旧民法・法例(明治23年)

法律取調委員会 民法草案議事筆記 第46回

参考原資料

備考

  • 未校正のテキストデータです.
民法草案財產編用收權再議ノ部第四十六回議事筆記
自第五百八十六條至第六百一條
(委員長)
始メマシヨウ
報吿委員修正案朗讀ス
第五百八十六條第一項左ノ如ク改ム父母ノ法律上ノ用收權ハ常ニ保證ヲ免除セラル
(尾崎委員)
日本デハ親ノ財產ヲ子ガ持タヌト云フコトハアリマセン
(淸岡委員)
私等ハ刪除說デス
(今村報吿委員)
大抵佛蘭西ト大同小異デ、母ガ死ヌルカ父ガ死ヌルカシテ一方死ヌト財產ハ誰ニ屬スカ子ガアレバ子ガ相續スル扨母ガ財產ヲ遺シテ死デ其子ガ財產ヲ相續シタ時分ニハ父ガ用收權ヲ持テ居ルノデス
(淸岡委員)
西洋ノ有樣ヲ以テ今日ヲ論ズルトアロウケレドモ我國ニハ斯樣ナコトハナイ
(今村報吿委員)
ソウ云フコトナレバ民法ヲ廢スノデス
(栗塚報吿委員)
親子ノ關係デ論ズルコトハ出來マセン財產ノ關係デ論ジナケレバナラン
(今村報吿委員)
夫婦財產ヲ別ニスルト夫婦ノ間已ニ財產ノ分離シタ以上ハ母ノ財產ハ斯ウトカ或ハ父ノ財產ハ子ガ持テ母ガ存命ヲ居ル内ハ父ノ亡タ時分ハ用收權ヲ持テ居ルトカ資力ノナイ時分ニハ多少ドウカシナケレバナラン
(淸岡委員)
ソンナコトハナイ、仕樣ガナイカ知レヌケレドモ殆ンド日本ノ慣習ニ背反シタコトデ只理窟ヲ論ズルトコウシナケレバナランカハ知ランガ、マア殆ンド親ト子ノ間ニ斯樣ナ法律ヲ先以テ立ルト財產上ノ權利ニ付テハ全ク親子引別シテ仕舞テ彼レハ彼レ我ハ我レト云フ有樣ニナツテ親父デモ保證人ガナケレバ用收權ヲ與ヘヌト云フコトニナル
(渡委員)
之丈ケハ云ハヌデ置キ度親ガ必ラズ無資力ニナツテモ保證ヲ立ツルニハ及バヌトモ云ハズ濟ムナレバソウシタイ
(尾崎委員)
云ハズ置キタイ
(栗塚報吿委員)
此條ヲ立タ所デ起案者ノ考ヘデハ日本ノ今日ノ風俗トカ親子ノ關係ハ見テ居ラヌト思フ理窟一遍デ財產ト云フモノハ保護スルト云フガ只眼中ニアルノミデアルト思ヒマス
(渡委員)
財產上カラ云フト親子ハ別ダカラ、已ニ別ニナル以上ハ理ニ於テ動カヌダラウカ云ハズニ濟メバドウゾ之丈ケハ調ハズニ置イテ貰イタイ希望デアリマス
(淸岡委員)
徳義上ニ大變關係スル、議論スレバ斯ウ云ウ道理ニナルカモ知レヌガ併シ今日デモ親父ガ引繼テ居リマス
(渡委員)
親子デ裁判スルモアロウケレドモ、前項ニハ已ニ父母ハ保證ヲ免除セラルト云テ後項デ無資力ノ場合ニ於テハ保證人ヲ立ナケレバナラント云フガ之丈ケハ無シニシテ貰イタイ
(栗塚報吿委員)
全ク起案者ハ理窟一遍デ、親子ノ關係ヲ見ズニ書イタモノデアリマス、佛蘭西ニモ實ハナイノデアリマス
(渡委員)
財產上ノ關係ニハ相違ナイ
(今村報吿委員)
之ガ工合ガ惡イト云フト親ガ子ノ財產ヲ管理スル方ハ人事編デ出來ルガ尤モ保證人ヲ立ルコトハナイカモ知レヌガ一厘一錢デモ勘定ヲ立ナケレバナランハ當リ前ノ話デ親子デモ財產上ハ別ノ人デスカラ管理シテヤツタラ子ガ成人シタ時分ニハ還シテヤラナケレバナラン其トキニハ此レ丈ケハ己レガ遣リ過ギタト云ハナケレバナラン
(渡委員)
其勘定ハ如何ニモシナケレバナランガ此所ハ子ガ親ヲ信ジナイ所デ故ニ保證人ヲ立ナケレバナラン
(今村報吿委員)
法律ガ信ジナイノデアリマス
(渡委員)
ケレドモ畢寛要點ハ子ガ親ヲ信ジナイカラ他ノ人ヲ保證人ニシテ貰テ子ニ對テ立ルノデス
(栗塚報吿委員)
貴君方之ヲ刪除スルナレバ御考ヘニ入レテ置カナケレバナランガ父母ノ債主ト云フ者ハ追テ算用ノ内ヘ入レナケレバナラン無資力ニナツタトキハ父母ノ債主卽チ第三者ガアル保證人ガナイトソレガ子ノ財產ヲ蹂躪シテ仕舞恐レガアリマス
(尾崎委員)
ソレハアリマシヨウ
(栗塚報吿委員)
無資力ニナツタトキニ保證人ガアツタノデ子ノ財產ハ全イカ若シ保證人ノナイトキハ子ガ可愛カラ錢ヲ殘スカハ知レタガ父母ノ債主カラ見ルト子ニ對シテハ何デモナイ
(淸岡委員)
子ハ助カルガ保證人ハ潰レルト云フノデス
(委員長)
父母ノ財產無資力デアリマス、親ガ遣テ居ル、子ノ財產ヲ親ガ遣ツテ居ルト云フノハ已ニ其子ノ學校費モ無イ迄ニナルト云テモ仕樣ガナイ保證人ヲ立テ居レバ親ガ無資力デモ此丈ハ養料ニ必要ダカラシナケレバナラント云フコトガ出來ルノデ若シナイト親ガ馬鹿ナ奴カ狡猾ナ奴デアルト子ノ教育所デハナイ自分ノ住居デモ爲メニ無クスカモ知レヌカラ
(淸岡委員)
親ガ持テ居ル内ハ制限シテハイカヌ
(委員長)
併シナガラ親ガ必ズ持テ居ル許リデナイ外ノ兄弟ヤ伯父ノ分與ヲ得タリスルコトモアラウソウシテ子ノ物ニナツテ居ルノデシヨウ
(淸岡委員)
ソレナレバ父母ノ財產ノ外他カラ相續シタ財產ニ對シテハ保證人ヲ立ルトカ云フ樣ニシテハ如何
(委員長)
其區別ハ付カヌデス
(淸岡委員)
併シ他カラ貰タ物迄モ親ノ債主ニ取ラルル恐レガアルカラ他カラ貰タ物丈ニ付テハ保證人ヲ立ル樣ニシテ置ケバ宜シイト思フ、元ト親ノ讓タ物デスカラ日本ノ有樣ヲ以テスルト伯父カ伯母ダノガ着物ノ二三枚位ヒ分與スルハアルガ田地田畑マデト云フハ幾ンド聞カヌ位イデソレ等ノコトヲ虞テ親カラ遣タ物ヲモ已ニコウナルト親父ガ死ヌル迄ハ子ニハ財產ハ相續サセヌト云フ樣ニナリマス
(委員長)
親ガ無資力ニナレバ仕方ナイガ財產ヲ持テ居レバ用收權ヲ得ラルルノデス
(淸岡委員)
併シ親ガ分テ財產ヲ殊ニシテ親ガ好ナ商賣デモシテ遣リ損デ遂ニ親父ノ方法モナクナツタ上ニハ如何デシヨウ
(委員長)
中途カラソウ云フノモアロウガ併シ定メルトキハ親ガ無資力ニナレバ子ニ遣ル物ガナイノデ併シ前ニ贈與者ガ在テ親ガ自分ノ財產デナイ物ヲ最初カラ子ニ分ツ物ヲ定メテ置イテ贈與シタ物ニ就テ子ノ教育ヲシナケレバナランカラ
(淸岡委員)
明地ニ出シテ仕舞テハ父子ノ情合倫理上ノ關係ガ乏シクナツテ一モ二モナク法律デ引立テラルル樣ニナルノハ甚ダ槪嘆ノ至リデス
(委員長)
ソコハアルノデス併シ善良ノ親ト無資力ニナツテ仕方ガナイノトアリソレヲ法律ガ保護シナケレバナランデシヨウ、子ガ親ニ對シテ保證人ヲ立ナケレバナラントハ云ハレマイデシヨウガ法律ガ許サヌト云フ以上ハ何ウモ親モ致方ハナイ法律ニ書イテアレバ云ヘルガ子カラ親ニ對シテ云フベキデモナシ又子カラ保證人ヲ立テロト云テモ迚モ出來ハシマセン
(淸岡委員)
財產相續ハ死デカラノコトデスカ
(委員長)
左樣デス
(淸岡委員)
今日ハ生テ居ル内家名相續スル、スレバ則チ子ガ戶主デ親ハ隱居デアリマスカ何ウナルカ
(委員長)
隱居モ矢張置ク積リデアリマスガケレドモ隱居ト云テモ自然別居シタト云フ理窟デ矢張自分ノ財產ヲ以テ自分デ一ノ財產ヲ支配シテ行クコトノ出來ル樣ニシテ元ト戶主ダガ財產ナシデ子ノ厄介ニナルコトハ止メルト云フ樣ナ旨意デ御座イマス
(淸岡委員)
成程、是カラハ若シコウナルト死ヌル迄ハ子ニ財產相續ハサセヌトナル、爲ルト保證人ヲ立タリ何カシナケレバナランカラ、マアマア死ヌル迄ハト云フノデ自分ノ持テ居ル丈ハ置クト云フ樣ニナリソウデス
(委員長)
調フハ親ガ財產ガアレバ成丈持テ居ルガ當然ダガ子ニ幾ラカ、今日本デモ近來郵便、貯金所ガ出來月ニ幾許ヅツカ積ムトカ云フノガアルアア云フ流義ニシテ子ノ財產ハ親爾人デ働イテ居ル中ハ積ムトカ或ハ何カ都合ニ依テ財產ヲ放シテ置ク樣ナコトガアルト子ノ財產モ出來テ來ルノデソレカラ親戚中ヤ何カラ贈與サレタリシタ物ハ其者ノニナリ、未成年者ノ中ハ親ガ管理スルカ親ガ確カナレバ宜シイガ無資力ニナルト困ルカラ
(淸岡委員)
壯年デスケレドモマア息子モ家政ガ執レル財產ヲ讓テモ大丈夫ト見据ヘガ着イテカラ讓ル現今ノ有樣デ、彼ノ男モモウ隱居ニナツタト人ニモ云ハレ確カナ子ニ財產ヲ讓タト云ハレルガ老後ノ榮トナツテ居ルノデスカラ一本立ノ出來ヌ子ニ相續サスルコトハ止ヲ得ザル事情ノアル場合デナイト親ガ後見シテ財產ヲ蕩盡スル抔ハ珍ラシイコトデス
(委員長)
讓タノデハアリマセン日本ノ是迄ノ家名相續ノ理窟トハ少シ違フ親ハ親デ財產ヲ持テ居ル子ハ子デ財產ヲ持テ居ル子ガ丁年ニナレバ子ハ自分ノ財產ヲ立テ行クノデ親子財產ヲ別ニスルガソレ迄ノ管理ヲ云フノデ自分ノ財產許リデハナイ
(栗塚報吿委員)
先ニ今村ガ云フ通リ母ガ死デ母ノ財產ガ有ルルデアリマスカラトキニ父親丈ケ殘テ居レバ子ノ財產ヲ管理シナケレバナラン又母ガ生遺テ父ガ死ネバ父ノ財產ヲ子ガ受ケナケレバナラン
(松岡委員)
私ハ甚ダ遲レテ濟ンダ質問シタイ、此資力ナル場合ハ最初ノトキモアリ又中途カラモアルノデスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(松岡委員)
保證人ヲ立レバ物品ヲ備ヘヌデモ宜シイカ
(栗塚報吿委員)
保證人又ハ相應ナル擔保ヲ備ヘルノデス
(松岡委員)
此間カラヲ說モアルガ何ゼ前ニ免除セラルルトヤツタカ
(栗塚報吿委員)
保證ヲ免除スルト雖モ力ノナイ者ハ免除シナイト云フノデス
(松岡委員)
若シ保證ガ立タヌトキハ何ウスルカ人ニ頼ムニモヲ前悴ノコトヲスルニ他人デ保證抔ハ眞平ト云フカモ知レヌ又物品ト云テモ無資力ノ場合ニハ物品ハナイト云ハナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
金錢有價物ヲ寄託金取扱所ヘヤツテモ宜シイノデス
(松岡委員)
ソレハ誰ガ爲ルノデスカ
(栗塚報吿委員)
親父ガデス
(松岡委員)
腹ノ裡ニ居テ未ダ生レナイ子ガ居ルカモ知レヌ
(今村報吿委員)
子ノ生レナイ中ハ產ヲ持テマセン
(栗塚報吿委員)
一歳デモ宜シイソレニハ後見人及ビ管財人ガ付クノデス
(箕作委員)
之ハ他人カラ貰ウノガ多イノデス
(淸岡委員)
ソレナレバ宜シイガ
(箕作委員)
貴樣ニ遣ルト親父ニハ一切手ヲ着ケサセヌト云フノガアリマシヨウ
(淸岡委員)
親父ハ惡イ者ナレバ子ニ遣ウト思テモ親ガ在テハ往カヌト云フモノモアルカラソレナレバ宜シイ
(箕作委員)
金錢トカ或ハ所有權ニ對スル用收權許リデナイ完全ノ所川有權ヲ父母ノ債主ニ取ラルルカラト云フノヲ恐レテデアリマス
(栗塚報吿委員)
金錢ト評價額ニ對シテデアリマス
(箕作委員)
ダカラ大シタ恐レモアリマスマイ
(栗塚報吿委員)
親ハ子ガ尊敬シナケレバナラン一ノ義務ハコレラ免除ノ原因ガアル無資力ニナツタトキハ親父ヲ信用シナクテモ宜イカナレバ信用ハ出來マセンデシヨウ併シ親父ガ不調法シテ商業デ失敗シタノハ信用シナケレバナランガ、免除ノ原因ハ何カナレバ親ヲ尊敬信用シナケレバナラント云フナレバ末項ノ場合ニハ奪敬信用ヲナクシテモ宜イカト云タラ起案者モ困ルダロウ
(南部委員)
其所ガ味ヒガアルノデ尊敬信用ハ金錢ヤ代補物ニ付テ信ズルモノデハナイ無資力ニナレバ仕方ガナイ人倫ニ關係スルト云フ說モアルガ却テ人倫ニハ適シテ居ル何ゼナレバ人倫ニハ孝ト云フモノ許リデハナイ慈ト云フモノ卽チ子ヲ慈ム、慈ト孝トノ間ヲ程能ク法律ガ立ルハ當然デ、只父子ノ間ハ何時モ親父ヲ尊ニテ子ヲ苛酷ルト云フコトハナイ卽チ本條無資力ノ場合ニ金錢代補物ニ關シテハ親ハ此丈ノ慈ヲ施サナケレバナランヲ示シタノダカラ人倫ニハ宜シイ
(箕作委員)
父母ガ無資力者ダカラ擔保モシナケレバナランガ親面ニ債主ガ直グ子ノ財產ヲ引ツタクルコトガアル
(箕作委員)
固トヨリ最初保證ヲ免除セラレテ居ルカラ宜シイ親子ガ失敗シテ無資力ニナツタトキハ用收權ニ付テ保證シナケレバナラントナルデシヨウソレガ困ル日本ニハ親ガ子ニ相續サシテ無資力ト云フ場合ハナイト云テ宜シイ子ヲ眞ニシテ相續サスルノガ普通デ、隱居料位ヒハ持テ居ルカ知レヌガソレハ聊カデ子ニ相續ヲサレテ財產相續シタトキハ何時モ保證人ヲ付ナケレバナラン抔ト之ハ何ウモ必要ナコトハナイト思ヒマス
(南部委員)
代補物金錢丈ケダカラ宜シイデハナイカ
(箕作委員)
之ガナイト却テ一家ノ財產ガ他人ノ手ニ渡テ仕舞コトニナル
(栗塚報吿委員)
父母ノ債主ニ取ラレテ仕舞コトニナリマス
(今村報吿委員)
子ノ財產ニ付テ親父ニ保證人ヲ立テロト云フト耳障リダガ一方カラ考ヘルト假令バ母ガ死金ハ一萬圓遺シテ死ンダノデ一人ノ子ガ之ヲ相續シテ親父ハ無資力デ之ニ一萬圓ヲ渡シテ法律ガ想像シテ大丈夫ト考ヘルガ如何ニモ不安心デアリマス
(箕作委員)
親父ハ娼妓ヲ買酒デ飮デ使フハマダ宜シイガ親父ノ金貸ガ取テ仕舞テ恐レルノデアリマス
(今村報吿委員)
ソレハ尤ダガ其場合ニシテモ親ニ任シテ一向保證人ヲ立ツルニ及バヌト明言シテ仕舞方カラ考ヘルト何ウモ普通ノ感觸ニ牴觸致シマス
(淸岡委員)
其愛ガアルナレバ親父ガ相續サシタ外ノモノナレバ宜シイ
(委員長)
他カラト云フ譯ニハ往キマセン、今モ申シタガ已ニ親父ガ死デ親父ノ財產ヲ子ガ持テ子ガ未成年ノ中ハ母ガ世話スルノデ、實ハ私モ二人許リ世話シテ居ルガ母ガ濫用シテナランデ、ソコサニ子ノ爲メニ母ノ云フコトヲ聽ク人ニ頼ンデ管理シテ貰テ居ルガ之ハ親ガ勝手ニヤラレテ子ハ仕樣ガナイ成程父ノ方ニハ滅多ニハナイガ母ニハ子ノ用收權ヲ持テ居ルモノハ幾許モアル
(松岡委員)
大村抔ガソウデシヨウ、若後家デ困ルノデス
(栗塚報吿委員)
後家ハ卽チ情人ハ債權者デスネソレニ困ルノデス
(淸岡委員)
母ノ隨意ニナラン樣後見人ニサセルコトハ幾デモ方法ガアルノデアリマス
(南部委員)
アリマセン
(松岡委員)
此論ハ餘所ノ國ニハナイ、實際多少ノ中ニハアロウガ佛蘭西ニモ伊太利ニモナイ別シテ西洋デハ金錢上父子ノ間ノ情ハ一家ノ組立ガ違フカラ書カズトモ實際行ハルルト云フノデ日本ニハ實際アルカナイカト云フト多少ナイトハ云ヘヌガ若後家ノ出來タ時分ニハ必要デアルガ實ハ親父ノ時分ニハ少ヒモノデコウ云論丈ニナルノデス
(渡委員)
ソウデス
(松岡委員)
マア置ヨリ仕方ハアリマスマイ
(今村報吿委員)
何ウカナラント困ルノデス
(松岡委員)
ソウ云テハ往カヌ佛蘭西ヤ伊太利ニモナイダカラ
(淸岡委員)
一カラ十マデ完全ナラヌヲ認メル
(委員長)
伊太利ハ父ノ權ノ所ニアリマス
(栗塚報吿委員)
用收權ノ所ニ「父及母ハ此等ノ財產ニ付法律上用收權ヲ持」「父及母ハ保證人ヲ與フルノ義務ナシ」トアリマス
(箕作委員)
無資力ノトキニトアリマスカ
(栗塚報吿委員)
御座イマスマイ
(松岡委員)
理窟ヲ云ヒ詰メレバアルモノダロウ
(渡委員)
條理上カラ論ズレバ動カヌ
(淸岡委員)
之ハ卽チ依ラシムベシ知ラシムベカラズト云フ所ノモノダロウト思フコウ云フ風ニ仕出スト一カラ十マデ眞底ナシニ皆云ハナケレバナラント云フ感觸ガ起ルノハ常ダケレドモ私ハ何ウモ明地ニ打明ルモノデハアリマスマイト思ヒマス
(栗塚報吿委員)
伊太利ノ二百三十三條ニ父若クハ母ノ義務ヲ怠テ親タル者ノ權利ヲ濫用シ又ハ子ノ財產支配ヲ惡ク爲タトキハ裁判所ハ最近ノ親族或ハ檢察官ノ請求ニ依リ後見人ヲ命ズルコトヲ得ト及ビ子供ノ身體ニ付後見人ヲ命ジ子ノ財產ニ付管理人ヲ命ジ用收權ノ一部又ハ全部ヲ奪フコトガ出來ルトアリマス
(今村報吿委員)
ソレハ佛蘭西ニモアリマス
(南部委員)
教養セヌトカ教育セヌトカ云フノダ
(渡委員)
親タルノ義務ヲ、マルデ抛棄シテ子ニ對シテハ有害デ云ババ子ヲ惡クシタト云フノデソウ云フ奴ニハヤラヌ
(淸岡委員)
子ノ財產ヲ亂暴ニスルノハ子ニ對スル義務ヲ失フタノデス
(南部委員)
子ノ財產ニ對テ實義ニ金ヲ使タラ管理ノ内ニ這ルデシヨウ
(渡委員)
善良ノ管理者ノ如クシナイ親ハ子ノ財產ニ對テ惡クシタノデ此所ハ善良ノ管理者デアルノデアルケレドモ無資力ニナツタノデ之ハ毛頭惡意ハナイト云ハナケレバナラン此所ハ只貧乏ニナツタト云フノデ名ニシテアリマスカラ一項ノ精神ト三項ノ精神ト何ウモ振合ガ變ル
(委員長)
殆ド後家サンガ居ルト後家サンハ金ガナイ子ハ親ノ父ノ財產ヲ相續シテ居ルカラ惡イダロウ後家サンハ金ヲ使ヒ借財スルトキ公債證書トカ云フモノガアル所ガ或ハ正金ガアルト後家サンハ債主ガ來テモ利子ニ子ノ金カラ出來タモノカ見分ケガ付カヌカラ皆取テ仕舞スルトソレヲ防グコトガ出來マセンデシヨウ
(淸岡委員)
素ヨリ弊害ハアルケレドモ其父子ノ間不幸ニ遭遇シタ者ハ實ハ少ヒ部類デ、或ハ弊害ヲ防グタメニ法律ガ明地ニ出シテ一般父子ノ關係ヲ民法ノ一ケ條デ定メテ仕舞テ一體ノ風俗上ノ慣行ニ一大變動ヲ與フルノハ宜クナイト思フ、成程此間モ頻リニ論ジタ商號ノ樣ナモノデ或ハ二三弊害ガアロウケレドモ何ウモソレガ爲メニ一般ノ流通信用上ニ弊ガアルトシテ見レバ餘程考ヘナケレバナラン此等モ矢張其理窟デ何ウモヲ說ノ如キモ固トヨリアリマシヨウ又世間ニハ隨分二三ノ困タ親ガナイデモナイガ明地ニ法律ガスルノハ何ウモ幼者ノ財產ヲシテ父子ノ間ニ喧嘩ヲ導ク法律ニナルノガ殘念デアリマス
(委員長)
能クヲ考ヘニナラント懈怪書イテアルカラ定メテ宜イニ立ツルコトモアリマシヨウガ併シ其害ハ何レ丈ニアロウカ後家サンノ金ヲ持テ居ル害ハ何レ丈デアロウカト云フ其危險ハ書イタ不都合ヨリハ現ニ世ノ中ニアル子ノ財產ヲ親ガ濫用シテ困ル方ガ多ヒト思フ又ナイト思フト遂ニ訴ヲ起シテ親ヲ裁判所ヘ訴ヘナケレバナラント云フコトガアツテ却テ書タヨリ甚ダシイ害ガ現出スルカト思フ斯フアレバ親ヲ訴ルコトハナイカモ知レン若シナイト子ガ親ヲ訴ヘナケレバナランコトニナルカモ知レヌ又裁判官ガ立入ルニモ平常ノ行上ニ迄立入ルコトハユカヌカラ法律デ認メラルル裁判權ノアル丈ニシカ出來マセン又後見人ヲ置クニモ親ガ居ルニ又後見人ヲ置クノハ親ガ失體スルコトガアルナレバ付ケラルルガソウデナイト借金ヲシタカラト云テ付ルコトハユカヌカラ却テ書ヌ方ノ害ガ多イト思ヒマス
(淸岡委員)
ソウデハアリマスマイ其方ノ害ハ早ク云フト一身一個ノ上デ此所ニ書ク害ハ一體ノ風俗上ニ關スルノデ一身一個ニ止マルヨリ一般風俗ニ害ガ甚ダシイト思フ又之ヲ書ヌデモ用收權許リデ、重モノ所有權ニ影響シテ家ヤ藏モ無クシテ仕舞樣ナコトナケレバ又一層害モ大キイガ用收權丈ノコトナレバ何モコレガ若親父ガ無資力ノ爲メニ用收權ニ屬スモノ丈ヲ取ラレタカラトテモ重ノ物ニ手ヲ着ケラレナイ、而シテ見レバ年ニ收穫スル物ガナクナルト云フニ止マツテ家藏田畑モ取ラルル筈ハナイ、收穫丈ヲ保護スル爲メコウ云フ倫理上ノ情合ニ關シタ制限ヲ付テ仕舞ノハ甚ダ私ハ恐クハ法律ヲ設ケル人ノ餘リ緻密ニ趨タ所ガアルカラ、之ヲ云ハズニ置クノハ又味ノアル所デ若シソウ云フ場合デ或ハ後見人ヲ立ルトカ請求スルトカ裁判所ハコウ云フコトヲスル或ハ檢察官ハコウ云フ場合ニハコウ云フ證人ヲ立ルトカ云フ方法ハ別ニ緻密ニ立テ宜シイ明地ニコウ云フ法律ヲ立ルノハ甚ダ困リマス、何ウカコレハマア一ツ刪除シテ人事編ニテモナツテコウ云フ人事上ノ關係ニハト云フコトニナレバ兎モ角モソレ迄ハ置テ決議シテ、此デ宜イト云フコトハ姑ク御見合ヲ希望致シマス
(松岡委員)
無クシテ見タ所ガマア家藏地面トカ云フ物ハ一向錯亂スルコトハナイ
(淸岡委員)
用收權丈ダカラネ
(栗塚報吿委員)
論ジ詰メレバ、張イ不都合ナ條デモアリマスマイガ只パツト見マシタトキハ何ウカト思ヒマス
(淸岡委員)
筋ハ惡イノデハナイ道理ニ背クコトハ決シテアリマセン又ソウモ思ハンガ遂イ法律上論ジ詰メレバコウ云フコトモ止ヲ得ンデシヨウ
(松岡委員)
之ハ先ヘ行テヤツテ見ナイト分ラヌガ佛蘭西デハ法律上用收權ノコトハ他人カラ貰タ物ハ父ハ法律上用收權ヲ持タヌ持デス
(栗塚報吿委員)
制限ガ付テ居レバデスネ何ノ財產ノ上ニハ持タセヌトカ云フ伊太利法デハ四ツ許リ取除ケテアリマス
(松岡委員)
佛蘭西ニハ夫婦ガ取得云々ト「ムーロン」ガ云テ居ル
(栗塚報吿委員)
佛蘭西法律デハ子ガ自ラ自分ニ働キテ得タカ又ハ親ト別ニ製造場ヲ持テ居タトカ又ハ父母ガ用收權ヲ持タヌト云フ約束デ遺囑セラレタカ與ヘラレタ物ニ付テハ父母ガ持ヌト云フ伊太利ノハ又緻密ニシテ今云タノ外兵役ヲ得タ物ト云フガ一ツアリマス
(松岡委員)
他人カラノ物ヲ取除ケルト親ノ物許リダ
(栗塚報吿委員)
只遣レバ子ノ財產デス
(箕作委員)
相續法次第デ、阿母サンガ先死ト子ガ相續シタト阿父サンガ生テ居ルト云フト澤山コウ云モノガ出來ル
(委員長)
無記名公債證書抔ハ爲替手形モ同ジダカラネ
(村田委員)
淸岡サンハ父母ト云フノガアルカラダネ此民法デ見レバ親ガ子ニ金ヲ借ルコトハナラヌト云フ樣ナモノダネ、或ハ此先ヘ行クト親ガ子ヲ金ヲ借ルトキハ保證人ヲ立ナケレバナラント云フ條モアルノダ、スルト貸借ノ場合ニアレバ管理シテ居ルニハ勝手ニ貸スコトガ出來ル併ナガラ制限ガアル
(箕作委員)
淸岡サンノ論ハ日本ノ風俗ニ背クカラト云フノダ、ソウ云フコトハアロウ筈ガナイカラ法律ニ出シテ善イカ惡イカト云フ論ダ、詰リ分ルル所ハソコデス況ンヤ父母ノ債權者ニ與ヘル樣ニナツテ子ノ權ヲ害スルカラ法律ガ要ルト云フカ問題ニナツテ居ルノダカラ六ケ敷イコトハナイ何方トモ定メル丈デス、尤モ伊太利佛蘭西ニモナイカラ無クテモ濟ムカモ知レマセン
(松岡委員)
然レドモ以下ハナケレバ條件ヲ入レナケレバナラン理論上、出ナケレバナラント云ヘヌデシヨウ
(箕作委員)
氣ガ付カヌ
(松岡委員)
氣ガ付テモ往カヌ
(箕作委員)
氣ガ付ケバ宜イカモ知レン
(村田委員)
法律ニハナイケレドモ判決例カ何カニ必要デヤツタノダロウ「ボアソナード」モ萬更一人ノ考ヘデハナイ
(委員長)
幾ラ論ジテモ同ジデ、有タ方ガ却テ人倫ノ紊ラヌ方ニナルト云フノト書テ置ハ紊ルダロウト云フノ違イダ
(村田委員)
紊ルコトハナイダロウト思フ
(松岡委員)
僕モ刪除ノ方ハ同意スル
(村田委員)
此所許リ怪イノデハナイ
(淸岡委員)
怪イト感觸スルニ依テソレ丈ノ意思ヲ述ベル述テ果シテ得失ハ諸君ノ考案ニ讓ルヨリ方ハナイケレドモ私ハコウ云フモノヲ立ラレテハ實ニ必要ナモノデ何所ノ國ニモナケレバナラント云フナレバ日本モ歐羅巴流ニシナケレバナランガ外ノ國ニモナイニ、斯ウ云フ譯ニナルトカ云フ位ヒノ爲メニ此所マデ押及スコトハ宜クナイ
(委員長)
大槪判決例カ何カニ依テ書タニ相違ナイ自分ガ發明シテ書テ宜イト思テ爲ニ違イナイ
(淸岡委員)
判決例ハ時ノ都合デ宜シキヲ取捨シテヤルカラ一般ノ風俗トハ違ヒ民法ハ敏育上ニモ及ボスノデアリマス
(南部委員)
教育上トハ違フソウ見テハユカヌ
(委員長)
然レドモ父母ト云フ丈ヲ刪レバ淸岡サンハ滿足デスカ
(箕作委員)
大審院ノ判決例ハ法律ノ效ガアルカラ
(栗塚報吿委員)
此條ノ出來タハ何ヲ主ニシテカナレバ父母ヲ主ニシテアルノデスカラ
(委員長)
等シク父母ニセエ幼贈與者ニセエ金錢代補物ハ第三者カラ易イノデアロウ父母ハ倫理ニ違フトカ障ルトカ云ナレバ購與者ハ倫事ニ障ラヌカラソレ丈ハ保護ノアツタ方ガ宜シイ
(渡委員)
私ハソレヲ希望致シマス父母ノ二字ヲ刪ル方ガ宜イシト思ヒマス贈與者ニハ一向關係ハナイ、故ニ只父母ト云フ丈ハ除タイ
(南部委員)
刪ルナレバ無論皆刪ラナケレバナラン
(渡委員)
此條ハ贈與者ハ附ケタリアリマス
(箕作委員)
其論ハ同論デアルガ購與者許リ除ケマスト反對ノ卽チ裏ガ來テ父母ハ無資力ニナツテ何ノ樣ナ不都合ガアツテモ保證人ヲ立ナクトモ宜イトナルカラ法律ハ一言モ云ヘヌトナルカラ却テ惡イ
(淸岡委員)
父母ハ何ウスルカトナル
(箕作委員)
三項ヲ刪ルナレバ總テ伊太利佛蘭西ノ如ク裁判例ニ依テモ或ハ保證人ヲ立ナケレバナラント矢張リスルカモ知レヌ此所ニ父母丈ヲ刪テ來ルト父母ガ無資力ニナツテモ何ノ樣ナ不都合デ或ハ若後家ガ何ウ云フコトヲシヨウガ構ワヌニナル
(南部委員)
互ニ求メ合不都合ト云フナレバ此コトハ場合ニ依テ裁判所カラ命ズルコトガアルト云フ樣ニ書テ置タラ何ウカ今ノ後家抔ヲ見聞スルニ悉皆刪ルモ何ウモ實際ユカヌト思ヒマス
(箕作委員)
刪ルノハ一體不同意デス
(南部委員)
何カナイト財產上ノコトハ隨分親子デモ訴訟ヲ來スコトハアリマス
(淸岡委員)
ソウ云フコトヲ云フト社會ノ徳義ヲ進ムルヨリ仕方ハナイ早ク云ヘバ親父ガ丹精シテ息子ニ身代ヲ讓ル息子ハ女郎買ヲシテ無クシテ仕舞モ仕方ガナイ強テ子ノ財產ノミノ話シデハナイ相續スルヲ待兼テ使テ仕舞ハ大變ダソレモ保護ト云テハ出來マセンモノデソレハ偶々飮ダクレノ親父ガ在テモソレハ相續モ出來マセントカソンナ不都合ナモノハナイモノデ一般ノコトヲ考ヘテ見ナケレバナラン一二ノ不都合ヲ以テ頻リニ云フノハ宜クナイ
(南部委員)
保護ヲスル丈ハ成丈法律ガシナケレバナラン已ニ後見人ヲ付シ親ニ用收權ヲ持タセルノモ財產ヲ管守スルガ爲デスカラ
(淸岡委員)
免除スルニハ及バヌ親ガ勝手ニ使ヘバ子ガ困ルノデシヨウ、スレバ他人モ同一ニナル
(南部委員)
ソンナ極端論デハ答ヘルニ足ラズ
(淸岡委員)
法律ヲ設ケ熟々考ルニ是モ彼レモト云フト私モ自ラ感觸ガアル何カ規則ヲ立ルト此トキハ何ウシヨウ此トキハ何ウシヨウト云フ感觸ガアルモノダカラ畢竟立法ノ精神ノ固マル一ノ弊ガ生ルカラ其邊ハ少シ考ヘナケレバナラン
(箕作委員)
ソレハ民法許リデハナイ法律殘ラズ編纂ニ係ツタ論ダカラソウ云フト此許リデハナイ用收權ヲ置ク以上ハシナケレバナラン
(淸岡委員)
置以上ハ々々々々ト云テハ際限ガナイ
(委員長)
貴君ノ論デハ法三章ガ宜イノダロウガ今日ハ勢ヒソウハ往カヌカラ
(栗塚報吿委員)
然レドモ以下刪除ハ差支ナイ
(委員長)
何方ニナルニシテモ之ヲ否ト、ソウスレバ裁判例ニ依ルトカ日本ニハ裁判例ガナイ以上ハ仕方ガナイ金錢代補物ハ第三者カラ取ラルレバ取ラレテモ仕方ガナイト定メレバ其覺悟デヤルジヤロカラ宜カロウシソレデモ實ハ親ガ無資力ニナツタ位イナ奴デハ親ノ義務ハ違イナイト思ヘバ其保護ノ道ヲ立ナケレバナラント云フ又日本ニハ現ニ父コソソレハ少ナカロウガ母ニハ平常ニ多ヒカラソレヲ懸念スレバヤツタ方ガ裁判事件ニナツテ出テ來テモ却テ倫理ヲ保護スル一端ニナロウカト思ヘバ存スルコトニナル
(栗塚報吿委員)
元來「ボアソナード」ノ起案シタ條ヲ見ルニ人事ト云フモノモ書ベキデ大變書マシタ樣デス併ナガラ若子供ノ財產管理法ワ惡イト云フト用收權ノ一方ヲ取ト云フヲ人事編ニ書タナレバ恐クハ書ヌカト思フ
(箕作委員)
ソレハ分リマセンゼ
(委員長)
財產ヲ保護シヨウト云フガ主意ダロウ、之ヲセント子ノ學問モ出來マスマイシ又財產モ取テ仕舞コトニナルサニ金錢代補物ハ何人ニ取ラルルカ知レヌスルト回復ノ道ガナイカラ之ヲ保護スルニハ此所ハナケレバナラント云フ主意ダロウト思フ
(箕作委員)
ソウデシヨウ
(淸岡委員)
ソウデシヨウカ管理法ノ如何ニ付テ若シ不完備ナコトヲシテハ子ガ迷惑スルニ陷ルノデス
(委員長)
ソレハ父ノ權ノ所ニアルト思フ之ハ全體ノ財產管理デハナイ
(淸岡委員)
父子ノ間分限ガ定マルノデアリマスカラ
(委員長)
ソンナコトハナイ親父デモ阿母デモ無資力ノトキハコウト云フノデ何デモ保證人ヲ立ロト云フノデハナイ無資力故ニ財產ヲ失フテハナランカラ金錢代補物ニ付テハ保證人ヲ立テナケレバナラント云フノダカラ父母ノ權利ニ關係ハ持タヌ又道徳上ニモ關係ハ持タヌト思フ父母ハ財產ヲ別タラ他人同樣ニ子ニ對シテ保證モシナケレバナラント權限ノ分ルルトキハ道徳ニ關係モアロウガソウ云フコトハ決シテナイ
(箕作委員)
詰リ父母ヲ、イジメル樣ニ見ヘルガ父母ノ債權者ニ取ラルルヲ防グ法律ダ
(淸岡委員)
ソウハ見ラレナイ
(箕作委員)
否、ソウデス
(淸岡委員)
報吿委員デハ如何
(栗塚報吿委員)
私ハ一人是非刪除ト主張シタガ一人デアリマシタカラ成丈物モ云ハズニ居ルノデアリマス
(尾崎委員)
皆刪除カ
(栗塚報吿委員)
私一人刪除說デ多數ニ負ケタノデアリマス
(淸岡委員)
實ニ六ケ敷イ譯ケデ置ク議論ガ多ヒナレバ仕方モナイガ姑ク人事編ヲ議スル迄擱キヲ願ヒタイ
(委員長)
人事編ニハ書ケマセン人事編ニハ管理丈ノコトハ書ケルガ用收權ニ付テ無資力ニナツタラ何ウ斯ウトハ書マセンカラ私ハマア置タガ宜シイト思フガ多數ニ依テ決シマシヨウ
(尾崎委員)
私ハ置イテモ宜イト思フ
(渡委員)
私シモソウデス
(村田委員)
私モ置ク
(松岡委員)
私ハ刪除說デス
(委員長)
ソレデハ多數ニ依テ置クコトニ致シマス
(淸岡委員)
實ニ涙ガ出マス
(委員長)
ソレハ過慮ダロウト思フ、先ヘ行キマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第五百八十七條朗讀ス
第五百八十七條 用收者收益ヲ始メタル上ハ善良ナル管理者ノ如ク用收物ノ保存ニ注意スヘシ
 用收者ハ其過愆又ハ懈怠ヨリ生スル其物ノ喪失又ハ毀損ノ責ニ任ス但所有者ノ權利ヲ保護スル爲メ用收者ニ對シ第六百七條ニ許可シタル處置ヲ行フコトヲ妨ケス
(淸岡委員)
隨分痛イ法律デスネ
(栗塚報吿委員)
已ニ前ガ決シタ以上ハ仕方ガナイデシヨウ
(委員長)
子ガ默ツテ居レバデスネ
(箕作委員)
修覆スルヲ仕ナカツタトキノコトデス
(委員長)
格別ノコトハナイ、之ハ賃借ノ所モ這入テ居ルカ
(栗塚報吿委員)
這入マセン之ニ依寄タ條ガ賃借ノ所ニアリマス
(南部委員)
第六百五十一條ニハ同一ノ義務ヲ負擔ス又善良ナル管理注意スルノ義務トアリマス
(箕作委員)
用收者同一ノ義務ヲ負擔スルト云フト舊ノ通リニナルノカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(松岡委員)
宜シイデシヨウ
(委員長)
宜シイデシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第五百八十八條朗讀ス
第五百八十八條 用收權ニ屬シタル物ノ全部又ハ一分火災ニテ喪失シタルトキハ用收者ノ過愆ニ出テタルモノト推測ス但反對ノ證據アルトキハ此限ニ在ラス
(箕作委員)
又ハ一分「カ」ト「カ」ノ一字ヲ挿入シタイ
(村田委員)
ソレガ文例デス
(松岡委員)
文例ト云ヘバ仕方モナイガ實ハナイ方ガ宜シイ
(箕作委員)
近頃ノ翻譯ナレバカノ字ハ這入テ居タニ相違ナイ
(南部委員)
コウ云フコトハ一體ニシナケレバナランデシヨウ
(栗塚報吿委員)
カノ一字ヲ入レナケレバ分ラヌナレバ兎モ角如何デシヨウ
(淸岡委員)
カノ字ヲ入レテ分リ易ヒト云フ說ハ少シ分ラヌ
(松岡委員)
原文ニアルト云フカ知ンガ法律ニスルニハ日本人ニ分ルニハ支ナイ
(箕作委員)
反譯デ入ルト云フノデスソレカラ御刪リナサルハ構ハヌ
(松岡委員)
ソウデスカ
(栗塚報吿委員)
カノ字ハナクトモ分ルデシヨウ
(箕作委員)
諸君ハオ否ナレバ宜シイ
(委員長)
講究シテ跡デユカヌト云フ口ニ云フガ字ニ書タトキ講義スルトキハ口ニ云フカラ愈々カノ字ハ使フモノカ使ハヌデ宜シイカ講究シタ上デナケレバ字ニ書タトキニハナイ方ガ分リ易ヒロデ云フトキハ云ズシテ人ニ分ルナレバ口デ云フトキハ云ハナケレバナラン愈々除レバ除テ文章上ニ依テ宜イトカ又何ウイウ場合ニハ書キ何ト云フ場合ニハ書ヌトシテカラデナイトトキニ思ヒ次第ニヤルコトハ甚ダ好マヌカノ字ヲ置ク置カヌハ大體ニ付テ定メナイ
(栗塚報吿委員)
カノ字ヲ入レンデハ何ウシテモ分ラヌ場所ガ數ケ條アリマス
(委員長)
ナクテモ分ルコトモアロウガ何所カト云ハレタトキハ何所カコウ云フ場合ダト云フコトガナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
動詞ガアリ主客ガアレバ「カ」ハナケレバナラン
(委員長)
反譯文ハソウダロウ
(箕作委員)
込入タト込入ンノトデ分ケルノデ込入ンノハナクトモ分ルガ込入タノハ窮シテカノ字ヲ入ルノデス
(委員長)
其文法ナラバ止テ貰イタイ短クモ長クモ「カ」ヲ入ルカ又入ヌナレバ何トキモ入ヌトヤランデハユカヌカラネ大キナ法律ヲヤルニ思フトキヤツテハユケヌ
(箕作委員)
窮スルトキ「カ」ヲ入ル心得ガアルノデス
(栗塚報吿委員)
日本文章ハ口ニ云フノト書ノトハ變ヘナイト何ウモイケマセン
(委員長)
口ニ云フ所ハ一番宜イニ違ヒナイ
(栗塚報吿委員)
スルト假名デ書理窟ニナリマス
(委員長)
成丈其方ガ宜シイ普通ノ言葉ニ近イ方ガ分リ易ヒニ違ヒナイ、スレバ何ウ云フ理窟ニ變ルカソレヲ先ニ定メテ宜シイソレヲ定メズニトキアツテハ何ウモユカヌ
(松岡委員)
ソウ云譯デハナイデシヨウ、箕作サンハ之ハ反譯デ入ルト仰シヤレバ宜イガ「カ」ノ字ヲ入ルト云フ言葉ガコノ席ノ上ノ御意見ノ樣ニ聽マシタカラ餘計ナコトダト云タノデス
(委員長)
其話ト栗塚トノ話トハ別段デス
(箕作委員)
此席ニ於テ早速御刪リ下サイ
(松岡委員)
畏リマシタ
(栗塚報吿委員)
此等ハ報吿委員デモ論ノアツタノデ、火事ノアツタトキ何所カラ出カ分ラヌ私ノ家カラ火事ガ出來ルト私ノ過愆ト推測サレテハ甚迷惑デ、案外付火カモ知レヌ、何ウ云フ譯ト云タガ反對ノ證據アルトキハ此限ニ在ズト云タガ何ノ爲メニコンナコトヲ書タカ所有者ニ對シテモ書タノカ所有者ノ不調法デハナイ用收者ノ不調法ゾヨト云タ、ガマア反對ノ證據ガアルカラ宜イト云フノデス
(淸岡委員)
償ノ譯ニナルノデスカ
(栗塚報吿委員)
過愆ガアレバ無論償ハナケレバナラン
(箕作委員)
民法ノ原則デ仕方ガナイ
(尾崎委員)
迷惑ナモノデモ反對ノ證據ガアレバダロウ宜シイナケレバ仕方ガナイ何所カラ火ガ付タカ知レヌト云フ場合ニハ仕方ガナイ
(箕作委員)
之ヲ得ルニシテハ尙ホユカヌダロウ
(松岡委員)
仕方ガナイ借家人ノ推測ト同ジダ
(委員長)
先ヘヤリマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第五百八十九條朗讀ス
第五百八十九條 用收者ハ請求權ナク移動物及ヒ不動物ノ保持修繕ヲ擔任ス
 大修繕ハ用收者其過愆ニ因リ又ハ保持修繕ヲ爲サヽルニ因テ其必要ト爲リタルトキニアラサレハ之ヲ擔任セス〔第六百五條〕
 用收者若シ大修繕ヲ爲シタルトキハ假令義務ナキニ之ヲ爲シタルモ此事ニ付キ決シテ賠償ヲ求ムルノ權利ヲ有セス
 重モナル壁ノ又ハ天井ノ修繕ハ一分タリト雖トモ之ヲ建物ノ大修繕ト看做一箇又ハ數箇ノ重モナル梁柱ノ變更モ亦其大修繕ト看做ス屋根土除壁水除壁及ヒ圍障壁ノ全部ノ改造又ハ其表面全部ノ十分一ヲ超過スル改造モ亦大修繕タリ〔第六百六條及ヒ伊民第五百四條〕
(修正) 第四項「土除壁」ヲ「土止」ト「水除壁」ヲ「堤塘」ト改ム
(栗塚報吿委員)
之ハ次ノ項モ消ヘマシタソシテ五百九十一條ノ重モナル云々ヘ移リマス
(村田委員)
「ボアソナード」ノ修正シテ來タノハ大問題デス
(栗塚報吿委員)
次ノ九十條モ刪除デ九十一條カラ重モナル云々トアル之ガ第五百八十九條ノ第三項ニナリマス
(委員長)
之ニ付テ報吿委員ノ意見ハナイカ
(栗塚報吿委員)
只「土除壁」「水除壁」ヲ「堤塘」トシタ丈ケデアリマス
(箕作委員)
止メト云フ字ハ「止」ノ字デスカネ
(栗塚報吿委員)
餘リ宜シイ字デハアリマスマイカ車止ナゾト使イマス
(委員長)
普通ニハ書クネ内務土木局抔ニハ土止ト書クデ
(村田委員)
土止ハ土除デシヨウ
(箕作委員)
スルト原ノ通リニナル
(南部委員)
之ハ壁ヲ拵イテヤルノカ
(栗塚報吿委員)
左樣、柵、デスネ崖ノ崩レヲ壁デ止ルノデス
(箕作委員)
石崖ナレバ一ツデスネ
(淸岡委員)
土ハ壁デ除ケルガ水ハ壁デ除ケルハナイ
(箕作委員)
石崖ヲモ壁ト云テハオカシイ
(南部委員)
壁トハ讀メヌ、之ハ重モナル壁ト讀ムノダネ
(栗塚報吿委員)
御尤モデス
(松岡委員)
之ハ何ウ云フモノカ委員ノ方デ八釜敷ウ云タノハ何ウモ抛棄シテ置ケバ、平常「ボアソナード」ガ經濟ヲ云フガ毀ハシテ損ト云フハ反シテ誰モ修繕シナイト折角家ガ立腐リニナルト云フノハ八釜敷ノダコウ云フ鹽梅ニ大修繕ヲヤルト云フト後ニ用收權ハ何ウ云フ時分止マルカト云フトソレハ全部ガデ仕舞用ヲ爲サヌ樣ニナルトキハ止マルト云フト用收權ガ十年デ止マルモノモ修繕ヲ爲ルト長クナル
(南部委員)
併ナガラ尙ホ考ヘテ見タガ修繕ノ方ハ矢張今度ノ案ガ宜シイト思フ、ト云フモノハ丸デ潰シテ仕舞タト云フ程ノコトニナルト、何ウモ此限ニ在ラズト云フノデ取除ケテ居ル、只家根ガ落タトカ或ハ土臺ガ腐敗シタトカ云フ場合ニ修繕スルコトハ用收者デスレバ虛有者デスレバ斯ウト云フノヲ修正シタノダカラ篤ト考ヘルト修繕ノ方ハ之デ宜カロウト思ヒマス
(箕作委員)
六ケ敷コトデスネ、他人ガシテモ自分ガ爲テモ所有者ニ向テソレ丈償ヘト云テモユカヌト云フノデス
(委員長)
其意味デス
(栗塚報吿委員)
成程、箕作サン求償權ニシテ置キマシヨウ
(箕作委員)
併シ何ニシテモ翻譯デ直サナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
左樣反譯デ求償權ト直リマス
(南部委員)
求償權ナレバ分リマス
(委員長)
珍ハ珍ダケレドモ分ル、ソレデハ新規ノ第九十條ニ移リマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第五百九十條朗讀ス
第五百九十條 虛有者モ亦大修繕ヲ擔任セス若シ之ヲ爲シタルトキハ費用ノ分擔ヲ用收者ニ訟求スルコトヲ得ス
(栗塚報吿委員)
鑑定人ヲシテハ反譯デ入ルノデス
(南部委員)
之ハ箕作サン私ハコウ思フ第九十條ニハ懈怠ト云ヒ過愆ト云ヒ八十九條ハ其過愆ニ因リ保持修繕ヲ爲サザルニ因テト斯ウアリマス、ソコデ保持修繕ヲ爲サザルニ因テトアルカラ註ヲ見ルト過愆ノ樣ニ思フガ其ウシテ過愆ニ因ルト云フノハ過チデ此所ハ懈怠ト許リ書タハ如何
(箕作委員)
原文ニハ懈怠丈デアリマスガ併過愆ハ無論デスネ
(栗塚報吿委員)
前條第ニノ場合ノ外トヤリマスカ
(南部委員)
ソレガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
書テナイト云フノハ前條二項ノ場合ノ外トヤツタラ宜シイデシヨウスレバ繰返ナシデモ宜シイ
(南部委員)
懈怠許リデハナイカラ
(箕作委員)
「ボアソナード」ハ懈怠ト云フハ過愆ヲ合セル主意ノ樣デス
(南部委員)
併シ照應ガ惡イ
(箕作委員)
前條二項ノ場合ノ外ト云フ意味ニハ相違ナイ
(委員長)
懈怠ト過愆ト二ツ這入ル積リデシヨウ
(箕作委員)
起案者ハ其意味ニ相違ナイ
(栗塚報吿委員)
過愆又ハ懈怠ノ場合ノ外ト致シマシヨウ
(委員長)
ソウ致シマシヨウカ證明セシメタル後ト云フト虛有者ニ修繕ヲセート云フ樣ニ見ヘルデシヨウ、用收者ハ虛有者ヲ立會セシメテ大修繕ヲ必要ト云タトキハ處有者ニオ前修繕センカト云タ場合ニナルノダロウ
(栗塚報吿委員)
ソレハ拒ムカラ宜シイデシヨウ
(委員長)
オ前ガスルガ當然ト云タラ拒ムト云フガ當然ダロウ
(栗塚報吿委員)
當然トハ申セヌノデ決シテ義務ハナイト云フ何ンナニ修財繕シヨウ共デス
(委員長)
オ前爲ヨト云タラ否ト云フダロウ鑑定人ハ破レテ修繕ガ當然ト云テモ盧有者ハ默テ居ルカモ知レヌ
(栗塚報吿委員)
虛有者ニ修繕スル義務ガアルカナレバ決シテ義務ハアリマセン
(委員長)
義務ハナイト云フノハ卽チ原則デアロウガ併ナガラ拒ムト云フ字ヲ書ト拒ムコトガナイトハ云ヘヌ
(箕作委員)
用收者カラ云フノデス
(委員長)
此文章デハ爲ナイカト云フコトハ一向ナイ
(箕作委員)
用收者虛有者ヲシテ立會シメテ鑑定人ヲシテ大修繕ヲセシメテ用收者ガ爲ルノデ、自カラヲ云フノデ前後ノ繋リニ依テ分リソウナモノデアリマス
(委員長)
分レバ宜シイカ
(箕作委員)
前項ハ皆用收者デ文章ヲ立テ居リマシヨウ
(委員長)
之ハ私ノ考ヘデハ鑑定人ヲシテ大修繕ノ必要ヲ證明セシメタルトキ虛有者其大修繕ヲ受合ハヌトキ、承諾ナサザルトキハ何ウシテモマア鑑定人ハ證明シタトキハ虛有者ハ自分デセヌトキハ用收者ガ爲ルト見ヘル
(栗塚報吿委員)
ソレハ卽チ爲スコトヲ拒ミタルトキデ大修繕ヲ爲スコトヲ拒ムトキデ恰ド御旨意ノ通リデアリマシヨウ
(委員長)
ソウナレバ宜イガネ
(箕作委員)
虛有者ニ求メ之ヲ拒ムト云フト精ワシクナリマス
(委員長)
成程用收者ガ鑑定人ヲ喚ンデ虛有者ガ拒ムト云タラ分ルデシヨウ
(尾崎委員)
新村案ガ宜シイヨウデス
(村田委員)
新案ガ宜シイ
(委員長)
先ヘヤリマシヨウ
本條ハ冒頭ヘ「過愆又ハ」ト加ヘ其他新案ニ決ス
第五百九十一條朗讀ス
第五百九十一條 重モナル壁又ハ天井ノ修繕ハ一分タリト雖モ之ヲ建物ノ大修繕ト看做シ一箇又ハ數箇ノ重モナル梁柱ノ變更モ亦其大修繕ト看做ス
 屋根、土除壁、水除壁及ヒ囲障壁ノ全部ノ改造又ハ其表面全部ノ十分一ヲ超過スル改造モ亦大修繕タリ
(栗塚報吿委員)
之ハ百十條六百十條ヲゴ覽ニナルト分リマス、詰リ消滅セヌ場合ハ全部デハユカヌ全部デナイト云ヘバ宜シイノデ前條ニ依レバ建物朽廢ノ爲メ一分墮倒シ一分破壞ニ因リテ之ヲ適用スデス
(松岡委員)
元ト大修繕ハ何ウト云フト前條ニソレゾレ書テソレカラ何々ヲ適用スト云フト幾ラカ是々ノ場合ニモト云フラシク思フガ
(南部委員)
不動產トアルケレドモ不動產ハ家許リニ適用スト云フノデシヨウ
(松岡委員)
前條ニ重モナシ壁天井抔ノ修繕ノ事柄ヲ示シテアルノデソレニ其コトハ大修繕ト云コトニ定マツテ居ル、詰リ堕倒シ朽廢シタ場合ハ一切用イヌカナレバソウデナイ矢張リ皆行クノダロウ、愈々消滅ト云フ場合ニハヤラヌノト云ノダロウ、實ハ少シ語ノ足ラヌ樣ニ思ハルル
(南部委員)
前條ノ條例ハト云フハ地面ニハ適用セヌト云フノダロウ建物許リニ適用スルト云フノダネ
(栗塚報吿委員)
建物許リデアリマス、佛蘭西ノ第六百七條ヲゴ覺ナスツテアレヲ爲シ出シアレノ反對ヲ云タ積リデアリマス
(松岡委員)
ダカラ堕倒シ朽廢シタ場合ニモ適用スト云フ意味ニナル
(栗塚報吿委員)
家屋丈デス
(松岡委員)
再建サセルト云フノダ、前條ノ方ハ何ウカナレバ已ニ示シテ重モナル壁トカ天井トカ云フガ大修繕ハソレ切リカト云フニソウデハナイ全部朽廢ノ時分堕倒シ破壞シタトキトカ消滅スル場合デナケレバ矢張リ大修繕ヲ爲ルト云フノデス、デ私ハ場合ニモト云フ意味デハナカロウカト思フノデ、只場合ニ適用スデハオカシイ
(栗塚報吿委員)
前ニ云タ條ハ此所ニ適用スルゾヨト云フノデ宜ササウナモノデス
(箕作委員)
「ニモ」適用スデモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
差支ハアリマセン
(委員長)
隣リノ家ノ樹木ガ倒レ係ツテ家ヲ毀スト云フ樣ナル場合トカ或ハ壁ノ片側ガ崩レ係ツテ往來ガ出來ルトカ隣ヘ倒レ係ルトカ云フ場合ハ行政規則デ隣人ノ間ニ於テヤラナケレバナラン場合モアル、ソウ云フ場合モヤレルノデ書イタノデシヨウ
(栗塚報吿委員)
左樣デス「ニモ」ト入レマシヨウ
(委員長)
「ニモ」ヲ入レヨウ、ソレデ先ヘヤリマス
本條ハ「場合ニ」ノ下ヘ「モ」ノ一字ヲ入レ他ハ原案ニ決ス
第五百九十二條朗讀ス
第五百九十二條 用收者ハ其收益ヲ爲ス土地ニ賦課スル租稅及ヒ其他每年ノ通常ノ公ノ負擔ハ其一般ニ係ルト一地方ニ係ルトヲ問ハス之ヲ擔任ス〔第六百八條〕
(修正) 「用收者ハ其」ヲ「用收者ノ」ト改メ「土地」ヲ「所有物」ニ改メ「問ハス」ノ下「用收者」ノ三字ヲ挿入ス用收權ノ期限間所有物ニ賦課セラルルコトアルヘキ非常ノ負擔又ハ租稅ニ付テハ虛有者ハ其元金ヲ拂ヒ用收者ハ用收權ノ期限間每年ノ利息ヲ負擔ス(第六百九條)非常ノ負擔ト看做スモノハ左ノ如シ第一強要ノ借入第二舊稅ノ層加又ハ新稅但之ヲ設ケタル法令ニ於テ臨時又ハ非常ノ名稱ヲ付シタルトキニ限ル
(栗塚報吿委員)
之ハ次ノ條ハ消ヘテ第二ニナルノデス、ソレカラ「土地」ト云フヲ「所有物」ト改メマシタガ之ハ起案者ニ間フ積リデアリマスガ無論不同意ハナイト思ヒマス
(委員長)
所有物ト云フノハ所有者カラ云フノハ宜イガ用收者カラ云フノハ何ウカ知ラン
(栗塚報吿委員)
併シ次ノ條ニモアリマスカラ、不動產トシテモ宜シイ
(南部委員)
不動產ト云フト動產ハ這入ラヌカト云フ樣ニナル、酒屋抔ハ酒ノ器械ニモ賦課シテ居リマス
(村田委員)
馬抔ハアレニ稅ヲ課シテ居ル
(淸岡委員)
所有物ト云フハ虛有者ガ拂フト云フハ何所カラ出タカ
(栗塚報吿委員)
ソンナモノデナイト思フ
(松岡委員)
財產ト云タラ宜シイ
(委員長)
財產ト云フ字デ宜ケレバデスガ動產不動產デハ何ウカ
(村田委員)
英文ニハ所有財產トアリマス
(委員長)
地租ト云フノハ用收者ガ拂フノカ
(南部委員)
收益ヲ持テ居ルカラ用收者ガ拂フノデアリマス
(委員長)
虛有者ノ所有物ヲ用收者ノ所有物トスルカ如ノニナル
(栗塚報吿委員)
ソレハナリヨウハゴ座イマセン、ソコガ用收者デアリマス
(委員長)
文字ノ上カラ云フト其理窟デシヨウ
(南部委員)
財產ト云フガ宜シイカモ知レン
(箕作委員)
果實ト反對シテ元ニナルモノト原文ニアリマス、矢張リ所有物ガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
所有物ガ宜シイ
(南部委員)
所有物ガ宜シイ
(尾崎委員)
用收者ノ所有物ノ樣ニ一寸見ヘマス
(委員長)
之ハ「ボアソナード」ニ直サセテハ何ウカ一項トニ項ト同ジモノデ字ガ違フカラネ
(栗塚報吿委員)
起案者ニ問ヒマシヨウ
(村田委員)
六百四十九條ノモノ許リデシヨウ
(委員長)
ソウナラ今日ハ所有物トシテ置テ直シテ贊コトヲ待マシヨウ
(栗塚報吿委員)
ソレカラ今度ハ地所デアリマス
(委員長)
舊稅ノ增加トカ強要借入抔ハ宜シイカ
(栗塚報吿委員)
已ニ議論ノアツタノデ只非常ノ負擔ト云フハ租稅マデ籠メテ居ルノハ困マルト云フノデ報吿委員中ニモ現在非常ノ負擔又ハ租稅ニ付テ虛有者ハ元金デ拂ヘト云フハ何ゼナレバ二樣ニアルカラデ而シテ見レバ此所ハ強要借入ハナイ非常ノ租稅ト云フノハ惡クハナイカト云タガ非常ノ負擔ト云ヘバ大ハ小ヲ兼ルカラ分リソウナモノカト云フノデ止マリマシタ
(淸岡委員)
元金ヲ拂ヒト云フノハ用收權ノ利息ヲ拂ヒト云フコトカ
(栗塚報吿委員)
元金ノ利息ヲ拂フト云フコトデス
(淸岡委員)
非常ノ負擔租稅ノ内ニコウ云フモノガアツテソレヲ元金ハ所有者ガ拂ヒ利金ハ用收者ガ拂フ樣ニ見ヘル
(南部委員)
マア此位ニシテ置ケバ何ウカ
(松岡委員)
負擔ニ付テハデ宜シクハナイカ
(渡委員)
負擔又ハ租稅ハ通常デ、非常負擔ト云フノハ舊稅增加又ハ新稅デシヨウ
(栗塚報吿委員)
ソウデハナイ、非常負擔非常ノ租稅デナケレバナラン
(渡委員)
強要借入舊稅增加新稅ハ非常デ前ノハ通常デシヨウ
(栗塚報吿委員)
同ジデス、只繰返シタノデソレダカラ非常ノ負擔ト看做ストアリ非村常負擔又ハト云ハナケレバナラン
(松岡委員)
上ハ通常租稅其他何ハ負擔ト云タノデ今度ハ非常負擔ト云フト跡ヘ注解ヲ出シテ居ルノダ
(南部委員)
ソレヨリ通常ノ負擔又ハ負擔ト看做スベキモノトヤツテ宜シイ
(淸岡委員)
非常ノ租稅ト看做スト云フコトハアリマスマイ
(松岡委員)
非常ノ負擔ト看做スノダ
(栗塚報吿委員)
ソンナコトヲ仰シヤラレテハ困リマス臨時非常ノ場合ニ付テ舊租ノ增加新稅デス
(松岡委員)
負擔ノ中ヘ稅ガ這入テ居ルノダ、ダカラ又ハ拔イテ貰イタイ非常ノ負擔ト云フハ何フデモダ
(淸岡委員)
下手ナ論ハ止メマシヨウ
(渡委員)
非常ノ負擔丈デ宜シイカスルト通常租稅トハ見ラレヌ樣ニナル
(委員長)
松岡サンハ非常ノ負擔ト直グ行クト云フノカ
(松岡委員)
左樣
(箕作委員)
ソレデハ九十三條ハ何ウカ
(松岡委員)
九十三條ハ未ダ見ナイ
(栗塚報吿委員)
大活眼ヲ以テ願ヒマス
(委員長)
此儘置テハナイカ
(南部委員)
分ラヌコトハアリマセン
(委員長)
宜ケレバ置テ是デ食事ニ致シマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
(尾崎委員)
ヤリマシヨウ
第五百九十三條朗讀ス
第五百九十三條 用收權ノ期限間所有物ニ賦課セラルヽコトアルヘキ非常ノ負擔又ハ租稅ニ付テハ虛有者ハ其元金ヲ拂ヒ用收者ハ用收權ノ期限間每年ノ利息ヲ負擔ス
 非常ノ負擔ト看做スモノハ左ノ如シ
 第一 強要ノ借入
 第二 舊稅ノ增加又ハ新稅但之ヲ設ケタル法令ニ於テ臨時又ハ非常ノ名稱ヲ付シタルトキニ限ル
(南部委員)
用收權ト所有權トヲ分別シテ用收權ト云フモノハ所有權ノ支分權ト云フ原則ヲ定メテ其支分權ト云フモノニ付テ租稅ヲ用收者ガ納メヌ場合ニ其重モノ支分權デナクシテ元ノ所有權ヲ賣却スルト云フコトハ何ウモ隱當デナイ、又虛有者ガ所有權ニ係ル所ノ非常ノ租稅ヲ元金ニ由テ拂フコトノ出來ヌ場合ニハ其用收權ヲモ一所ニ賣却シテ而シテ租稅ヲ納メサスルト云フコトモ之モ亦允當デナイ詰ル所租稅怠納ノ爲メ差押賣却スルコトハ甚ダ不當デアリ又加フルニ此差押賣却スルトカ云フコトハ卽チ怠納者ノ處分ニテ行政法ヲ以テ定ムベキモノデ此所ニ定ムルハ甚ダ其當ヲ得ナイ、何ウカ原ノ「ボアソナード」ノ原案ガ宜シイト思ヒマス
(栗塚報吿委員)
折角改テ來タガ何ウ云フモノデシヨウ
(南部委員)
此所ハオカシイデハナイカ
(村田委員)
此所ハ悉皆刪テ置クカ
(尾崎委員)
佛蘭西ハ何ウナツテ居リマスカ
(箕作委員)
佛蘭西ニモナイノデシヨウ
(栗塚報吿委員)
佛蘭西ニハ賦課シタ物ヲ賣拂フト云フコトハナイ身代限ヲスル丈デアリマス
(尾崎委員)
併シ負擔ハ誰ガスルカ
(栗塚報吿委員)
用收者デスソレデ用收者ノ着物モ單笥ノ中持物ヲモ賣ルノデス又年ノ成物ヲモ賣ルノデハナイ
(南部委員)
ソレモ疑ヒガアル非常ノ租稅ヲ納メザルトキデ、納メテ居レバ宜イト云フ虛有者ガ非常稅ヲ納メヌト云フト押ヘラレタ方ハ宜イト思テ納メズニ置クト、スルト財產ガ取レヌ地所ヲ賣ル樣ニナルハオカシイ
(栗塚報吿委員)
政府ハ當リ前ノ債權者デ日本デハ租稅ヲ賦課シタ物ヲ賣ルハ稅法デスソレデ六ケ敷論ガ起ルノデアリマス
(尾崎委員)
租稅ト云フモノハ所有者ガ負擔スルノカ用收者ガ負擔スルノカ
(栗塚報吿委員)
用收者ガ負擔スルノデス六百八條ニアリマス
(村田委員)
英國モソウデス
(尾崎委員)
佛蘭西ニモ租稅ニ通常ト非常ト分ケテアリマス
(南部委員)
佛蘭西ノ六百八、九條ニアリマス
(尾崎委員)
所有者カラ拂フ樣ニナツテ居リマスネ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(尾崎委員)
一體負擔ヲ受ルノハ虛有者ガ受ケルノデス
(箕作委員)
其前ニハ條ガアリマス
(栗塚報吿委員)
日本ノ米抔ハ無論用收者デスネ
(箕作委員)
日本民法デ云フ非常負擔ト通常負擔ト云フ樣ナル譯ニナルノデス
(松岡委員)
先取權ト云フノハ租稅ニ付テカ
(箕作委員)
租稅ノ先取特權ハ二百九十八條ニアリマス
(尾崎委員)
之ハ租稅法デ宜ササウナモノデス
(村田委員)
悉皆除テ元トノ九十三條ヲ生カシテ置イタラ宜シイデシヨウ「ボアソナード」モ滿足スル
(箕作委員)
ソレデ宜ササウナモノデス
(栗塚報吿委員)
併シ日本ノ租稅ヲ何ウシテ取立ルト云フガ問題デコウ云フ困難ガアルカラ用收權ヲ賣ラセナケレバナラント云フ原案デアツタノデス
(尾崎委員)
ソウダケレドモ稅ハ政府デ總括スベキダカラ此所デハ除ケテモ宜シイ
(渡委員)
之ヲ若シ云ハズニ置タラ稅法ヲ拵イテ呉レバ差支ナイガ今ノ儘デハ何ウカ知ラン
(尾崎委員)
納メルハ用收者ガ納メルニ定マツテ居ル納メヌトキ用收權ヲ賣ルト云フノダネ
(村田委員)
左樣デス
(渡委員)
賦課シタ物ニ付テ取ルト云フハ日本法律ノ原則ナレバ宜シイ
(松岡委員)
物ヲ目的トシタラ何時モ公賣スル、此通リニシテモ名義ハ向ウデサレテモ公租不納ノトキハ處有者ノ名義ト云フノダスルト「ボアソナード」ハ作タ所ノ米ヲ取テ稅ヲ拂ハズニ居ルト公賣サスル五十圓ノモノヲ二十圓ニ賣レタト云フト現行ノ租稅法ハ嚴酷トシテモ「ボアソナード」ガ書タヨリモ疑ヒハナイ租稅法ハ改良ガ出來テ居ルノデ此所ハ極シテ付テ仕舞ト六ケ敷コトニナル之ヲ云テナカツタラ何ウスルカ現行法デ地面ヲ賣ルカ
(渡委員)
ソレハ賣ル
(松岡委員)
スレバ書テナイモ同ジダ租法ヲ改良スレバ此所ニ從テ改良ニナルカ
(淸岡委員)
今ノ理窟デハユカヌ九十二條ニアル通リデ用收權丈ハ書テナイトキハ用收權丈ハ賣ルガケレドモ底地ノ所有權ヲ賣ルト云フコトハ書テナケレバ出來マセン
(松岡委員)
此通リデ若シ負擔シナカツタ所ガ卽チ今ノ法律ノ通リ物ヲ取テ公賣スルデハナイカ
(淸岡委員)
ソレヲ賣ルトナルト所有者ノ知ラザルコトヲ以テ所有者ノ權利ヲ奪フ譯ニナルカラ此所ハ用收權丈ヲ引上ゲテ賣ルコトガ出來ルケレドモ所有權ヲ賣ルコトハ出來ヌト見ルヨリ仕方ガナイ
(渡委員)
賦課シタ物ニ付テ取ルト云フ今日ノ稅法デス
(淸岡委員)
頗ル用收權ヲ蹂躪シタ話デス
(渡委員)
ソウナル
(淸岡委員)
併ナガラ、蹂躪シテモ明文ヲ揭ゲテ斯ウ云フ場合ニハ用收權ハ所有權迄立入ルトアレバ宜シイ、ナクシテ之ヲヤルト云フノハ誠ニ用收權ヲ設ケテ置キナガラ用收權ノ性質ヲ打遺テ仕舞所有權ニ迄行クト云フコトニナル、スルト用收權ヲ置イタ性質上ニ於テ遺憾デアル、ソウスルニハ新規ノ條ヲ置カナケレバナラント云ヒ新規ノ條ヲ置イタ暁ニ考ルト不都合千萬ナ話デ虛有者ト云フ者ハ殆ンド所有權ヲ賣ラレタ樣ナモノデコウ云フコトヲシテ用收者ハ毫モ盡サズ爲メニ用收權モ奪ハルルトキ用收シタコトハ上手シテ所有者ニ係テ所有權ヲ賣ルコトニナツテ來ルト用收者ハ取跳ゲニナルカラ仕方ガナイ所有者ハ自分ノ所有ノ責任ヲ止ヲ得ズ用收者ノ不都合ト雖モ擔任スルカ又地所ヲ賣ルカ否ナレバ他ノ金デ償フカ償フテヤルト云フ場合ニハ用收權ヲ取戻スナレバ宜シイガ賣ラレナガラ原文ニ付テハ虛有者ニ屬シナガラ收益ハ遣ラナケレバナラント云フト用收者ノ尻リ拭ヒヲシテヤツタニ止マルソンナ馬鹿氣タコトハナイ
(南部委員)
用收者ガ收益爲ス物ニ賦課スル租稅又ハ其他每年ノ何カ用收者ノ擔任ハ今ノ稅法トハ違フ今デ稅法ト云フモノハ所有者ノ卽チ所有權ヲ持テ居ル卽チ地券面ノ物カラ取ルト云テ居ル已ニ現行法ト牴觸シテ居ル、其條ヲ置キナガラ又此所ヘ來テ途ニ現行法ト同ジ樣ナ條ヲ置クハ分ラヌ
(渡委員)
之ヲ除ケ稅法ガ定マラヌト結果ハ何ウナルカナレバ矢張リ此通リニナルノデス
(松岡委員)
今ノ所デハ同ジダ
(南部委員)
ソレデハ九十二條ハ何フカ已ニ牴觸シテ居ルデハナイカ
(淸岡委員)
現行法ト牴觸シテ原案デ用收者カラ取トシテアル以上ハ用收者カラ取ラナケレバナラン
(渡委員)
用收者カラ取トシテ見レバダガ然ルニ現行ノハ結果其物ヲ賣ルト云フ方ニ充テラルルカ
(栗塚報吿委員)
併シ用收者ガ租稅ヲ滯テ虛有者所有ヲ取ラルルハオカシイネ佛蘭西ニハ非常稅丈ニナツテ居リマス非常稅丈ハ所有者ニ係ルカラ仕方ガナイ
(南部委員)
ソレガ、當リ前ダ
(栗塚報吿委員)
設ケナシデソウシテ稅丈土地ヲ取テ賣ラセルト云フハオカシイ
(松岡委員)
今ハ此通リデアリマスゼ
(南部委員)
ソレハユカヌ已ニ九十二條ニ牴觸スルカラネ、ダカラ九十二條ガ出ル以上ハ國稅徵收法ヲ改メナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
ソウデス
(尾崎委員)
用收權ニ付テノ稅ニ徵收方ガ出來ルノデス
(松岡委員)
卽チ九十二條ハ本ニナツテ用收者ガ擔任シナケレバナラン若シ打テモ敲テモ金ガ出來ヌトキハ用收權ヲ賣ルヨリ仕方ガナイ其トキ用收權デ足ラヌカラ所有權マデ及ブト云テハ尋常ニナツテ仕舞
(南部委員)
ソレハユカヌノデス
(尾崎委員)
一文モナケレバ身代限ト云テソレヨリハ
(淸岡委員)
ソレデ宜シイダロウ
(栗塚報吿委員)
所得稅ニハ算セヌノデ所得ハナイカラネ所得稅ハ用收者ダカラ其所得稅ヲ拂ハヌトキハ地面ヲ取ラルル
(南部委員)
ソンナ馬鹿ナコトガ出來ルモノカ
(尾崎委員)
之ハ仕方ガナイ用收者ノ拂ハヌトキハ政府ノ損トシナケレバ法律ガ立テラレナイ
(渡委員)
租稅法ニ追加トカ增加トカスル理由デ之ヲ刪除シマスカ
(栗塚報吿委員)
ソウデス租稅法中用收權ノ設定シテアル不動產ニ付テノ稅ヲ用收者ニ對スル物上權ハ稅法ニ復歸シナケレバナラント云フヨリ仕方ガナイ
(尾崎委員)
ソレデ宜シイ
(松岡委員)
現行法カラ云フト物ニ賦課シテ若シ納メヌトキハ誰ガ持テ居ルトモ構ハヌト云フノデス
(箕作委員)
今ノ稅法デハソウデス、ダカラ佛蘭西法見タイニ地稅ハ土地自カラ取ルノデナイ入額ヘ課スルト原則ヲ定メナイト合マセン
(栗塚報吿委員)
ソレダカラ用收權ヲ設定スルコト出來ヌヨウニナルノデス
(松岡委員)
ダカラ本條ニ書テナクトモ物ヲ持テ押ヒテ賣ラレルト現行法デソウナルノデ、ソウナツテ見レバ何ウカト云フト虛有者自カラ擔當シタ上自分ガ出スベキヲ出サヌトキハ地面ヲ賣ラルルハ自棄自得ダガ用收權ヲ持テ人ニ收益サセ、稅ヲ納メヌ爲メ虛有者ガ地面ヲ賣ラレオ負ケニ其金ヲ用收者ガ使フ誠ニ迷惑千萬ト思テ攻撃シタノダガ今度補ヒガ付タト云フ積リダネ
(尾崎委員)
用收權ヲ定メル以上ハ己レノ地面ヲ賣ラルル譯ト云フノデス
(南部委員)
理窟ハ宜シイ
(村田委員)
ソンナモノヲ法律ニ設ケラレテハ困ル
(渡委員)
此上ノ精神カラ云フト今ノ稅法ハ改ルガ宜シイガソレデナイト大變ナ問題デス
(松岡委員)
ソウデス
(尾崎委員)
自分ノ地面ヲ取上ゲラルルト云フ考ヘデ設定スルヨリ仕方ガナイ
(松岡委員)
然レバ強ク書テ用收權ヲ止メルヨリ仕方ガナイガソレモ出來マセン
(南部委員)
已ニ用收權置ク以上ハ不都合ナコトハ刪テ置ト云フコトハユカン
(栗塚報吿委員)
迚モ抵抗スルコトハ出來マセンカラ毒ヲ流シテト云フコトハ卑劣デス
(渡委員)
現行法ヲ直セルト云フ積リデヤツテ行ケルカ
(栗塚報吿委員)
行ケルト思フガ何ウカ併シ行ケルト云フ想像ヲ持テ居ルノハ實ニ愚ナ話デス
(渡委員)
用收權ヲ設ケル以上ハ現行法ニ牴觸スルトキハ現行法ガ一歩讓ラナケレバナラント云フカ委員會ハ之ヲ認メナケレバナランカ、現行法ガ動カヌトキハ閣議ニ任カスヨリ外ハナイカ
(栗塚報吿委員)
ソーデス
(南部委員)
土臺現行法ニ牴觸スルガ惡イト云フタカラ初メ用收權ヲ刪ルト云タガ、成立ズシテ置クトナツタ以上ハ現行法ニ牴觸スルハ當リ前ノ結果デス
(渡委員)
用收權ハ牴觸デハナイ
(南部委員)
イヤ、之ガアルカラ牴觸ト云フヰデス
(渡委員)
之ハ牴觸ノ種デス、ソコデ牴觸ト見ルト之ハ果シテ民法ニ聯續シタ用收權ダカラ一度定メル以上ハ此精神デ行ナケレバナラント云フト現行法ニ負ケザルヲ得ント委員會ハ云ハザルヲ得ン然ルニ稅法ヲ更ヘナケレバナラン更ヘ樣ト云フ建議位ヒハ出來ルガ、シタ所デソレガ行ハレヌト云フト何ウナルカ此所ニハ云ヒ放シテ此通リ定メタラ如何
(南部委員)
此所ハ九十二條ガ已ニ牴觸シテ居ルノデス
(渡委員)
此所デハ宜シイトシテ將ニ發布セントスル前ニ當テ稅法ト矛盾スルカ何ウカト云フトキ稅法ヲオ變ヘナサイト云フ丈ケデハ濟中マヌト云フノデ卽チ結果ノコトデス
(尾崎委員)
ソレハ全體用收權ガ牴觸スルノデス
(栗塚報吿委員)
現行法トハ牴觸シナイノデス
(尾崎委員)
九十二條カラ牴觸スルノデ、現行法ハ所有者カラ拂フノデス
(渡委員)
松岡サン辯解ノ如ク辯ジタラ押付ケラルルダロウ虛有者ト用收者トハ別段ニ負擔シナケレバナランガ何方カ出スニモセヨ賦課スル物ニ付取ルノガ原則ダカラ何方デモ宜シイト押付ケラルルカ、スレバ此所ハ牴觸セント迄ニ曲ゲ付ラルルダロウカソレヲ法律ニ揭ゲルノ精神デアレバ素ヨリ土地ヲ持テ居ルモノナレバコソ政府ガ土地ヲ賣ルモ丸デ賣ルモノデナイ
(南部委員)
政府カラ見ルト却テ用收權ヲ賣タ方ガ宜シイカモ知レナイダカラソレハ向ウノ勝手ニ任カシテ宜シイデシヨウ
(渡委員)
手短ク云フト委員ノ財掌ニ反シテ居ル、委員ハスツトヤツテ置ケバ宜シイ稅法ニ矛盾シテモ宜イカ否ヲ相談スルノデ矛盾スルコトハ採用セヌト云フコトガ云ヘル定メテアルト何ウデシヨウ
(栗塚報吿委員)
此論丈ハ委員長ノ耳ニ入レンデハユカンデシヨウ
(今村報吿委員)
ソレハ報吿致シマスガ此コトハ「ボアソナード」ニ聞ニヤツタ返辭ハ、豫メ吿知シテ毀スナレバ己レガ買フト云フテモ安イト仕方ガナイデハナイカト云テヤリマシタラ、成程ト云テ改メテ來マシタ、斯ウヤツテ來マシタ、頭ニ文字ヲ加ヘテ若シモ用收權ガ定マリタル期限ニ至ルトキハ其期限到來前一ケ年ニ云云トシテ來マシタ
(尾崎委員)
限リヲ付テ來タネ
(渡委員)
スルト何ウモ窮シタノダネ
(今村報吿委員)
ソウデス
(尾崎委員)
本條ハ委員長ガ出ラレテカラノコトニシテ、次ヘヤリマシヨウ
(箕作委員)
此條ハ刪リタイガ、ソウシテ先ヘヤリマシヨウ
本條委員長出席ヲ期シテ決スルコトニテ未定
第五百九十四條朗讀ス
第五百九十四條 所有者用收權設定ノ前ニ火災ニ對シ其建物ヲ保險ニ付シタルトキハ用收者ハ每年保險料ノ利息ヲ拂フノ要求ニ應スヘシ但所有者ハ火災ノ場合ニ於テ受取リタル償金ノ收益ヲ用收者ニ與フヘシ
 又用收者ハ所有者ト自己トノ利益ノ爲メ自費ヲ以テ保險ヲ約スルコトヲ得此場合ニ於テハ用收者ハ償金ノ中ヨリ自己ノ拂ヒシ保險料ノ額ヲ扣取シ其殘額ニ付テ收益ス
 海上ノ危險ニ對シ保險ニ付シタル船舶ニ付キ用收權ヲ設定シタルトキモ亦右ノ條例ヲ適用ス
(松岡委員)
保險料ヲ年ニ十圓ヅツ出ス其利息ヲ用收者ガ出スノダネ、之ガ出來テアレバ何ウナルダロウ火事ニ燒ケタラ保險額ノ收益ヲ出シテ仕舞フカ
(箕作委員)
宜ケレバ先ヘヤリマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第五百九十五條朗讀ス
第五百九十五條 又用收者ハ用收權ノ價格ノミニ付キ建物ヲ保險ニ付スルコトヲ得此場合ニ於テハ用收者一人ニテ每年ノ保險料ヲ負擔シ火災アリシトキハ償金ノ額ハ總テ用收者ノ所有權ニ屬ス
 凍、雹及ヒ其他天然ノ事變ニ對シ用收者カ收穫物又ハ產物ヲ保險ニ付シタルトキモ亦同シ
(修正) 第一項「所有權ニ屬ス」ヲ「所有ニ屬ス」ト改ム
(松岡委員)
此所ハ修正ノ如クデ宜シイガ日本人ノ考ヘデハ用收者ニ屬スデ宜シイ
(箕作委員)
前ノ場合ハ償金ノ所有權ハ虛有者ニ屬ス收益金ハ用收者ニ屬ス譯ダガ今度違テ償金ノ完全ノ所有權ハ所有者ニ屬スト云フノデス
(栗塚報吿委員)
償金ノ額ハ總テノ所有權ハ用收者ニ屬スト云フ意味ダト說キ明シタノデアリマス
(松岡委員)
ソレナレバ宜シイ
(淸岡委員)
保險料ハ百圓出シテ居レバ千圓取テ居テモ百圓丈ハ扣除スルト云フノデスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(松岡委員)
ソンナコトガアツテ溜ルモノカ、保險料ト云ヘバ百圓拂テ置ケバ千圓取レルノデス
(箕作委員)
自分ノ收益シカ出來マセン人デス自己ノ利益ノ爲メニスルノハ保險料拂テモ百圓ガ目的ニテ居レバ百圓取テ宜シイデシヨウ
(尾崎委員)
千圓取テ百圓ヲ扣除シテ九百圓カラ上ル利益ヲ收益スルノデシヨウ
(松岡委員)
ソウ云フ旨意カネ、スルト商法トハ算盤ガ合ハヌネ
(箕作委員)
商法ハ用收者ニ關係ガアリマスカ
(南部委員)
アリマス
(尾崎委員)
ソレデハ牴觸ト書テ置ウデハナイカ
(栗塚報吿委員)
償金ハ會社カラ拂ヒ保險料ハ此方等カラ拂フノダカラ差引テト云フノダカラ差支ナイ
(淸岡委員)
之ハ所有者ガ旨過ル話デス
(栗塚報吿委員)
用收者ハ所有者ト自己ノ利益ノ爲メニ保險ヲ約シテ所有者ノ殆ンド代人ノ資格デ拂フノデアリマシヨウ
(南部委員)
自己ノ利益ニ於テ保險ニ付シタル場合ダカラ別デス所有者ノ利益ト自分ノ利益ト云タノダネ
(淸岡委員)
此所ハ何ウモ燒タラ所有者モ自分モ迷惑デアリマスカラ保險ニ百圓拂テ千圓取レタ、スル百圓ハ自分ガ拂タカラ扣除シテ跡九百圓ハ所有者ニヤラナケレバナラン
(尾崎委員)
ケレドモ其收益ハ自分ガ取リマス
(箕作委員)
商法ト牴觸スル所ハ見ナイガ此條ハ都合ハ宜シイデシヨウ
(南部委員)
此條ハ宜シイ
(是時委員長出席ス)
(尾崎委員)
第五百九十三條ハ貴君ノゴ出席マデ留保シテ置マシタ
(委員長)
九十三條ハ何ウイウ理窟デスカ
(南部委員)
用收者ノ用收權ト云フモノハ何ウ云フモノカト云フニ所有權ノ支分權デ、所有權ト用收權ト部分シタモノデ用收者ガ租稅ヲ負擔スル場合ト所有者ノ負擔スル場合ハ前條ニ二ツニ分テ揭ゲテアリマス、然ルニ此所ニ至テハ混雜シテ用收者ハ租稅ヲ拂ハヌ場合デモ虛有者ガ拂ハヌ場合デモ皆其完全ナル所有權デ賣拂フト云フコトニ規定シテアリマス之ハ甚ダ不都合デアル、成程所有者ノ負擔シタモノナレバ所有權ヲ賣却スルハ當然又用收者ノ負擔ヲ拂フコトノ出來マセン場合ニハ用收權ヲ賣却スルハ當リ前、ソレヲ自分ノ負擔セヌ租稅ノ爲メニ所有權ヲ賣ラルルカ或ハ用收權ヲ賣ラルルハ不都合デ、斯ウ云フコトハ此方等デ定メテモ又租稅法デ如何ナル利益ガアツテ所有權ヲ賣ルガ宜シイト云フカ知レヌ徵收方法ニ依テ處分スルノダカラ此所ヘ揭ゲルモノニハアリマスマイ到底之ニ揭ゲズシテ稅法デ然ルベキニシタラ隱當デアロウ左モナイト此例ニナイコトヲシテモ折角用收權ヲ確定シテ設クルニ甚ダ不權衡ナリ又見タ所モ不都合ト云フ說モアリマシタ
(委員長)
スルト今南部サンノ說ハ前ノ「ボアソナード」ノ原案ノ通リニナル
(南部委員)
ソウデス
(委員長)
原案通リナレバ何ウナルカト云フニ用收者ガ不納スルトキハ用收權ヲ公賣シナケレバナラン又所有者ガ公賣スルトキハ用收者モ共ニ取リ上ゲナケレバナラン
(南部委員)
ソレハ一向差支ナイ虛有權ト用收權ト二ツニナツテ居ルカラ虛有權ハ用收權ニ影響ハ及バヌ
(委員長)
ケレドモ所有物ヘ以テ係ルト所有物ヲ公賣サルル
(南部委員)
ソレハ今度出來タ九十三條ノ旨意デ、前ノハソウデハアリマセン前ノ方ハ用收權ハ用收權デ賣テ虛有權ニ影響ハナイ又虛有權ヲ賣ルモ用收權ニ影響ヲ支ヘナイ、今度ノ九十三條ハ今ヲ仰ツタ通リデアリマス
(委員長)
畢竟「ボアソナード」ノ改メタノハ何ゼカナレバ用收權ト云フモノハ公賣シテモ賣ル物ガナイダロウ所有權ハ虛有者ガ持テ居ル用收權丈ケ賣テモ買人ハナイ手數ハ係ルシ、ソレナラト云テ放テモ置カレズ逐ニ收稅ノ目的モ逹シラレナイ日ニハ取締モ付カズシテ其モノニハ大層ナ害ガ及ブハ實ニ經濟上カラ云フモ亦行政上カラ云フモ不都合デハナイカ、ソレデソウ云フコトニナラン樣ニ物ニ稅ヲ課シタラ物ト云フモノガ稅ヲ得拂ハヌトキハ外ノモノ同樣ニ公賣サスルガ宜シイト云フノデ、畢竟用收者ヘ虛有者ガ許シテ與ヘタ物ヲ以テ用收シテ行ノダカラ其者ガ稅ヲ拂ハヌトキハ虛有者ガ負擔スルハ當然、虛有者ガ負擔シテモ未ダ拂ハレヌトキハ何フシテモ虛有者ノ卽チ品物ヲ、用收權トナツタ土地ナリ家ナリ賣却シテ徵收スルヨリ仕方ガナイト云フノデ設ケタノデアリマス
(南部委員)
其主意ハ承リマシタ元トノヨリ良クハナツタト思ヒマスガ只熟考スルト何ウモ用收權ヲ置キマシテ其上用收者ガ若シ稅ヲ拂ヘヌトキハ虛有者ノ完全所有權ヲ賣テ所有者ニ迷惑ヲ掛ルト云フ理窟ガ出テ來マセン
(栗塚報吿委員)
恰モ稅徵收法ヲ改メナケレバ此病ヒハ癒ヘマイト思フ、用收權ヲ置ク置カヌニ拘ハラズ元來稅ト云フモノハ物上權カ對人權カト云フト稅ヲ納ムベキ人ニ對シテ政府ニ權ガアレバ決シテ物ニ課シテ居ルノデハナイ人ニ課シタノデ、ダカラ動產不動產ノ上デ一向區別ハナイ政府ガ先取特權ヲ以テ居ルハ原則デアレバ用收者ノ拂フベキ稅ガアレバ用收者ガ負擔スルハ、アタリマイ用收者ガ拂ハヌトキハ何ヲ賣ルカナレバ用收權ヲ賣リハセヌ其人ノ財產ヲ賣ル他ニ不動產ガアツタラ賣ルガ宜シイ、然レバ虛有者ノ迷惑スルコトハナイト云フノガ原則デアロウト思フ、ソレデ起案者モ初メソウ書タノデ、所ガ日本デハ物ニ課スノヂヤカラ卽チ所有物ニ課スカラシテ用收權トシタモノ、用收者ノ拂ハヌトキハ是非物ニ掛テ來ル物ハ何カナレバ則チ所有物デアルト云フ所カラ之ニナツタガ所得稅デ處分スルト用收權ハ所得ダカラ用收者ガ所得稅ヲ拂ハヌトキハ爲メニ虛有者ガ迷惑スルト云フ如キ結果ガ生ジテ來マス
(委員長)
所得稅ハ違フガ公債證書ノ如キニハ都合ガ宜イカモ知レヌ、重モニ此所ハ土地カ家ヲ云フノデ土地ハ日本ノ稅法デ行ケバ所有主ニ掛ルノデ地租ヲ拂ハヌトキハ是非土地ヲ公賣スル、ソコサニ設令民法ニ於テハ權所有權ト正所有權トアルニモセヨ若シ用收者ガ拂ハヌトキハ仕方ガナイ
(栗塚報吿委員)
政府デ、正權所有者ガアルト稅取立ニ權ニ掛ルト正ニ及バヌゾヨ民法ガ出來ル以上ハ所有者ガ二人ニナルコトヲ民法デ許シタ以上ハ稅ノ取方モ亦二樣ニナル土地稅ハ用牧者ニ掛ルト、スルト對人權ニナルノデアリマス
(委員長)
「ボアソナード」ハ稅法ヲ改メタラ宜カラウト日本ノ今ノ如キ物ニ就テヤルノト人ニ就クカハ左程ニ云ハヌガ公賣處分ヲ是非スルハ宜クナイカラソレヲセヌ樣ナ趣向ニスル、併シナガラ日本ノ今迄ノ實驗上カラ見ルト止ムコトハ出來マセンコウ云フコトハ慣習デ來テ居ルカラ今ノ所ヲ變ヘル譯ハ六ケ敷カラ、良シヤ變ヘルニモセヨ改ヘル迄ハ民法ノ仕組ニ付テ稅法ヲ更ヘルニモ手短カニハユカヌカラ稅法デ行ケルコトハシテ、稅法ヲ更ヘルトキハ更ヘルガ宜イト云フ論デ云タノデ稅法ガ更ルカラ此所モ更ルト云フト若シ稅法ノ更ヘヌトキハ始終ガ付カヌ
(栗塚報吿委員)
ソレデ二ツニ分レタトキハ誰カラ取ルト申シテ差支ハナイ
(委員長)
分レテ居テモ物ナレバ宜シイ郎チ權利義務デ實物ハ所有者ヘ掛ルノデス
(栗塚報吿委員)
用收者ニ向テ對人權ノミゾヨ政府ハ先取特權ガアル又虛有者ノ拂フ非常稅ハ物上權ガアルゾヨト用收者ノ拂フベキ稅ハ政府ガ對人權ヲ特一ノ債主ニ過ギマセントナレバヒドウ稅法ニ關センデ宜シイデシヨウ勢ヒ用收者ガ出來レバ又稅法中ニモ用收者ニ對スル條ヲ加ヘテモ差支ナイト思ヒマス
(委員長)
ソレハ君ノ論ハ撞着論デ前ニ報吿委員デ出シタノハ所有權ニ立入レヌ用收權許リ賣ルカラ不都合ト云フ論デアツテ、ソコサニソレヲ左樣ナルモノハユケマイト云フノデ起タノデ之ヲ作ル時分ノ論ヲ打遺テスル樣ニナル
(栗塚報吿委員)
イヤ、彼ノトキモ稅法ヲ改メルカ或ハ此用收權ヲ止メルカ二ツニ一ツト云フ說デアツタノデス
(委員長)
全體土地ニ課シタモノヲ拂ハヌトキハ土地ヲ賣却スルカラ甲ノ土地ト乙ノ土地ト我輩ガ五個持テ居ル内一ツ用收權ヲ持テ居ルト四個ノ物ニ付テ拂フケレドモ五ツノ所有權ガアルノデ獨立ノモノハ拂ハンデ皆賣ラナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
物成リガナイト其人ニ行カズ用收者ニヤツタラ宜シウゴ座イマシヨウ
(委員長)
ソレハ稅法ノ原則ヲ改メナケレバナラン全體土地ノ物ニ課シテアル稅ハ物ヲ賣却スルノダカラ我輩ガ土地所有權ヲ五ツアルト皆賣ラナケレバナラン皆賣テ何分カ稅ヲ取ルトナルカラ虛有權ハ自カラ消ルデシヨウ
(栗塚報吿委員)
私ノ申スノモ五ツノ土地ガアルトソレガ所有權ノトキハ其所有權ニ若シ其内虛有權ガ一ツアツタラソレハ用收者ニ行クガ宜イト云フ稅法ニナレバ格別原則ヲ變ヘルノデハナイト思ヒマス
(委員長)
スルト所有權ガナクナル所有權ハ虛有權ニナツテ物ニ課スルト内區分シテ自分ガ其土地カラ出ル收益ヲ得ルモノヨリ外負擔セント云フコトニ稅法ヲ改メナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
其改正デモ出來レバ治リガ出來マシヨウガ左モナイト虛有者ハ酷ヒ迷惑ニナリマス用收者ガ稅ヲ拂ハヌ爲メニ賣ラナケレバナラントスルト九十三條ノ治リガ着キマセン
(委員長)
ケレドモ賃借人抔ニナレバ最モ甚シイカロウ賃借抔ハ賃借者ト云フモノハ何ウカ稅ハ所有者ガ拂テ居ル、所有者ガ身代限ヲヤラレテハ公賣處分スルト賃借者ハ自分ガ元ヲ掛ケタ物ヲモ公賣サレテ仕舞
(栗塚報吿委員)
ソレハ選逅賃借人ガ稅ヲ拂ハヌデモ家ヲ賣ラナケレバナランコトハナイデシヨウ、用收者ハ稅ヲ拂ハヌ爲メニ虛有者ハ迷惑スルハ如何デアリマスカ、偶ノ比例デ家借人ガ稅ヲ拂ハヌデモ家主ガ迷惑スルノハ困ルデハナイカト云フヲ話デソレハ迷惑スルコトハナイ
(委員長)
稅ヲ負擔シタ者ハ爲メニ所有者ガ損害ヲ被ムルモ借家主ガ稅ヲ拂ハヌ爲メニ家主ニ及ブモ同ジデス
(栗塚報吿委員)
私ガ貴君ノ御邸ヲ拝借シテ居テ稅ヲ拂ハヌデモ貴君ノ家ヲ賣ルコトハナイト云フハ當リ前デス
(委員長)
ソウダガ、家貸人ハ卽チ所有者ト見ル其貸人ガ稅ヲ拂ハヌ爲ニハ借人ガ損害ヲ被ル
(栗塚報吿委員)
ソレヲ云フノデ非常ノ稅ニ付元金ヲ拂ハヌハ論ガナイ併シナガラ借人ガデシヨウ、用收者ガ拂ハヌデ虛有者ガ迷惑スルノハオカシイデハナイカト云フノデアリマス
(委員長)
同ジデアリソウナモノデス、貸人ガ拂ハヌデ借人ガ損害ヲ被ルモ借人ガ拂ハヌデ貸人ガ迷惑スルモ同ジデ一方ハ氣ノ毒ダ、貸人ノ爲メニ借人ニ損害スルコトハ損ガナイト云フコトハアリマスマイ、ダカラ用收者ト虛有者ノ間ニ於テモ用收者ノ稅ヲ拂ハヌ爲メニ虛有者ガ損害ヲ被ブルハ氣ノ毒ダガ若シ虛有者ガ拂ハヌ爲メニ用收者ガ損害ヲ被ブルモ氣ノ毒デアロウ
(栗塚報吿委員)
ソコハ一ツノ權衡デシヨウガソコガ違フノデソレヲ避ル方法ハナイカ若シ支分シテ用收權ニナツテ居タラ稅ハ用收者ニ就テ取レヨト云フニナツタラ如何デシヨウ
(委員長)
ソレハ出來マセン話デ今ノ法律デハ、所有權ト云フモノハ是カラ虛有權ニナルカラ其分丈ケハ同ジ土地ニ賦課スルト云テモ睹易イ話デス
(栗塚報吿委員)
用收權ヲ設定シタ土地ニノミニデアリマス
(委員長)
就テノミニテハ收益ニ付テ課スル原則ニシナケレバナランカラネ總テ日本ノ今ノ稅法デハ物ニ課スルト云フ烟草ナリ酒ナリ醤油土地皆ソウデ獨リ用收權ノミノモノデナイ矢張リ入額ノミナラズ所有權ニマデ虛有權ニ付タモノデ所有權ハ公賣ニモ及バナケレバナランコト所有權ニアラズ以外ノ財產ヨリ外ハナイアツテモ實ハ公賣ト云フコトハ出來マセン話デ一方ノ用收者ト云フノハ眞ノ所有者同樣土地マデ賣却サルルコトナレバ課スルコトハ卽チ物ニ課スソレガナイトキハ所有者ガ側カラ云フト五ツノ内一ツ公賣ハ出來ヌト云フノデアルト跡ノ所有權ナルモノハ何方カラヤツテモ手ガ着ケラレナイカラネ我輩ガ五ツノ物ノ内君ニ貸テ居ル我輩モ能ウ地租ヲ拂ハヌ君モ用收權ニ對シテ稅ヲ拂ハヌト兩方トモ君ハ用收權ノミ公賣ガアリ私ハ四ツノモノヲ公賣ト云フニ其公賣ノナランモノハナカロウデハナイカ
(栗塚報吿委員)
一ツハ用收者ニ課稅シ一ツハ虛有者ニ課稅スト區別シタトキ通常稅ハ用收者ナル卽チ栗塚ガ拂フ若シ非常稅ナレバ貴君ガ拂フ今ノ地租ノ如キ一般ノモノハ栗塚ガ拂フソレヲ拂ハヌトキハソレヲ公賣スル乎、公賣ハ出來マセン非常稅ノトキ公賣ガ出來テ通常稅ノトキハ栗塚ガ身代限リシテ取ルガ宜イトナル
(委員長)
ソレハオカシイ九十二條ハ之ハ今日アタリマイデ宜シイ地租ハ用收者ガ負擔スルネソレカラ先ヲ見ル、所デ所有物ノ場合ガアル、土地モ家モアル土地ノ稅ヲ拂ハヌトキ政府ハ何ウスルカト云フニ用收權ニ屬シタ物丈ケシカ公賣スルコトハナラント或ハ樹トカ家ナレバ裝飾物ニ止マルガ所ガ非常稅ニナルト何ウカ我輩ガ拂ハナケレバナラン拂ハヌトキハ君ニ貸テアル用收ヲスル土地ナリ家ナリ我輩ノ方ヘ來レバ公賣シナケレバナラン不都合ガ出來ルダロウ何方等ニシテモ非常ノトキハ所有者ガ拂ヒ尋常ノトキハ用收者カラダネソレヲ公賣シテモ直打ハナイネソレヲ九十三條ヲ置テ必要用收權ハ虛有者カラ代テヤツタノダカラ用收者ガ拂ハヌトキハ立替ヲヤツテモ宜イ位ヒナモノダ用收者ガセントキハ虛有者ガスル位ヒダカラ稅ヲ拂ハヌトキハ虛有者ガスルダロウ若シソレヲモヤラントキハ仕方ガナイ土地ヲ公賣シテ内カラ稅ヲ拂テ殘タモノハ虛有者ガ取テ利益丈ケ用收者ニヤルトスルヨリ外ハ道ガナイト云フノデ稅法ハ今日違フデモ置クト云フト遂ニ稅法モ動カサレズ民法モ動カサレヌト思フサニ之ヲ改ヘルナレバ稅法ヲ先ニ改ヘテソレカラ法律ヲ立ツレバ宜シイガ若シソウ云フ話ニナルト稅法ヲ改ヘルハ一朝一夕ニハユカヌ稅法ヲ改ヘンマデハ仕方ガナイカラ今日ノ法ニ行ハルル樣ニシテ他日稅法ヲ改メタトキ適當ニスル樣此方ヲ改ヘタラ宜シイト思フ
(箕作委員)
云ヒ詰メタラ今日ノ稅法ヲ更ヘルカ此法律ヲ改ヘルカ一歩讓合シテハユカヌノデアリマス
(委員長)
ソウデスソレ故今日ノ稅法ニ合ハシテカツカツ行ハルル樣シタラ宜シイト思フ
(松岡委員)
私ハ自カラ驚ク程說ガ變ハツタガ今迄ハ之ハ憎ヒデ刪ロウト云タガ此條ハ私ノ考ヘデハ紫字ノ通リ置イテ現行稅法カラ云フト日本稅法ハ物ヲ追缺ケテ歩行ノダカラ通常ノ負擔ハ用收者ガ負擔シヨウガ非常稅ハ虛有者ノ擔任シテモ擔任シタ者ガ拂ハヌトキハ地面ヲ押テ賣ルト云フソウシテ見ルト用收者ガ拂フベキ稅ヲ拂ハヌ爲メニ虛有者ニ踏込デ所有權ヲ賣ラセ其錢ハ用收者ガ收益シテ運耘スルト云フ實ニ酷ヒ話デ此樣ナ法律ヲ立テラレテハ溜ラヌト思タ、所ガ「ボアソナード」ガ此通リニ改メテ五百九十三條ニ書タ所ヲ見ルト愈々コウサレテハ溜ラント氣遣フタコトヲ明記シテ斯ウスルノダト云フノハ藪蛇ノ如ク思タガ段ニ今方ニナツテ考ヘ直スト此儘デ宜イトナツタノデナゼカナレバ今ノ稅法ノ上ニ質入レト云フ物ハ地面ヲ質取主ニ渡シ質取主ガ稅ヲ擔當スルガ若シ拂ハヌトキハ質取主ノ土地ヲ公賣スル其比例カラ云フト用收權ト云フモノハ法律上カラモ出來合意デモ出來ル、スレバ双方ニ權利義務ガアルト見ル、已ニ用收權トシテ合意デ設定シテ是レハ相應ノ代價ヲ取タ者モアル恰モ金ヲ借リテ物品ヲ渡シテ質入レノ如キ、名ハ變テ實ハ借リテアルガ質取主ガ稅ヲ拂ハヌトキハ其物ヲ公賣サルルモノト用收者ガ負擔ヲ拂ハヌ爲メ地面ヲ公賣サルルモ同ジデアロウトコウ云フ考ヘニナリマシタ、スレバ此儘デ置テ今ノ稅法ノ良否ハ別論ニシテ今ノ稅法ヲ立テ置ケバ此通リデ仕方ガナイ用收者ノ拂ハヌトキハ地面モ賣ラレ虛有者非常稅ヲ負擔シテ居リ之ヲ拂ハヌトキモ賣ラルル何方ニシテモ物ヲ公賣シテ徵收スルハ極點デ今ノ稅法ニ照シテ本文通リデ宜イ樣ニ思フ矢張云ヒ詰メレバ質取主ガ公賣處分ヲ受ケルノト同ジト見レバ致シ方ガナイ自然ノ結果ト思フ
(南部委員)
質取ニ付テハ大變論ガアリマス
(栗塚報吿委員)
質ノ權ト用收權トハ稅ノトキハ同ジデスガ稅ヲ拂タ人ガ求償權ガアルカナイカ
(松岡委員)
ソレハナイ、法律ガ質ヲ取タラ取主ガ稅ヲ納メナケレバナラントシテアルノデス
(栗塚報吿委員)
非常稅ヲ用收者ガ拂タラ何ウデスカ
(松岡委員)
ソレハ格別ニ立替ト同ジデス
(栗塚報吿委員)
虛有者用收者通常又ハ非常稅ヲ納メナイトキハ物ヲ賣ラルルト賣ラレタトキハ跡デ求メラルル用收者ノ負擔トアル以上ハ用收者ノ負擔スベキモノヲ怠テ虛有者ノ物ヲ賣ルハ往カヌ
(南部委員)
松岡サンハ質ノコトヲ仰シヤルガアレヲ以テ用收權ノ支分權ト原則ヲ立タモノニアレヲ以テ毀ハスコトハ出來マセン
(松岡委員)
稅法ノトキノ論デアリマス
(栗塚報吿委員)
私等ノ考ヘハ公益ヨリモ用收權ハ無理ナシニ行キタイ精神デ、斯ノ如キ九十三條ヲ置タ爲メニ一方デ用收者ガ負擔スルト云テ居ナガラ現在用收者ノ虛有者ガ拂タトキハ何ウナルカト云フト虛有者ノ迷惑デハナイカ苟モ用收者ノ所得稅ヲ拂ハヌ爲メニ所得ノナイ人ガ其爲メニ地所ヲ賣ラルルハ穩カナラヌト云フノデ責テ求償權ガアレバデス
(松岡委員)
ソレハ無論デシヨウ
(南部委員)
質取法ヲ以テハ自己ヲ以テ自己ヲ傷ケル樣ニナル
(松岡委員)
併シ稅法カラ云フトソウデシヨウ
(村田委員)
質取主ハ稅未納デ其取リシ品物ヲ賣ルト云フコトハ現行法デモ出爽マセンデシヨウ
(南部委員)
私ハ用收權ハ支分權デ何所ニモ關係ナク管理者ニ屬セバ收益ノ權利ハ充分ニアリマス所ガ彼レノ持テ居ルハ虛有權デ其虛有權ヲ持テ居ル者ガ稅ヲ納メヌトキハ私ノ關係ノゴ座イマセン虛有權ヲ賣却シテモ私ニ影響ハナイト同ジデアリマシヨウ
(委員長)
ソンナラ九十二條ノ非常稅ノトキハ何ウカ非常稅ノトキハ虛有者ガ負擔シテ若シ拂ハヌトキハ用收スベキ土地ヲ賣ラレテモ仕方ナイデシヨウ
(南部委員)
ソウ云フコトハアリマセン
(栗塚報吿委員)
非常稅ヲ拂ハヌ爲メニハ土地ヲ賣却スルノデアリマス
(箕作委員)
ソレハ往カヌノデ、南部サン是非用收者ヘ飛バツチリガ行クノデス
(松岡委員)
非常稅ヲ納メヌデ地面ヲ賣ラレテモ用收者ハ用收權ノクツ付タ地面ヲ賣ルノデシヨウカラ用收權ハ失ハヌデシヨウ
(栗塚報吿委員)
失ヒマス卽チ滌除法デナクナツテ仕舞
(松岡委員)
ソウナルカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(委員長)
物ニ權利ノアル以上ハ非常通常ノ區別ハナイ
(南部委員)
ソウデスカ所有權デモ非常デモ何デモトハ云ヘヌ
(委員長)
非常稅ナレバ虛有者ニ掛ケル通常ナレバ用收者ニ掛ルト云フノハ全體眞ノ獨立權デナイデス、ソコサニ眞ニ九十三條ニモヲ互ヒ同士ダカラ貴樣ガ困難ノトキハ己レガ救フ己レガ困難ノトキハ貴樣ヲ救フハ相成ヌト云フノデス
(南部委員)
ソウ見ヘルガ併シ用收者ハ始終稅ヲ納メズ虛有者ハ柔溫納メルト差引ハ出來マセン用收者ガ出サヌトキハ自分ガ迷惑シマス
(委員長)
ソレハ同ジデ何方カラモ同ジデス
(松岡委員)
ソレハ五分々々ト思フ
(南部委員)
五分々々ト云フガ併シ虛有者卽チ用收者ニナツテ後五分々々ニナルカナレバ決シテ差引ハ出來マセン況ンヤ用收者ニ負擔セシムルト云フ法律ヲ定メテ又打毀ハシテ行クハ仕方ガナイ
(委員長)
非常稅ト云フモノハ矢張虛有者ニ貫擔セシムルト云テ居ルガ非常ト通常デ双方デ負擔シテ居ルダロウ
(南部委員)
用收者ハ每年ノ利息ヲ負擔シテ居リマス
(委員長)
賣タ殘リノ利息ヲ負擔シテ居ルノデシヨウ
(栗塚報吿委員)
ソウデハアリマセン
(南部委員)
用收權ガアリマスカラ用收者ハ元金ノ利息ヲ出スノデアリマス
(委員長)
用收者ハ自分ノヤツタ仕事ハ止メテ何レ丈ノ品ガアツタカ知レンガ皆賣ラレテ仕舞カラネ
(松岡委員)
ソレハ失ハヌト思フ非常稅ヲ處有者ガ拂ハヌカラト云テモ地面ノ用收權ハ元ト所有權獲得法ト一所ニ往テ居ルカラ公賣シテモ質入ニシテアルモ同ジデ特權ヲ持テ居ルカラ虛有者ノ爲メ地面ヲ賣ラレテモ百圓ニ賣レ二十圓取ラレテモ八十圓ハ矢張用收者ニ殘テ居ルノデシヨウ
(委員長)
虛有者ガ自分ノ土地ヲ賣ラレタトキ用收權ガ殘テ居ルカ知レヌ
(松岡委員)
殘テ居ル
(村田委員)
消滅デス
(南部委員)
九十三條ニナレバ消滅デス
(委員長)
九十三條ヲ見ナイト此所ハ分ラヌゼ、南部サン能ク見テ呉レナケレバナラン
(南部委員)
私ガ申ス、非常稅ノ場合ハ所有權ヲ制限スルハ萬國普通デアリマス併シナガラ通常稅ハ用收者ガスルハ何故カト云フニ收益ヲ持テ居ルカラデス、スレバ用收者ノ負擔不納ノ爲メニ所有權ヲ賣ラルルハ不權衡ト云フノデアリマス
(委員長)
ソレハ理窟ハアリマスケレドモ私ノガハカラ云フト非常ノトキモ虛有者ノ爲一メ用收者ノ損害ヲ被ルハ同ジダカラ、ト云フガソレハ先ヅ大體ノ論ニシテ民法ヲ日本ニ行フハ何ウ云フ考ヘカ之ヲ行フハ日本ニ行フ目的ヲヤツタノダカラ貴君方ノ理窟デヤルト行ハレヌデシヨウ貴君方ノ論ニスルト用收權丈公賣シテ仕舞ハセヨウト云フノデネ、民法草案ノ儘デ云フトネ、ソコサニソウスルト用收權ヲ設定シテ用收者ノ果實許リ取テ行クニ稅ヲ拂ハヌトキハ土地ニ關スルト云フ原則ガ却テ土地ニ關シナイト云フノト今度所有者ガ虛有者ノ土地ニ課セラレタ稅ヲ拂ハヌトキ用收スル土地ヲ取ラレテ仕舞ト云フコトガ出來ル、迚モ其稅法ヲ更ヘ樣ト云テモ稅ノ原則カラ變ヘナケレバナランカラ之ヲ半年ヤ一年デ改ヘヨウトシテモ出來マセント思フカラ、已ニ慣例ニナツタモノヲ一朝一タニ變ヘルコトハ出來マセン、ソレガ目的ガアルカナシカ幾ラナイ論ズルハ宜シイ、私ハ明論トハ思ハヌ、ソレガナシ得ラレヌナラ之ヨリ外道ハナイ
(栗塚報吿委員)
用收權ノ理窟ハ稅法ニ現ハルルガ當然ト思フ
(委員長)
ソウスレバ何ウスレバ宜イカ
(栗塚報吿委員)
日本ノ稅法デハカナリ前完全ノ所有權ト見タノデ虛有權ト用收權ハ見ナイ稅法デアレバ日本ノ土地ガ虛有權ト用收權トニ分ルルモノトシタラ從テ稅法モ用收權ガ出來タラ之ニ向テハ果實ニ許リトシナケレバナラン用收者ノ財產ヲ取ルハ對人權デアリマス
(委員長)
併シ五百九十二條ノ一項ニ依テ行クノダロウ此場合デ土地ノ負擔シタモノハ總テ拂フト云フトキカ拂ヘヌト云フトキハ土地ナリ何ナリ有ラユル財產ヲ取テ濟マセヨトナルソレカラ若シ其所有者ガ拂ハヌトキハ何ウカ
(栗塚報吿委員)
拂ハヌトキハ土地ヲ併セテ財產ヲ賣リマス
(委員長)
スルト總テ稅法ハ對人權ニナル
(栗塚報吿委員)
單ニ用收權設定シタ土地ノミデアリマス
(委員長)
所有者ノ持テ居ル財產ト其用收權ニ關係セシ土地丈ト云ハナケレバナラン
(栗塚報吿委員)
通常稅ハ今日ノ通リデ宜シイノデ用收權ノミト云フノデス
(委員長)
用收者ノ方ハ分ツタガ若シ通常稅ノトキ虛有者ノ方カラ云フト何ウスル
(栗塚報吿委員)
虛有權デ止マツテ仕舞虛有權シカナイトキハ用收者ニ行クノデ詰リ用收權設定シタ土地ニ付テ稅法ヲ改メルト云フノデアリマス
(委員長)
スルト非常稅デモ人權デアロウ
(栗塚報吿委員)
イエ、ソレハ物權デアリマス
(箕作委員)
云ヒ詰メレバ用收權ガアルニシテハ今日ノ稅法ヲ改メナケレバナラン結果ガ起ルノデス
(委員長)
稅法ニ至テハ中々容易ニ動カセヌカラネ
(箕作委員)
質入書入ニハ入額ヲ取ルモノダカラ稅ヲ納メロト云フノデ若シ稅ヲ納メナケレバ物ヲ公賣スルダロウ、質取主ガ稅ヲ拂フハ何ゼナレバ入額ガアルカラデシヨウ虛有者ハ決シテ收益ハアリマセン
(松岡委員)
入額ガナイカラ其者カラ稅ヲ納メル理窟ガナイ、用收權ガ出來タ以上ハソレ丈ノモノヲ稅法中ヘ入レルハ必要ト思フ
(委員長)
ソレガ至難ナモノデ、ソウ云フコトヲ調ベルニハ少シノヤリ方ノ爲メニ大層入費ガ掛リ稅ヲ課スルヨリ課セヌ方ガ優タト云フコトモアリ又人民ハ感觸ヲ惡クシテ百姓一揆ヲ起シタリスルカラ、ツイ民法デハ往カヌカラ調ベル道ニ由テ愈々行ケル目的ガアレバ別デスガ中々一二年ノ話ニハユカヌカラネ遂ニハ面倒ナ論ニナツテ一寸シテ腰掛ケデハ出來マスマイト思フカラソレヨリ先ヅ民法ヲ行フナレバ現行ニ依テ他日全膿ノ世論ヲ聞イテ其分ツタトキハ民法モ良クナルガ其節ニ改ヘルナレバ他ノモノト聯帶スルカラ宜シイガ此コトノミニ付テ稅法ニ付テコウスルト云フコトハ決シテユカヌ
(南部委員)
ソレハ、權衡ガ合ヌト云フ丈デアリマスガ只此妙ナモノガ出來テハオカシイモノニナリハセンカト思フ
(委員長)
オカシイコトハオカシイガ今ノ稅ハ營業稅ト云テ課シテ怠納スレバ家ニ有ル所ノモノハ賣ルト云フ迄及ブカラネ
(南部委員)
稅法ノ上デスルナレバオカシクモ、格別目立シカ此所ニアルト九十二條ニハ用收者ノ負擔ト云テ此方等デハ用收者ガ拂ハヌトキハ云々トアルノデスカラ
(委員長)
ソレハオカシイコトハオカシイ
(尾崎委員)
稅法ヲ變ヘルコトハ一朝一夕ニハ行クマイカラ仕方ガナイ用收權設定スレバ危險モアルト云フガ仕方ガナイ
(委員長)
完全デハナイガ土臺本ガ惡イノダカラ此法律ガ惡イノデハナイ物ニ課スルノカラ惡イノダカラ仕方ガナイ
(村田委員)
仕方ガナイ
(栗塚報吿委員)
第五百九十五條ハ「償金額ノ總テノ額ハ用收者ニ屬ス」トシマスカ
(松岡委員)
總テハイラヌネ
(栗塚報吿委員)
償金ノ額ノ總テノ額ハ用收者ニ屬スト
(松岡委員)
償金ノ所有權ハ總テ用收者ニ屬スデ宜シイ
(南部委員)
總テノ所有權ト云ハナケレバナラン
(松岡委員)
償金ノ總テノ所有權ハ用收者ニ屬ストシテ宜シイ
(尾崎委員)
ソレガ宜シイ
(村田委員)
チトオカシイ
(南部委員)
償金ノ總テノ所有權ハデ宜シイ
(松岡委員)
被保險額ト云フガアリハセンカ
(箕作委員)
被保險額ト云フハ本ト保險シタ目安ニナルノデス
(委員長)
金額ノ總テノ所有權ハ用收者ニ屬ストシテハ如何
(箕作委員)
宜シウゴ座イマシヨウ
(委員長)
ソレデハ先ヘヤリマシヨウ
本條末文「償金額ノ總テノ所有權ハ用收者ニ屬ス」トシ他ハ原案ニ決ス
第五百九十六條朗讀ス
第五百九十六條 第五百四十八條ニ定メタル如ク相續ノ包括用收者又ハ包括名義ノ用收者ハ其得益ノ割合ニ應シ相續ノ債務ノ利息ヲ擔任ス〔第六百十二條第一項〕
 又右相續ノ負擔タル終身年金權ノ利子又ハ養料モ同上ノ割合ニ應シテ之ヲ擔任ス〔第六百十條〕
(尾崎委員)
之ハ宜シイ
(委員長)
之ハ宜クバ先ヘヤリマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第五百九十七條朗讀ス
第五百九十七條 一箇又ハ數箇ノ特定財產ノ用收者ハ其用收權ニ屬スル財產ニ抵當又ハ先取特權ノ負擔アリシトキト雖モ設定者ノ債務ノ辨濟ヲ分擔セス〔第六百十一條及ヒ第千二十四條〕
 用收者若シ保有者トシテ訴追セラレタルトキハ債務者ニ對シ求償權ヲ有ス但設定者又ハ其相續人ニ對シ追奪ノ擔保ニ係ル訴權ニ妨ケナシ〔第八百七十四條〕
(修正) 第二「追奪ノ擔保ニ係ル訴權」ヲ「追奪擔保」ト改ム
(栗塚報吿委員)
修正ハ「追奪ノ擔保ニ係ル訴權」ヲ「追奪擔保ノ訴權ヲ妨ケス」ト改メマシタ
(委員長)
債務者ニ對シテト云フノハ設定者ガ云フノカイ
(栗塚報吿委員)
詰リ私ノ兄ガ相續シテ私ニハ用收權ヲ呉レテ用收權中家ガアル家ハ抵當ニ這入テ居ル、スルト私ハ親父ノ債務ヲ負擔シナケレバ兄ガ拂テ私ニ金ヲ呉レナケレバナラン質ヲ出シテ呉レズ若シ質ヲ出サヌデ、併シ債權者ハ勿論權利ガアリマスカラ公賣スルカ私ハ兄ノ虛有權ガアルノデス
(委員長)
訴追セラレタトキダネ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(委員長)
親父サント見テモ宜シイノダネ
(栗塚報吿委員)
左樣デ私ガ相續デ出來タ場合ヲ見タノデアリマス
(南部委員)
擔保ノ訴權ヲ行フテ宜シイ求償訴權ヲヤツテモヤロウト云フノデ物權人權ニ依テモデス
(栗塚報吿委員)
求償權ナレバ人權ノミデアリマス
(箕作委員)
宜シイデシヨウ
(委員長)
此所ハ宜ウゴ座イマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第五百九十八條朗讀ス
第五百九十八條 虛有者元金ヲ擔任シ用收者其利息ヲ擔任スヘキ負擔ノ諸般ノ場合ニ於テハ左ノ三箇ノ方法中其一ニ依リ處辨ス
 或ハ虛有者ハ元金ヲ拂ヒ用收者ハ其每年ノ利息ヲ拂フ
 或ル用收權ノ終ニ用收者ハ元金ヲ立替ヘ虛有者ハ之ヲ用收者ニ償還ス
 或ハ要求スルコトヲ得ヘキ金額ニ逹スルマテ用收權ニ屬スル財產ノ一分ヲ賣却ス〔第六百十二條〕
(栗塚報吿委員)
此所ニ三項ノ「或ル用收權ノ終」ト云フヲ「虛有者ハ用收者ノ用收權ノ終リニ於テ之ヲ償還ス」トソレカラ「要求スルコトヲ得ヘキ」ハ「求セラルルコトヲ得ヘキ」ノ方ガ宜ササウデ、茲ノ御會次第デ御直シナスツテモ宜イト云フコトデアリマシタ報吿委員中三人程此所等ハ要求セラルルコトヲ得ベキノ方ガ宜イカト云フ說デアリマシタ
(松岡委員)
之ハ宜シイ樣デス
(委員長)
宜ケレバ先ヘヤリマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第五百九十九條朗讀ス
第五百九十九條 用收權ノ期限間其土地ニ於テ第三者カ虛有者ノ權利ヲ害スヘキ占奪又ハ企作ヲ爲ストキハ用收者ハ其事實ヲ虛有者ニ發吿スヘシ若シ用收者之ヲ爲サヽルトキハ爲メニ生シタル總テノ損害及ヒ第三者ノ得取スルコトヲ得ヘキ時効又ハ占有權ニ付キ其責ニ任ス〔第六百十四條〕
(栗塚報吿委員)
之ハ「發吿」トアルハ「吿發」ト反譯デ直リマス
(松岡委員)
之ハ法律上ノ言葉ト云フノカ分ラヌネ
(南部委員)
併シ先マデ讀デ見ルト分ルノデス
(松岡委員)
之ハ簡デ素人ニハ分ラヌ
(淸岡委員)
揭示抔ト同ジデスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(委員長)
宜ケレバ先ヘヤリマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第六百條朗讀ス
第六百條 若シ所有者カ原吿又ハ被吿ト爲リテ土地ノ完全ナル所有權ニ係ル訴訟ヲ爲ストキハ用收者ヲ其訴訟ニ召喚スヘシ用收者ハ訴訟入費ノ利息ヲ擔任ス
 用收者ハ收益ノミニ關スル訴訟ノ入費ヲ一人ニテ擔任ス
 右何レノ場合ニ於テモ用收權設定ノ證書ヲ以テ用收者ニ追奪擔保ノ權利ヲ與ヘタルトキハ用收者ハ入費ヲ免カル
 如何ナル場合ニ於テモ用收者ハ虛有權ノミニ關スル訴訟入費ヲ分擔セス〔第六百十三條〕
(委員長)
此所ハ證書丈デスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(箕作委員)
此所ハ「チートル」デハナイカ矢張設定名義デ宜シイ
(淸岡委員)
虛有權ノミニ關スル訴訟入費ト云フハ何ウ云フモノデスカ
(栗塚報吿委員)
虛有權丈ヲ爭フトカ云フトキデス
(松岡委員)
追奪擔保ハ虛有者ガ義務ヲ負擔シテ居レバダネ
(栗塚報吿委員)
此トキハ是非用收者ガ追奪サレタトキ虛有者ガ加ハルニ相違ゴ座イマスマイ
(委員長)
用收者ガ虛有者ノ名代ヲヤルノカイ
(栗塚報吿委員)
左樣デハアリマセン用收者ガ訴ヘラレタトキハ虛有者ガ行カナケレバナラン擔保ノ權利ガアレバ一ツデ濟ムガ求償權デハ別ニ訴ヘナケレバナラン用收者ガ訴ヘラレタトキ虛有者ガ參加スルノデス
(委員長)
追奪スル權利ハ何所ニアルカ
(栗塚報吿委員)
用收者ニアルノデ擔保シテ貰フ權利ガアルノデス
(委員長)
用收者ガ訴ヘラレテ居ルノデシヨウ
(栗塚報吿委員)
追奪サルルカラ擔保シテ呉レト云フ權利ガアルノデ又虛有者ニハ擔保シテヤル義務ガアルノデアリマス
(委員長)
是非シテ呉レト云フコトハ用收者カラ云ハレルノダネ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(南部委員)
證書ニ定メテ置ケバデス
(委員長)
與ヘタルト云フノカ
(栗塚報吿委員)
證書ガ其權利ヲ付與シタトキハデスネ
(委員長)
全體權利ハ用收者ガ持テ居ルノダロウ
(栗塚報吿委員)
イヤ用收者ニ與ヘタノデアリマス
(松岡委員)
ドウモ之ハ與ヘラレタルト云ハヌトユカヌ
(栗塚報吿委員)
スルト擔保ノ權利ガト云ハナケレバナラン
(委員長)
分ラヌコトハナイガ分リ兼ルノデス
(松岡委員)
宜シイ樣デス
(委員長)
宜シウゴ座イマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第六百一條朗讀ス
第六百一條 虛有者又ハ用收者訴訟ニ參カルヘキ場合ニ於テ之ニ參カラシメラレサリシトキハ裁決ハ其訴訟ニ參カラサリシ者ニ害スルコトヲ得ス然レトモ事務管理ノ規則ニ從ヒ其者ニ利スルコトヲ得
(箕作委員)
裁決トアルハ私ノ方デハ判決ト直テ居リマス
(栗塚報吿委員)
成程判決ノ方ガ宜シイ之ハ反譯デ直リマスカラ左樣
(松岡委員)
「ラ」ト「ニ」トハ格ガ違ヒマス
(箕作委員)
モノヲ「モノニ」ト云ハナケレバナラン
(松岡委員)
ザリシモノニト書ウカ
(南部委員)
參カラシメザリシト云ハナケレバナランネ自分ガ參カラザルデナイカラ處有者ノ時分ハ用收者カラヤリ用收者ノ時分ニハ虛有者カラヤルカラネ
(村田委員)
其者ヲ害セズトシテ宜シイ
(松岡委員)
ソウデス
(委員長)
宜ケレバ今日ハ是デ措キマス
本條ハ原案ニ決ス