法律取調委員会 民法草案議事筆記 第58回
参考原資料
- 法律取調委員会 民法草案財產取得編議事筆記 , 自 第五十三回 至 第五十八回 [国立国会図書館デジタルコレクション]
備考
- 未校正のテキストデータです.
民法草案取得篇第五十八回議事筆記
自第七百八十四條至第七百九十八條
明治二十一年五月二十二日午前第八時十五分開會
(委員長)
ヤリマシヨウ
第七百八十四條朗讀ス
第七百八十四條 社員ハ會社ノ存續中ニ得タル利益ニ因リ增加シ又ハ受ケタル損失ニ因リ減少シテ會社解散ノ際ニ存スル會社資本ニ於テ其互相ノ部分ヲ結社契約又ハ其後ノ所爲ヲ以テ自己ノ隨意ニ定ムルコトヲ得但第七百八十六條ニ記載シタル二箇ノ例外ハ此限ニ在ラス
(修正案) 「存スル」ノ下左ノ如ク改ム資本ニ付キ其互相ノ持分ヲ結社契約又ハ其後ノ契約ヲ以テ隨意ニ定ムルコトヲ得但第七百八十六條ニ記載シタル二箇ノ場合ハ此限ニ在ラス
(栗塚報吿委員)
之ハ修正ヲ致シマシタ
(西委員)
結社契約ハ會社契約トシマシタ
(栗塚報吿委員)
會社契約トナリマス
(村田委員)
會社ト云フ字ヲ何ゼ刪リマシタ
(栗塚報吿委員)
會社ト云フコトハ澤山アリマスカラ無クテ分ルト思ヒマス
(南部委員)
會社解散ノ會社モアリマスカ
(村田委員)
アリマス
(南部委員)
ソンナラ置イテモ宜シイ
(淸岡委員)
矢張リ會社契約ヨリ結社契約ノ方ガ宜シイ
(南部委員)
商法デモ會社契約トアリマス、七百七十四條ニモ會社契約又ハ其後ノ契約トアリマス
(村田委員)
原文ノ方ハ會社ト云フコトダカラ結社ト譯シタノダ
(淸岡委員)
其後ノ契約ト云フノハ支ヘル
(村田委員)
其後ニヤツタ契約デス
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
第七百八十五條朗讀ス
第七百八十五條 又社員ハ其中ノ一人又ハ數人ノ部分カ利益及ヒ損失ニ於テ同一ナラサルコトヲ合意スルコトヲモ得
然レトモ利益ノミヲ豫見シテ右ノ部分ヲ定メタルトキハ損失ニ付テモ同一ノ定ヲ合意シタリト推定セラル
總テノ場合ニ於テ受ケタル損失ヲ扣除シ會社ノ貸方トシテ殘ル所ノモノニアラサレハ配當スヘキ利益ト看做サス又右貸方ヲ竭シタル後負擔トシテ殘ル所ノモノニアラサレハ損失ト看做サス
右ハ會社ノ存續中利益又ハ損失ノ一分ノ配當アリタルトキト雖モ會社解散ノ際確定ニ計算セラル
(修正案) 「負擔」ヲ「借方」ト改ム
(栗塚報吿委員)
「負擔」ヲ「借方」ト致シマス意味ハ同ジデアリマスガ、前ニ貸方トシテ殘ルトアリマスカラ其レニ合ウ樣ニ致シマシタ
(村田委員)
「借方」ノ方ガ分ル
(栗塚報吿委員)
「部分」ハ「持分」ト翻譯デ直リマス第二項ハ朝八時カラ始メルト云フコトヲ云ヘバ是非午後二時ニ終リ、九時ニ始メレバ三時ニ終ルト云フノト同ジデス
(南部委員)
然レドモト云フノハ少シ變ツテ居ル
(栗塚報吿委員)
然レドモハ少シ云ヒ過ギル
(淸岡委員)
貸方ヲ盡シタル後ト云フノハドウ云フコトニ解シタラ良カロウ
(村田委員)
貸方ヲ無クシテ仕舞ツタノダロウ
(南部委員)
貸シタ物ヲ皆勘定シテ仕舞フ
(淸岡委員)
ドウ云フコトヲ盡スカ
(栗塚報吿委員)
引イテ仕舞フト云フノデス損ヲ引イタ物ノ殘リガ貸方デ、貸ヲ引イタ物ガ損ト云フノデス
(淸岡委員)
理窟ハ分ツテ居ルガ盡シタルハ分ラヌ
(栗塚報吿委員)
扣除シタル後デス
(南部委員)
「盡シ」ダネ
(栗塚報吿委員)
吸シ干シト云フ字ガアリマス
(南部委員)
「確定ニ之ヲ計算ス」トシテハドウダロウ
(栗塚報吿委員)
終リハ然レドモ會社存續中ニ爲シタル利益又ハ損失ノ一部ノ配當ハ保タレル其レハ其儘ニ算入スルト起案者ガ變ヘテ來マシタ
(村田委員)
ソウスルト原案ト反對ニナリマス
(栗塚報吿委員)
同ジコトデス、維持セラルルト云フノデス
(村田委員)
確定シタ樣ニ見ラレル
(栗塚報吿委員)
何ゼソウ直シタカト云フテ報吿委員カラ駁撃シマシタ、初メニ利益損失ノ一分ノ配當ガアツテモ確カデナイ、計算ノ中ドウナルカ知ラレヌト云フコトヲ始終心配シテ居ラナケレバナラヌガ、會社ノ解散ハ長イコトデ其レ迄ハ不確定デ社員一同ガ利益損失ノ一分ヲ配當シテモ不確カデハナイガ是レ丈ケノ困難ヲ抱カセナケレバナラヌモノダロウカ、其レヨリ每年ノ計算デ定メテハドウカト云フテヤリリ、シタ處ガ、上ノ駁撃ハ尤モダカラ直ソウ、其レデ割註ニ「詐欺ナクシテ爲シタルトキハ」ト入レテ來マシタ
(南部委員)
其レガ良イ
(栗塚報吿委員)
「會社存續中詐欺ナクシテ爲シタル」ト致シマス
(淸岡委員)
「維持セラルル」ト何トカ書キ樣ハナイカ
(村田委員)
會社解散ニナツテモ維持セラルルト云ハヌト分ルマイ
(南部委員)
二項モ同ジコトデス
(村田委員)
此終リハ解散ノトキデス
(南部委員)
二項モ解散ノトキデス
(淸岡委員)
解散ノ際維持セラルルト云タ方ガ宜シイ
(南部委員)
處ガ三項モ解散ノトキヲ云テ居ルノデス
(淸岡委員)
會社解散ノ際維持セラルルト云ハヌト存續中ニ維持セラルルト云フノデハ何デモナイ
(栗塚報吿委員)
存續中ニ維持セラルルノデス
(淸岡委員)
存續中ニ維持セラルルト云フノガ當然デ、解散ト云フコトガ生ジテ來タラ元トノ利益ヲ取上ゲテ財產ノ解除ヲスルカト云フトソウデナイ
(南部委員)
昨年利益ヲ配當シタ處ガ今年大變損ヲシタトキハ昨年ノ利益ヲ取上ゲルカト云フトソウデナイ
(淸岡委員)
存續中ニシタコトハ解散ノトキモ斯樣ニナルト云フノデ、其レダカラ村田サンノ云フ樣ナ字ガ此處ヘナケレバナラヌ修正說ニ付テ解散ノ際ト云フ字ハ無論知レテ居ルト云フノデ落シタノダ
(南部委員)
落シタノデハナイ
(栗塚報吿委員)
其トキニシタノハ再ビセヌゾヨ確定スルゾヨ
(淸岡委員)
其レハ解散ノトキ維持スルカラ
(尾崎委員)
唯會社デ分配シタモノハ戻ス筈ハナイ、處ガ會社解散ノ場合ハドウスルカト云フト維持セラレテ決シテ元トヘ戻スト云フコトハナイト云フノダカラ解散ノ際ト云フノガ宜カロウト思フ
(西委員)
元トノ旨意ハ解散ノトキ勘定スルト云フノハ初メカラ定マツテ居ルゾヨトナツタノデアリマスカラ
(栗塚報吿委員)
其レハ解散ノトキデモ途中デモイケスゾヨ
(南部委員)
不要ナ字ダ
(栗塚報吿委員)
七百九十條ニ「各社員カ自己ノ持分ニ第三者ヲ加入セシメス又自己ノ持分ヲ抵當トシ又ハ讓渡スルコトヲ得ルト雖モ是等ノ所爲ハ會社ニ對抗セラルルコトヲ得ス但結社ノ原契約ヲ以テ此權利ヲ認メ又ハ資本ヲ株式ニ分ケタルトキハ此限ニ在ラス」トアル、コウ云フコトガ出來ルノデス會社ノ持分ヲ他人ニ抵當ニスルコトモ出來ル又ハ讓渡スルコトモ出來ル其レヲ後ニ勘定スル迄ハ抵當ニシテモ不安心ト云フコトハナラヌカラ存續中ニ配當シタモノハ其トキ確定シタモノト看做ス便利ヲ與ヘヌト抵當ニシテモ取ル者ガナイ七百九十條デ「抵當ト爲スコトヲ得」ト云ヒナガラ斯樣ニ書イテ置クトソウナリマセンカラ配當シタモノハ配當シタトキ確カナモノニナルト云フノデ御座イマスカラ解散ノ際ト云フコトハアルマイト思ヒマス
(尾崎委員)
一遍利益ノ配當ヲスレバ其レデ定マツタモノナラバ此處ヘ云ハズトモ宜シイ
(委員長)
書イテモ書カンデモ同ジコトデス維持セラルルト云フト續イテヤルト云フノダカラヤリ變ヘヌデモ宜シイ、會社解散ノ際ト入レテモ維持セラルト云ハナケレバナリマセン
(淸岡委員)
存續中ニ維持セラルルト外讀メヌ
(栗塚報吿委員)
其レデ宜シイノデス
(委員長)
維持ト云ヘバ解散ノ際ハ無クテモ宜シイ
(淸岡委員)
ソウ云フ御說ナラ此項ハ入ラヌ、併シ之ハ解散ノトキハ如何カト云フ疑ヒガアルカラコウ云フコトヲ書クノダ
(委員長)
其レハソレニ違ヒナイガ維持セラルト書ケバ會社解散ノ際維持セラレル
(淸岡委員)
三項ノ通リニ會社解散ノ際ト云フコトヲ書イテ置カヌト間違フ
(南部委員)
民法デハ配當ト云フコトハ詰リノコトヲ云フテ居ル
(淸岡委員)
皆サンガ分ルト仰シヤレバ宜シイガ前三項トモニ解散ノトキバカリヲ云フタノデハアリマセン
(南部委員)
會社解散ノトキバカリデス八十四條ガ元トニナツテ八十五條ガ隨テ居ル
(淸岡委員)
前三項ハ解散ノトキバカリデハナイ、總テ會社ノ行爲上ノコトニ損失ノ配當分擔ヲスル
(南部委員)
ソウスレバ八十四條ガ分ラヌ
(村田委員)
八十四條ハ解散ノトキハコウシマシヨウト云フコトヲ約束シテ居ル
(栗塚報吿委員)
ソウデス八十四條デハ又斯樣ナコトモ出來ルゾヨ
(村田委員)
一項ナドハ解散ノトキニ關係シテハ居ラヌ
(南部委員)
矢張リ解散ノ場合デス
(尾崎委員)
問ニ長ク續クカラ配當ヲスルガ其レハ假リノモノデ四項ノ場合デ解散ノ場合ガ保タルルト云フノダカラ
(南部委員)
元來八十五條ハ皆解散ノトキト云フコトハ御認メニナリマシヨヲウ
(尾崎委員)
ソレハソウデス、間ノ配當ハ假リノ配當デ、解散ノトキ利益ガ少ナケレバ返ヘスト云フノダカラ會社存續中ニシタモノハ何時デモ維持セラルルト云フモノデナイ、此終リヲ原案者ガ改メタノハ
(委員長)
又社員ハト云フノハ前ヲ承ケテ來テ居ル
(村田委員)
此「又」ト云フノハ八十四條デ社員ハコウ云フ場合ニハコウ云フ約束ヲシテモ宜シイ又社員ハコウ云フコトモ出來ルゾト云フノダデスカラ
(尾崎委員)
不確定ノモノデ十年モニ十年モ取テ置イタモノヲ戻スト云タラ堪ラヌカラ修正シタノダロウ
(淸岡委員)
修正ハ至極宜シイガ文章ガ殘ル處ノ物ヲ損失ト看做スト云フノハ少シ違ウ
(南部委員)
解散ノ場合ニ貸方借方ヲ勘定シテ損失ト看做サヌト云フノダカラ旨意ガ分ラヌ
(淸岡委員)
ソウ云フ譯ナレバ今日ノ配當モ外ノ六ケ月縛リノ配當ト同ジニ見テ居ルカラ原案ノ通リデハイケナイ修正ト思テ居ル處ガ一體會社ハ一番終リノ所デナケレバ分ラヌト云フ旨意ニ出テ來テアル處カラ鳥渡此項ヲ見ルト可笑シイ、ソウシテ見ルト貸方ヲ盡シタル後殘ル處ノモノニ非ザレバ損失ト看做スト云フノガ牴觸スル樣ニナル
(淸岡委員)
元トノ主意ハ此會社ハ終リ迄行カナケレバ利益ガアツタカ損失ガアツタカト云フコトハ分ラヌ其レ迄ハ定マラヌト云フノデ二項三項ガ定マツテ來タノガ其レヲ四項ヲ拔イテ書イタカラ變ニナツタ
(委員長)
迚モ爲シ能ハヌモノダ已ニ拂ツタモノハ其レナリニシテ現在ノ貸方借方丈ケニシ樣ト云フノダ
(淸岡委員)
其レデ變ヘルナレバ三項モ書キ樣ガアリソウナモノダ、昨年ノ暮ニ配當ヲシマシヨウ、而シテ今年解散シテ損益勘定ヲシタ處ガ損失ガ大變アツテ昨年ノ下半期カラ損失ガ續イテ居ルノハ配當シテ居ル何ゼ損失ヲ掛ケタカト昨年配當シテ居ルニ損失ガ出來テ居ルデハナイカ、民法デハ貸方借方ヲ盡シタ以上デナケレバ配當ハ出來ヌト云テ居ルデハナイカ、其レダカラ牴觸スル
(南部委員)
之ハ結局ノコトヲ云フノデス
(尾崎委員)
結局ノ損失ハ貸方ハ取立テ盡シテ計算ヲ立テ義務ノ負擔ヨリ貸方ガ少ナイト云フトキハ損失ト看做ス丈ケデ解散ノ場合ノ計算ノ仕方ノミダ
(淸岡委員)
解散ノトキノミト見レバ宜シイ
(村田委員)
「確定シタルモノトス」トシテハドウデス
(淸岡委員)
「會社解散ノ際」ヲ入レテ貰ヒ度イモノデス
(南部委員)
解散ノ際維持セラルルト云フコトハ云ヘナイ
(尾崎委員)
會社解散ノ際ト雖ドモ維持セラルルト云フノダ
(委員長)
右貸方ヲ盡シタル後ト云フノハ
(栗塚報吿委員)
貸方ヲ引イテ仕舞ツテト云フノデス
(淸岡委員)
商法ニ盡シト云フコトガアツタ
(委員長)
差引勘定スルト云フコトニナルカ知ラヌ
(南部委員)
矢張リ相殺スルト云フコトデス
(委員長)
「エピーゼー」ト云フ字ハ組盡スト云フ字デスカラ
(村田委員)
酒ヲ飮ミ盡シタト云フ樣ナトキモ盡シデスカラ
(委員長)
良カロウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第三項報吿委員ノ修正ニ決ス第四項ハ起案者ニ於テ左ノ如ク改ム然レトモ會社ノ存續中詐欺ナクシテ爲シタル利益又ハ損失ノ一分ノ配當ハ維持セラル
第七百八十六條朗讀ス
第七百八十六條 會社資本ノ全部又ハ會社ノ得タル利益ノ全部ノミヲ社員中ノ一人ニ歸スヘキ約款ハ無効タリ〔第千八百五十五條第一項〕
藝術ノミヲ出資ト爲シタル社員ニアラサル社員ニ總テ損失ノ分擔ヲ免レシムル約款ニ付テモ亦同シ〔第千八百五十五條第二項〕
若シ結社契約中テ右ノ約款ヲ附記シタルトキハ其約款ハ契約ヲシテ全ク無効タラシム若シ又日後ニ右ノ約款ヲ採用シタルトキハ其約款ハ原契約ヲ存立セシメ會社ノ淸算ハ第七百八十九條ニ從ヒテ爲サル
(修正案) 第二項「約款ニ付テモ亦同シ」ヲ「約款モ亦同シ」ト改ム第三項「契約」ノ上「結社」ノ二字ヲ加ヘ「採用」ヲ「合意」ト改ム
(栗塚報吿委員)
藝術ノミヲ出資ト爲シタル社員ニ非ザルト云フノハ刪ラナケレバナリマセン、ソレカラ修正ガ御座リマス、七百八十九條ノ二項デ商法ノ百五條ト牴觸ガアリマスカラ七百八十九條モ修正シナケレバナリマセン、藝術ヲ刪ルコトハ起案者ヘ是レ丈ケデ濟ムカ外カニモ影響ガアルカト云フコトヲ尋ネテカラニシタ方ガ良カロウト云フ說ガ報吿委員デ多數デ御座イマスカラ他日兩起案者ニ質問シテカラ修正スル積リデ御座イマス
(西委員)
修正ニハ御座イマセン
(淸岡委員)
此原案デハ藝術ノミヲ出資トシタノハ良イト云フノデスカ
(栗塚報吿委員)
少ナク出シタ人ト看做スカラト云フノデス
(委員長)
ソンナラ一項丈ケコウシタ方ガ良イ
(栗塚報吿委員)
二項ヲ殘シテ三項ヲ御議シニナツテ宜シウ御座イマス末項ハ初入約ヲシテハ全ク無効ダカラ「シムル」デハ分ラヌカラ「會社」ト云フ字ヲ入レ樣
(委員長)
會社契約ト云ハンデモ契約ト云ヘバ分ル
(村田委員)
會社契約ト入レタ方ガ宜シイ
(委員長)
入レテモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
ソレカラ採用シタルヲ「合意シタルトキ」トヤリマシタ
(委員長)
合意ハ直シバセヌカ
(栗塚報吿委員)
後ニ約款ヲ相談シテ定メタトキハ其約款ハ元トノヲ消シバセヌ、會社契約ヲ存立セシムルト云フノデスカラ約款ヲ採用スルト云フコトハ外國語デハ分リマスガ日本語デハ分リマセン二項ノ「藝術ノミヲ出資ト爲シタル」ヲ刪ルカ刪ラヌカバ留保シテ置キマシテ「約款ニ付テモ亦同シ」ト修正致シマシタ
(委員長)
一番終リノ「會社ノ精算ハ七百八十九條ニ從ヒ之ヲ爲ス」トヤロウ
(淸岡委員)
ドノ總社員ト云フノハ總社員タルト一分タルトヲ問ハズト云フノデスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(淸岡委員)
一人デ損失ヲ引受ケルト云フコトモアルダロウ
(村田委員)
會社ノ性質ヲ失ツテ仕舞フ
(南部委員)
全部デ無クモ少シバカリデモイケナイト註ニ云テアル
(委員長)
ソンナラ「利益ノミヲ」ト云フテモ宜カロウ
(淸岡委員)
全部ノミト云フノハ讀ミ惡イ
(栗塚報吿委員)
單ニ會社ノ得タル利益ノ全部ヲト云フノデス
(委員長)
其方ガ宜シイ
(淸岡委員)
「單ニ」ハ無クテモ分ル
(南部委員)
入ラヌ
(村田委員)
「ノミ」ハ刪ツテ宜シイ
(南部委員)
「ノミ」ヲ刪レバ宜シイ
(今村報吿委員)
佛蘭西文デハ無クテハイケマイ會社ノ解散ノトキ各分ケテ取ルト云フコトハイケナイ其レハソウシテ置イテ皆ガ當リ前ニ分ケテ取ルニシテモ利益バカリ誰レカニヤルト云テモイケナイ
(南部委員)
其レハ之デ分テ居ル「ノミ」ガ兩方ヘ掛ルカライケヌ
(西委員)
「會社ノ得タル利益ノミノ全部」トシタラ良カロウ
(栗塚報吿委員)
其方ガ分ル、資本ノ全部ハ皆デ分ツ利益ノ全部カ
(南部委員)
會社資本ノ全部ヲ、又ハ會社ノ得タル利益ノ全部ノミヲ、ダ
(村田委員)
「ノミ」ハ上ヘ掛ツテモ差支ハナイ
(淸岡委員)
全部ノミト云フト半分デモ八分デモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
其レハ良イト云ハナケレバナラヌ
(淸岡委員)
「ノミニテモ」トシタラ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
西サンノ御修正ガ宜シウ御座イマシヨウ
(委員長)
マダ其方ガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
利益ノミノ全都ト致シマス
(南部委員)
一人デ損失ヲ引受ケルノハイケナイト云フコトガ註ニ在ル
(今村報吿委員)
外ノ者ハ勞力、バカリ出スナレバ一人デ引受ケテ宜シイ鰹魚釣リニ行クモノハ一人デ大勢連レテ行ク若シ儲ケタトキハ皆デ分ケル、損ヲシタトキハ船ヲ持テ居ル者ガ引受ケル
(南部委員)
一方ガ勞力ヲ出シテ居ルカラ其レトハ違ウ
(栗塚報吿委員)
淸岡サンノハ勢力モ拂ツテヤラナケレバナラヌト云フノダ
(今村報吿委員)
釣リ子ハ利益ハナカツタト云フコトニナル、船主ハ儲ケガナカツタノミナラズ船迄損ヲスル
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
會社資本ノ全部又ハ會社ノ得タル利益ノミノ全部ヲ社員中ノ一人ニ歸スヘキ約款ハ無効タリ第二項ハ報吿委員ノ修正ニ決シ商法ト牴觸スルヲ以テ商法民法兩起案者ニ問合セノ上修正スルコトトシ未定第三項ハ左ノ如ク改ム若シ會社契約中ニ右ノ約款ヲ附記シタルトキハ其約款ハ會社契約ヲシテ全ク無効タラシム若シ又日後ニ右ノ約款ヲ合意シタルトキハ其約款ハ原契約ヲ存立セシメ會社ノ淸算ハ第七百八十九條ニ從ヒ之ヲ爲ス
第七百八十七條朗讀ス
第七百八十七條 社員ハ自己ノ選任シタル又ハ選任スヘキ社員又ハ外人タル一人若クハ數人ノ仲裁人ヲシテ會社解散ノ際各自ノ持分ヲ定メシムルコトヲ結社契約又ハ其後ノ所爲ヲ以テ合意スルコトヲ得
仲裁人ノ爲シタル定方ハ仲裁人カ仲裁契約ヲ以テ己レニ命セラレタル方式若クハ條件ヲ履行セス又ハ明カニ公平ニ違フタルトキニアラサレハ之ヲ攻撃スルコトヲ得ス
右定方ノ無効ノ請求ハ之ニ因リテ害セラレタリト主張スル社員ノ方ニ在テハ其社員カ其定方執行ヲ助成シタルトキ又ハ之ヲ知リタルヨリ三个月ヲ經過シタルトキハ之ヲ受理セス〔第千八百五十四條〕
(修正案) 第一項「所爲」ヲ「契約」ト改メ同條第二項「履行セス」ヲ「履行セサルカ」ト改メ第三項「執行ヲ助成シタルトキ」ヲ「執行ニ加ハリタルトキ」ト改ム
(栗塚報吿委員)
之ハ修正致シマシタ
(村田委員)
合同ト云フコトデハアリマセンカ
(淸岡委員)
「選任シタル又ハ」ハ可笑シイ
(栗塚報吿委員)
「選任シ又ハ」トシタラ宜カロウ
(淸岡委員)
ソンナラ宜シイ
(村田委員)
選任シタル社員又ハ日後選任シタル社員トアル
(栗塚報吿委員)
御座イマセン
(南部委員)
併シ自然ソウ云フコトニナル
(委員長)
「自己ノ選任シ」ト云フト「自ラ」ト云フ字ガアレバ宜シイガ、無イト良クナイ
(南部委員)
「シタル」デナイト「選任シヘキ」トナリマス
(村田委員)
矢張リ「シタル」デナイトイケナイ
(栗塚報吿委員)
自己ノ選任シタルカ又ハ選任スベキナラ宜シウ御座イマシヨウ
(委員長)
「シタル」デ宜シイ
(淸岡委員)
途方モナイ窮窟ナ御文法デスナ
(栗塚報吿委員)
併シ外ニ書キ樣ハアリマセン
(委員長)
「自己ノ選任シ」ハ之ヨリ可笑シイ
(南部委員)
「己ニ選任」ナラ宜シイ
(栗塚報吿委員)
其レデモ掛リガ惡ルイ
(南部委員)
「シ」デハ過去トハ見ヘナイ
(栗塚報吿委員)
「選任セシ」トシタラ宜シウ御座イマシヨウ
(尾崎委員)
此儘デ宜シイ
(南部委員)
一人若クハ數人ハナケレバナリマセンガ
(栗塚報吿委員)
アリマス
(南部委員)
選任シタル又ハ選任スベキ社員又ハ外人タル一人若クハ數人ノ仲裁人ト云フノハ餘リ諄イ
(淸岡委員)
選任シタルハ外人迄掛リマスガ社員若クハ外人タルトスレバ良ク分ル
(南部委員)
併シ文例デス
(栗塚報吿委員)
之ハ「又ハ」ヨリ外ニ仕方ガナイガコ人若クハ數人ノ」ヲ御刪リニナレバ宜シイ
(委員長)
一人若クハ數人ヲ刪テモドレ丈ケ妙ガアルカ少シモ妙ハナイ
(栗塚報吿委員)
唯近クナル
(西委員)
治罪法ニモ幾ラモアリマス
(委員長)
自分ノ選ンダ仲裁人ガ方式ヲ履行セヌトカ公平ニ違ツタトキハ其レヲ攻撃スル
(南部委員)
自分カラ仲裁人ヲ命ジテアツテ其條件ニ違ツタ
(委員長)
違ヘバ約束ヲ解イテ仕舞ヘバ宜シイ、全體自分ガ命ジタノダロウ
(栗塚報吿委員)
無効ダニ依テ之ヲ攻撃スル
(村田委員)
攻撃スルト云フノハ無効トスルト云フノデス
(栗塚報吿委員)
己レニ命ゼラレタト云フノハ仲裁契約デ仲裁人ガ契約ヲ履行シナイト云フノデス
(委員長)
自分ノ選ンダ仲裁人ガ無訟事件ノ裁判ヲシテ仕方ガ惡ルイナラヤリ換ヘル樣ニナルガ其レハ出來ナイ、國會議員ヲ選ンデモ選ミ樣ガ惡イト云テ選ミ直スコトハ出來ナイ
(村田委員)
陪審ナドハ選ミ直スコトガ出來ル
(委員長)
陪審ハ自分デ選ミマセン
(南部委員)
裁判官ガ公平ニ違ツテモ控訴上吿ヲシマスカラ仕方ガアリマスマイ
(委員長)
仕方ガ無ケレバ先キヘ行キマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第七百八十八條朗讀ス
第七百八十八條 結社契約ヲ以テ持分ノ定方ヲ仲裁人ニ任スヘキコトヲ定メタル場合ニ於テ少ナクトモ社員ノ過半數カ仲裁人ヲ選任スルコトニ一致スルコトヲ得サルトキハ裁判所ニ於テ其選任ヲ爲ス
若シ指定セラレタル仲裁人カ定方ヲ爲スコトヲ欲セス又ハ之ヲ爲スコト能ハサルニ當リ社員カ之ヲ改選スルコトニ一致セサルトキモ亦同シ
(修正案) 「一致スルコトヲ得サルトキハ」ヲ「一致セサルトキハ」ト改ム
(栗塚報吿委員)
「一致スルコトヲ得サルトキハ」ヲ「一致セサルトキ」ト修正致シマシタ
(委員長)
「一致セサル」ト云フノト「スルコトヲ得サル」ト云フノトハ少シ違ウ
(栗塚報吿委員)
一致ガ成立タナイト云フコトニ書イテアリマス「スーメツトル」「タツコール」デ御座イマス
(委員長)
一致シナイノト、スルコトノ出來ナイノトノ違ヒガアル
(南部委員)
出來テシナイコトニ一致ノ場合ガアリマスガ、次ノ項ハドウ書イテアリマス
(栗塚報吿委員)
爲スコトヲ欲セズ又ハ爲シ得ザルナラバ又同ジトアリマス
(委員長)
「スルコトヲ得サル」デモ分ラヌコトハナイ
(栗塚報吿委員)
次ノハセザルトアリ此方ニハ得ザルトアリマスカラ疑ヒガ起ルト云フ論ガアリマシタ
(委員長)
原文ヲ直スナラ其レデ宜シイ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第七百八十九條朗讀ス
第七百八十九條 社員自身ニテ若クハ仲裁人ヲ以テ持分ノ定方ヲ爲サス又ハ仲裁人ノ決定カ取消サレタルトキハ會社資本及ヒ利益又ハ損失ハ社員交互出資ノ價額ノ割合ニ應シテ之ヲ其間ニ分配ス〔第千八百五十三條第一項〕
社員カ其藝術ノミヲ出資ト爲シタルトキ之ヲ評價セサルニ於テハ其社員ハ他ノ社員中出資ノ最モ少ナキ者ニ等シキ取扱ヲ受ク〔第千八百五十三條第二項〕
社員ニシテ同時ニ其藝術ト他ノ財產ヲ出資ト爲シタル者ハ前項ニ定メタル持分ノ外尙ホ右ノ財產ノ價格ニ隨ヒ計算シタル他ノ持分ヲ收受シ又ハ之ヲ負擔ス
(栗塚報吿委員)
此二項ハ修正ノ意見ガアリマスガ商法ト牴觸シテ居リマスカラ七百八十六條ト同ジク姑ク留保シテ置キマス
(淸岡委員)
決定ヲ取消スノハ裁判所デヤリマスカ
(栗塚報吿委員)
八十七條ニ抗吿スルコトヲ得トアリマシタ、卽チ取消デ御座イマス、藝術ハ勞力ト改メマシヨウカ
(南部委員)
勞力デ宜シイ
(委員長)
財產ト云フ字ガ出テ來タガ、動產不動產トデモ書カヌト此民法デハ財產トハ書ケヌノダ
(南部委員)
七百八十六條ニ財產ト云フ字ガアリマス
(委員長)
「財產ハ權利ナリ」ト云フ主義ヲ貫ケバ之ハ良クナイ
(淸岡委員)
他ノ權利ヲ出資ト爲シタルト云タラ良カロウ
(尾崎委員)
計算シタル他ノ持分ト云フノハ
(栗塚報吿委員)
己ニ勞力ヲ出スト一番少ナイモノニ充當ヲ受ケル、其レガ一ツノ持分デシヨウ
(尾崎委員)
前項ニ定メタル持分ノ外ト云フト勞力ハドウ定メルカ
(栗塚報吿委員)
最モ少ナイモノニ定メル
(尾崎委員)
「他ノ」ト云フ字ハ入ラヌ樣ダ
(南部委員)
成程「他ノ」ノ字ハ入ラヌ
(委員長)
無イ方ガ宜シイ
(村田委員)
社員交互出資ト云フノハ交互出資ガアル樣ニ見ヘル
(栗塚報吿委員)
交互ノ出資ト云フノデ御座イマスカラ「ヲ」ノ字ヲ入レマシヨウカ
(南部委員)
交互出資デ宜シイ、交互ノ出資ノ後ノ割合ニ應ジテト云フト餘リ「ヲ」ノ字ガ續ク
(尾崎委員)
無クモ宜シイ
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第二項「藝術」ヲ「勞力」ト改メ商法ト牴觸ニ付キ第七百八十六條ト同ジク留保ス第三項「他ノ」ノ二字ヲ刪ル
第七百九十條朗讀ス
第七百九十條 各社員ハ自己ノ持分ニ第三者ヲ加入セシメ又自己ノ持分ヲ抵當トシ又ハ讓渡スコトヲ得ルト雖モ是等ノ所爲ハ會社ニ對抗セラルヽコトヲ得ス但結社ノ原契約ヲ以テ此權利ヲ認メ又ハ資本ヲ株式ニ分チタルトキハ此限ニ在ラス〔第千八百六十一條〕
右二箇ノ場合ニ於テ若シ會社カ社員ノ讓渡サント欲スル持分又ハ株式ヲ廢滅スル爲メ先買權ヲ留保シタルトキハ其約款ハ遵守セラレ社員ハ會社カ其先買權ヲ行ヒ又ハ抛棄スルコトニ付キ之ヲ遲滯ニ付スルコトヲ要ス
(修正案) 第一項「加入セシメ」ヲ「乘合ハシメ」ト改メ「抵當」ヲ「質」ト改メ「結社」ノ下「ノ原」ノ二字ヲ刪リ「此權利」ノ上ニ「社員ニ」ノ三字ヲ挿入ス
(栗塚報吿委員)
第一項ヲ「第三者ヲ乘合ハシメ」ト致シマス乘合會社ト云フノガ日本ニモアルソウデ御座イマスカラ
(淸岡委員)
「加入」デ宜シイデハナイカ
(栗塚報吿委員)
加入ト云フト會社ニ入レタ樣ニナリマスガ、左樣デハアリマセン、今七人デ會社ヲ組ンデ私ト今村ト云フモノトデ會社ヲ組ムノデス
(尾崎委員)
之ハ會計ヘハ名ガ出ナイノデスナ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(村田委員)
共算會社ノ内ニ在ル
(西委員)
社員ノ子ガ出來タノダ
(淸岡委員)
其レハ會社デハナイ
(栗塚報吿委員)
會社トナリマス
(西委員)
二人以上ノ組合ニナル
(淸岡委員)
資本ヲ一人デ出スノヲ二人デ出ストカ三人デ出ストカ云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
組合ハサシメデ宜シウ御座イマス
(委員長)
「組合ハサシメ」ガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
又「自己ノ持分」ヲ「其持分」シテ「抵當」ヲ「質」トヤリマシタ、之ハ抵當ト云フ字ニデハアリマセン
(南部委員)
「各社員ハ、其持分」トシタラ良カロウ
(淸岡委員)
「自己ノ」デ宜シイ
(南部委員)
「其持分」ト云フト第三者ノ持分トナルダロウ
(委員長)
其嫌ヒガアル第三者ト組合ツタ者ニ持分ヲ質トスル樣ニナル
(淸岡委員)
元トノ通リガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
「對抗スルコトヲ得ス」デ差支ナイ樣デス、其レカラ會社ノ原契約ハ會社契約トナリマス何ゼカト云フト「原」ノ字ヲ入レタノハ會社ノ本統ノ契約ノ方ヲ原契約ト云フノデス、私ト今村ト乘合ツタノモ會社契約ト云ヘマスカラ
(尾崎委員)
ソンナ者ハ會社トハ云ヘマイ
(栗塚報吿委員)
「組合」ト云フ字ガ書イテアルノデ原文デハ同ジデス第三者ト持分ノ會社ヲ爲シタルトアル、其嫌ヒヲ避ケル爲ニ原契約トヤリマシタ
(尾崎委員)
ソンナラ宜シイ方ガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
其レカラ「社員ニ此權利ヲ認メ」トヤリマシタ末項デ「先買權ヲ行フカ又ハ之ヲ抛棄スルコトニ付キ」トヤリマシタ
(南部委員)
此株式モ留保デ御座イマス
(村田委員)
持分ノ内ニ株式ガアリソウナモノダ此處ニ至リテ株式ト書イタノハドウ云フモノダロウ
(南部委員)
右二箇ノ場合ト云テ株式ト持分トアルカラ云ハナケレバナラヌダロウ
(淸岡委員)
原ノ字ヲ刪ツタ理由ハ結社契約デ其後ノ契約ハ之モ入ラヌカラ其レデ原ノ字ヲ刪ツタト云フノデハアリマセンカ
(栗塚報吿委員)
會社契約デ分ルト云フ論デシタ、何故ニ「原」ノ字ヲ入レタカト云フト原契約ガ必要デアルト云フノハ第三者ヲ組合ハサシメト云フ所デ必要ダカラト云テ置イタノデ御座イマスガ刪ツタトキハ皆會社契約ダ何ゼカト云フト日後ノ契約デアルカラソウデハナイ、第三者ト組ンダコトガアルカラ原契約トシタノダカラ「原」ノ字ヲ置クト云フノデ御座イマス
(淸岡委員)
八十六條デ云フタ原契約トハ違ヒマスカ
(南部委員)
之ハ日後ノ契約ハ入ラヌ、原契約デヤラナケレバナラヌ
(栗塚報吿委員)
四百五十六條ニ云フテアリマス註ニモ明カニ云フテアリマス、會社契約ヲ立テタ人ノ原契約デ御座イマス
(淸岡委員)
其レナラ無論「原」ノ字ガ無クテハイケナイ
(栗塚報吿委員)
之ハ商法ノ二百十七條デス、商法デハ許シテナイガ、之デハ會社ガ株式ヲ減ズルコトガ出來ル、之モ牴觸デアリマスカラ問合ハセル積リデ御座イマス
(南部委員)
其レノミナラズ商法ニ讓ル以上ハ株式ハ民法ニ云ハヌ方ガ宜シイ
(委員長)
其レガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
詰リ無形人ヲ爲シテ居ル會社ハ總テ商法ニ依ルト云フコトニシテ此處デハ無形人ヲ爲サヌモノバカリニスルト良カロウト思ヒマス
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス各社員ハ自己ノ持分ニ第三者ヲ組合サシメ又自己ノ持分ヲ質トシ又ハ讓渡スコトヲ得ルト雖トモ是等ノ所爲ハ會社ニ對抗スルコトヲ得ス但會社ノ原契約ヲ以テ社員ニ此權利ヲ認メ又ハ資本ヲ株式ニ分ケタルトキハ此限ニ在ラス第二項報吿委員ノ修正ニ決ス
第七百九十一條朗讀ス
第七百九十一條 業務擔當者カ會社ノ名ヲ以テ又ハ會社ノ業務ノ爲メ有効ニ負擔シタル約務ハ會社カ無形人ヲ成ストキハ各社員ノ一身上ノ債權者ニ先タチ會社資本ヲ以テ擔保セラル
會社資本ノ不充分ナル場合ニ於テ又ハ訴追シタル債權者ニ會社資本ヲ示サヽル場合ニ於テハ總社員ハ連帶シテ會社ノ義務ヲ負擔ス但資本ヲ株式ニ分ケタル場合ハ此限ニ在ラス〔第千八百六十二條、第千八百六十三條〕
會社カ無形人ナラサルトキモ亦同シ
右二箇ノ場合ニ於テ確定ノ定方ハ第七百八十四條乃至第七百八十九條ニ定メタル如キ貸方及ヒ借方ニ於ケル各自ノ持分ニ從ヒ社員ノ間ニ爲サル〔第千二百十三條、第千二百十四條〕
(修正案) 第一項「業務擔當者」ヲ「管理人」ト改ム第二項「又ハ」ノ上「ニ於テ」ノ三字ヲ刷リ「訴追」ノヒ「其資本カ」ノ四字ヲ括入シ「會社資本ヲ」ノ五字ヲ刪リ「示ササル」ヲ「示サレサル」ト改ム第四項「確定ノ定方」ヲ「各社員間ノ決算」ト改メ「社員ノ間ニ爲サル」ヲ「之ヲ爲ス」ト改ム
(栗塚報吿委員)
之ハ修正致シマシタ
(尾崎委員)
二項ハ無限責任カ
(栗塚報吿委員)
一體民事ハ株式デナイ以上ハ無限責任デス
(南部委員)
有限ト限ツテハ如何ダロウ
(栗塚報吿委員)
有限ト限ツテ無形人デナイノデス
(南部委員)
無形人トシテ
(栗塚報吿委員)
ソウスレバ登記公吿ヲシナケレバナリマセン
(南部委員)
其レハ勿論スル、有形ト無形トハ有限ニ關係ハ一向ナイ、會社資本ノ不充分ノトキハ連帶シテ行クトアルカラ
(淸岡委員)
下ノ項デハ卽チ無形人ヲ爲ス場合ヲ云フテ居ルノデシヨウ
(栗塚報吿委員)
無形人ヲ爲ス爲サヌヲ見テ居ラヌノデス
(委員長)
三項ガアルカラ無形人ヲ爲スト見ナケレバナリマセン
(淸岡委員)
無形人ヲ爲シテ斯樣々々ノ場合ハ總社員連帶シテ負擔スルト云フノハ分ラヌ
(栗塚報吿委員)
無形人ダカラ必ラズ義務ヲ負擔セヌト云フ譯ニハ參リマスマイ
(淸岡委員)
會社ノ資本デヤルトキハ宜シイガ總社員連帶シテ會社ノ義務ヲ負擔スト云フト何處カラ何處迄行クカ
(委員長)
株式ニ分ツテ居ラヌカラ仕方ガナイ
(淸岡委員)
無形人ナラザルトキモ亦同ジト云フト無形人デモ無形人デ無クモ均シク出來ル
(委員長)
三項ハ贅物ト思フ株式デナイモノハ無形人デアルカラ連帶シテ行クヨリ外ニ仕方ガナイ、内輪ノコトハドウナツテ居ルカ分ラヌカラ
(淸岡委員)
株式デナクモ資本ノ高ヲ定メレバ出來ソウナモノダ
(尾崎委員)
第三者ニ登記公吿シテアレバ宜シウ御座イマシヨウカ、何屋ト云フ名デ取引ヲスレバ無限責任ニナルダロウ
(南部委員)
唯可笑シイノハ資本ヲ株式ニ分ツタトキハ此限ニ在ラズトシテ其外ノ有限責任ノ場合ハ云フデナイ
(委員長)
不充分ノトキカ、資本ヲ示サヌ場合カ、不確カナトキハ連帶シテ行ク、若シ銘々分擔定メテ一萬圓ヅツ分擔シ樣ト云フ契約ヲ定メテヤツタトキハ如何ト云フコ下ハ見ヘナイ
(尾崎委員)
假令バ十萬圓デ是レカラ先キハ出サナイト云フトキハ無限責任ニハ行カヌコトガ見ヘル樣デス
(委員長)
株式デ無クモ出來ソウナモノデス
(南部委員)
商法ノ方ハ合資會社ト云フモノハ無限ノモノモ出來ルガ大體ハ有限トアル
(淸岡委員)
合資會社ノトキ之ヲヤラレテハ困ル只損失ガ出來テ不充分ニナツタ處デ卽チ連帶シテ義務ヲ負擔シ又訴追セラレテ示サヌトキモソウナツテ來ルト株式會社ノ外ハ全體出來ナイカ知レヌ
(委員長)
註ニ何トアリマス
(南部委員)
株式ト云フノハ株式ト云フコトデナイカ知レヌ
(淸岡委員)
佛蘭西ノ八百六十二條ハ反對ノ樣ニ見ヘル
(南部委員)
之ハ社員ガ會社ノ負債ヲ連帶シテ負擔スル無形人デハナイ樣デス
(村田委員)
二項ノ場合ハ不充分ト示サヌ場合ダロウ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(南部委員)
之ハ大問題デス
(委員長)
合資會社ハ商法ノ方ハ無限モ有限モ出來ル樣ニナツテ居ル
(南部委員)
ソウデス、併シ有限ガ元トニナツテ居リマス佛蘭西ノ六十二條ハ間違ツテハ居ラヌカ
(栗塚報吿委員)
佛蘭西ノハ連帶責任ガナイト云フノヲ私ガ連帶責任トスルノハ何ゾ商事會社ヲ連帶ニシテ民事ヲ連帶ニシナイト云フコトハナイ、佛蘭西ノハ會社ノ債權者ハナイ社員ノ債權者ダト云フテ居ルガ私ハソウハ云ハヌ、無形人ヲ立ル以上ハ社員ノ債權者ト會社ノ債權者ト二ツ出來ル
(淸岡委員)
唯株式ニ分ツテナイトキハ總テ連帶スルノダロウ餘程危イ
(栗塚報吿委員)
尋常ハ連帶セヌゾヨ唯資本ノ不充分ナトキハ資本ヲ示サヌトキカデナケレバ連帶スル
(淸岡委員)
不充分ナ場合デ梯ヒ方ガ出來ヌト云フコトニナルダロウ、拂ヒ方ガ出來ナケレバ逐ニ分產スルカ戶ヲ閉ルカスルヨリ外ニ仕方ガナイ、其レヲ會社ノ負債ヲ連帶シテ償ハナケレバナラヌ
(南部委員)
株式ニ分ツタノト株式ニ分タズトモ有限ト云フモノハ茲ニ云テナイ
(栗塚報吿委員)
有限責任トシテ資本ノ不充分ナル場合デスカ
(南部委員)
ソウデス示サヌト云フノハ惡イガ、不充分ナル場合ト云フノハドウ云フモノダロウ、不充分ニナツテ連帶責任ヲ負ヘバ有限ト定メタ精神ガ分ラヌ
(淸岡委員)
株式ノ外ハ有限ヲ許サヌト云フ精神ダロウ
(栗塚報吿委員)
有限責任トシテアツタトキデモ矢張リ連帶ノ責ヲ負ウカ
(南部委員)
有限トナツタトキハ登記公吿ヲスルカラ示サヌト云フコトハアルマイガ、不充分ト云フコトハドウダロウカ
(委員長)
矢張リ聞カナケレバ分ラヌ
(栗塚報吿委員)
合資會社ナラ連帶ニ係リ樣ガナイ
(南部委員)
ソンナラ但ニテモアリソウナモノダ
(尾崎委員)
其レハ至極御尤モナ御不審ダ
(栗塚報吿委員)
資本ヲ株式ニ分ケタル外ニマダアルダロウ、有限責任スルコトヲ公吿シタルトキハ此限ニ在ラズト云フノデスカ
(南部委員)
ソウ云フ場合ガアルダロウト云フ、分ランケレバ聞イテ下サイ
(淸岡委員)
報吿委員デ今一應調ベテ下サイ
(委員長)
全體會社ノ資本ノ不充分ナル場合ト云フノハ何時カ分ラヌ、最初カラ不充分ナルトキカ終リニ債元カラ取り付ケニ來タトキカ分ラヌ
(南部委員)
註ニハ使ヒ盡シタ場合ノ樣ニ書イテアリマス
(委員長)
全體連帶責任ハ如何ナルモノカト云フト會社ダカラ連帶責任ヲ負ウ無形人ヲ爲サヌト云フト各箇ニナルカラ連帶責任ヲ帶ビ樣ガナイ
(淸岡委員)
會社ト論ズベキモノデハアルケレドモ寄合デ一ツノ無形ヲ爲ス位ノモノデ寄合デ合名シテ居ル名ヲ云タノカト思ハレマス
(委員長)
寄合テ居レバ會社デハナイ「淸岡組合」ト云テヤルト一箇人ノ組合ニナルカラ連帶責任ヲ持チ樣ガナイ
(尾崎委員)
私ト淸岡ト合シテ「尾淸組合」ト云フコトヲ認メテ第三者ガ金ヲ貸シテ居レバドウスルカ
(委員長)
其レデモ公然ノ式ニ依テ認メナケレバ貴君方ハ連帶責任デヤラナケレバナラヌト云フコトハ出來ナイ、此書キ方デハ云ヘルト云テアルガ、云ヘヌト云フノガ道理ダロウ
(栗塚報吿委員)
會社資本ノ不充分ナル場合ト云フノハ唯無クナツテ來タ場合デハアリマセン、前項デハ「無形人ヲ成ストキハ各社員ノ一身上ノ債權者ニ先タチ會社資本ヲ以テ擔當セラル」トアツテ金ヲ取テ仕舞フ、金ヲ取テ足ラザルトキハ社員ニ係ルゾヨト云フ所デス、其トキ社員ニ先ダチテ會社ノ資本ニ係テ行ク、偖會社ノ資本ニ係テ取立テ足ラザルトキハ總社員ガ後トヲ逐ハナケレバナラヌト云フノデスソウ云フ處ノ資本ノ不充分ナル場合デス
(尾崎委員)
詰リ同ジコトダ
(栗塚報吿委員)
有限責任デモ總社員ガ連帶シテ責任ヲ負ハナケレバナラヌガト云フコトハ云テ居リマセン
(委員長)
兎ニ角今一遍調ベテ起草者ニ聞イテ貰ヒマシヨウ
(栗塚報吿委員)
註デハ資本ガ不充分デ示サナイトキハト云フ樣ニ書イテアリマス
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
本條修正ハ報吿委員ノ修正ニ決シ第二項會社ノ資本不充分ナル場合ニ總社員連帶責任ヲ負フトキハ有限ノ精神ニ背反スルヲ以テ起案者ニ質問スルコトニ決ス
第七百九十二條朗讀ス
第三節 會社ノ絕止
第七百九十二條 會社ハ左ノ諸件ニ因リ當然了終ス
第一 會社ノ契約セラレタル時期ノ滿了又ハ會社ノ服スル解除條件ノ成就〔第千八百四十四條、第千八百六十五條第一號〕
第二 會社ノ目的タル作業ノ成功又ハ右成功ノ不能〔第千八百六十五條第二號〕
第三 拂込ミタル會社資本ノ全部又ハ半以上ノ滅失〔同上〕
第四 社員ノ一人ノ爲メ勞力又ハ收益ニ於ケル其繼續ノ出資ヲ爲スコトノ不能
第五 社員中一人ノ死亡、治產禁、宣言セラレタル破產又ハ顯然ノ無資力但第七百九十五條ニ記載シタルモノヲ妨ケス〔第千八百四十四條、第千八百六十五條第四號〕
(修正案) 第一號「會社ノ契約セラレ」ヲ「會社契約ヲ以テ定メ」ト改メ「會社ノ服スル」ノ六字ヲ刪ル第二號「右」ヲ「其」ト改ム第四號「爲メ」ノ二字ト「其」ノ一字ヲ刪ル第五號「治產禁」ヲ「禁治產」ト改メ「顯然ノ」ヲ「顯然タル」ト改ム
(栗塚報吿委員)
修正ガ御座イマス
(村田委員)
「絕止」ハ皆「解散」トナツテ居ル
(栗塚報吿委員)
同ジ字デス解散ト止ムト二ツニ區別シテアルノデス
(村田委員)
「止ム」ト云フノハ何處カニアリマスカ
(南部委員)
了終デス
(栗塚報吿委員)
次ノ條デハ解散ヲ得、此處デハ終リヲ云ヒマス
(村田委員)
ソウシテ見レバ英文ハ惡ルイ、併シナガラ前ノ方ノ解散ノ所ニハ了終モ入テ居ルデシヨウ
(栗塚報吿委員)
ソウデス止ムトキト解散ノトキデス
(村田委員)
ソウスルト前ノ解散ガ少シ隱カデナイ
(栗塚報吿委員)
七百九十三條モ訴權ニ依テ止ムト云フノト同ジデス
(村田委員)
訴權ニ依テ止ムノハ解散デシヨウ
(南部委員)
商法ノ會社ハ禁治產デハ終ラヌ
(栗塚報吿委員)
死亡デモ終リマスマイ
(南部委員)
默ツテ居レバ終ラヌ其者ガ退イタ者ト見ルカラ大層ナ差ヒダ
(委員長)
會社ノ一人ガ止メタラ其レデ當然了終スルト云フコトカ
(栗塚報吿委員)
人ヲ目的ニシタル會社ダカラト云フノデス
(南部委員)
一體商法ハ人ガ死ンデモ如トモ思テ居ラヌ
(委員長)
彼ノコトヲ「カルクード」ガ云フタコトガアル、會社ハ畢竟合名會社ト云フモノハ元ト人ヲ信ジテ成ルノダカラ其人ガ死ンデハ一ツノ社ト云フモノハ恰モ人ノ身體ノ一本ノ手ガ無クナツタ樣ナモノデ元トノ形チヲ失ツテ來ルカラ、後ニ如何ナル無能力者ガ出ルカドウダカ分ラヌ少々人間デモ跡ヲ繼イデ行クノハ社員ガ折合ヘバ宜シイガ、折合ハザルトキハ止メナケレバナラヌ道理ト思フ、其レヲ商法デ續イテ行クノハ理ニ合ハヌト云フテ居リマス
(栗塚報吿委員)
其處デ御座イマス、人デ成立テ居ル會社ハソウナケレバナラヌ、併シ合資會社ナレバ構ハヌ
(淸岡委員)
ソウ云フ會社バカリト云フノハ分リマスガ
(南部委員)
七百五十九條ニ株式ハ除ケテアル
(淸岡委員)
處ガ無形人ヲ成シテ居ル會社トデモ云フ樣ナ課ニナツテ矢張リ此通リシナケレバナラヌト云フト實際甚ダ困ルデハナイカ之レ々々ノ會社ハ當然止ムト云フ樣ナコトデモナケレバ
(南部委員)
合意丈ケハ許シテアリマス其レガ嫌忌ナラ初メ合意シテ置ケバ宜シイ
(栗塚報吿委員)
商法ノハ無理ダロウト思ヒマス
(委員長)
「カルクード」モ何國ノ法律デモ日本ノ商法草案トハ反對ニナツテ居ル、當然出來ナイト云フコトヲシテ合意シタトキハ此限ニ在ラズトシテアルノヲ何時デモ入ラルルト書イテ合意シタノハ別段ト云フテアルカラ恰度裏ニナツテ居ルト云フテ居ル
(栗塚報吿委員)
西サント淸岡サント私ト三人デヤルト西サンノ考モ必要、私ノ考モ必要、淸岡サンノ考モ必要、三人ノ良イトスルモノヲ集メテ人ガ信ジタルトキハ一人ノ人ノ缺ケレバ人間ノ身體ニ喩ヘテ見レバ頭マガ無クナツタノカモ知レヌ、其レヲ他ノ人ヲ持テ來テ置キ換ヘルコトガ出來レバ其レハ新規ノ會社デ昔シノ會社デ無イト云フ
(淸岡委員)
全部ノ滅失ハ仕方ガナイガ、半バ以上ノ滅失デ止ムト云フノモ困ル
(委員長)
此中ノ株式ハ素ヨリ良イケレドモ一體出資ヲシテ居タ者ガ人ガ死ンダカラト云テモ其レデ止ムト云フノハ可笑シイ
(栗塚報吿委員)
其レハ合資會社ダカラ構ヒマセン
(村田委員)
有限責任ハ民法デハ見ナイノダロウ
(栗塚報吿委員)
ソウデス
(委員長)
合名會社ナレバ「カルクード」ノ論ガ理デス
(尾崎委員)
ソウデス
(南部委員)
代ハラシムルコトガ出來ルト云フノハ商法ノ九十八條デス唯死ンデ仕舞ツテモ會社ハ解散センデス
(委員長)
解散スルトセヌハ「カルクード」ハ云ハヌガ、跡カラ出テ來ル人間ガスル權利ヲ持テ居ルト云フノハ訝シイト云フノデス
(南部委員)
契約ヲシテアレバ格別、死ンダトキ會社ガ解散セヌトハ獨乙デモソウハナツテ居ラヌカラ新案ダロウ
(淸岡委員)
私ハ解散セヌ方ガ良カロウト思フ併シ其者ガ必要デ解散シナケレバナラザルトキハ無論ダケレドモ當然解散シナケレバナラヌト云フコトニナルト不便ト思フ
(栗塚報吿委員)
夫婦ハ夫婦契約ダカラ一人死ネバ夫婦トハ云ヘヌ
(南部委員)
會社ノ資本ガ段々減ジテ來ルカラ永續ハ出來ナイ
(委員長)
「當然了終ス」ト迄云ハズトモ良カロウト思フ、若シイケナケレバ會社ガ自ラ止メルカラ第四號五號ハ佛蘭西モ此通リカ
(淸岡委員)
社員中ノ死去禁治產カ
(南部委員)
同ジ樣ナコトデスガ不能ハアリマセン
(栗塚報吿委員)
會社ガ終ルト云フト會社ノ事業ガ止ム樣ニナルガソウデハアリマセン、其人ガ死ネバ今迄成立テ居ル契約ガ止ンデ新規ノ契約ガ成ルト云フノデス
(委員長)
會社ガ成立テ新規ニ組立ルコトニナル、ソウスルト契約シタ事モ何モ仕換ヘナケレバナラヌ
(南部委員)
ソウデス
(委員長)
新規ニ當ルカ當ラヌカ、一人死ンダトカノ爲メニ會社ノ總計算ヲヤラナケレバナラヌト云フノハ分ラヌ
(箕作委員)
「ロエスレル」ハ其レヲ云テ居リマス
(委員長)
之モ報吿委員デ調ベテ貰ヲウ
本條ノ修正ハ報吿委員ノ意見ニ決シ尙ホ商法ト牴觸ノ廉アルヲ以テ報吿委員ニ於テ調査スルコトニ決ス
午後第零時十五分休憩
午後第一時開會
(委員長)
ヤリマシヨウ
第七百九十三條朗讀ス
第七百九十三條 會社ハ左ノ諸件ニ因リ解散セラルヽコトヲ得
第一 總テノ場合ニ於テ總社員ノ一致ノ意思
第二 會社ノ爲メ明示又ハ默示ノ定マリタル期間ナク且其他請求カ惡意ヲ以テモ又不都合ナル時期ニ於テモ爲サレサルトキハ社員中一人ノ意思〔第千八百六十五條第五號第千八百六十九條、第千八百七十條〕
第三 社員中一人ノ義務不履行ニ基キタル解除ノ訴又ハ會社ノ爲メ定マリタル期間アルトキト雖モ正當ノ理由ニ基キタル解散ノ請求〔第千八百七十一條〕
(修正案) 第二號「其他」ノ二字ヲ刪リ「解散ノ」ノ三字ヲ加フ
(栗塚報吿委員)
第一ハ「總テノ場合ニ於テ社員ノ一致ノ意思」ト致シマス
(委員長)
「一致ノ意思」ノ方ガ良カロウ
(栗塚報吿委員)
ソレカラ第二ハ「且其他請求カ」ヲ「且解散ノ請求カ」ト致シマス
(南部委員)
商法ニハ一人ノ意思デ止ムト云フコトハナイ
(委員長)
「不都合」ト云フノハ
(栗塚報吿委員)
不都合ハ不適當ノ意味デス今解散デモスルト大變損ガ行キマス、其レカラ何カ社會ニ騒動デモアツテ今解散スルト會社ノ損毛ノ無イ場合デス、大變相場ノ下落シテ居ルトキニ解散シテハナラヌ
(尾崎委員)
惡意ヲ以テモカ
(委員長)
惡意ヲ以テモ爲サレタルカ又ハ不都合ノ時期ニ於テカデナケレバ一人ノ意思デ出來ル
(栗塚報吿委員)
不都合ト云フノハ相場ノ變動ノアルトキ、商業上ノ變動、會計上ノ變動、政治上ノ騒動デモアルトキニ當リ會社ノ財產ヲ賣ルト損ヲスルカラデス
(淸岡委員)
前ニモ斯樣ナ文例ガアリマスネ
(栗塚報吿委員)
「社員中ノ意思但何々スルトキニ限ル」トシテモ宜シウ御座イマス、原文ニハ其方ガ適ヒマス
(南部委員)
社員中一人ノ意思ト云フト前ニ一致ノ意思トシテ後チニ但ト入レテハ良クナイ
(淸岡委員)
却テ權衡ガ良クナル
(南部委員)
此所デハ明示默示ノコトガ骨ネニナツテ居ル
(栗塚報吿委員)
社員中一人ノ意思ガ骨ネデス
(村田委員)
此方ガ原文ニ適テ居ル
(南部委員)
但ト云フ場合デハナイデス
(栗塚報吿委員)
惡意ハ誰ノ惡意カト云フト社員中一人ノ惡意デスカラ社員中一人ノ意思ヲ先キヘ出ス方ガ分リマス
(南部委員)
ソウスルト第三モ訝シクナル
(栗塚報吿委員)
原文ニ會社ノ爲メ定マリタル期間アルトキト雖モ解散ノ請求社員中一人ノ義務不履行ニ基キタル訴ノ解除ノト書イテアルノデス、其レカラ解散ノ請求正當ノ理由ニ基キタルトキ但會社ノ爲メ定マリタル期間アルトキト雖モ亦同ジトアリマス
(委員長)
良ケレバ先キヘ行キマス
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第七百九十四條朗讀ス
第七百九十四條 當事者ハ會社ノ存續期ノ滿了セサル前ニ明示又ハ默示ニテ之ヲ長伸スルコトヲ得
又默示ノ長伸ハ定マリタル時期ノ滿了後ニ於テ會社業務カ何レノ社員ノ故障モ無ク繼續セラレタル事實ヨリ生スルコトヲ得
此場合ニ於テ長伸セラレタル會社ハ第七百九十三條第二號ニ從ヒ一人ノ社員ノ意思ヲ以テ解散セラルヽコトヲ得
(修正案) 第一項「當事者」ヲ「社員」ト改メ「存續期」ヲ「期間」ト改ム
(栗塚報吿委員)
「當事者」ヲ「社員」ト改メ「存續期」ハ「期間」デ良カロウト思ヒマス、會社契約ヲ以テ定メタル時期ノ滿了ト云フコトガ御座リマシタ、ソレカラ此前ニ「期間ナク」ト云フコトガアリマシタ彼ノ「期間」ト云フ字ヲ取リマシテ「期間」ト致シマシタ「七百九十三條」トアルハ「前條」デ宜シカロウト思ヒマス
(村田委員)
此條モ良カロウ
(栗塚報吿委員)
「長伸スル」ハ種々論ガ出マシタガ仕方ガ御座イマセン、「伸スコトヲ得」ト云フ動詞ニシテモ同ジコトデス
(南部委員)
訴訟法ニハ「伸長」トアリマス
(淸岡委員)
第一項ニ期間ト書イテ二項ニ「時期」トアルガ孰レモ「期間」トシタラ良カロウ
(栗塚報吿委員)
二項ハ「時ノ滿了」ト致シ度イノデ御座イマス
(淸岡委員)
總テ「期間」ト云フテアル
(栗塚報吿委員)
「期間」ト「時期」トハ原文ヲ違ヘテ居リマスガ、期間トナスツテモ宜シウ御座イマス
(委員長)
期間トシ樣
(淸岡委員)
此一人ノ社員ノ意思ト云フ此場合ニ於テハ
(栗塚報吿委員)
前ノ第二ノ處デス
(淸岡委員)
第二ニ條件ハ入ラヌカ
(栗塚報吿委員)
入ルカラ第二號ニ從ヒトヤツタノデス
(淸岡委員)
ソンナラ御無用ナ話シデ、大體九十三條デ定ツテ居ル此處ヘ殊更ニ云ハズトモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
時ガ來テカラ又會社ガ起ルガ、誰モ故障ヲ云ハナケレバ何處迄續クカ分ラヌ
(淸岡委員)
ソンナラ一致ノ意思ト云フコトモ入レナケレバナラヌ、第一第二第三共ニ入レナケレバナラヌ
(栗塚報吿委員)
此處ヘ之ヲ入レタ意ハ明示又ハ默示ノ期間ノ定ツタ場合ニ至ラヌカラト云フノデス
(栗塚報吿委員)
初メカラ明示デモ定メテナイト云フノデハナイ其日ガ到着シテ先キ々々迄續イテ行クトキハ
(南部委員)
前ニハ默示ノ期間ハ無イ場合デ、此處ハ有ル場合デス、併シナガラ一人ノ社員ノ意思ヲ以テ解散スルコトガ出來ルト云フノデスカラ若シ無イト二項ガ入テ仕舞ヒマス
(淸岡委員)
初メノ長伸デ期間ガ過ギテ仕舞ツタカラ其後ハ幾ラ續クカ分ラヌ
(南部委員)
期間ノ定マツタルモノガアルカラ其レヲ伸スト元トノ期間デヤルカト云フト左樣デハナイ
(栗塚報吿委員)
書テアルカラ明亮ナコトデハナイカト仰セラレマスガ、若シ之ガナイト前ニ云フノハ始メテ時ヲ定メザル場合、之ハ時ヲ定メテアツテモ彼ノ條ニ依テ一分ノ社員デ解散ガ出來ルト云フノデ御座イマスカラ必要デス
(村田委員)
有ル方ガ宜シイ
(淸岡委員)
ソンナラ一致ノ意思モ云ハナケレバナラヌ
(南部委員)
其無理ナ話シダ
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第一項報吿委員ノ修正ニ決ス第二項「時期」ヲ「期間」ト改メ「第七百九十三條」ヲ「前條」ト改ム
第七百九十五條朗讀ス
第七百九十五條 會社資本カ讓渡ヲ許シタル株式ニ分タレタルトキ第七百九十二條第五號ニ指定シタル原由ノ一カ株主中一人ノ一身ニ生スルニ於テハ右ノ原由ニ因ル會社ノ解散ナシ
又他ノ會社ニ於テハ右ノ原由カ會社ノ解散ヲ行ハスシテ會社ハ社員タルヲ止メタル者ノ持分ヲ定メテ他ノ社員ト共ニ繼續スヘキコトヲ合意スルコトヲ得又會社ハ死亡シタル社員ノ相續人又ハ無能力若クハ無資力ト爲リタルモ合式ニ代理セラレタル社員ト共ニ繼續スヘキコトヲモ合意スルコトヲ得〔第千八百六十八條〕
(栗塚報吿委員)
之ハ起案者ニ質問シテヤリマシタ處ガ起案者カラ返答モ參リマシテ絵程修正シテ來マシタ然ルニ其レハ昨日參ツタバカリデ修正スル暇モナシ今村ガサツト翻譯ハ致シマシタガ報吿委員デモ之デ御決シ下サイトハ申サレマセンカラ此次ニ御議決ヲ願ヒマス、之デハ無能力者無資力者デ未ダ不完全ノ樣ニ思フ相續人ノコトニ付イテモ相續人ハ幼年者デアルトカ其他幾ラモ之ニ類シタ場合ヲ擧ゲナケレバナラヌ、之デヤルト社員ノ無能力者ニナツタ場合ガ此處ニ云フテナイガドウ云フモノダロウ、失錯デハナイカト問フテヤリマシタ處ガ其意ニ從テ改メ樣カラ其代ハリニ斯樣ナル文章ヲヤルト云フテ寄越シマシタ其通リデモイケマスマイガ、多少文字ヲ修正致シマスカラ本條ハ留保ニ願ヒマス
(南部委員)
其レハ二項ノコトデスカ
(栗塚報吿委員)
一項二項共ニ改メテ來マシタカラ此次ノ會ニ出シマス
(委員長)
其レデハ先キヘ行キマス
本條ハ起案者ニ於テ改案セシヲ以テ他日議スルコトニ決ス
第七百九十六條朗讀ス
第四節 會社ノ淸算及ヒ配當
第七百九十六條 會社解散ノ後ハ社員ノ各自又ハ其承權人ヨリ淸算ヲ請求スルコトヲ得
淸算ハ配當前ニ之ヲ爲スコトヲ要ス但社員ノ多數カ全部又ハ一分ノ配當ヲ先ニスルコトヲ請求シタルトキハ此限ニ在ラス
又會社ノ各債權者ハ淸算前ニ配當ヲ爲スコトニ付キ故障ヲ申立ツルコトヲ得
(村田委員)
此但ハ商法ト違ヒハシマセンカ
(南部委員)
商法ノ精神トハ違ツテ居ル
(尾崎委員)
之ハ質問シナケレバナラヌ
(栗塚報吿委員)
併シナガラ故障ヲ申立ルコトガ出來ル
(南部委員)
知ラナケレバ出來ナイ
(淸岡委員)
故障ハ云フタガ取テ仕舞ツタト云フ樣デハ困ル
(南部委員)
商法ノ百三十二條ヲ見ルト「總社員又ハ社員ノ一分ニテ會社ヲ保護スルコトヲ得但社員ノ一分ニテ保續シタルトキハ其脫去ノ社員ハ退社シタルモノトス」トアル
(栗塚報吿委員)
其レハ第三者ヲ害サヌカラデス
(淸岡委員)
ソレカラ配當シテカラモ社員ガ義務ヲ携當スルト云フコトモアリマシヨウ
(南部委員)
御座イマス
(栗塚報吿委員)
分配シタトキデモ義務ヲ負ウト云フコトガ先キノ方ニ御座イマス、之モ商法デハ精算前ニ配當ヲ許シマセンカラ牴觸デ御座イマス彼ノ條ト一緒ニ調ベマシテハ如何デス
本條ハ商法第百三十二條ト牴觸ニ付報吿委員ニ於テ調査スルコトニ決ス
第七百九十七條朗讀ス
第七百九十七條 淸算ニハ左ノ諸件ヲ包含ス
第一 始メタル業務ノ成就
第二 會社債務ノ辨濟及ヒ第三者ニ對スル其債權ノ回收
第三 各社員ト會社トノ間ノ特別ナル計算ノ定方
第四 配當スヘキ貸方又ハ負擔スヘキ借方ニ於ケル各社員又ハ其代人ノ持分ノ指定
(栗塚報吿委員)
第二ハ「會社ノ債務ノ辨濟」ト致シマス
(村田委員)
裁判所デ解散ヲ言渡サレタラ其時ヨリデシヨウ
(栗塚報吿委員)
一致デ止メレバ今日カラ止メル
(村田委員)
ソウスルト戶ヲ閉メタトキカラ止メマスカ何時カラ解散ニナリマスカ
(栗塚報吿委員)
裁判所カラ言渡サレレバ言渡サレタトキ、相談シテ止メレバ相談シテ極メタトキデス
(淸岡委員)
解散ト云フ字ガ惡クハナイカ
(南部委員)
解散デス精算中ハ一ツノモノニナリマスカラ無形人ダト精算中ハ未分ノ部分ニナル
(村田委員)
詰リ戶ヲ閉メタトキ卽チ看板ヲ下シテ支佛ヲ止メタトキダ、寺間法ハ支拂ヲ止メタトキデス
(淸岡委員)
ソウデス初メタル業務ノ成就ト云フノハ
(村田委員)
仕掛ツタコトハ何處迄モヤツテ仕舞ハナケレバナラヌ
(栗塚報吿委員)
開墾シ仕掛ケタ物ハ開墾シテ仕舞ハナケレバナラヌ
(淸岡委員)
仕事ノ成就ト云フコトカ
(南部委員)
ソウデス、始メテナケレバイケナイ
(委員長)
良ケレバ先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第二「會社債務」ヲ「會社ノ債務」ト改ム
第七百九十八條朗讀ス
第七百九十八條 淸算人ノ選定及ヒ其權限ニ關スル結社契約ノ約款ハ若シ右ニ付キ妨碍ノ生セサリシトキハ之ヲ遵守スルコトヲ要ス
右ノ約款ナキトキハ淸算ハ或ハ總社員ニ因リ或ハ社員ノ一致ヲ以テ選任シタル一人又ハ數人ノ社員ニ因テ爲サレ又ハ社員ノ一致ヲ以テ選定シタル第三者ニ因リテモ爲サル
若シ社員カ淸算人ノ選定ニ付キ一致スルコトヲ得サルトキハ裁判所ニ於テ之ヲ選任ス
(淸岡委員)
之モ一致セザルカ
(栗塚報吿委員)
一致セザルガ宜シカロウト思ヒマス
(委員長)
第三者ニ依テ之ヲ爲スカ
(栗塚報吿委員)
前ニ「數人ノ社員ニ依テ爲サレ」トアリマスカラ「社員ニ依テ之ヲ爲シ第三者ニ依テモ之ヲ爲ス」デ御座イマス
(南部委員)
商法ノ百二十九條ト牴觸シマス
(淸岡委員)
是レ等ハ頭數ガ多イト六ケ敷クナル
(村田委員)
「社員ノ一致ヲ以テ依囑シタル」カ
(栗塚報吿委員)
「選任」デ御座イマス原文ノ通リ課セバ委任シタルデス
(淸岡委員)
上ニモ選任トアル
(南部委員)
「一致スルコトヲ得サル」ハ「一致セサル」トシ樣
(委員長)
「總社員ニ因リ社員ノ一致ヲ以テ」トドレ丈ケ違ウカ
(栗塚報吿委員)
總社員デ之ヲ爲スカ、選任シタ一人デスルカデス
(委員長)
「或ハ總社員ヨリ之ヲ爲シ或ハ社員ノ一致ヲ以テ選任シタル」カ
(栗塚報吿委員)
「社員ニヨリ」トシテ「選任」ハ「委任」ト致シマシヨウ
(委員長)
「委任シタル」ガ宜シイ
(南部委員)
選任ト委任ト括メテ選定ト見レバ宜シイ、終リハ「選任」デ宜シイカネ
(栗塚報吿委員)
アレハ「選任」デ御座イマス
(委員長)
一項ハ無クテモ宜シイ樣ダ、其事ヲ云ヒ出ス爲メニ書イタノダロウ
(栗塚報吿委員)
「淸算人ノ選定及ヒ權限ニ關スル會社契約ノ約款ハ之ヲ遵守スルコトヲ要ス」ト云フノデス
(村田委員)
但ニシテモ宜シイ
(南部委員)
ソウスルト尙ホ分ツテ居ル
(委員長)
云ハンデモ良イコトダ
(栗塚報吿委員)
「會社契約中淸算人ノ選定及ヒ其權限ニ關スル約款ナキトキハ淸算ハ或ハ總社員ニ因リ」トシマセウカ
(淸岡委員)
其レハ大普請ダ
(委員長)
ソウ修正シマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
會社契約中淸算人ノ選定及ヒ其權限ニ關スル約款ナキトキハ淸算ハ或ハ總社員ニ因リ或ハ社員ノ一致ヲ以テ委任シタル一人又ハ數人ノ社員ニ因リ之ヲ爲シ又ハ社員ノ一致ヲ以テ選定シタル第三者ニ因リテモ之ヲ爲ス若シ社員カ淸算人ノ選定ニ付キ一致セサルトキハ裁判所ニ於テ之ヲ選任ス
于時午後第二時十分閉會