法律取調委員会 民法草案議事筆記 第69回
参考原資料
- 法律取調委員会 民法草案財產取得編議事筆記 , 自 第六十六回 至 第七十一回 [国立国会図書館デジタルコレクション]
備考
- 未校正のテキストデータです.
民法草案債權擔保篇第六十九回議事筆記
自第千三條至第千十五條
明治二十三年七月九日午前第八時四十五分開會
第千一條朗讀ス
第四編 債權卽チ人權ノ抵保卽チ擔保
前置條例
第千一條 法律ノ條例又ハ人ノ處分ニ因リ差押フルコトヲ得スト定メタル物ヲ除キ債務者ノ總テノ財產ハ動產ナルト不動產ナルト現在ノモノナルト將來ノモノナルトヲ問ハス其債權者ノ共同ノ抵保ナリ〔第二千九十二條〕
差押ヘタル財產カ債務者ノ總テノ義務ヲ辨償スルニ足ラサル場合ニ於テハ其價額ハ債權ノ目的、原由、態樣又ハ相互ノ日附如何ニ拘ハラス其債權額ノ割合ニ應シテ諸種ノ債權者ニ之ヲ付與ス伹其債權者ノ間ニ優先ノ正當ナル原由アルトキハ此限ニ在ラス〔第二千九十三條〕
財產ノ差押竝ニ賣買及ヒ順序ニ因レル代價配當卽チ分配ノ方式ハ民事訴訟法ニ於テ之ヲ規定ス〔第二千二百十八條〕
(修正案) 第四編左ノ如ク改ム債權擔保編第千一條左ノ如ク改ム債務者ノ總テノ財產ハ動產ナルト不動產ナルト現在ノモノナルト將來ノモノナルトヲ問ハス其債權者ノ共同ノ擔保ヲ爲ス但法律ノ規定又ハ人ノ處分ニテ差押ヲ禁シタル物ハ此限ニ在ラス差押ヘタル財產カ債務者ノ總テノ義務ヲ辨償スルニ足ラサル場合ニ於テハ其價額ハ債權ノ目的、原由、態樣ノ如何ト日附ノ前後トニ拘ラス其債權額ノ割合ニ應シテ之ヲ各債權ニ分付ス但其債權者ノ間ニ優先ノ正當ナル原由アルトキハ此限ニ在ラス財產ノ差押、賣却、及ヒ順序又ハ分配ニ因レル代價配當ノ方式ハ民法訴訟法ヲ以テ之ヲ規定ス
(栗塚)
標題ハ「債權擔保」トナリマス
(村田)
報吿委員ガ大層修正致シマシタネ
(栗塚)
再調査ノ勞ヲ省ク爲メニヤリマシタ
(村田)
「前置條例」ハ「總則」デ良カロウ
(栗塚)
總則デ宜シウ御座イマス
(松岡)
「分付」ト云フト言ヒ付ケル樣ニナル
(村田)
「付與ス」デモ宜シイ
(元尾崎)
「分付」ハ配當スルト云フコトダロウ
(栗塚)
與ヘルノデ御座イマス
(元尾崎)
「分與」ガ良カロウ
(松岡)
「分與」トシ樣
(栗塚)
末項ハ起案者ガ間違ヘテ居リマスカラ修正致シマシタ
(松岡)
一項ノ但書ハ入ラヌ
(村田)
英文デハ順序ノ上ニ「先取リ又ハ公平ニ」ト云フコトガアリマス
(栗塚)
アリマセン、「分配」ハ「分擔」トシテハドウデシヨウ
(南部)
跡デ考ヘタラ良カロウ
本條ハ左ノ如ク決ス「前置條例」ヲ「總則」ト改メ第二項「分付」ヲ「分與」ト改メ他ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第千二條朗讀ス
第千二條 義務ノ履行ハ對人ト物上トヲ問ハス特別ナル擔保ヲ以テ之ヲ保スルコトヲ得對人ノ抵保卽チ擔保ハ左ノ如シ
第一 保證
第二 債務者又ハ債權者ノ間ノ連帶
第三 任意ノ不可分
是等ノモノハ此編第一部ノ目的タリ
物上ノ抵保卽チ擔保ハ左ノ如シ
第一 留置權
第二 動產質權
第三 不動產質權
第四 先取特權
第五 抵當權
是等ノモノハ此編第二部ノ目的タリ
(修正案) 第一項左ノ如ク改ム義務ノ履行ハ對人又ハ物上ノ特別ナル擔保ヲ以テ之ヲ保スルコトヲ得對人擔保ハ左ノ如シ第三號ノ次キ及ヒ第五號ノ次ギ「是等ノモノハ」云々ノ「行物上ノ抵保」云々ヲ「物上ノ擔保ハ左ノ如シ」ト改ム
(栗塚)
之モ修正ヲ加ヘマシタ
(松岡)
旨イ
(栗塚)
第二ハ「債權者間ノ」トヤリマシタ
(南部)
其レハ止メマシタ、其レガ無イト債權者間ト讀メマスカラ
(松岡)
其レハ「債權者間」ト讀メル刪ツテ宜シイ
(栗塚)
其レデハ私一人ノ考ヘデ御座イマシタ
(大尾崎)
債務者ノ間ト債權者ノ間ト掛ルノデシヨウ
(槇村)
債務者トシ、債權者トシト云フコトダロウ
(栗塚)
「債務者間又ハ債權者間ノ連帶」ト致シマシヨウ
(村田)
其レガ宜シイ
(槇村)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決シ尙ホ第二ヲ左ノ如ク改ム
債務者間又ハ債權者間ノ連帶
第千三條朗讀ス
第一部 對人ノ抵保卽チ擔保
第一章 保證
第千三條 保證ハ債務者ヨリ任意ニテ債權者ニ供セラル伹其法律上又ハ裁判上ニテ命セラレタル場合ハ此限ニ在ラス
此章ノ條例ハ三種ノ保證ニ共通ナリ
法律上及裁判上ノ保證ニ特別ナル規則ハ下ノ附錄ニ之ヲ記載ス
(修正案) 第一部左ノ如ク改ム對人ノ擔保第一項左ノ如ク改ム保證ハ任意ノモノ有リ法律上ノモノ有リ又裁判上ノモノ有リ第二項「條例」ヲ「規定」ト改ム第三項刪除
(元尾崎)
「第一部」ハ存シテ置キマスカ
(栗塚)
左樣デス四編ヲ一部二部ニ分ケマシタ
(南部)
此章ノ條例ハ「三種ノ保證ニ共通ナリ」ト云フコトハ要ラヌト思フ、第一章ノ冒頭ニ「保證ハ任意ノモノ有リ法律上ノモノ有リ」トアルカラ
(松岡)
要ラヌノダ、ソレカラ三ニ云フテアルカラ
(南部)
附錄ハ何ニシマス
(栗塚)
節ニシマス
(南部)
節ニスルト共通ナリトハ云ヘヌ、附錄デアルモノガ法律上裁判上バカリダカラ此章トハ云ヘヌ
(栗塚)
御尤モデス
(元尾崎)
刪テモ宜カロウ
(栗塚)
「保證ハ任意ノモノ有リ法律上ノモノ有リ又ハ裁判上ノモノ有リ」ト致シマス
(松岡)
コウシナケレバ跡ヲ附錄トシテ遺サナケレバナラヌ
(村田)
ソレダカラ此章ノ條例ハ三種ノ保證ニ共通ナリト云フコトガ云ヘルノダロウ
(南部)
此章トハ云ヘヌ
(槇村)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第一部對人ノ擔保第一章保證保證ハ任意ノモノ有リ法律上ノモノ有リ又ハ裁判上ノモノ有リ
第千四條朗讀ス
第一節 保證ノ目的及ヒ本性
第千四條 保證ハ或ル人カ第三者ノ其義務ヲ履行セサルニ於テハ之ヲ辨償スルコトヲ約スル契約ナリ此約務ハ右ノ不履行カ債務者ノ過愆ニ歸ス可キトキハ其不履行ニ付キ債權者賠償スルノ約務ヲ暗ニ包含ス〔第二千十一條〕
(修正案) 「辨償」ヲ「履行」ト改メ「右ノ不履行カ」ノ六字ヲ刪ル「債務者ノ」ノ下左ノ如ク改ム過愆ニ歸ス可キ不履行ノ場合ニ於テ債權者ニ賠償スルノ約務ヲ暗ニ包含ス
(栗塚)
之ハ讀ミ惡クイカラ修正致シマシタ「之ヲ辨償スル契約」ト云フテ後チニ「右ノ不履行カ債務者ノ過愆ニ歸ス可キトキハ」ト云フノハ穩カナラヌ、其レデ初メヲ「其義務ヲ履行セサルニ於テハ之ヲ履行スルコトヲ約スル契約」ト云ヘバ良カロウ、若シ初メノ儘デハ二樣ニ見ヘル、或ル人ガ義務ヲ履行シナカツタ其トキハ私ハ金ヲ拂ヒタル上ニ損害賠償モアレバ拂ハナケレバナラヌ樣ニ見ヘマス之ハ辨償スル義務ハ保證人ノ義務ゾヨ暗ニ包含シテ居ルモノガアル加フルニ賠償ノ責メガアルゾヨト云フ樣ニナリマスカラ「辨償」ヲ履行トスル積リデス
(元尾崎)
「賠償」ト云フ字ヲ刪ツテ仕舞ツタラ良カロウ
(栗塚)
性質履行ノ出來ヌモノガアリマス假令バ家ヲ建テルニ自分ハ大工デナイカラ建テルコトハ出來ナイ
(元尾崎)
其レハ書カズトモ分リ切ツタコトダ
(松岡)
佛蘭西法ニ於テハ保證人ノ約束ハ先ヅ債務者ガ履行セザルトキハ云々ト書イテアリマスカラ其律文ノ辭バカリデハ方法ヲ盡サナケレバナラヌ樣ダガ私ノハソウデナイ、左樣ナ疑ヒノナイ樣ニヤツタト云フテアル
(栗塚)
其處デハナイ佛蘭西トノ違ヒハ其レカラ先キニ在ル、先キト云フノハ註ガ間違ツテ居リマス
(松岡)
其レデハ直シタ方ニ從ウ
(淸岡)
「履行スル」ヨリ「辨償」ガ宜シイ
(栗塚)
保證シタラ是非履行サセマシヨウ、債務者ガ履行シナケレバ私ガ履行スルト云フテ、履行ノ出來ナイモノハ損害賠償ニスルト云フコトヲ示シテ居ルノデ御座イマス
(松岡)
其レニシテモ前段後段ノ區別ガ六ケ敷イ併シ履行ノ字ト後ヲ不履行トシタノハ少シ目標シガ付クカ知レヌ
(村田)
「履行不能」トスレバ宜シイ
(松岡)
「履行」ノ方ガ宜シイ
(栗塚)
「債務者ノ過失ニ歸スヘキ履行不能ノ場合ニ於テ」ト致シマシヨウ
(槇村)
「場合ニ於テハ」ガ宜シイ
(松岡)
保證ハ第三者ガ義務ヲ履行セザレバ彼方此方ニシタラ宜カロウ
(栗塚)
此辭ノ立テ方ハ債務者ヲ客分ニセヌト保證人ガ□デ御座イマスカラ
(松岡)
當リ前ニ云ヘバ直接ニナル人ヲ先キヘ云フガ宜シイ
(栗塚)
此處ハ保證人カラ先キヘ辭ヲ立ルガ宜シイ併シ義務ノ履行、不履行ハ債務者デナケレバ可笑シイ
(栗塚)
コウスレバ前ハ辨償デ宜シウ御座イマシヨウ
(南部)
矢張リ「履行」ガ宜シイ
(槇村)
履行ノ方ガ宜シイ
(淸岡)
代ツテ履行スルカラ辨償ニナル
(栗塚)
何レカラ云フテモ同ジコトデス
(村田)
第三者ヲ債務者トスルカ
(南部)
第三者デ宜シイソウスルト「保證人ハ」ト云ハナケレバナラヌ
(元尾崎)
之デ宜シイ
本條ハ左ノ如ク決ス
保證ハ或ル人カ第三者ノ其義務ヲ履行セサルニ於テハ之ヲ履行スルコトヲ約スル契約ナリ此約務ハ債務者ノ過失ニ歸ス可キ履行不能ノ場合ニ於テハ債權者ニ賠償スルノ約務ヲ暗ニ包含ス
第千五條朗讀ス
第千五條 保證ハ若シ主タル義務ノ目的ニ非サル目的ヲ有スルトキハ保證トシテハ無效ナリ
然レトモ保證人ハ主タル債務者ノ約シタル物又ハ所爲ノ對價ト看做シ不履行ヲ豫見シタル過怠約定ト看做シタル金額ヲ有效ニ諾約スルコトヲ得
(修正案) 第一項「若シ」ノ二字ヲ刪リ「目的ニ非サル」ヲ「目的ト異ナル」ト改ム第二項「所爲ノ對價」云々以下左ノ如ク改ム所爲ノ對價トシテ過怠金額ヲ有效ニ諾約スルコトヲ得
(元尾崎)
誰某ガ金ヲ返サヌトキハ我ノ家ヲヤルト云フノハ無效ニナルカ
(南部)
ソウデス
(元尾崎)
私ガ聞イテ居ルニ裁判所デ過怠金ヲ許サヌ、損害賠償トシテ許スト云フコトニ聞イテ居ル
(南部)
初メニソウデアツタガ後ニ變リマシタ初メ司法省カラ内達ガ出テ居リマス其後法律ガ變ツテ利息制限法ニナツテ元トガ壤レテ仕舞ヒマシタ
(元尾崎)
今ハ過怠金ガ取レマスカ
(南部)
取レマス併シ金ノ貸借デ遲延シタトキハ損害賠償ヲ利足ノ外ニヤルト云フコトハ出來ナイ
(元尾崎)
千圓ノ家ヲ向ウデ買ハナカツタトキハ五百圓ノ過怠金ヲ出スト云フコトハサセルカ
(栗塚)
サセマス
(松岡)
二項ハ註ヲ見ルト「抑モ保證人主タル債務ノ履行ヲ約束スルニ於テハ亦自カラ不履行ヨリ生スル損害賠償ヲ負擔スルモノナルカ故ニ豫メ該不履行ノ罰歟トシテ該損害賠償ノ評定額ト看做サレタル金額ヲ約スルコトヲ得ヘキヤ當然ナリ」トアル
(栗塚)
云ハズトモ不履行ノトキハ無效ト云フ位ノコトヲ約束スル人デアレバ、コウ云フコトヲ約諾スルコトガ出來ル
(松岡)
過怠ト云フノハ自己ノ過怠カ主タル債務者ノ過怠カ
(元尾崎)
其レハ債務者ノシナカツタ過怠金デス
(栗塚)
「過怠」ト譯シタノガ惡ルイノデ「制裁トシテ」ト云フコトデス
(村田)
「過怠約款」ト譯シテアル
(松岡)
前ハ宜シイガ、自分ノ不履行カラト云フコトハ主タル債務者ノ不履行カラカ、註ヲ見ルト自分ノ不履行ノ樣ニ見ヘル
(栗塚)
主タル債務者ノ不履行デス
(槇村)
取爲ノ對價ハ畫工カ繪ヲ描クコトダロウ
(栗塚)
ソウデス
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第千六條朗讀ス
第千六條 保證人ノ義務ハ主タル義務ヨリ一層大ナルコトヲ得ス又主タル義務ヨリ一層重キ條件又ハ態樣ニ服スルコトヲ得ス若シ保證人ノ負擔シタル義務カ一層大ナルトキ又ハ一層重キトキハ主タル義務ノ限度及ヒ態樣ニ之ヲ減ス〔第二千十三條〕
(修正案) 「主タル義務ヨリ」ノ七字及ビ「條件又ハ」ノ四字「負擔シタル」ノ五字ヲ刪ル
(元尾崎)
「態樣」ヲ刪ツテ「條件」ヲ遺シタ方ガ宜カロウ
(栗塚)
契約編ノ中ノ「態樣」ノ中ニハ義務モ期限モ含ンデ居ル樣ニ書イテアリマス
(槇村)
若シ保證人ノ義務ガ多イトキハト云フノカ
(栗塚)
尙ホ多クシタコトナラバデス
(槇村)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第千七條朗讀ス
第千七條 債務者カ其主タル義務ノ爲メ物上ノ抵保卽チ擔保ヲ供セサルトキハ前條ノ禁示條例ハ保證人カ其從タル義務ノ物上ノ抵保卽チ擔保ヲ供スルコトヲ妨ケス又保證人カ主タル債務者ヨリ一層嚴ナル執行方法ニ服スルコトヲモ妨ケス
保證人ハ亦自ラ「保證人ノ引受人」ト稱スル第三者ヲシテ己レヲ保證セシムルコトヲ得此引受人ニ對シテハ保證人ハ主タル債務者ノ資格ヲ有ス〔第二千十四條第二項、佛訴第百三十五條第五號〕
(修正案) 第一項「擔保ヲ供スルコトヲ妨ケス」ノ上ヲ左ノ如ク改ム債務者ヨリ其主タル義務ノ爲メ物上ノ擔保ヲ供セサルトキハ前條禁止ノ規定ハ保證人ヨリ其從タル義務ノ物上ノ擔保ヲ供スルコトヲ妨ケス第二項「自ラ保證人ノ引受人ト稱スル」ノ十三字ヲ刪リ「第三者ヲ」ノ下ニ「引受人ト」ノ四字ヲ挿入ス
(南部)
「前條禁止ノ規定ハ」ト云フノハ冒頭ヘ行キタル方ガ良クハナイカ
(栗塚)
「前條禁止ノ規定ハ債務者ヨリ」ト致シマス
(松岡)
貧乏人ガ朋友カラ物ヲ借リテ抵保ニ入レルノダロウ
(南部)
ソウデス
(松岡)
「擔保ヲ供セサルトキ」デ宜シイ
(栗塚)
其レデ宜シウ御座イマス
本條ハ左ノ如ク決ス第一項左ノ如ク改ム前條禁止ノ規定ハ債務者ヨリ其主タル義務ノ爲メ物上ノ擔保ヲ供セサルトキ保證人ヨリ其從タル義務ノ物上ノ擔保ヲ供スルコトヲ妨ケス又保證人カ主タル債務者ヨリ一層嚴ナル執行方法ニ服スルコトヲモ妨ケス第二項報吿委員ノ修正ニ決ス
第千八條朗讀ス
第千八條 金額又ハ定マリタル物ニ制限セラレタル保證ハ負擔セラレタル物ノ利息ニモ果實ニモ又其他ノ附從物ニモ及フコト無シ
然レトモ主タル義務ノ無限ノ保證ハ要約セラレタルト遲延ナルトヲ問ハス其利息及ヒ其他右債務ノ天然上、法律上又ハ合意上ノ附從物ニ及フ其保證ハ亦主タル債務者ニ對シテ爲サレタル最初ノ請求ノ費用及ヒ訴追カ保證人ニ吿知セラレタル後主タル債務者ニ對シテ爲サレタル費用ニ及フ〔第二千十六條〕
(修正案) 左ノ如ク改ム金額又ハ定マリタル物ニ制限セラレタル保證ハ其利息ニモ果實ニモ又其他ノ附從物ニモ及フコト無シ然レトモ主タル義務ノ無限ノ保證ハ要約セラレタル利息遲延ノ利息其他右債務ノ天然上法律上又ハ合意上ノ附從物ニ及フ其保證ハ亦主タル債務者ニ對シテ爲サレタル最初ノ訴ノ費用及ヒ其訴ヲ保證人ニ吿知シタル以後ノ費用ニ及フ
(松岡)
今日「金額」ハ「金」ト云フナ
(栗塚)
「定マリタル金額又ハ物」トヤリマシヨウカ
(南部)
債務者ヲ先キヘ相手取ラナケレバナラヌト云フコトハナイカラ是非出テ來ル、債務者ヲ先キヘ相手取ルカラ仕方ガナイ、其後ハ是非喚ンデ貰ハナケレバナラヌ、吿知ヲ失ツタトキハ仕樣ガナイト云フコトデス
(大尾崎)
費用ハ兩方トモ負擔スルカ
(南部)
吿知シナケレバ拂ハヌ
(松岡)
「金額又ハ定マリタル物ニ付キ制限シタル」ト云フテハ如何デス
(栗塚)
ソレデモ宜シイ
(南部)
「右ニ付キ」ト云ハンテモ宜シイ
(大尾崎)
「右ニ制限シタル」デモ宜シイ
(栗塚)
「右ニ制限シタル」デモ宜シウ御座イマス
(槇村)
「定マリタル右ニ制限シタル」ト云フノカ
(南部)
「要約ノ利息」トハ云ヘマセンカ
(栗塚)
云ヘマシヨウ
(南部)
ソレデハ「要約ノ利息」トシマシヨウ
(栗塚)
前ノ處ニハ「契約ノ利息」トアリマス
(松岡)
其方ガ宜シイ
(大尾崎)
「債務者ニ對シテ爲サレタル」ハドウデス
(南部)
彼ハ受ケテ來ルカラ良イ樣デス
(大尾崎)
「爲シタル」ト云テモ構ハヌ
(栗塚)
「債務者ニ對シテ爲シタル」デモ宜シウ御座イマス
(南部)
上ハ「爲サレタル」ニナルダロウ
(松岡)
「爲シタル」デ宜シイ、畢竟債權者ヲ上ヘ云フタ積リナノダ
(槇村)
最初ノ訴ヘト分ケテ書カナケレバナラヌ理由ハ
(栗塚)
最初ノ訴ヘニハ吿知スル暇マガアリマセン、後チノハ吿知シテ貰ハナケレバナリマセン、一旦訴狀ヲ出シタ以後ノ訴訟手續ノ費用ハデス
(槇村)
一項ノ「物ニ制限シタル」ト云フノハ
(栗塚)
家ヲ渡ソウト云フコトノ保證人デス
本條ハ左ノ如ク決ス第一項「制限セラレ」ヲ「制限シ」ト改メ第二項「要約セラレ」ヲ「契約ノ」ト改メ「爲サレ」ヲ「爲シ」ト改メ其他ハ悉ク報吿委員ノ修正ニ決ス
第千九條朗讀ス
第千九條 總テ有效ナル義務ハ保證サラルヽコトヲ得
無能力者ノ取消スコトヲ得ヘキ義務ト雖モ亦有效ニ保證セラルルコトヲ得テ其義務カ裁判上ニテ取消サレタル後ト雖モ保證ハ其效力ヲ保存ス伹保證人カ其保證ノ際債務者ノ無能力ヲ知リタルトキニ限ル〔第二千十二條〕
其他第三者ノ天然義務ノ法定保證ノ場合ハ第五百八十八條以下ニ之ヲ規定ス
(修正案) 第一項ハ「義務ハ」云々ヲ「義務ハ之ヲ保證スルコトヲ得」ト改ム第二項「亦有效ニ保證セラルルコトヲ得テ」ヲ「亦有效ニ之ヲ保證スルコトヲ得且」ト改ム
(槇村)
「且」ヨリ「又」ガ宜シイ
(村田)
「保證ノ際」ハ「保證ヲ爲スノ際」トシ樣
(松岡)
「其效力ヲ保存ス」ハ惡イ
(南部)
「效力ヲ存ス」トスルカ
(松岡)
「有效ナリ」トシテハドウダ
(元尾崎)
保證ノ際デハ可笑シイ、保證ハ何時デモシテ居ルカラ
(松岡)
保證ハ尙ホ有效ナリトシ度イ
(栗塚)
成程有效ニテ存スト云フノデス
(元尾崎)
原案デ宜シイ
(南部)
「存ス」デ宜シイ
(槇村)
一項ハ入リマスカ
(栗塚)
二項ヲ呼出ス爲メデス
本條ハ左ノ如ク決ス第二項「得テ」ヲ「得又」ト改メ「保存ス」ヲ「存ス」ト改メ他ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第千十條朗讀ス
第千十條 何人ニテモ將來ノ債務ヲ保證スルコトヲ得然ノミナラス債權者又ハ債務者ノ方ニ於テ隨意ノ條件ニ繋ル債務ヲモ保證スルコトヲ得伹保證人ニ於テ其債務ノ本性及ヒ廣狹ヲ査定スルコトヲ得ルトキニ限ル
(修正案) 「將來」ノ下ニ「物ヲ目的トスル」ノ七字ヲ挿入ス
(栗塚)
「將來ノ債務」ト云フ字ハ起案者ニモ聞キマシタガ矢張リ將來ノ物ヲ目的トスル債務ダロウ、契約編デモ「契約ハ將來ノ物ヲ目的トスルコトヲ得」ト云フコトガアリマスカラ彼ノ意味ダロウト思テ聞イテヤリマシタ、マダ返事ハアリマセンガ多分其意味ダロウト思ヒマス
(元尾崎)
例ヲ示シテ下サイ
(栗塚)
自分ノ手ニハナイガ商人ナドハ米ガ仙臺カラ來レバ御前ニ賣ロウト云フ
(元尾崎)
定期賣買ダナ
(栗塚)
其レモアリマシヨウガ今ハ家ハ賣レヌガ南部サンガ家ブ賣ルト云フカラ彼レヲ買テ貴君ニ上ゲマシヨウト云フノデス
(元尾崎)
「然ノミナラス」ト云フノハ
(栗塚)
其レノミデナイ、双方勝手ニト云フコトデス
(元尾崎)
債務者ト債權者ト隨意レ出來ルト云フノカ
(栗塚)
債務者ノ方デモ仕樣トシマイト勝手ニ出來ル、債權者ノ方デモ勝手ニ出來ル
(松岡)
「本性」ハ本性デ置キマスカ
(栗塚)
性質トナルノデ御座イマシヨウ
(松岡)
之デハ誰ガ査定スルカ
(栗塚)
保證人ガ
(南部)
廣狹ガ査定サレタルトキニ限ルト云フノダロウ
(村田)
査定ト云フノハ金額ト積ルト云フコトダロウ
(渡)
「然ノミナラス」ハ「父」ニシテハドウデス
(槇村)
「又債權者又ハ」デハ可笑シイ
(松岡)
「又」デ宜シイ、「當事者」ト云フト保證人ハ入リマセンカ
(栗塚)
入リマセン
(村田)
「又」ト云フ字ハ無クテモ宜シイ
本條ハ左ノ如ク決ス「然ノミナラス」ヲ「又」ト改メ其他ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第千十一條朗讀ス
第千十一條 何人ニテモ債務者ノ委任ヲ受ケ又ハ其不知ニ於テ又然ノミナラス其意ニ反シテ其債務者ノ保證人ト爲ルコトヲ得〔第二千十四條第一項〕
辨濟シタル保證人ノ其債務者ニ對する求償ノ種々ノ場合ハ第二節第二款ニ於テ之ヲ規定ス
(松岡)
「其意ニ反シテ」ハ要ラヌ
(栗塚)
責任ノ時ニ至ツテ違ヒマス
(松岡)
意ニ反シテ保證スルト云フノハ保證シテ貰ハンデモ宜シイ、「然ノミナラス」ヲ刪リマシヨウ
(元尾崎)
債務者モ債權者モ入ラヌ時ダロウ
(栗塚)
債務者ガ嫌忌ダト云フ時デス債權者ハ保證ガ欲クテ堪ラヌ
(松岡)
私ハ親族ガ高利貸ニ酷イ目ニ逢ツテ居ル左樣ナルトキニ其難義ノ訴訟ヲ免カレシメ樣ト云テスル場合、又一族ノ者ガ名譽ニ關スルトキ約束スル、其トキ名轡ニ關スル者ガ嫌忌ダト云フ筈ハナイ
(南部)
無イコトハナイ、一方ハ義理デ斷ハラナケレバナラヌ一方ハヤラナケレバナラヌト云フトキガアル道義ニ背イタト云フコトハナイ
(大尾崎)
御親切ナ人ガ世ノ中ニ在ルカラ置イテ宜シイ
(元尾崎)
假令バ松岡サンガ彼奴ニ高利ヲ貸シテ金ヲ取テヤロウト云テ債主ヲ拵エテ來テ松岡サンガ此金ハ我ガ保證ニナル、ソンナニ利息ガ高クテハ嫌忌ダト云フ、其意ニ反シテ保證ニ立テヤル
(南部)
ソンナコトハナイ
(松岡)
僕ガ煉化造リノ家ヲ立テ借金ニ責メラレテ汲々云フテ身代限リニナルト名譽ニ關ルカラ保證ニ立テヤルト云フトキ其レデモ嫌忌ダト云フモノハナイ
(栗塚)
法律デ徳義ヲ進メルノハ無論ノ話シダガ此澆季ノ世ノ中ヲ徳義ヲ進メルコトガ出來ル
(松岡)
佛蘭西デモ「然ノミナラス」以下ハナイ
(元尾崎)
刪ツテ良カロウ
(南部)
本人ガ承知ヲシナクモ全ク拂ツテ宜シイト云フコトハ定マツテ居ル
(栗塚)
千三十條ノ第二ニ在リマス、第一ハ委任ヲ受ケタノ第二ハ不知ノ場合デス
(南部)
裁判例ガアルカラ實際必ラズアル
(松岡)
再調査デ刪ツテ來レバ良シニト云フ
(栗塚)
「然ノミナラス」ハ刪ツテ宜シウ御座イマス
(北畠)
「不知」ト云フコトハ馬鹿ト云フコトデハアリマセンカ
(栗塚)
債務者ガ知ラナイデト云フコトデアリマス
本條ハ左ノ如ク決ス
第一項「然ノミナラス」ヲ刪除ス
第千十二條朗讀ス
第千十二條 有效ニ第三者ノ保證人ト爲ルニハ債務者ニ對スルト一般ナルトヲ問ハス無償名義ニテ義務ヲ負擔スルノ能力ヲ有スルコトヲ要ス
然レトモ若シ主タル契約カ有償名義ナルトキハ債務ニ對スル保證人ノ相對無能力ハ債權者カ其無能力ヲ知リタルトキニ非サレハ保證人ヨリ債權者ニ之ヲ對抗スルコトヲ得ス
(修正案) 第千十二條第一項「第三者ノ」ノ四字ヲ刪ル同條第二項左ノ如ク改ム然レトモ若シ主タル契約カ有償名義ナルトキハ保證人ノ債務者ニ對スル無能力ハ債權者カ之ヲ知リタルトキニ非サレハ保證人ヨリ債權者ニ其無能力ヲ對抗スルコトヲ得ス
(栗塚)
一項ハ「有效ニ保證人ト爲ルニハ」トヤリマシタ「債務者ニ對スルト一般ナルトヲ問ハス」ト云フノハ六ケ敷ウ御座イマスガ後チニ何ヲ云フカト云ヘバ相對ノ能力デス、保證人ニ對スル能力ト云フコトガアリマスカラ
(松岡)
何カ絕體ナル無能力ナルトキハ對抗スルト云フコトヲ言ヒマセンカ、一項ハ「保證人トナルニハ無償名義ニテ義務ヲ負擔スル能力ヲ有ス」デ宜シイノダ
(栗塚)
刪ツテ宜シウ御座イマス
(元尾崎)
刪ツテ宜シイ
(村田)
「對抗スルコトヲ得ス但債權者其無能力ヲ知ラサルトキニ限ル」トシテハドウデス
(栗塚)
同ジコトダ
(元尾崎)
草案デ宜シイ、無能力ト云フコトハ何處カニ定メテアリマスカ
(栗塚)
定メテアリマス
(元尾崎)
特別ニ或ル者ニ對シテ無能力ト云フノハ親子トカ女房カ夫ニ對スルトカ云フノデスカ
(栗塚)
ソウデス幼年者ノ後見人ニ對スルトカ云フ樣ナモノデス
本條ハ左ノ如ク決ス第一項有效ニ保證人トナルニハ無償名義ニテ義務ヲ負擔スルノ能力ヲ有スルコトヲ要ス第二項報吿委員ノ修正ニ決ス
第千十三條朗讀ス
第千十三條 債務ヲ保證スルノ意思カ明確ニ表示セラレサルトキハ其意思ハ明ニ情況ヨリ生スルコトヲ要ス然レトモ其意思ハ契約者ノ一方ヲ他ノ一方ニ薦メ又ハ其一方ノ現在又ハ將來ノ有資力ヲ確言シタル事實ノミヨリ其意思ヲ推測スルコトヲ得ス〔第二千十五條〕
若シ證書ノ署名者中一人カ共同債務者ナリヤ又ハ保證人ナリヤニ付キ疑アルトキハ其一人ハ單純ナル保證人ト看做サル
(修正案) 「薦メ」ヲ「慫慂シ」ト改メ「其意思ヲ」ヲ「之ヲ」ト改ム又第二項「署名者中一人カ」ヲ「署名中ノ一人カ」ト改メ「其一人ハ」ヲ「之ヲ」ト改メ「看做サル」ヲ「看做ス」ト改ム
(南部)
「一方ニ慫慂シ」ハ云ヒ惡クイト思フ
(栗塚)
彼ノ男ナラ間違ヒナイト云フノデス
(松岡)
「引合セテ」カ
(栗塚)
引合セテハ足リマセン
(南部)
一方ヲ慫慂スルト云フト一方ヲ慫慂スル樣ニナル
(村田)
元トノ通リガ宜シイ
(栗塚)
元トノ通リデ宜シウ御座イマスカ、其レカラ「事實ノミヨリ之ヲ推測スルコトヲ得ス」トヤリマシタ
(元尾崎)
此人ハ確カナ人デ御座ルト云ヘバ保證人ニナルカ
(栗塚)
其レバカリデハ保證人ニナラヌ「私カ御受合申シマス」ト云ハンデハイケナイ、情況カラ判然シナケレバイケナイ、其レハ裁判官ノ眼デス
(元尾崎)
詰リ書イテナケレバ仕方ガナイ話シダ
(栗塚)
併シソウ迄窮屈ニハ申シマセン
(南部)
五十圓以下ハ證人デ宜シイト云フコトニナレバ證人デモ宜シイ
(栗塚)
彼ノ男ハ金ガアルト思ツタト云フモ證人ニナラヌ
(元尾崎)
末項ハドウ云フ譯ダロウ
(栗塚)
義務ノ輕イ方ニ見ル
(松岡)
若シ書キドコロニ依テ疑ヒノ起ルトキハト云フノダ
(村田)
「之ヲ單純ナル」ハ分ラヌ「其一人ハ」ノ方ガ宜カロウ
(南部)
元ト「看做サル」トアツタカラ「一人ハ」トシタノダ
本條ハ「薦メ」ハ原案ニ決シ他ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第千十四條朗讀ス
第千十四條 保證人ノ約務ハ其相續人ノ負擔ニ歸シ又債權者ノ相續人ノ利益ニ歸ス伹反對ノ要約アルトキハ此限ニ在ラス〔第二千十七條〕
(大尾崎)
之ハ宜シイ
本條ハ原案ニ決ス
第千十五條朗讀ス
第千十五條 債務者カ保證人ヲ供ス可キ合意ヲ以テ義務ヲ負ヒタルトキハ其債務者ハ債務ノ本性及ヒ重要ニ關シ顯然ナル又ハ證明スルニ容易ナル有資力ノ人ニ非サレハ保證人トシ又ハ保證人ノ引受人トシテ供スルコトヲ得ス
若シ右ノ如クニ供セラレタル保證人又ハ其引受人カ無資力ト爲リタルトキハ債務者ハ之ト同一ノ條件ヲ具フル他ノ者ヲ供スルコトヲ要ス〔第二千二十條第一項〕
其他保證人ハ辨濟ノ爲サル可キ控訴院ノ管轄地內ニ於テ住所ヲ有シ又ハ之ヲ選定スルコトヲ要ス〔第二千十八條、第二千十九條〕
債權者ヨリ人ヲ指定シテ保證人ヲ要約シタルトキハ前記ノ條件ヲ要セス〔第二千二十條第二項〕
(修正案) 第一項「重要ニ關シ」以下左ノ如ク改ム重要ニ關シ有資力ノ人ニ非サレハ保證人トシテ供スルコトヲ得ス但保證人ノ引受人ニ付テモ亦同シ第二項「債務者ハ之ト」ノ上ヲ左ノ如ク改ム若シ保證人カ無資力ト爲リタルトキハ債務者ハ右ト
(栗塚)
修正ガ御座イマス
(松岡)
顯然ナルハ置イテハ如何カ
(栗塚)
顯然ト云フコトト顯然デナイト云フコトヲ置カナケレバナラヌ
(松岡)
之ハ元トノ通リガ宜シイ
(栗塚)
コウシテ置クト都合ノ好イコトニハ先キヘ往ツテ繰リ返ヘスニ及バヌ
(南部)
少シ意味ガ違ウ、保證人ノ引受人ニ就イテモ亦同ジト云フト違ウ
(栗塚)
ソウデス同ジコトデス
(南部)
元トノ通リガ宜シイ
(村田)
修正ガ宜シイ、ソウシナイト保證人ノ引受人ト一々云ハナケレバナラヌ
(渡)
良カロウ
(松岡)
亦同ジト云ハヌデモ同ジコトダ
(淸岡)
「保證人ノ引受」トアルガ「引受人」カ
(栗塚)
「人」ノ字ヲ落シマシタ
(元尾崎)
修正ガ宜シイ
(槇村)
修正ガ宜シイ
(北畠)
修正ハ惡ルイ
(西)
元トノ儘ガ宜シイ
(大尾崎)
原案デ宜シイ
(栗塚)
「顯然ナル又ハ證明スルニ容易ナル」ハ刪リマス、二項ハ「若シ保證人カ無資力ト爲リタルトキハ」ト致シマス
(松岡)
「引受人」ハ置クガ宜シイ
(栗塚)
ソレデ「若シ保證人又ハ其引受人カ」ト致シマシテ「之ト」ハ「右ト」ト致シマス
(松岡)
「債務者ハ他ノ者カ」ト云テ之ト同一ノ條件ハ要ラヌ
(西)
アル方ガ宜シイ
(村田)
末項ハ「要セス」デハナイ「適用セス」ダ
(栗塚)
必要ガナイト云フ意味デス
(大尾崎)
「辨濟ノ爲サルヘキ」ハ「爲スヘキ」デハドウデス
(栗塚)
之ハ修正ガ出來ナカツタノハ保證人ガ辨濟ヲ爲スベキト云フ樣ニナリマスガ債務者カラ拂フ處ノト云フノデ御座イマスカラ
(松岡)
之ニシテモ同ジコトダ
(栗塚)
私ガ東京ノ者デ大阪ノ者ヲ保證人トシタトキハ大阪ノ控訴管内ニ地面ヲ持テ居ラナケレバナラヌ縱令東京ニ地面ヲ持テ居ロウトモ
(南部)
辨濟ヲ控訴院ガスル樣ニナル
(淸岡)
「辨濟カ」ニシマシヨウ
(大尾崎)
辨濟ヲ爲スベキデ宜シイ
(栗塚)
ソウスルト保證人ガ辨濟ヲスル樣ニナル
(南部)
元トノ通リガ宜シイ
(槇村)
此通リデ宜シイ
本條第一項ハ報吿委員ノ修正ニ決ス第二項ハ左ノ如ク改ム
若シ保證人又ハ其引受人カ無資力ト爲リタルトキハ債務者ハ右ト同一ノ條件ヲ具フル他ノ者ヲ供スルコトヲ要ス
于時午前第十一時二十分閉會