴ヘラルルノガ逮ウゾヨ
(松岡)
契約ノナイモノヲ契約アリトシテ壓シ付ケルノデシヨウ
(村田)
松岡サンハ連帶ノ原則ヲ變ヘテ來ナケレバナラン
(松岡)
君ハ眼ガ低イト云フモノダ准契約准犯罪ト云フモノヲ立テタ旨意ガ分ランデ居ルノダ
(栗塚)
事務管理代理ト云フノハ尾崎サント私ノ關係ヲ定メルノデハナイ貴君カラ私ガ尾崎サンヲ相手取ルトキハ貴君ハ事務管理者ト見ルノト代理者ト見ルノト結果ガ違ウ
(松岡)
現行ハ治罪法テ連帶ニナツテ居ルダロウ
(栗塚)
連帶ハ契約ガアツテ初メテ出來ルモノト起案者ガ見テ係ツタノデス
(大尾崎)
訴ヘラレタ場合ニ是ハ私一人ノ過失デハナイカラ參加サセテ呉レ參加シタ以上ハ連帶ニナツテ來ルダロウ
(栗塚)
參加サセルコトハ出來マスガ連帶ニハナリマセン
(淸岡)
元トノ成立チガ違ウカラ連帶ニハ出來ン
(元尾崎)
合意デナケレバ連帶ニ出來ント云フコトヲ本株ニ立テタカラ違ウ詰リ理窟詰メダ
(松岡)
全部ト云フノハ參加ガ求メラルルカ
(南部)
求メラレナイ若シ求メラルルナラ代理ニナル
(栗塚)
私ハ求メラルト思ヒマス跡デ訴ヘナケレバナリマセン
(大尾崎)
參加ガ出來レバ連帶ニナル
(栗塚)
註ニ他ノ人ヲ呼ビ出ス爲メニ期間ヲ請求スルコトハナラントアル
(南部)
呼ンデ呉レト云ツテモ自分ガ答辯ヲスル爲メニ呼ブノデ拂ウノハ自分デ拂ハナケレバナラン
(大尾崎)
之デハ立替ヘテモ訴ヘヲ起シタトキカラデナケレバ利息ハ取レン
(南部)
債權者ガヤツタトキカラ利息ガ取レル
(北畠)
二人デ車ニ乘ツテ一人ガ訴ヘラレタトキ一人ノ人ガ全體彼レハ向ウノ車カラ觸レテ來タノデアルカラ我レガ居レバ參加シテ辯解スレバ損害ハ出サンデ濟ンダト云フト損害ヲ出シタ甲カラ乙ヘ係ツテ求償ガ出來ナイ樣ニナルカ知レン
(槇村)
之ヲ削レバドウナルカ
(南部)
時効ヲ中斷スル樣ニナル
(元尾崎)
中斷シテ宜シイデハナイカ
(栗塚)
之ヲ法律上ノ連帶トスレバ宜シウ御座イマスガ法律上全部ノモノトシテ置クノデ御座イマスカラ
(元尾崎)
法律上ノ連帶ニスルガ宜シイ
(渡)
一人ガ拂ツタカラ拂ヒ損ト云フコトハナイ
(松岡)
正當ノ原由ナクシテ利ヲ得タモノハ不當ノ利益ノ取戻ガ出來ルト云フ原則ガアル則チ事務管理モソレダ人ガ錢ヲ使ツテ私ガ利益ノ方ニナツテ來タソコデ事務管理ハ人ニ向ツテ取戻ストキハドウ云フモノガ取戻セルカト云フト向ウノ人ノ利益ヲ得タ限度デ取レルト云フ處デ馬車デ怪我ヲサセタトキ我レハ少シモ利益ヲ得ナイト云フト喧嘩ニナル
(元尾崎)
御前ガ勝手ニ拂ツタノニダカラ我レハ知ラント云フト訴ヘナケレバナラン
(南部)
連帶トスルト一人ニ對シテ判決シテモ外ノモノニ對シテ効ガアル樣ニナルソレハ酷イ
(元尾崎)
參加スレバ宜シイ
(栗塚)
五百十九條ノ註ヲ御覽ヲ願ヒマス二項ノ說キ明シハ充分ノ連帶ト不充分ノ連帶トノ差ガ出來ル註ノ六百六十四六百六十五ヲ御讀ミヲ願ヒマス此旨意ニテ註ニ書イテ御座イマスカラ此所丈ケ御削リニナルト治リガ付キマセン
(淸岡)
三百九十八條ト五百十九條ヲ並ベテアルガ一番適用ノ多イノハ三百九十八條ダ十九條ハ人ノ債務ヲ頼マレレバ事務管理デシタノダロウソレダカラ三百九十八條ヲ削ツテ五百十九條二項ト書イテ置ケバ宜シイ
(元尾崎)
ソレガ宜シイ
(松岡)
「第三百九十八條」ノ七字ヲ削ルガ宜シイ
(南部)
起案者ニ一應云フテ削ルガ宜シイ
(栗塚)
三百九十八條ヲ御前ガ連帶トシタノヲ此處デ全部義務トシタノハ甚ダ不同意ダ連帶トシナイト參加モ出來ナイカラ連帶トスルノガ此議場ノ多數ダト云フコトヲ「ボアソナード」ニ通シテヤリマシタ
(松岡)
此處ハ定メテ置イテ起案者ニ通シテヤルガ宜シイ
(渡)
聞イテカラ譯スルガ宜シイ
(南部)
三百九十八條ヲ削ル位ナレバ此條ヲ丸ルデ削ルガ宜シイ
(大尾崎)
御預リガ良カロウ
(槇村)
聞クガ宜シイ
本條第一項「第三百九十八條」ノ七字ヲ削リ連帶義務ニ爲スヘシトノ說アリテ一應起案者ニ質問スルコトニ決ス
第千七十五條朗讀ス
第二節 債權者間ノ連帶
第一款 債權者間ノ連帶ノ性質及ヒ原因
第千七十五條 債權者間ノ連帶卽チ働方連帶ハ權利ノ保存及ヒ行使ニ付キ其債權者ヲシテ互ニ代人タラシム
此連帶ハ合意又ハ遺言ヨリ生スルコトヲ得
(村田)
法律ノ規定ヲ何ゼ削ツタカ
(南部)
起案者ガ削ツタノデス
本條ハ原案ニ決ス
第千七十六條朗讀ス
第千七十六條 數人ノ連帶債權者ニ對スル債務者ノ約務ハ同一ノ行爲ヲ以テ又同時同所ニ於テ之ヲ契約スルコトヲ要セス但其義務ノ目的及ヒ原因ハ同一ナルコトヲ要ス
又債務者ハ數人ノ債權者ニ對シ別異及ヒ不均一ノ体樣又ハ負擔ヲ以テ責ニ任スルコトヲ得
本條ハ原案ニ決ス
第千七十七條朗讀ス
第二款 債權者間ノ連帶ノ効力
第千七十七條 各連帶債權者ハ唯一人ノ債權者ナル如ク義務全部ノ履行ヲ債務者ニ要求スルコトヲ得
債權者ノ一人カ訴ヲ起シタルトキハ他ノ各債權者ハ共通ノ利益及ヒ自己ノ利益ノ保護ノ爲メ訴訟ニ參加スルコトヲ得
(村田)
自費ヲ以テ參加スルノデシヨウ
(栗塚)
前ノ通リ書クト尙ホ々々可笑シクナル
(松岡)
我々ガ立法者デ筆ヲ執レバ何々ヲ適用スデ宜シイノダ
(村田)
之レハ肝要ナコトダ
(栗塚)
自費デナイト云フ疑ガドウシテ起リマス
(淸岡)
村田君ニ贊成
(村田)
千五十六條ノ通リニ自費ヲ以テトスレバ宜シイ
(淸岡)
債務者カラ取立テルカ知レン
(栗塚)
共同ノ利益ノ時ニハ共同ノ費用デヤル自分ノ利益ノトキハ自分ノ費用デヤルト云フコトハ分ツテ居リマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第千七十八條朗讀ス
第千七十八條 債務者ハ債權者ノ一人ヨリ訴追又ハ合式ノ要求ヲ受ケサル間ハ債務ノ全額ノ辨濟ヲ受取ルコトヲ債權者ノ各自ニ強要スルコトヲ得此ニ反スル場合ニ於テハ要求者ニ對スルニ非サレハ辨濟ヲ爲スコトヲ得ス
本條ハ原案ニ決ス
第千七十九條朗讀ス
第千七十九條 義務組成ノ瑕疵ニ基キタル抗辯ニ付キ有リタル判決ハ債務ノ全部ニ對シ總債權者ノ利害ニ於テ其効力ヲ生ス但訴訟ニ其名ヲ出サヽリシ者ニ對シテモ亦同シ
(松岡)
元ト抗辯トアツタノヲ答辯方法トヤツタ
(栗塚)
跡デ字ヲ調ベテ見タ處ガ抗辯デ宜シイト云フコトニナリマシタ
本條ハ原案ニ決ス
第千八十條朗讀ス
第千八十條 義務消滅ノ原因ニ基キタル抗辯ニ付キ有リタル判決ハ左ノ區別ニ從フニ非サレハ訴訟ニ興カラサリシ債權者ニ對シテ其効ナシ
第一 第千七十八條ニ定メタル條件ニ從ヒ債權者ノ一人ニ爲シタル辨濟ハ全部ニ付キ總債權者ニ之ヲ以テ對抗スルコトヲ得又第五百四十三條第三項ニ記載シタル如ク債務者ノ取得シタル相殺ニ付テモ亦仝シ但相殺ノ原因カ第千七十八條ニ從ヒ債務者ヨリ其債權者ニ有効ニ辨濟スルコトヲ得ヘキ時期ニ於テ生シタルトキニ限ル
第二 債權者ノ一人ノ行爲ヨリ生スル更改、免除及ヒ混同ハ第五百二十三條第三項第五百三十七條第一項及ヒ第五百五十七條第二項ニ從ヒ其債權者ノ部分ニ非サレハ債務ヲ消滅セシメス但右ノ行爲ハ他ノ債權者ノ訴追又ハ要求ノ前ニ在リシコトヲ要ス
又右同一ノ行爲ニ關シ及ヒ辨濟又ハ相殺ニ關スル裁判外ノ宣誓又ハ其拒絕及ヒ和解ニ付テモ亦同シ
本條ハ原案ニ決ス
第千八十一條朗讀ス
第千八十一條 債權者中ノ一人ノ一身ニ限ル債務者ノ抗辯ニ付キ有リタル判決ハ他ノ債權者ヲ害セス又之ヲ利セス又債權者ノ一人カ其連帶ニ於ケルノ權利ニ付債務者ト爲シタル宣誓又ハ其拒絕及ヒ和解ニ付テモ亦同シ
本條ハ原案ニ決ス
第千八十二條朗讀ス
第千八十二條 債務者ノ一人カ債務者ニ對シテ時効ヲ中斷シ又ハ其債務者ヲ遲滯ニ付スルノ行爲ハ全部ニ付キ他ノ債權者ヲ利ス
債權者ノ一人ノ利益ニ於テ法律ノ設定シタル時効ノ停止ハ債權ニ於ケル其部分ニ限リ其一人ノミヲ利ス
本條ハ原案ニ決ス
第千八十三條朗讀ス
第千八十三條 連帶債權者ノ一人カ數人ノ相續人ヲ遺シテ死亡シタルトキハ債權ノ分別及ヒ前ニ指示シタル行爲ノ効力分別ハ第千六十二條ニ記載シタル如ク受方連帶ニ於ケルト同一ノ方法ヲ以テ働方ニテ成ル
(松岡)
之ハ昨日ノ處ト同ジ處ダ
(南部)
「若シ」ト云フ字ヲ入レマシヨウ
(村田)
効力ノ分別ト云フ分別ハ入ランダロウ
(栗塚)
之ハ無クモ宜シウ御座イマスガ分別ヲ削リマス
本條冒頭ニ「若シ」ノ二字ヲ加ヘ「効力ノ分別」トアルヲ「効力」ト改ム
第千八十四條朗讀ス
第千八十四條 義務ノ全部又ハ一分ノ履行ヲ得タル連帶債權者ハ他ノ債權者ノ特別ノ關係及ヒ其相互ノ部分ニ從ヒ之ヲ其利益ヲ分ツコトヲ要ス
本條ハ原案ニ決ス
第千八十五條朗讀ス
第三款 債權者間ノ連帶ノ終了
第千八十五條 債權者間ノ連帶ハ抛棄ニ因テ止ム其抛棄ハ明示ニ非サレハ之ヲ爲シ得ス
本條ハ原案ニ決ス
第千八十六條朗讀ス
第千八十六條 連帶ノ抛棄ハ債權者ノ一人若クハ數人又ハ其總員ヨリ之ヲ爲スコトヲ得
總債權者ノ働方連帶ノ抛棄ハ第千七十一條ニ規定シタル如ク受方連帶ノ抛棄カ共同債務者ニ對シテ生セシムルト同一ノ効力ヲ其債權者間ニ生セシム
若シ債權者ノ一人又ハ數人ノミカ抛棄ヲ爲シタルトキハ他ノ債權者ハ右抛棄ヲ爲シタル者ノ部分ニ付テノミ訴ヲ爲シ又ハ辨濟ヲ受クルノ權利ヲ失フ
本條ハ原案ニ決ス
第千八十七條朗讀ス
第千八十七條 連帶ノ抛棄ハ債務者ノ承諾ナクシテ有効ナリ
然レトモ其抛棄ハ之ヲ債務者ニ吿知セシカ又ハ債務者明確ニ之ヲ知リタルトキニ非レハ前ノ規定ヲ以テ債務者ニ許シタル辨濟其他ノ行爲ニ對シテ債權者ヨリ之ヲ申立ルコトヲ得ス
債務者ハ抛棄ヲ申立ルノ利益アルトキハ之ヲ申立ルコトヲ得又抛棄カ其權利ノ詐害ニ於テ爲サレタルトキハ之ヲ駁撃スルコトヲ得
(松岡)
駁撃ト云フ字ハ珍シイカラ攻撃トシテハドウダ
(栗塚)
字ガ違ヒマスカラ
(村田)
前ノ規定ト云フノハ前數條ノ規定ダロウ
(南部)
上ノ規定デモ前記ノ規定デモ宜シイ
(栗塚)
前記ノ規定ト致シマシヨウ
本條ハ「前ノ規定」トアルヲ「前記ノ規定」ト改ム
第千八十八條朗讀ス
第三章 任意ノ不可分
第千八十八條 債務ハ第四百六十二條及ヒ第四百六十三條ニ規定シタル不可分ノ外尙ホ數人ノ債務者ノ負擔又ハ數人ノ債權者ノ利益ニ於テ不可分タルコトヲ得但第四百六十四條ニ指示シタル如ク債務履行ノ擔保トシテ受方又ハ働方ノ連帶ニ併合シ又ハ併合セサルコト有リ
此不可分ハ合意又ハ遺言ヲ以テ之ヲ設定スルコトヲ得之ヲ任意ノ不可分ト謂フ
任意ノ不可分ハ明示タルコトヲ要ス
(松岡)
之ハ大變換ツタ樣ダ
(南部)
之ハ義務ノ目的物ト云フノハ註デス
(栗塚)
ソレヲ皆止メテ四百六十二條四百六十三條ニ規定シタルデ分テヤル積リデス
(村田)
但シト云フコトハ聞カン樣ダ併行スルコトアリト云ヘバ併行セザルコトアリダロウ
(松岡)
連合ヲ併合ト直シタノカ
(南部)
前ニ併行ニテトナリマス
本條ハ原案ニ決ス
第千八十九條朗讀ス
第千八十九條 債務者ノ負擔又ハ債權者ノ利益ニ於テ任意ノ不可分ヲ設定シタルトキハ之ト同一ナル性質ノ連帶ヲ暗ニ設定シタルモノト看做ス但反對ノ約定アルトキハ此限ニ在ラス
(松岡)
不可分ガ出來レバ先ヅ連帶ハ付イテ居ルモノダ
(栗塚)
左樣デス
(村田)
約定ト云フコトハ云ヘン
(栗塚)
合意アルトキハト致シマシヨウ
(渡)
合意トシヨウ
(南部)
約定デ宜シイ
(淸岡)
合意ニシヨウ
本條ハ「約定」ヲ「合意」ト改ム
第千九十條朗讀ス
第千九十條 債務者ノ負擔ニ於テ設定シタル不可分ハ同時ニ働方タル可キコトノ明示アルニ非サレハ債權者ノ利益ニ於テ存立セス
又債權者ノ利益ニ於テ設定シタル不可分ハ同時ニ受方タル可キコトノ明示アルニ非サレハ債務者ノ負擔ニ於テ存立セス
本條ハ原案ニ決ス
第千九十一條朗讀ス
第千九十一條 受方ナルト働方ナルトヲ問ハス任意ノ不可分ヲ設定シタルトキハ受方又ハ働方ノ連帶ヲ明示ニテ阻却セサル場合ニ限リ債務者又ハ債權者ノ間ニ此連帶ノ効力ヲ生セシム
其他債務者又ハ債權者ノ一人カ數人ノ相續人ヲ遺シテ死亡シタルトキハ債務者ノ各相續人ハ全部履行ノ要求ヲ受ケ又債權者ノ各相續人ハ全部履行ノ要求ヲ爲スコトヲ得但其各自ノ間ニ於テ連帶ナシ
本條ハ原案ニ決ス
第千九十二條朗讀ス
第千九十二條 債務者ノ一人又ハ債務者ノ相續人ノ一人ニ對シテ時効ヲ中斷スル原因ハ總債務ニ付キ他ノ債務者又ハ相續人ニ對シテ中斷ヲ生ス
又債權者ノ一人又ハ債權者ノ相續人ノ一人ノ權利ヨリ生スル時効ノ中斷又ハ其停止ノ原因ハ他ノ債權者又ハ相續人ヲ利ス
(元尾崎)
相續人ト云フコトガ澤山アル
(栗塚)
不可分ト云フノハ相續人ノ場合デス殆ンド其レヨリ外ニ御座イマセン
本條ハ原案ニ決ス
第千九十三條朗讀ス
第千九十三條 相續人ノ一人ノ付遲滯及ヒ過愆ハ他ノ相續人ヲ害セス
相續人ノ一人ニ不利ナル旣判力、自白及ヒ裁判外ノ宣誓ニ付テモ亦同シ
(村田)
過愆ハ過失デスネ
(栗塚)
過失デ御座イマス
本條ハ「過愆」ヲ「過失」ト改ム
第千九十四條朗讀ス
第千九十四條 債權カ受方又ハ働方ニテ同時ニ連帶及ヒ不可分ナルトキハ第五百三十二條及ヒ第千八十五條ニ記載シタル區別ニ從ヒ明示ナルト默示ナルトヲ問ハス連帶ノ抛棄ハ亦任意不可分ノ抛棄ヲ惹起ス
右二個ノ擔保ノ共ニ存スル場合ニ於テ不可分ノ抛棄ハ連帶ヲ存立セシム
本條ハ原案ニ決ス
第千九十五條朗讀ス
第千九十五條 第四百六十五條乃至第四百七十條、第五百二十三條第四項、第五百二十八條第三項、第五百三十一條第一項、第五百三十五條、第五百三十七條第二項、第五百四十三條第四項、第五百五十八條及ヒ第五百五十九條第二項ノ規定ハ任意ノ不可分ニ適用スルコトヲ得ヘキトキハ之ヲ適用ス
債權者カ不可分ニテ義務ヲ負フタル債務者ノ代位ニ得ルコト有ル可キ擔保ヲ滅失セシメ又ハ減少セシメタルトキハ其債務者ハ債權者ニ對シ第千七十三條ノ免責ヲ申立ルコトヲ得
本條ハ原案ニ決ス
第千九十六條朗讀ス
第二部 物上擔保
第一章 留置權
第千九十六條 留置權ハ本法財產編及ヒ取得編ニ於テ特別ニ之ヲ規定シタル場合ノ外債權者カ旣ニ正當ノ原因ニ由リ其債務者カ其物ノ讓渡ニ因リ或ハ其物ノ保存ノ費用ニ因リ或ハ其物ヨリ生シタル損害賠償ニ因リ其物ニ關シ且其占有ニ連繋シテ生シタルトキハ其占有シタル物ニ付キ債權者ニ屬ス
委任ナクシテ他人ノ事務ヲ管理シタル者ハ必要ノ費用及ヒ保持ノ費用ノ爲メニ非サレハ其管理シタル物ニ付キ留置權ヲ享有セス
(元尾崎)
故ナクシテ他人ノ物ヲ管理シテ留置權ヲ持ツテハ來マイ
(松岡)
留置權ハ債權者ニ屬スト云フノダ
(村田)
享有セズハ有セズデ宜シイノダ
(松岡)
有セズデ宜シイ
(元尾崎)
連繋シテト云フノハ
(村田)
占有ニ付イテ行タ
(栗塚)
訴訟法デ牽連スルトカ云フテ居ルソウデ御座イマス
本條ハ「享有セス」ヲ「有セス」ト改ム
第千九十七條朗讀ス
第千九十七條 債權者カ留置スルノ權ヲ有シタル物ノ一分ノミヲ留置シタルトキ其部分ハ總債務ヲ擔保スルニ足ルニ於テハ之ヲ擔保ス
此ニ反シテ債權者又ハ其相續人ハ債務者又ハ其相續人ヨリ一分ノ辨濟ヲ受取タリト雖モ全部ノ辨濟ヲ受取ルニ至ルマテ留置權ニ服シタル總テノ物ヲ留置スルコトヲ得
本條ハ原案ニ決ス
第千九十八條朗讀ス
第千九十八條 留置權ハ留置物ノ價額ニ付キ債權者ニ先取特權ヲ與ヘス
然レトモ留置物ヨリ天然又ハ法定ノ果實又ハ產出物ノ生スルトキハ留置權者ハ他ノ債權者ニ先タチテ之ヲ收取スルコトヲ得但其果實又ハ產出物ハ其債權ノ利息ニ充當シ猶ホ餘分アルトキハ元本ニ充當スルコトヲ要ス
留置權者ハ其收取スルコトヲ怠リタル果實及ヒ產出物ニ付キ其責ニ任ス
(村田)
一項ノ債權者ニハトアルハ留置權者ノ方ガ良クハナイカ
(栗塚)
先キヘ行ケバ留置權者ト云ヘマスガ未ダ留置權者トハ云ヘマスマイ
(元尾崎)
之ハ先取特權ガアル樣ニ思フガドウ云フモノダロウ
(松岡)
先取ハ賣拂ツタ金ヲ取ル留置ハ品物ヲ押ヘテ居ルソレ丈ケガ違ウ
(元尾崎)
松岡サンノ馬ヲ預ツテ留置權ヲ以テ居ル然ルニ金ヲ持ツテ來ナイト何時迄モ馬ニ喰ハシテ置カナケレバナランノハ困ル
(村田)
先取權ハ物デ取ルコトハ出來ナイ公賣シテ金デ取ラナケレバナリマセン
(栗塚)
申立ツルノ「ツ」ノ字ガ拔ケテ居リマスソレカラ因リテノ「リ」ガ拔ケテ居リマス
本條ハ原案ニ決ス
第千九十九條朗讀ス
第千九十九條 留置權ハ債務者カ留置物ヲ讓渡シ又他ノ債權者カ之ヲ差押ヘ及ヒ賣却セシムルノ妨ト爲ラス
然レトモ孰レノ場合ニ於テモ取得者ハ留置權者ニ全ク辨濟セスシテ其物ヲ占有スルコトヲ得ス
本條ハ原案ニ決ス
第千百條朗讀ス
第千百條 右ノ外動產又ハ不動產ノ留置權者ハ次ノ二章ニ規定シタル如ク動產又ハ不動產ノ質取主ト同一ノ責任ニ從フ
其他動產質及ヒ不動產質ニ關スル規定ハ此章ノ規定ニ觸レサル限リハ諸項ニ付キ留置權ヲ行フコトヲ怠リ又ハ實際之ヲ行フコトヲ止メタルトキハ其留置權ヲ失フ
(栗塚)
質取主ハ質取債權者トナリマス
(南部)
二項ノ「諸項ニ付キ」ハナイネ
(栗塚)
之ハナイノデ御座イマス
(淸岡)
總テ質取主トシタデハナイカ
(栗塚)
第三者ガ質物ヲ出スコトガアルソレト具合ガ惡ルクナリマスカラ質取債權者ト直シマス
本條第一項「質取主」ヲ「質取債權者」ト改ム
第二項「諸項ニ付キ」ノ五字ヲ削ル
第千百一條朗讀ス
第二章 動產質
第一節 動產質契約ノ性質及ヒ組成
第千百一條 動產質ハ債務者カ一箇又ハ數箇ノ動產ヲ特ニ其義務ノ擔保ニ充ツル契約ナリ
本條ハ原案ニ決ス
第千百二條朗讀ス
第千百二條 動產質契約ハ債務者ノ委任ヲ受ケ又ハ好意ニテ債務者ノ爲メ擔保ヲ供スル第三者ト債權者トノ間ニモ亦之ヲ爲スコトヲ得
孰レノ場合ニ於テモ動產質ヲ供シタル第三者ハ第千三十條及ヒ第千三十一條ニ從ヒ保證人ノ如ク債務者ニ對シテ求償權ヲ有ス
本條ハ原案ニ決ス
第千百三條(削除)
第千百四條朗讀ス
第千百四條 動產質ハ其物ヲ處分スルノ能力ヲ有スル者ニ非サレハ有効ニ之ヲ供スルコトヲ得ス
合意上、法律上及ヒ裁判上ノ代理人及ヒ管理者ニ付テモ亦同シ是等ノ者ハ其權限ヲ踰エサルコトヲ要ス
若シ債務ニ關係ナキ第三者ヨリ動產質ヲ供シタルトキハ其第三者ハ第千十二條ニ記載シタル如ク無償名義ニテ物ヲ處分スルノ能力ヲ有スルコトヲ要ス
(村田)
千十二條ノ合意上法律上裁判上ト云フ處デ代理人ヲ削ツテアル
(栗塚)
代理人トシテモ管理者トシテモ宜シウ御座イマス
(南部)
代理人及ビヲ削リマス
本條第二項「代理人及ヒ」ヲ削ル
于時正午休憩
午後零時五十分開會
第千百五條朗讀ス
第千百五條 動產質權ハ確定ノ日附ヲ有シ且債權及ヒ質物ヲ明ニ指定セル證書ヲ錄製シタルニ非サレハ同一ノ物ニ付キ債務者ト約定シタル第三者又ハ他ノ債權者ニ之ヲ以テ對抗スルコトヲ得ス
右質物ハ之ヲ他物ニ易フルコトヲ得サル權詳細ニ記載シ且要用アルトキハ之ヲ評價スルコトヲ要ス
若シ質物カ定量物ナルトキハ其種類數量共度ヲ以テ之ヲ指定スルコトヲ要ス
(元尾崎)
質物ヲ取ラズニ書付デ取ツテ置クノデスカ
(南部)
ソウデハアリマセン
(栗塚)
自分ニ取ツテ置カナケレバイケマセン
(松岡)
動產ノ質物ノ確定日附ヲ有シ云々證書ヲ持ツテ居ルノハ六ケ敷イコトデアルカラ各國ノ法律ヲ調ベヨウト云フコトニナツテ居ル
(栗塚)
何ヲ以テ確定日附ト云フカ公證人ノ所ヘ行ツテ書クノハ大變デハナイカ此所デハ登記シテ置ク丈ケデ宜シイカト云フ論ガアツタノデ御座イマス
(松岡)
「ムーロン」ハ詐欺ヲ防グト云フテアリマス
(村田)
併シ公證人ノ面前デナケレバ確定日附デナイ
(栗塚)
ソウ云フコトハナイ
(松岡)
一々確定日附ガナケレバ質ニナラント云フト果シテソレガ宜シイカ恐ラク六ケ敷ト云フ理論デハナイカト思フ
(栗塚)
確カナイ日附ヲ有シト云フテ置ケバ宜シイノデ御座イマス
(南部)
若シ論ガアレバ證據篇ノ確定迄御待チヲ願ヒマス
(松岡)
佛蘭西デ云フノハ公ケノ證書ハ勿論私ノ證書デモ稅ヲ納メテ日附ヲ確カメルト云フノダ然ルニ詐欺ガ起ルト云フハ契約ノ方カラ云フノデナクシテ收稅ノ方カラ起ツタノダ
(栗塚)
官ノ保護ヲ請ウ者ガ他日裁判所ヘ來ルカラ稅ヲ拂ヘト云フコトカラ來テ居ルノデス
(松岡)
保護ヲ請ヒニ來タモノガ口デ契約シタモノデモ保護ヲ請ヒニ來ラレル收稅ガ目的ニ違ヒナイ良シ理窟ガアツテモ動產ノ質物ヲ取ル爲メニ公正證書又ハ私ノ證書ヲ登記役所ニ持ツテ行クト云フコトハ出來マセン
(南部)
證據篇迄待ツテ
(松岡)
各國ノヲ調ベテ貰ウ積リデアツタ
(栗塚)
ソレハ忘レテ居リマシタ
本條ハ證據篇確定日附ノ議決迄未定トス
第千百六條朗讀ス
第千百六條 法律ニ從ヒ證人ニ依リテ債權ヲ證スルコトヲ得ル場合ニ於テハ證書ノ錄製ヲ要セス此場合ニ於テハ債權ノ額及ヒ質物ノ相違ナキコト、其性質、價額ヲ或ハ併合シ或ハ各別ニ人證ヲ以テ證スルコトヲ得
本條ハ原按ニ決ス
第千百七條朗讀ス
第千百七條 動產質ハ質取債權者カ有體ナル質物ヲ現實ニ且繼續シテ占有スルニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニモ他ノ債權者ニモ對抗スルコトヲ得ス
然レトモ質物ハ當事者雙方カ選定シ又ハ債權者カ自己ノ責任ヲ以テ選定シタル第三者ノ手ニ之ヲ寄託スルコトヲ得
此規定ハ無記名證券ニモ之ヲ適用ス
本條ハ原按ニ決ス
第千百八條朗讀ス
第千百八條 質物カ債權ノ記名證券タルトキハ質取債權者ハ其證券ヲ占有スルコトヲ要ス
其他記名證券ノ質ノ設定ハ債權ノ讓渡ヲ吿知スル通常ノ方式ヲ以テ第三債務者ニ其設定ヲ吿知シ又ハ其第三債務者カ任意ニテ之ニ參加スルコトヲ要ス
此他第三百六十七條ノ規定ハ右ノ場合ニ之ヲ適用ス
右ハ總テ裏書ヲ以テ取引ス可キ商證券又ハ商品ノ質ニ關シ商法ニ記載シタルモノヲ妨ケス
(村田)
記名債權ハ證券ガ宜シイ
(元尾崎)
證券ガ宜シイ
(栗塚)
初メニ手形ト云フコトヲ云フテ債權ヲ生ズルノハ記名債權デ御座イマス
(松岡)
債權ニ記名ト云フモノガアル筈ガナイ
(南部)
議場デ記名債權ト變ヘタノダ
(栗塚)
「質物カ債權ノ記名證券タルトキハ」トシテハ如何デス
(松岡)
「債權ヲ質物ニスルトキハ」トスレバ宜シイ
(栗塚)
記名デナケレバ證券ヲ占有スルニ及バンコトニナリマス
(松岡)
債權人權利ダカラ其處ニ記名無記名トハ云ヘンダロウ質物ガ債權タルトキハ其債權ヲ占有スルト云ヘバ宜シイ
(栗塚)
債權ノ無記名證券債權ノ記名證券トシタイノデ御座イマス
(南部)
ソレガ宜シイ
(松岡)
全髄記名無記名ヲ云フノガ惡ルイ
(南部)
債權ノ記名證券ナルトキハデ宜シイ
(淸岡)
質物ガ記名證券ノ債權タルトキハ
(栗塚)
ソレガ宜シイ
(元尾崎)
今公債證書ヲ質ニ置イテ金ヲ借リル然ルニ公債證書ノ債務者ハ政府デアルカラ政府ニ吿知シナケレバナラン
(南部)
吿知シナケレバ政府ニ對シテ効ガナイ
(元尾崎)
外ノモノニ對シテハ効ガアルカ
(南部)
アリマス
(元尾崎)
質ニ置イテモ吿知シナケレバ効ガナイト云フノハ困ル
(南部)
總テ證書ノ讓渡ハ皆第三債務者ニ吿知スルコトニナツテ居ル
(松岡)
公債證書デモ其筋ヘ屆ケテ置カナケレバ政府カラ利子ヲ拂ウニ誰レニ拂ウ當リ前ノ貸金證書トナルカラ元トノ借主ニ通知シナケレバナラン
(元尾崎)
何ノ爲メニ吿知スルダロウ
(栗塚)
吿知シナケレバ利息ガ取レナイ
(元尾崎)
金ヲ貸シテ公債證書ヲ質ニ取ツテ政府ヘ吿知シナケレバ効ガナイト云フノハ困ル
(大尾崎)
公債證書ト見ナイデ貸金證書ト見レバ宜シイ
(栗塚)
公債證書ニ之ニ反對ノ規則ガアレバ仕方ガナイ
(村田)
記名證券ナルトキハデ宜シイ
(元尾崎)
債權ノ記名證券タルトキハト致シマシヨウ
(村田)
其他ト此他ト區別ガアリマスカ一項ニハ其他トアツテ二項ニハ此他トアル
(槇村)
二項ノ此他ヲ削ロウ
(栗塚)
尙ホ第三百六十七條ノ規定ハト致シマシヨウカ
本條第一項「質物カ記名債權タルトキハ」トアルヲ「質物カ債權ノ記名證券タルトキハ」ト改ム
第千百九條朗讀ス
第千百九條 會社ノ記名ノ株券又ハ債券ヲ質ト爲ストキハ證券交付ノ外會社定款又ハ法律ニ於テ株券又ハ債券ノ讓渡ノ爲メニ定メタル方式ヲ以テ之ヲ會社ニ吿知シ其帳簿ニ之ヲ記入スルコトヲ要ス
(村田)
記名ノ株券ハ無カロウ
(松岡)
アルソウダ
(南部)
株券ハ商法ニ讓ツタカラ之ハ削ラナケレバナラン
(元尾崎)
之ハ削ルニハ及バン
(松岡)
商法ニ讓ツテアル
(淸岡)
ソンナラ證券モ商法ニ讓レバ宜シイ
(松岡)
記名證券ハ約定證文モアル
(栗塚)
株式會社ノコトヲ云フノデハアリマセン株式ヲ質ニ置クコトガ出來ル出來ント云フコトヲ云フノデス
(南部)
株式ハ商法デ支配スルデハナイカ
(栗塚)
動產ノ中ニモ總テノ商品ガ這入ツテ居リマス
(南部)
原則ハ適用ガ出來マシヨウ商品ノ質入商法デヤル株式會社ハ商法デ支配スルニ株券バカリ民法デ支配スルト云フコトハナイ
(松岡)
株券ハ商部類ノモノデ民法ノ中ノモノデナイ
(元尾崎)
株式會社ヲ立テル手續ト株券ノ手續トハ丸ルデ違フ
(村田)
ソンナコトヲ云ヘバ銀行ノ株券モ商法ニナルダロウ
(南部)
株式ハ民法デ支配スルコトヲ原則デ書イタカラ之ガ這入ツテ居ルガソレヲ削レバ勢ヒ之ヲ削ラナケレバナラン
(大尾崎)
郵船會社ノ株ヲ質ニ入レテ金ヲ借リルニ商法ニ依ラナケレバナラント云フコトハナイ
(南部)
ソレハ商法ダ程ニ千百十條ハ權利ガ民事會社又ハ商事會社ニ在ツテ常ニ記名ノ株券若クハ債券タル場合ヲ揭グトアリマス其株券ガ民事會社ニアリト云フカラ之ガ這入ツテ居ル株券ハ悉ク商法デ支配スルト云ヘバ商法ニナル商法ノ會社ヘ行ツテ吿知シテ商法ニ帳簿ニ書イテアル其帳簿ハ商法ノ帳簿デアル商法デナイノニ商法ノ帳簿ニ書クノハドウ云フノデス
(栗塚)
ソレハ商法ノ帳簿ニ書イテモ宜シウ御座イマシヨウ
(松岡)
人間ヲ商法ニ讓ツテ質丈ケヲ此處デ支配スルト云フノハ分ラン
(栗塚)
支配スルノデナイ
(松岡)
其會社ハ何處ニアル
(栗塚)
商法ニアリマス
(松岡)
ソレダカラ商法ニ入レバ宜シイ
(南部)
讓渡ハ商法デヤツテ質ハ民法デヤリマスカ
(元尾崎)
讓渡モ之レデヤリマス
(松岡)
鐵道會社抔ヲ今迄ノ腦頭デ文字上リモノナリト考ヘテ居ルノハ考先生ノ誤リダ以來ハ民事上デナイ商法上ニ這入ツテ仕舞ウノダ是レデ株券會社ガ商法中ニ這入ツテ居ル其株券ヲ質ニ入レルノニ會社ノ定款中方式ニ從ヘト云フソレハ云ハンデ分ツテ居ル
(槇村)
讓渡ハ會社ノ法ニ依リ質ニ取ツタトキハ之ニ依ル
(南部)
株式會社ノ株券ノ讓渡ハ商法ニ從ツテ之ハ用ヒマセンカ
(村田)
用ヒマセン
(南部)
ソウスルトドウシテ商法ノ株式會社ト云ヘマスカ
(栗塚)
株式會社ト云ツテモ民法デ支配シナイデ商法デ支配スル
(南部)
商法ニハ商事會社ト書イテアル
(栗塚)
商事會社ト看做シテ商法デ支配スルト云フ丈ケデ商法ノ規定ニ從ツテ會社ノ組織ヲスルゾヨ
(南部)
株式會社ハ商事會社ト云フコトヲ知ツテ居ラナケレバナラン
(村田)
ソレハ知ツテ居ル
(南部)
讓渡ノ爲メ這入タル方式ハ何處ニアリマスカ
(栗塚)
ソレハ商法ニアリマス
(南部)
讓渡ヲ商法デ支配シテ何ゼ質ハ民法デシマスカ
(元尾崎)
原按贊成
(大尾崎)
原按贊成
(槇村)
原按贊成
(栗塚)
皆質ニ置ケルモノヲ列擧シテ來テ株券ハ會社ノ定款デ商法デ定メタモノニ從ウ
(南部)
ソレナラ宜シイ
本條ハ原案ニ決ス
第千百十條朗讀ス
第千百十條 動產質ハ當事者ノ意思ニ從ヒ働方及ヒ受方ニテ不可分タリ但反對ナル明示ノ合意アルトキハ此限ニ在ラス
動產質ハ債務者又ハ其相續人ノ一人ヨリ債務ノ一分ヲ辨濟シタルトキト雖モ元利及ヒ費用ノ皆濟ニ至ルマテ質物ノ全部及ヒ各箇ニ於テ存立ス
債權者ノ相續人ノ一人カ自己ノ部分ノ部分ノ辨濟ヲ受ケタルトキト雖モ動產質ハ債權ニ於ケル他ノ相續人ノ部分ノ爲メ其相續人ノ擔保トシテ全部ニ於テ存立ス
本條ハ原案ニ決ス
第千百十一條朗讀ス
第二節 動產質契約ノ効力
第千百十一條 質取債權者ハ質物ヲ返還スルマテ其監守及ヒ保存ニ付キ善良ナル管理者ノ注意ヲ加フルノ責アリ
質取債權者ハ債務者ノ許諾ヲ受ケスシテ質物ヲ賃貸スルコトヲ得ス又債務者ノ許諾ヲ受ケタルトキ又ハ物ノ使用カ其保存ニ必要ナルトキニ非サレハ自ラ之ヲ使用スルコトヲモ得ス
若シ質取債權者カ質物ヲ濫用スルトキハ其失權ノ宣吿ヲ受クルコト有リ
本條ハ原案ニ決ス
第千百十二條朗讀ス
第千百十二條 質取債權者ハ自己ノ責任ヲ以テ質物ヲ自己ノ債權者ニ轉質ト爲スコトヲ得此場合ニ於テハ轉質ヲ爲サヽレハ生セサル可キ意外又ハ不可抗ノ危險ニ付テモ亦其責ニ任ス
本條ハ原案ニ決ス
第千百十三條朗讀ス
第千百十三條 質物カ果實又ハ產出物ヲ生スルトキハ質取債權者ハ之ニ關シ留置權者ノ爲メ第千九十八條第二項ニ定メタル權利及ヒ義務アリ
質ト爲シタル債權ニ關シテハ質取債權者ハ其利息ヲ收取シ之ヲ自己ノ債權ニ充當ス然レトモ債務者ノ特別ナル委任ヲ受ケスシテ其元本ヲ受取ルコトヲ得ス但裏書ヲ以テ取引ス可キ證券ニ關スルトキハ此限ニ在ラス
本條ハ原案ニ決ス
第千百十四條朗讀ス
第千百十四條 質取債權者カ質物保存ノ爲メ必要ノ出費ヲ爲シタルトキハ其辨償ハ此債權者ノ爲メ其債權ニ先チ動產質ヲ以テ之ヲ擔保ス
質物ノ隱潛ノ瑕疵ニ因リ債權者ノ受ケタル損害ノ賠償ニ付テモ亦同シ
本條ハ原按ニ決ス
第千百十五條朗讀ス
第千百十五條 質取債權者ハ動產質ノ附キタル主從ノ債務及ヒ前條ニ從ヒ受取ル可キ金額ノ皆濟ニ至ルマテ債務者及ヒ其讓受人ニ對シ質物ノ占有ヲ留置スルコトヲ得
右債權者ハ其債權ノ滿期ニ至ラサル間ハ債務者ノ他ノ債權者ヨリ爲ス質物ノ差押及ヒ其競賣ニ對抗スルコトヲ得
(槇村)
右ト云フ字ハ削ツタノダロウ
(栗塚)
ナイノデ御座イマス
本條第二項「右」ノ一字ヲ削ル
第千百十六條朗讀ス
第千百十六條 動產質ノ附キタル債務カ滿期ト爲リタルトキハ債務者履行ヲ爲サヽルニ於テハ質取債權者又ハ其他ノ債權者ヨリ質取債權者ハ他ノ債權者ヨリ質物ノ競賣ヲ求ムルコトヲ得質取債權者ハ他ノ債權者ニ先タチ元利、費用及ヒ第千百十四條ニ揭ケタル賠償金ノ辨濟ヲ受ク
(槇村)
「トキハ」ノ「ハ」ノ字ハ削ツテアリマスカ
(栗塚)
左樣デス
本條「トキハ」ノ「ハ」ノ字ヲ削ル
第千百十七條朗讀ス
第千百十七條 他ノ債權者ヨリ競賣ヲ求メス又ハ之ヲ實行スルコトヲ得サルトキ質取債權者ハ質物ヲ己レノ有ト爲サントスルコトニ付キ債務者ト一致セサルニ於テハ鑑定人ノ評價シタル價額ニ滿ツルマテ質物ヲ辨濟ニ充ツ可キコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但其請求書ヲ債務者ニ豫メ提示スルコトヲ要ス
質物ノ價額カ債務ヲ超ユル場合ニ於テハ質取債權者ハ債務者ニ其超過額ヲ辨償スルコトヲ要ス
本條ハ原按ニ決ス
第千百十八條朗讀ス
第千百十八條 總テ動產質契約ノ約款又ハ債務滿期前ノ合意ニシテ債權者ニ其債權ノ全部又ハ一分ニ付キ辨濟ノ爲メ裁判上ノ評價ナクシテ流質ヲ許スモノハ當然無効タリ
本條ノ禁止ヲ犯ス爲メ債務者カ債權者ニ爲シタル受戾約款附ノ賣買其他ノ合意ハ之ヲ無効ト宣吿スルコトヲ得
本條ニ定メタル無効ハ質取債權者ヨリ之ヲ申立ツルコトヲ得スシテ債務者又ハ其承繼人ノミ之ヲ申立ツルコトヲ得
(元尾崎)
流質ハナランカ質屋ハ皆之レダロウ
(栗塚)
質屋ハ特別規則ニ依ルト云フ御議定デ御座イマス
本條ハ原案ニ決ス
第千百十九條朗讀ス
第千百十九條 質物カ質取債權者ノ方ニ存スル事實ノミニテハ其債務ノ免責時効ノ成就ヲ停止セス
(南部)
之ハ未定ダ
(村田)
吾國ノ例ヲ調ベルトアル
(栗塚)
之ハ起案者ニ質問中デ御座イマス
本條ハ起案者ニ質問中ニ付キ未定ニ決ス
第千百二十條朗讀ス
第千百二十條 質物ノ占有ハ常ニ容假ノ占有ニシテ其占有ノ繼續期ノ如何ニ拘ハラス又債務カ辨濟又ハ其他ノ方法ニテ消滅シタル後ト雖モ質取債權者ハ得取時効ヲ申立ツルコトヲ得ス
然レトモ第百九十七條ニ定メタル二箇ノ場合ニ於テハ容假タルコトハ止ム
本條ハ原案ニ決ス
于時午後二時五分閉會