法律取調委員会 民法草案議事筆記 第31回
参考原資料
- 法律取調委員会 民法草案第二編人權ノ部議事筆記 , 自 第二十九回 至 第三十四回 [国立国会図書館デジタルコレクション]
備考
- 未校正のテキストデータです.
民法草案財產篇第三十一號
自第四百三十三條至第四百四十七條
明治二十一年二月二十八日午前第九時三十分開議
(尾崎委員)
ヤリマシヨウ
第四百三十三條朗讀ス
第四百三十三條 若シ合意ノ主タル目的カ不能又ハ不法ノ條件ニ從フトキハ其合意ハ無効ナリ〔第千百七十二條〕
條件ハ當事者ノ一方カ或ハ禁セラレタル所爲ヲ行ヒ又ハ本分ヲ封止スルニ因テ之ニ利スヘク或ハ禁セラレタル所爲ヲ封止シ又ハ本分ヲ行フニ因テ之ニ害スヘキトキハ其條件ハ不法ナリ
若シ不能又ハ不法ノ條件カ合意ノ從タル効力ノミニ關係スルトキハ之ニ關スル約款ノミ不成立ナリ
(修正案) 第二項三行ヘノ下「ク」ノ一字ヲ刪リ「キトキ」ノ三字ヲ加フ
(栗塚報吿委員)
修正致シマシタノハ第二項ノ「之ニ利スヘク」トアルヲ「利スヘキトキ」ト致シマシタ、此方ガ少シハ分ロウト思ヒマス
(渡委員)
「所爲ヲ封止シ」ト云フノハ自ラ行ハザルト云フコトデスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス、註ニ妙ナ例ガ出テ居リマス、政府ノ秘密文書ヲ私ニ下サレバ私ノ家ヲヤルト云フト禁ゼラレタ所爲ヲ行フノデス
(渡委員)
行ヘト云フノハ松岡サンガ行ヘデスカ
(栗塚報吿委員)
松岡サンガ禁ゼラレタル所爲ヲ行ヒ、家ヲ取ルコトガ出來ルトキ、其條件ハ無効ダ、又「本分ヲ封止スルニ依テ」ト云フノハ政府ノ秘密文書ヲ私ニ下サラナカツタラバ家ヲ上ゲマシヨウト云フトキ
(松岡委員)
私ガ受取テ居ル秘密文書ダカラ政府ニ報吿シナケレバナラヌ、然ルニ栗塚ガ云フニ其レヲ報吿ヲ出サズニ默ツテ居レバ御禮ニ家ヲ安ク賣テヤルト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
ソウデス、其レカラ禁ゼラレタル處爲ヲ封止シ、又ハ本分ヲ行フニ因テ害セラレタルトキハト云フノハ今ノ裏ニナツテ、若シ政府ノ秘密文書ヲ出スナレバ此家ハ取戻スゾヨト云フノデス
(鶴田委員)
兩方トモ同ジコトデハナイカ
(南部委員)
政府ノ文書ヲ取テ出サネバ一方ノ害ニナルト云フ場合デス
(淸岡委員)
出サナケレバ御前ニ之ヲヤラヌト云フノダロウ
(松岡委員)
博奕ヲ禁ゼラレテ居ル、栗塚サンガ云フニ、松岡、御前ハ博奕ヲ禁ゼラレテ居ルコトヲ知テ居ルダロウ、御前ガ禁ヲ守テ居レバ此家ヲヤラレヌゾ、犯セバヤルト云フノダカラ、犯セト云フコトニナリヤセヌカ
(南部委員)
裏カラ云ヘバ左樣デス
(鶴田委員)
理窟ハ同ジコトニナル
(松岡委員)
前ノハ惡イ事ヲスレバ褒美ヲ取ラレル、今度ハ善イ事ヲスレバ罰セラルルカラ善イ事ガ出來ナクナル松岡御前謹直ニシテ藝者買モ何モシナケレバ此家ヲヤラヌト云フカラ、私ハ女郎買モシ放蕩ヲシナケレバナリマセン
(淸岡委員)
子供ニデモ云ヒソウナコトダ
(栗塚報吿委員)
利ト害ト丈ケデス
(鶴田委員)
ドウシテモ同ジコトニナル
(淸岡委員)
禁ゼラレタル所爲ヲ封止スト云フノハ如何ナル譯デスカ
(栗塚報吿委員)
禁ゼラレタル所爲ヲ爲サヌナレバト云フノデス
(淸岡委員)
本分ト云フモノハ働カナイモノデアルカ
(栗塚報吿委員)
「封止」ヲ行ハザルトスレバ能ク分リマス
(淸岡委員)
何カ働キノ字ヲ付ケナケレバ本分ト云フモノハ動カヌカラ
(松岡委員)
之ハ「行フ」モ「封止」モ格別ハナイト見ナケレバナリマセン
(渡委員)
四箇條アルガ二ツ外ナイコトニナル
(淸岡委員)
本分ノ行ヒヲ封止スルト云ヘバ分ルガ、本分ヲ封止スルデハ分ラヌ、本分ハ恰モ義務ト云フ樣ナ字デス
(栗塚報吿委員)
本分ヲ行ハザルニ依リトシテハ如何デス
(南部委員)
此處丈ケ左樣シ樣デハナイカ
(鶴田委員)
其レガ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
「本分ヲ行ハサルニ因テ之レ利スヘキトキ或ハ禁セラレタル處爲ヲ行ハス」ト修正致シマス
(松岡委員)
「之ニ害スヘキ」トアル「之ニ」ハ之ヲ對抗スルト云フノデ同ジデ、宜クナイカラ、之ハ後ニ一定シ度イモノダ
(栗塚報吿委員)
私モ「之ヲ」デ宜シイデハナイカト云タ處ガ、日本語デ「之ニ」ノ方ガ多イト云フコトデ御座イマシタ
(松岡委員)
其レハ日本ノ中デモ偏卑ノ所ノコトダロウ、之ハ一體ニ直シテ貰ヒ度イ
(村田委員)
後ニ一樣ニシテ貰ヒ度イ
(鶴田委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第二項又ハノ下「本分ヲ行ハサルニ因テ之ニ利スヘキトキ或ハ禁セラレタル所爲ヲ行ハス」云々ト修正ス
第四百三十四條朗讀ス
第四百三十四條 偶然ノ條件及ヒ全部又ハ一分ニ於テ要約者ノ意ニ關スル條件ハ其成就ヲ妨ケタル者カ諾約者ナルトキハ成就セシモノト看做サル〔第千百七十八條〕
(南部委員)
「一分ニ於テ」ハ「一分カ」トハ改メラレマセンカ
(栗塚報吿委員)
「カ」デハアリマセン
(村田委員)
「カ」ト云フ方ガ分リ易イ
(松岡委員)
「一分ニ付キ」ト云フコトダロウ
(栗塚報吿委員)
左樣デス、國カラ叔母ガ來ルカモ知レヌカラト云フノハ偶然ノ條件デス、私ガ長崎ヘ行クカモ知レマセント云フノハ要約者ノ意ニ關スル條件デス
(松岡委員)
全部ナリ又ハ一部ナリト云フコトダ
(栗塚報吿委員)
原文ニハ「要約者ノ意ニ全部ナリ又ハ一部ナリカ關スルトキ」トアリマス
(南部委員)
「一部カ」ノ方ガ分リ易イ
(鶴田委員)
「カ」ガ宜カロウ、其レカラ「要約者ノ意ニ關スル」ト云フ「關」ノ字ハ前ノ「之ニ關スル」ダノ「關係スル」ト云フノトハ意味ガ違ウ樣ニ見ヘマス云ハバ「意ニ任カセル」其人ノ心持次第ト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
長崎ヘ往ツタラ家ヲ上ゲ樣ト云フトキ、行ク行カヌハ私ノ意ニ關シテ居ルト云フコトデアリマス
(鶴田委員)
行クト行カザルトハ要約者ノ意ニアル條件ト云フノダカラ「任カセル」デ宜シイ
(栗塚報吿委員)
條件ヲ出ソウト出スマイト云フコトデ御座イマス所有サセ樣ト、サセマイト如何樣ニデモナリマス關ルトキト云フ意味デス
(村田委員)
私ガ馬ヲ持テ居テ彼ノ馬ト競爭シテ勝ツタラバ褒美ヲ上ゲマシヨウト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
其レハ全部トハ云ヘナイ
(鶴田委員)
意ニ任ズルト云フ意味ダ
(松岡委員)
下ノ隨意ト云フノハ一方ノ意ニ任カスト云フト矢張リ次ギノ隨意ハ關意ヲ半分ナリ全部ナリ出來ルニ違イナイ我輩ハ意ニ關スト云フノハ氣ニ掛ルト云フコトニナル
(鶴田委員)
「意ニ任カセル」トスレバ宜シイ
(南部委員)
此處バカリ改メテ、前ニ在ルトイカン
(栗塚報吿委員)
「意ニ係ル」トハ出來マセンカ、關スルト云フノハ獨立デナイ屬シテ居ルト云フノデス
(村田委員)
口デ云フ關ノ字ヨリ意味ガ重イノデス
(鶴田委員)
「意ニ從フ」ナレバ宜シイ
(南部委員)
「從フ」ヨリ「任スル」ノ方ガ宜シイ
(村田委員)
改メルナレバ「任スル」ガ宜シイ
(尾崎委員)
任ズルガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
「意ニ任スル」ト致シマシヨウ
(鶴田委員)
「意ニ任スル」トシマシヨウソウシテ「全部又ハ一部カ」トスルカ
(栗塚報吿委員)
「任ス」デハ上ヲ「カ」トスルコトハ出來マセン「全部又ハ一部要約者ノ意ニ任スル條件」デハ分リマセンカ
(松岡委員)
「カ」ノ方ガ宜シイ、「一分カ要約者ノ意ニ任スル條件ニ於テ其成就ヲ妨ケタル者カ」トスレバ宜シイ
(鶴田委員)
一部ト云フノハ、ドンナ物ダロウ
(南部委員)
中間ノ未必條件ト云テアル
(栗塚報吿委員)
私ガ明日ノ競馬ニ馬ヲ三頭出ス積リデ三頭出シタラ何ヲ上ゲ樣二頭ナラドウシ樣ト云フトキハ一部デ御座リマシヨウ
(鶴田委員)
要約者ノ意ニ任スト全部又ハ一部トハナラヌカラ知ラン
(松岡委員)
其レモ具合ガ惡ルイ
(栗塚報吿委員)
「要約者ノ意ニ全部又ハ一部ヲ任スル條件」デハイケマセンカ
(松岡委員)
其レデモ良クナイ
(鶴田委員)
「一分カ要約者ノ意ニ任スル條件」トシ樣
(南部委員)
關スルト云フコトニシ度イ
(尾崎委員)
爲ソウト爲スマイトト云フ意味ナレバ任ズルノ方ガ宜シイ
(淸岡委員)
任ズルトシテハ原文デ困ルダロウ
(栗塚報吿委員)
困リマス
(淸岡委員)
變ヘテ宜シケレバ澤山變ヘル處ガアル
(鶴田委員)
ソンナラ封止ト云フノモ行ハザルトハ直セヌ樣ニナル
(栗塚報吿委員)
「一分カ要約者ノ意ニ關スル」ト爲サレテハ如何デス
(鶴田委員)
「關スル」ト云フ字ヲソウ云フ處ヘ使ツタコトハナイ
(南部委員)
「關スル」ト云フ字ヲ一字改メタ處ガ仕方ガナイ
(鶴田委員)
分ランケレバ改メナケレバナラヌ
(村田委員)
「任スル」ト修正スルノガ多數ダ
(松岡委員)
「看做サル」ハ「看做ス」デ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(鶴田委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
又ハノ下「一分カ要約者ノ意ニ任スル」ト改メ「看做サル」ヲ「看做ス」ト改ム
第四百三十五條朗讀ス
第四百三十五條 若シ條件カ隨意卽チ當事者ハ若シ事件カ成就セスシテ經過スレハ其條件ハ缺ケタリト看做サルヘキ期間ヲ定メント裁判所ニ請求スルコトヲ得
(栗塚報吿委員)
本條ノ「關スル」ハ御遺シニナリマスマイカ
(鶴田委員)
違ヘテ說クニハ及バヌ「任意」デ宜シイ
(栗塚報吿委員)
假令バ危イ事ヲスルガ、貴樣ニ出來ルカ出來ナイカト云フノハ度胸丈ケノ話シダト云フトキハ度胸ニ關スルノデ、度胸ニ任カスト云フコトハ出來マスマイ綱渡リヲスルノハ度胸デ出來ルノデス
(鶴田委員)
綱渡リヲスルノガ度胸ニ關スルナレバ分ルガ、其人ノ意ニ任ズルノダ
(栗塚報吿委員)
綱渡リヲスルノハ度胸ニ關スルノダ
(鶴田委員)
綱渡リト度胸トハ大變違ウカラ左樣ニ說イテ宜シイガ、隨意ト云フノハ任意ノコトデ、茲ハ隨意ト云フ字ヲ說クノダ
(南部委員)
心ニ關スルト云フ字ガアル
(栗塚報吿委員)
「關意」ヨリ「任意」ノ方ガ宜シイト云フテ御修正ニナレバ兎モ角モ、意ニ關スルト云フコトガナイト云フコトハアリマセン
(鶴田委員)
惡事ヲスルモ善事ヲスルモ度胸ニ關スルト、惡事モ善事モ關係スル
(淸岡委員)
三十四條ナドハドウシテモ關スルデナケレバナリマセン任カスト云フト此方カラ任カスコトニナル
(南部委員)
能ク考ヘルト關スルガ宜シイ
(尾崎委員)
ソレ程大切ナラ關スルニシテ置キマシヨウ
(松岡委員)
ソンナラ前ノ封止ト云フ字モ元トノ通リニシ樣、ソウスルト此處ノ議決ハ何ニモナラナイコトニナリ根氣ノ良イ者ガ勝ツ樣ニナル
(渡委員)
三十四條ト三十五條ト別々ニ決シテ置クノハ良クナイカラ之ハ兩方トモ御預ケニシ樣
(村田委員)
預ケルガ宜シイ
(南部委員)
「看做サルヘキ」ハ「看做スヘキ」トシマシヨウ
(渡委員)
一方ノ意ト云フノハ如何ナルコトデスカ
(栗塚報吿委員)
貴君ノ意思ニ關シテ居テモ、私ノ意思ニ關シテ居テモ何モ出來ナクナル、私ガ旅行ヲシタラバ私ノ馬ヲ上ゲマシヨウト云フトキ貴君ノ曰ク私ガ何レヘカ行ク樣ナコトガアツタラバ貴君ノ馬ヲ買ヒマシヨウト云フ樣デハ際限ガナイコトデスカラ、一方ノ意思ニノミ關シナケレバナリマセン
(松岡委員)
此樣ナ馬鹿ナコトヲスル奴ガアルモノカ
(渡委員)
五月迄トシテ旅行スルコトガ五月迄ニ出來ヌトキハ消ヘテ仕舞フ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(南部委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
「關スル」ノ字ハ四百三十四條ノ同文字ト共ニ報吿委員ヘ預ケ尙ホ調査スルコト「看做サル」ハ「看做ス」ト改ム
第四百三十六條朗讀ス
第四百三十六條 若シ有爲ノ條件カ或ハ當事者ニ因リ或ハ裁判所ニ因リ或ル定マリタル時期ニ制限セラレタル場合ニ於テ此時期カ事件ノ到來スルコトナクシテ過キタルトキハ其條件ハ缺ケタリト看做ス又條件ノ成就ノ爲メニ定メタル時期アルト否トヲ問ハス事件ノ成就スルヲ得サルコトカ的確ト爲リタル時ヨリ其條件ハ缺ケタリト看做ス〔第千百七十六條〕
或ル定マリタル時期ニ制限シタル無爲ノ條件ハ豫見シタル事件カ其定マリタル時期ニ於テ到來セサルトキハ成就セルモノト看做サル又其條件ハ定マリタル時期ノアルト否トヲ問ハス事件ノ到來セサルコトカ的確ト爲リタル時ヨリ成就セルモノト看做サル〔第千百七十七條〕
右何レノ場合ニ於テモ當事者ノ定メタル期間ハ判事之レヲ延ハサルヽコトヲ得ス
(栗塚報吿委員)
末項ノ「判事ニ因リ」ハ「判事之ヲ」ト翻譯デ直シマス
(南部委員)
總テ「看做サル」ハ「看做ス」ト致シマシヨウ
(尾崎委員)
第一項ノ「缺ケタリ」ハ丸ルデ無クナツタト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
(南部委員)
「又ハ」カラ下ハ旅ニ行クト云フ人ガ死ンダト云フトキデス
(栗塚報吿委員)
「制限セラレタル」ハ「制限シタル」ニナリマス
(南部委員)
ソレデハ「條件ヲ」ト云ハナケレバナラヌ
(栗塚報吿委員)
「條件ヲ或ハ當事者或ハ裁判所カ或ル定マリタル時期ニ制限シタル場合ニ於テ」トシタラ宜シウ御座イマシヨウ
(松岡委員)
「或ハ」ヲ「又ハ」トシタラ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
「又ハ」デ宜シウ御座イマスニ項ハ「或ル定マリタル時期ニ制限シタル」ト致シマス
(鶴田委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第一項「若シ有爲ノ條件ヲ又ハ當事者ニ因リ又ハ裁判所カ或ル定マリタル時期ニ制限シタル」云々ト改ム同項「看做サル」ハ二箇所トモ「看做ス」ト改ム第二項「制限セラレタル」ヲ「制限シタル」ト改メ「看做サル」ハ二箇所トモ「看做ス」ト改ム
第四百三十七條朗讀ス
第四百三十七條 若シ當事者ノ一方又ハ雙方共ニ條件ノ成就シ又ハ缺クル前ニ死亡シタルトキハ合意ハ其相續人ニ對シ働方又ハ受方ニテ存留ス但條件カ其本性ニ因リ又ハ當事者ノ意思ニ因リ要約者又ハ諾約者ノ一身ノミニ附着シ又ハ負ハシメラレタルトキハ此限ニ在ラス〔第千百七十九條第二項〕
(村田委員)
「負ハシメラレタル」ハ「負ハシメタル」デ宜カロウ
(松岡委員)
「條件カ」ハ「條件ヲ」デ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
御修正ニナラヌ方ガ宜シウ御座イマシヨウ
(鶴田委員)
茲ハ前ノ四百三十條ノ方ノ相續人ハ入リマセンカ
(栗塚報吿委員)
矢張リ承權人中ニハ相續人ガ入ルダロウト思ヒマス
(鶴田委員)
ソウスルト前ノ條ト相待テ行カナケレバナラヌ、知ラセナケレバ之レモ効ガナイカラ
(栗塚報吿委員)
私ノ親父ガ人ニ物ヲ賣テ登記ガシテ無カツタトキ
(南部委員)
登記ノコトハ相續人ノ處ニ書クコトニシマシタカラ其主義デ行クト未ダ之ハ分ラヌ
(鶴田委員)
物ニ因テ不動產ナドハ左樣ニナルダロウガ、鳥渡云フ無爲ノ契約ニナルト登記シナイ物モアルカラ知ラセンケレバ自然ニ無効ト云フコトガ前ニ在ツタデシヨウ
(南部委員)
アレハ附與スルトアツテ承權人トアリマスカラ讓リ渡シノ處ヲ重モニ書イタモノト思ヒマス
(鶴田委員)
此處ハ相續人デ宜シイガ次項ガ始メテ相續人ヲ云フノダロウト思ヒマス
(松岡委員)
左樣ダロウ
(栗塚報吿委員)
承權人ト相續人トハ別ニナツテ居リマス、平生書キ分ケテナイトキハ承權人ニ相續人ガ含ミマス、一般ノ繼承人ハドウ云フモノカト云フニ先ヅ正當ノ相續人、遺囑ヲ受ケタル者、又ハ包括各義デ財產ヲ貰ツタ人デス
(尾崎委員)
親ガ死ンデ約束ヲ子ガ受繼ガナケレバナラヌト云フ道理ハ宜シイカネ
(松岡委員)
現今デモヤツテ居ル
(鶴田委員)
其レヲ云フト親ガ爲シタル借金ヲ子ガ引受ケズトモ宜シイト云フコトニナル
(尾崎委員)
其レハ子ガ食テ居ルカラ仕方ガナイ
(松岡委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第四百三十八條朗讀ス
第四百三十八條 其他如何ニ條件カ完成セラヘキヤ又如何ナル時ニ於テ條件ハ成就シ又ハ缺ケタリト看做サレ得ルヤヲ知ルコトニ關スル問題ハ當事者ノ明示又ハ默示ノ意思ニ從ヒ決セラル其條件ノ一分ノ成就カ有スルコトヲ得ル効力ニ付テモ亦同シ〔第千百七十五條〕
(栗塚報吿委員)
「完成セラルヘキ」ヲ「完成スヘキ」ト改メ「看做サレ得ル」ヲ「看做シ得ル」シテ「決セラル」ヲ「之ヲ決ス」ト改メマス
(渡委員)
條件ノ一分ノ成就ト云フノハ如何ナルコトデアリマスカ
(栗塚報吿委員)
條件ノ全部ガ出テ來ラズトモ一部ガ出テ來リタルトキ假令バ栗塚ガ京都迄行クト云フ約束デアツタノガ尾張邊迄行キタルトキ京都迄行ツタト看做スコトガ出來ルヤ否ヤ東海道ヲシテ京都迄行キタラバ米ヲ十俵ヤルト云テ尾張迄行キタルトキハ半分ダカラ五俵ヤルト云フトキハ當事者ノ意思ニ從テ決スル
(鶴田委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
「完成セラル」ヲ「完成ス」ト改メ「看做サレ」ヲ「看做ス」ト改メ「決セラル」ヲ「之ヲ決ス」ト改ム
第四百三十九條朗讀ス
第四百三十九條 若シ約束セラレ又ハ讓渡サレタル物カ諾約者又ハ讓渡人ノ過愆ナクシテ停止條件ノ成就前ニ其價格ノ全部又ハ其半ハヨリ多キ部分ニ付キ喪失シタルトキハ合意ハ不成立ト看做サレ且何レノ方ヨリモ何等ノ要求ヲモ爲スコトヲ得ス
之ニ反シテ若シ約束又ハ讓渡カ解除ノ條件ニテ爲サレタルトキハ右同一ノ喪失又ハ損壞ハ權利ノ確定ト爲リタル要約者又ハ讓受人ノ負擔ニ歸シ此等ノ者ハ何等ノ返還ヲモ要求スルコトヲ得ス
若シ同一ノ場合ニ於テ喪失又ハ損壞カ價格ノ半ヲ踰ヘサルトキハ條件ノ成就ハ合意セラレタル効力ヲ生ス〔第千百八十二條〕
(栗塚報吿委員)
「約束セラレ又ハ讓渡サレ」ヲ「約束シ又ハ讓渡シ」ト致シ「看做サレ」ヲ「看做シ」ト改メマス
(松岡委員)
「看做シ」デハアルマイ、「看做ス」ダロウ
(南部委員)
「看做ス」デハ「且得ス」トハ云ヘヌ
(淸岡委員)
「且」ト云フ字ヲ刪ツタラ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
刪ルコトハ出來マセン
(南部委員)
「讓渡カ爲サレタルトキハ」ハ「讓渡ヲ爲シタルトキハ」デ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
ソウデス、末項ハ「合意セラレタル」ヲ「合意シタル」ト致シマス
(鶴田委員)
解除シ樣ト云フ約束ヲシテ解除ニ至ラサル前ニ消失スルノデスカ
(栗塚報吿委員)
ソウデス私ノ家ヲ貴君ニ今日賣テ今年ノ暮ニ母ガ來マシタラバ解除シマスト云フトキ暮ニ私ノ母ガ來タトキ半バ迄燒ケナイトキハ解除ガ出來ル併シ半バ以上燒ケタトキハ合意ガ成立タザリシモノト見ル
(鶴田委員)
讓リ受分ハ現在ノ讓受分デスネ
(栗塚報吿委員)
ソウデス
(淸岡委員)
其トキニ契約ノ原價デ買ヘルゾヨト云フ、若シ燒ケタトキハ八分カ九分燒ケテモ原價デ買戻サセテモ宜シイ
(尾崎委員)
田地ヲ十ケ年經テバ買戻スト云フ然ルニ洪水ガ出テ半分ニナリタルトキハ
(栗塚報吿委員)
買戻シト未必條件トハ違ヒマス買戻シバ定マツテ居リマス、私ノ今持テ居ル反物ヲ賣ロウトカ或ハ今日持テ居ル物ヲ百個賣ルガ七月ニナツテ佛蘭西カラ來ナケレバ無キモノト看做スゾヨ
(淸岡委員)
私ノ親類ガ困ツテ田地モ何モ賣テ仕舞ハナケレバ私ガ皆買テ居ル、身代ガ壞レレバ何時デモ上ゲルト云フ話シヲシテアル、是レハ未必ノコトデ、三年シテ身代ガ直ルカ五年經テ直ルカ分ラヌカラ矢張リ未必ニナル、左樣ナル場合ニ洪水ノ爲メニ半分流レテ仕舞テ其者ガ金ガ出來タトキ買戻スト云フ
(栗塚報吿委員)
ソレハ買戻シマスマイ
(淸岡委員)
買戻サナケレバ宜シイト云フ譯カ
(松岡委員)
金ガ出來タト云フコトガ定マレバ嫌トハ云ヘヌ
(栗塚報吿委員)
其レハ金ガ出來タト云フコトハ分ラヌ
(淸岡委員)
五年十年ノ内ニ私ノ身上ガ惡クナツテ向ウデハ金ガ出來テ田地ヲ買ウ其トキ買戻ス約束ダカラ買戻シテ呉レト云フコトハ充分出來樣
(鶴田委員)
其レモ矢張リ未必條件ダ
(栗塚報吿委員)
向ウカラ云フテ來レバ解除ガ出來マスガ、金ガ出來テモ解除ハ出來マセン
(淸岡委員)
解除ノ條件ガアツタ方カラ云ハレヌト云フコトハ思ヘナイ
(南部委員)
金ガ出來タラ買戻スト云フノハ未必條件デハナイダロウト思フ
(松岡委員)
例ガ惡ルイカラ例ヲ止メテ詰リ半分ヲ超ヘザル四分燒ケタト云フ時分ニ皆返ヘスト云フノハ酷イデハナイカト云フノダロウ
(南部委員)
處ガ其レハ未必條件ダカラ仕方ガナイ
(栗塚報吿委員)
三百五十五條ヲ御覽ナサレバ分リマス「與フルノ合意ノ目的カ特定物ナル總テノ場合ニ於テハ意外ノ事又ハ不可抗力ニ出タル滅失又ハ損壞ハ諾約者カ危險ヲ負擔シタルトキ及ヒ停止ノ未必條件ニ付キ記載シタルモノヲ除クノ外要約者ノ損ニ歸ス」トアリマス
(淸岡委員)
其レハ與フルダカラ解除トハ違イマス
(南部委員)
停止ノ未必條件ヲ除イテ要約者ノ損ニ歸シテ居ル
(淸岡委員)
此若シ以下ノ「半ヲ超ヘサルトキハ」ト云フノハ何處カラ出テ來タ原則カ
(南部委員)
之ハ一體半バト云フ制限ヲ付ケテハアルガ、一部分デモ燒ケレバイケナイト云フコトニナツテ仕舞フト家根ガ燒ケテモイケナイ、解除ノトキニハ買タ者ノ損失ニナルト云フ樣ニ定メテ仕舞フコトハ出來ナイシテ見レバ幾分ガ燒ケタトキハ箇樣ト云フ部分ヲ定メナケレバナリマセン
(淸岡委員)
三百五十五條ニ要約者ノ損失ニ歸スト云フ原則ガアレバ半バヲ超ヘテモ損失ニ歸サナケレバナラヌ、其原則ヲ捨テ如何ナル理由デ箇樣ナルコトガ出來マスカ
(村田委員)
原則ト云フモノハ多イ物ハ多イ方ヘ付ケル、少ナイ物ハ少ナイ方ヘ付ケルト云フノデス
(栗塚報吿委員)
之ハ三百五十五條ト併セテ論ジナケレバ錯雜シ樣ト思ヒマス
(鶴田委員)
與フル者ハ賣買モ入ツテ居マスカ
(栗塚報吿委員)
入ツテ居リマス
(淸岡委員)
末項ニ至テ半ヲ超ヘザルトキハト云フノハ可笑シイ
(鶴田委員)
併シ前ノ半ヲ超ヘタバカリヲ云フノダカラ茲ヘハ云ハナケレバナリマセン
(南部委員)
私ノ考デハ「ボアソナード」ノ旨意ガ善イカ惡イカ畢竟解除ノ處デ地面ヲ取テ居ル、其地面ガ自然ノ水理ノ具合デ價ガ增シタト云フ場合デモ其レガ解除ニナレバ元トノ賣リタル者ノ所有ニ歸シテ仕舞フ其レデ又箇樣ナル場合ニ於テ惡ルクナツタル分ヲモ其者ガ負擔シナケレバナラヌト云フ理由カラ出テ來テ此末項ガ出タカト思ヒマス、半分ガ多イト云フノハ別ノ話シニシテ
(淸岡委員)
「効ヲ生ス」迄ハ宜シイガ「併シナカラ」ト云フコトヲ加ヘナケレバナリマセン、効ヲ生ズルケレドモ半ヲ減ジタトキハ其半ノ價ヲ以テトシナケレバナリマセン
(南部委員)
ソウ云フコトヲ云ヘバ利益ノ出來タトキハ如何スルカト云フコトガ反對カラ起ツテ來ル
(淸岡委員)
利益ノアル場合ハト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
額ガ大變增シタ、今日貴君ノ地所ヲ費テ來年解除ニナツタ其トキ田地ガ騰貴シタトキ
(淸岡委員)
ソウ云フコトハ云ハヌデス、若シ價ガ下ツタトキハ下ツタトキノ相場デ貰ハナケレバナラヌト云フガソウハ云ハヌ
(栗塚報吿委員)
或ハ家ガ燒ケタルトキデス、卽私ガ家ヲ買戻ソウト云フトキ家ガ燒ケテ居タ、ソレデモ栗塚ガ燒ケナカツタトキノ代價ヲ拂ハナケレバナラヌ之ハドコ迄モ少シ迷ツテ來マシタ、私ガ貴君ニ條件付デ家ヲ賣テ其家ガ貴君ノ手ニ在ル内ハ貴君ノ損デス、丸燒ケデナカツタトキハ三分ノ一燒ケタトキハ燒ケタ丈ノ物ハ引イテ買ウノダロウ
(村田委員)
其レハ引カヌノダロウ
(南部委員)
其レハ引カズトモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
詰リ半バヲ過グルト云フノダ
(淸岡委員)
下ノ項デハ兩方云テアルマイ
(南部委員)
兩方云テアリマス註ニ書イテアル
(淸岡委員)
註ニ書イテアツテモソウデナイ以前ノ停止條件ノトキ、コウ云フコトガアツタレバ貴君ニ家ヲ賣ルト云フトキハ半分以下ノ消失ニナツタトキハ貴君ハ燒ケタナリニ買ハナケレバナラヌト云フノハ無理ナ話シダ
(栗塚報吿委員)
其處ハ未必條件ノ合意ダカラ仕方ガナイ、私ハ矢張リ燒ケタ儘ヲ買ハナケレバナリマセン、第一未必條件ノ旨意ハ左樣デス
(淸岡委員)
ソウスレバ佛蘭西トハ丸デ反對ダ
(渡委員)
私ハ不條理トハ云ハナイ
(栗塚報吿委員)
半分ニシタノハ奇態ト思フ、遺ラズデモ仕方ガナイ、併シ其レハ酷ダカラ半分ニシタノデシヨウ
(淸岡委員)
悉クヤルナラ宜シイガ、半分ナラコウスルト云フノハ一切分ラナイ、私ガ家ヲ貴君ニ賣ル、今ハ母ガ住ンデ居ルカラ歸ツタラ賣ルト云フトキ貴君ガ千兩ニ買ヒマシヨウト約束シタ處ガ其家ガひよつと燒ケタトキハ仕方ガナイガ、半分燒ケタハヨコスト云フコトハナイ
(栗塚報吿委員)
半分燒ケテモ合意ノ目的物ハアルノデス
(淸岡委員)
半分燒ケテモ皆ヨコセト云フコトハ人聞ノ道理上云ヘナイ
(栗塚報吿委員)
元來條件付カズノ賣買デアツタトキハドウシマスカ
(淸岡委員)
條件付カズノ賣買ナレバ所有權ガ移ツテ居ルカラ仕方ガナイ
(栗塚報吿委員)
ソレナレバ之モ所有權ガ定メテ居リマス
(淸岡委員)
ソレハ貴君ガ管理スルカラ宜シイガ之ハ二三年ノ内ニ母ガ歸ルカラ家ヲ賣リマシヨウト云フ、其内ニ燒ケレバ仕方ガナイ、私ノ損ニナルガ半分燒ケタカラ全額ヨコセト云フ不條理ノコトハナイ
(南部委員)
佛蘭西ノ民法デモ不都合ガアル、少シ軒ガ燒ケテモ契約ヲ解イテ仕舞フト云フコトガ云ヘル、其レハ不都合デナイカ
(淸岡委員)
ソレガ不都合ナレバ必ラズ佛蘭西ノ法律ニ依レトハ云ハヌ又之ガ悉ク惡イトハ云ハヌガ、解除トカ未必トカ云フ場合ニ半分ノトキハ全部ヲ取ルト云フコトハシナイガ宜シイ成程少シ計リ燒ケテモ其レヲ口實トシテ解除スルト云フノモ酷デ御座リマシヨウ、併シナガラ其効力ガアツテモ天災ナレバ仕方ガナイ、一町アツタ物ガ五反ニナツタトカ四反缺ケテ六反ニナツタトキハ仕方ガナイ、六反ノ代價ヲ取ルヨリ外ニ仕方ガナイ
(南部委員)
其レデハ三分ノ一トカ何トカシマスカ
(淸岡委員)
燒ケタトキ代價ヲ定メテ其トキノ代價ヲ以テ讓渡ヲスルコトニシナケレバ半分以下ナレバ五分迄ハ半分以下ト見テ代償ヲ皆取ルト云フノハ宜シクナイ
(南部委員)
評價スルト云フノハ穩カデナイ
(松岡委員)
末項ニ歩合ヲ云ハナケレバナラヌト云フト第一第二カラ歩合ノコトヲ云ハナケレバナリマセン
(淸岡委員)
起案者ノ說ハ箇樣デハナイカト思フ喪失シタルトキニハ不成立ト看做スト云フ丈ケデ其レカラ下ノモノハ不成立ト看做サヌ、約束ガ成立テ居ルト云フコト丈ケヲ示シタ丈ケデハアルマイカト思フ
(松岡委員)
不成立トナレバ何デモナイ
(淸岡委員)
無効トナランケレドモ全額ヲ取ル効ヲ生ズト云フコトデハアルマイ
(鶴田委員)
案ハ分ツテ居ルケレドモ少シ具合ガ惡イ
(淸岡委員)
茲デ改正スルコトモ出來マイガ「ボアソナード」ニ話シテ見テ箇樣ナルコトヲ困ルデハナイカト聞イテ見タラ宜カロフ
(鶴田委員)
起案者ニ聞クガ宜シイ
(松岡委員)
順序ハ立テ居ル
(鶴田委員)
理窟ハ立テ居ルガ偏頗ニナツテ居ル
(渡委員)
偏頗デハナイガ半分ト云フノハ酷ニ過ギルト云フノダ
(鶴田委員)
此方ハ合意ノ不成立トナルカラ契約ガナカツタモノト見ルル此條ハ合意ハ不成立トナラヌ損丈ケ引クノダロウ、要約者讓受人ニ損ガ歸スル遺ツタ分ハヤロウト思ヘバ與ヘタ分デヤルコトガ出來ル
(松岡委員)
左樣デナイ
(鶴田委員)
悉皆無クナレバ引キ樣ハナイ、若シ半分ナレバ損ヲ引イテ遺ツタノヲ取テ宜シイ
(松岡委員)
解除條件ハ到底到來セヌモノト看做ス
(鶴田委員)
未必條件ハ未確定ノモノダ今持テ居ル人ハ確定ノ權利ヲ持テ居ルカラ其確定ダロウト思フ
(松岡委員)
ソレハ恰度不成立ト同ジコトデ解除ハ一ノ土臺ガ出來テ居ルガ、解除ト云フコトガ成立ヌト云ヘバ前ノ契約ガ成立ツ
(淸岡委員)
茲デ箇樣ニシタラ宜イト云フコトハ容易ニ決セラルルモノデナイ
(鶴田委員)
此道理ヲ充分ニ議シテ於テ其レガ成立タヌトキハ仕方ガナイガ、幸ヒニ成立バ起案者ニ聞イテ貰ヒ度イ
(栗塚報吿委員)
淸岡サンハ誤解シテ御出ナサルト思フカラ今少シ說キ度イト思ヒマス
(松岡委員)
其レデハ食後ニシ樣
午後零時二十五分休憩
午後第一時三十分開議
(鶴田委員)
之ハ質問シタラ宜カロウ
(栗塚報吿委員)
伊太利ノ民法デハ九分九厘損ヲシテモ買ハナケレバナラヌ又賣ラナケレバナラヌ、賣買ガアツタモノト見ル、處ガ「ボアソナード」ハ其レハ甚イカラ半バニシ樣、半バ以上無クナレバ無効ニスルト云フ佛蘭西デハ喪失ノトキハ勿論毀損ノトキハ債權者ガ解除スルコトモ出來、又品物ヲ其儘引取ルコトモ出來ル日本ノハ折衷シテ一部分デモ遺ツテ居レバト云フノハ過激ダカラ半分遺ツテ居レバ契約ガ、成立ツト云フノデス
(鶴田委員)
伊太利ノハ無クナツタ部分丈ケノモノハ引キマセンカ
(栗塚報吿委員)
引キマセン、元來元トカラアツタモノト見マスカラ理窟カラ云フタラ其方ガ良イカ知レマセンガ、其レデハ餘リ甚イト云フノデ半分ニシタノデアリマス
(淸岡委員)
成程大金ヲ拂ツテ左樣ナル約束ヲスル來年デモ來來年デモ宜シイカラ代金ヲ拂ツテ置キマシヨウ、代金ヲヤツテ置ケバ仕方ガナイガ約束シタ丈ケデハ具合ガ惡ルイ
(栗塚報吿委員)
豫約ト云フモノハ別デス
(松岡委員)
物品モ渡サヌ代金モヤラヌ元トノ默阿彌ダ
(淸岡委員)
代金ヲ取テ居タトキ返ヘサナケレバナラヌト云フハ困ル左樣ナルトキハ品物ヲ假リニ預ケテアル樣ナモノデ
(松岡委員)
前ニアツタ三百五十五條ノ契約ダ
(淸岡委員)
金ヲ拂ツテハ停止トハ云ヘマセンカ
(栗塚報吿委員)
停止デス
(淸岡委員)
半分燒ケタトキハ返ヘスニ及バヌ、皆燒ケタトキハ皆返ヘスニ及バヌト云フノハオカシイ
(栗塚報吿委員)
九分九厘燒ケテ一厘遺ツタトキハ既往ニ遡ツテ効ヲ生ズルト許シタ方ハ宜シイガ、一部デモ燒ケタルトキハ合意ノ日ニ遡ツテ効ヲ生ゼヌトスルハ兩端ノ間ヲ取タノデス
(淸岡委員)
壞ハサレヌモノナラ皆燒ケテモ仕方ガナイデハナイカ
(栗塚報吿委員)
皆燒ケレバ消滅シテ仕舞フ
(淸岡委員)
契約ノ成リタルモノデ所有權ガ移ツテ仕舞ヘバ燒ケテモ仕方ガナイト云ヘバ一部遺ツテモ仕方ガナイト云フナレバ仕方ガナイ
(栗塚報吿委員)
一部遺ツテ居テモ品物ガ遺テ居ルト云フハ伊太利ノ民法デス
(松岡委員)
棕櫚箒ヲ一本買テ其レガ燒ケテ柄バカリ少シ遺ツテ居ルト云フトキ其レデモ宜シイト云フノハ單純ノ理論ダ
(栗塚報吿委員)
半分ト云フノガ可笑イノデス
(淸岡委員)
二項ノ場合ハ引取テ仕舞ツテ解除ノ條件ガアル丈ケデ一體ノ物ハ引取テ自分デ管理シテ居ル、其レハ燒ケテモ仕方ガナイ
(松岡委員)
幾分ト云フ處ヲ考テ御覽ナサイ、同ジコトデス
(淸岡委員)
幸ヒニシテ半分燒ケタトキハ解除ノ條件ヲ以テ元トノ千圓ニシ樣ト云フノダ
(栗塚報吿委員)
二項ハ貴君ガ私ニ家ヲ賣テ唯解除ノ條件デ御賣リナスツタ、其前ニ燒ケテ仕舞ヒ丸燒ケナラ論ハナイ、半分以下遺テ居タトキハト云フノデス
(淸岡委員)
燒ケタトキハ論ハナイト云フノハ
(栗塚報吿委員)
義務ノ生ジ樣ガナイ
(淸岡委員)
處ガ半分燒ケタトキハ半分ガ解除ニナレバ宜シイデハナイカ
(松岡委員)
ソウスレバ上モ同ジコトダ
(淸岡委員)
烏有ニ歸シタトキハ物ガナイカラ効ヲ生ジ樣ハナイ假令バ田地ガ二反アツテ一反燒ケレバ烏有ニナツタ家ガ二棟アツテ、一棟燒ケタトキハ半分デモ全部デモ烏有ニ歸シタトキハ同ジダ半分遺ツタトキハ無クナツタトモノヘ及ボシテ効力ヲ起スト云フコトハナイ
(南部委員)
左樣ニ論旨ヲ立ツベキモノデナイト思フ成程淸岡サンノ御說ノ樣ニ一分燒ケレバ全部ガ燒ケタモ同ジダカラ不成立ト看做ス、解除ノトキハ解除ニスルト云フ理論ダガ其レガ爲メニ皆不成立ニナル結果ガ及ブ又悉ク成立スルモノト見レバ少シ燒ケテモ契約ヲ行フ樣ニナルカラ中間ヲ取テ半分ト定メタノダカラ止ヲ得ザル次第ダ、之ハ確定シタ原則ノモノナラ格別、未必條件ダカラ此位ノ處デ宜カロウト定メルガ宜シイト思フ
(松岡委員)
淸岡サンノ云フノハ一部分燒ケタレバ一部分丈ケ引クノダ
(栗塚報吿委員)
未必條件デナイ場合デ、私ノ米ヲ百俵貴君ニ御賣リ申シマシヨウ代價ハ受取テ居ラヌ、米ハ引渡シテナイガ賣買ハ成立テ居ル私ノ不調法デモナク五十俵燒ケタ、其中五十俵ノ代價外取レマセンカ、或ハ百俵取レマスカ
(淸岡委員)
其レハ充分ニ保護スレバ取レナイ、併シ私ガ買テ私ガ責メニ歸スル場合ハ仕方ガナイ
(栗塚報吿委員)
詰リ契約ガ成立タトキニハ其通リニ爲スデ御座リマス、條件付デナケレバ其處ニ差ガアルノデス
(渡委員)
互ヒニ同ジコトヲ繰リ返ヘスニ過ギヌガ淸岡サンノモ一應理アル、又此原案ハ中ヲ取テ五分トシテ定メタノダカラ孰レニモ依ル處ガアツテ何時迄論ジテモ終ラヌト思フガ、之デ淸岡サンノ論ニスルカ中庸ヲ採ルガ宜イカト云フコトヲ定メナケレバ幾度繰返ヘシテモ定メルコトハ出來ナイ
(松岡委員)
淸岡サンノハ部分ニ準ジテスルト云フノダロウ
(渡委員)
其レガ至當ダロウケレドモ其レデハ未必條件ノ解除ト云フコトハ出來ナイ
(淸岡委員)
私ノ論ハ極點ニ陷ルトカ未必條件ガ無クナルト云フナレバドノ樣ニ御直シニナツテモ宜シイガ此儘デハ困ル
(栗塚報吿委員)
損ニ應ジテ差引シテ行クト云フト儲ノアツタトキモ差引ケト云フコトニナル、ソウスルト未必條件ヲ設ケタ甲斐ガナイ
(淸岡委員)
家ガ上ツタトキハ此内ヘハ入レテ居ラナイ、田地ガ流レタトカ、家ガ燒ケタトカ云フコトヲ見ルノデ自然ニ田地ノ直ガ上ツタノハ見ナイ
(鶴田委員)
淸岡サンノ說ハ箇樣ニシタラ宜カロウト云フ修正說ハナイノダカラ原案ニシテ置キマシヨウ
(渡委員)
若シ同一ノ場合ニ於テト云フノハ第二項ヲ受ケテ來ヤセヌカ
(栗塚報吿委員)
損害ガ額ノ半バヲ超ヘザルトキト云フノハ一項ニ云フテ居ル、若シ解除條件バカリト云フト田地ノ條件ハドウナルト云フ疑ヒガ起ル解除ノ條件バカリト見テハ譯ガ分ラヌ、ドウシテモ二ツト見ナケレバナリマセン
(渡委員)
箇樣ニ書クト標シガナイカラ惑ヒヤセヌカ
(栗塚報吿委員)
「前二項ノ場合ニ於テ」ト致シマシヨウ
(鶴田委員)
其レナラ差支ナイ、先キヘ行キマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
第一項「讓渡カ」ヲ「讓渡ヲ」ト修正シ「爲サレ」ヲ「爲シ」ト修正ス第二項「若シ同一ノ」ヲ「前二項ノ」ト修正シ「合意セラレ」ヲ「合意シ」ト修正ス
第四百四十條朗讀ス
第四百四十條 當事者ノ一方ノ責ニ歸スヘキ喪失又ハ損壞ノ場合ニ於テハ他ノ一方ハ自己ノ撰擇ニテ損失ノ賠償ト共ニ合意ノ履行ヲ請求シ又ハ損害賠償ト共ニ解除ヲ請求スルコトヲ得〔第千百八十二條第四項〕
(栗塚報吿委員)
「賠償」ハ條件ト云フ字デ御座リマスカラ翻譯デ改メマスカラ此儘ニ御置キヲ願ヒマス
(鶴田委員)
此解除ハ條件ノ解除トハ違ウノダネ
(松岡委員)
契約解除ダ
(南部委員)
合意ノ解除デス
(栗塚報吿委員)
解除ノ條件付キノ解除デス
(南部委員)
停止モ解除スル
(淸岡委員)
分リ切ツタ話シダ
(南部委員)
之ハ佛蘭西ニモアルカラ必要デス
(淸岡委員)
之ハ上ノ方カラ受ケテクル未必條件デ、私ノ家ハ母ガ帰ヘルカラ讓ルト云フ粗匆火ヲ出シテ燒ケテ仕舞ツタ其トキ損害賠償ガドウシテ出來ルダロウ
(松岡委員)
履行スルニハ私モ錢ヲ出サナケレバナラヌ
(鶴田委員)
之ハ未必條件ニ限ツタコトデモアルマイ單純ノ契約デモ此通リダロウ
(南部委員)
左樣デス
(淸岡委員)
茲ハ未必條件ヲ云フノデシヨウ、一體此前ノ條カラモ未必ト云フ字ガナクナツテ居ル
(栗塚報吿委員)
條件ト云フノハ未必デス
(淸岡委員)
未必ト云フ字ヲ入レテ貰ヒ度イ
(鶴田委員)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ原案ニ決ス
第四百四十一條朗讀ス
第四百四十一條 解除ノ條件ハ義務ヲ履行シ又ハ履行スルコトヲ供スル當事者ノ利益ノ爲メ他ノ當事者カ其義務ヲ全ク履行セサル場合ニ付キ總テノ雙繫契約中ニ常ニ包含セラル
此場合ニ於テ解除ハ當然成ラス害ヲ受ケタル當事者ヨリ之ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ要ス然レトモ裁判所ハ第四百二十六條ニ從ヒ他ノ當事者ニ恩惠期間ヲ許與スルコトヲ得〔第千百八十四條〕
第一項修正案 總テノ雙繋契約中ニハ當事者ノ一方カ其義務ヲ全ク履行セサル場合ニ於テ義務ヲ履行シ又ハ履行スルコトヲ提供スル他ノ當事者ノ利益ノ爲メ常ニ解除ノ條件ヲ包含ス
(栗塚報吿委員)
第二項ハ「恩惠上ニ」トナリマス
(南部委員)
本條ニハ修正ガ御座リマス
(渡委員)
修正ハ能ク分ルガ、少シ判然セヌ
(鶴田委員)
修正デモ立派ニハ分ラヌ
(栗塚報吿委員)
賣主ト買主ト居リタルトキ代價ヲ拂ハナカツタトキ品物ヲ渡スニ及バヌ、解除スル權ヲ持テ居ル、又金ハ拂ツタガ、賣主ガ品物ヲ渡サヌトキハ解除シテ品物ヲ取戻スコトガ出來ル
(委員長)
一方ガ義務ヲ盡サントシテモ一方ガ盡サヌトキハ双務ノ契約デモ解除ガ出來ルト云フノカ
(栗塚報吿委員)
ソウデス縱令ソウ云フコトガ明カニ云フテナクモ暗ニ含ンデ居リマス
(委員長)
一方ガ履行シナイトキハ、一方ガ履行ヲセヌカラ解除ガ出來ルト云フノカ
(栗塚報吿委員)
ソウデス賃借ノ如キモ借リテ居ル人ガ家賃ヲ拂ハヌカラ解除シナケレバナリマセン
(松岡委員)
總テノ双務双務契約ト云フノハ未必ノ名ガ出來ル
(鶴田委員)
未必條件ニ付ケテ見タラ分ラヌガ、未必條件ノ解除ト云フモノハ双務契約ニハ何時デモ付イテ居ルト云フノダ
(淸岡委員)
他ノ當事者ト云フノハ
(栗塚報吿委員)
裏ヲ云フノデス、私ガ義務ヲ履行シテ貴君ガ履行シナイトキハ私ニ對シテデス
(淸岡委員)
一人ガ履行セズシテ一人ガ履行シタレバ解除條件ヲ包含スルデシヨウガ又ハ履行スルコトヲ供スル他ノ當事者ト云フノハ分ラヌ
(栗塚報吿委員)
履行シタル當事者ト履行シタル合意ヲ提供シタル當事者デス
(松岡委員)
全ク履行セザルト云フト全ク履行シタル場合ガ出テクル
(栗塚報吿委員)
「全キ」ト云フト形容詞ニナリ「全ク」ト云フト副詞ニナリマス其義務ノ全キ履行ヲ爲サザルトキト書イテアリマス
(鶴田委員)
九十九迄履行ヲスレバ履行ヲシナイ一部カ
(委員長)
一部分ヲ行ツテモ全ク履行ヲセヌノデ、全キト云テモ、ドノ中一ツデモ矢張リ全キデナイノダカラ
(松岡委員)
全ク履行ヲ爲サザルトキハト云フト幾分ヲ履行スレバ効力ガアル樣ニ見ヘマス
(委員長)
其レモ思ヘヌ
(栗塚報吿委員)
其レハイケナイノデス
(松岡委員)
之ハ完全ナル履行デナケレバイケナイト云フノダ
(鶴田委員)
完全ニ履行セザル場合ニ於テハデハイケマセン
(栗塚報吿委員)
其レデモ宜シウ御座イマス
(委員長)
其レデハ修正シマシヨウ
(淸岡委員)
契約中ト云フ「中」ノ字ガ入リマスカ
(村田委員)
「中」ノ字ハアル方ガ宜シイ
(鶴田委員)
「解除ハ當然成ラス」ト云フノハドウ云フコトデスカ
(栗塚報吿委員)
解除ハ當然場所ヲ持タズト書イテアルノデス
(村田委員)
一人デハ成ラナイ、此方カラヤリニ行カナケレバナラヌト云フノダ
(鶴田委員)
裁判所ヘ持テ行カナケレバナラヌト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
ソウデス職權デモイケナイ
(松岡委員)
「當然成ラス」ト云フハ誠ニ簡古ナ文ダ
(栗塚報吿委員)
當然有リトセズト云フノデス
(村田委員)
「當然成立セス」ト云テモ宜シイ
(松岡委員)
「自ラ成ラス」デモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
裁判所ヘ行カナケレバ出來ナイト云フノダ
(鶴田委員)
「解除ハ當然ナル位置ヲ保ツ」トシテハドウダロウ
(委員長)
「プレンドローワー」ト云フノハ始終「當然」ト譯スカ
(栗塚報吿委員)
「當然」ト譯シマス
(松岡委員)
全ク定マツタ債務者ニ猶豫期限ヲヤラセルガ爲メト云フテ居ル
(委員長)
「成立タス」ト云テハドウダ
(栗塚報吿委員)
此法律デハ成立チト云フノハ生ジルト云フノデス、之ハ成立テ居ルケレドモ當然生ゼヌゾヨト云フノデス
(委員長)
當然行ハレズト云フノカ
(栗塚報吿委員)
當然ト云フ字ハ前ニ幾ラモアリマスカラ當然ナラズガ御嫌ヒナレバ「行ハレス」デモ宜シウ御座イマス
(鶴田委員)
當然ニハ行ハレズカ
(尾崎委員)
之デ宜シイ
(委員長)
「當然ニ行ハレス」デモ「當然成ラス」デモ宜シイ
(栗塚報吿委員)
四百四十四條ニ「當然ニ行ハサル」ト云フテアリマスカラ茲モ「當然行ハレス」デ宜シイ
(渡委員)
四百四十二條モ「當然ニ行ハルヘキ」ト云ハナケレバナリマセンガ、左樣ニ直サズトモ宜シイ
(委員長)
「當然ニ行ハレス」ト修正シマシヨウ
(栗塚報吿委員)
原文モ改メマス
(渡委員)
ソウ勝手ニ直セルモノナラバ外ノ處モ直シテ貰ヒ度イ
(委員長)
其レデ修正ニ決シマス
本條ハ左ノ如ク決ス
第一項總テノ双繋契約中ニハ當事者ノ一方カ其義務ヲ完全ニ履行セサル場合ニ於テ義務ヲ履行シ又ハ提供スル他ノ當事者ノ利益ノ爲メ常ニ解除ノ條件ニ包含ス第二項「當然成ラス」ヲ「當然ニ行ハレス」ト修正ス
第四百四十二條朗讀ス
第四百四十二條 當事者ハ明確ナル合意ヲ以テ前記ノ解除ヲ排除スルコトヲ得
又當事者ハ解除カ履行スルコトノ遲滯ニ付セラレタル當事者ニ對シ當然成ルヘキコトヲ明示ニテ合意スルコトヲ得然レトモ遲滯ニ付セラレタル者ハ他ノ當事者カ己レニ對シ其行ハレタル解除ヲ援唱スルトキニアラサレハ之ヲ利唱スルコトヲ得ス〔第千六百五十六條〕
(修正案) 第一項「前記」ヲ「前條」ト改ム第二項「又當事者ハ」ノ下「解除カ」ノ三字ヲ刪リ當然ノ上「解除カ」ノ三字ヲ挿入シ「他ノ」上ニ「己レニ對シ」ノ五字ヲ置キ及ヒ「己レニ對シ其行ハレタル」ノ十一字ヲ刪リ「其」ノ一字ヲ加フ
(栗塚報吿委員)
本條ニハ修正ガアリマス
(淸岡委員)
「己レニ對シテ」ヲ上ニ上ゲルノハドウ云フ譯デスカ
(栗塚報吿委員)
私ガ遲滯ニ付セラレテ居ル、私ニ對シテ相手方ガ援唱シタトキハ私ガ利唱スルコトガ出來ルト云フノデス
(松岡委員)
向ウガ解約スルト云テ此方デ云ヘ樣カ
(栗塚報吿委員)
報吿委員ノ發明デハ私ガ品物ヲ御渡シ申サナカツタ破約シテ呉レト貴君カラ催促ガアツタ、幸ヒ私ガ品物ヲ渡サナカツタトキハ貴君ガ解除スルト仰シヤツタ處ガ貴君ガ解除ト云フコトヲ一旦云フテ置イテ、扨解除シ樣ト云ヒ出シタ以上ハ私ガ解除スルト云フコトガ云ヘル
(松岡委員)
向ウガ云ヒ出シテ變言シタトキハ云ヘルト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
ドウ云フ理窟ガアルカト云ヘバ變言シタトキデナケレバ利益ハアリマセン
(松岡委員)
一旦解除ヲ變言シテ止メタトキデナケレバ
(南部委員)
解除ヲ云フテ來タトキ貴君ガ解除ヲ退ク
(栗塚報吿委員)
貴君ガ解除シタトキハ私ハ解除シ樣ト云ハンデモ宜シイ如何ナル場合ニ利益ガアルカト云フト貴君ガ一旦解除スルト云テ後チニ解除セヌト云テモ私ハ解除シマスト云フコトガ云ヘル
(松岡委員)
何故ニ其樣ナコトヲ法律ガ見ルダロウ、私ガ退イタ上デナケレバ云ヘマイ
(栗塚報吿委員)
結果ガ違ヒマス、若シ云ハナイト云フ場合ヲ想像スレバ云ヘル方ガ得デ御座イマシヨウ
(栗塚報吿委員)
貴君ガ解除シ樣ト云フトキハ栗塚モ望ム處デ御座イマスト云ヘル、何故ニ云ヘルカト云フト解除ヲスレバ私ノ利益ニナルカラ
(今村報吿委員)
必ラズ止メタトキノ利益ガアルノミナラズ貴君カラ私ニ解除ヲ云フ處ガ貴君ガ裁判所ヘ往ツテ解除シ樣ト云ヒ出シ、又私カラモ解除ヲ請求スル
(松岡委員)
私ノ方ニ義務不履行ノコトガアツテ
(今村報吿委員)
ソレハ私ノ方デ云フカラ御前ノ方デ云ハズト宜シイカ知レヌガ、私ガ云ハヌト解除デナイ判決ヲスルカ知レヌ
(松岡委員)
ソウ云フコトハ法律ガ云フニハ及バヌコトダ、向ウノ人ガ退ケバ始メテ用ニ立ツノダカラ
(南部委員)
併シ之ガナカツタラドウシマス、遲滯ニ付セラレテ解除ヲ援唱シタ場合ニ私ガ云フコトハ云ヘヌ樣ニナル、縱令貴君カラ云ヒ出シテモ遲滯ニ付シタ者ハ云ヘヌ樣ニナルガ其レハ甚イ
(松岡委員)
訴訟ハ一方ガ宜シイト承認スレバ裁判官ハ消スコトハ出來ヌ原則ダ
(南部委員)
解除ノ方ハ止メマス、此方ノ方カラヤリマスト云ヘバ宜シイ
(松岡委員)
一旦唱ヘテ向ウガ引込ンダトキハ云ヘルト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
御同意デ御座ルト云フコトハ云ヘル其レハ如何ナルトキカト云フト解除シテモ良イトキニ一旦ハ主張シタガ貴君ガ外ノ事バカリ主張シテ居タトキハ私カラモ解除ガ出來ル
(松岡委員)
敢テ惡イト云フノデハナイ
(鶴田委員)
利益ガアルト思フ其代ハリ一方ガ云ハヌ限リハ默ツテ居ラナケレバナリマセン
(今村報吿委員)
唯文章ノ書キ方デ松岡サンノ不審ガ起ロウト思フ
(委員長)
先キヘ行キマシヨウ
本條ハ報吿委員ノ修正ニ決ス
第四百四十三條朗讀ス
第四百四十三條 不履行ニ因リ害ヲ受ケタル當事者ハ默示ノ解除ノ場合ニ於テ未タ裁判上ニ其請求ヲ爲サス又ハ明示ノ解除ヲ利唱スルコトヲ述ヘサル間ハ其解除ヲ抛棄スルコトヲ得
(修正案) 明示ノ解除ノ下「ノ場合ニ於テ未タ之」ノ九字ヲ挿入ス
(栗塚報吿委員)
「裁判ニテ」ノ「テ」ノ字ヲ翻譯デ入レマス、前ト同ジニ「又ハ明示ノ解除ノ場合ニ於テ未タ之ヲ援唱スルコトヲ」トナリマス
(淸岡委員)
此「利唱」ハ「援唱」ト同ジダロウト思フ
(栗塚報吿委員)
援唱ト同ジデ御座リマス
(松岡委員)
其レハ無理ダ上ニ援唱利唱ト並ベテ茲デ利唱ト云フノハ可笑シイ
(栗塚報吿委員)
「援唱」ト御改メニナツテモ差支御座イマセン
(淸岡委員)
箇樣ナコトヲスルノハ怪シカラヌ
(鶴田委員)
唯唱ヘルト云フコトダロウ
(今村報吿委員)
効力ヲ持タスト云フ字デ御座イマス
(栗塚報吿委員)
相手方ガ云フタトキデナケレバ出來ヌト云フコトデハアリマセン
(淸岡委員)
利唱ト云フノハ向ウカラ云ヒ出シタコトヘ付イテヤルト云フノダ
(栗塚報吿委員)
援唱デモ利唱デモ主張デモ宜シイ、元來利唱ハ人ノ明渡シタ通リト云フ意味ハナイノデス、利唱ト云フト自分ノ權内ニ在ルト云フコトヲ人ニ示ストカ云フ意味デ御座イマス、援唱ト云フノハ助ケニ呼ブト云フノデ御座イマス
(松岡委員)
其樣ナ意味ガ之デ蓋ルモノカ
(栗塚報吿委員)
神樣ヲ助ケニ呼ブト云フノデス
(尾崎委員)
默示ノ解除ノ場合ト云フノハ前ニ在リマスカ
(南部委員)
四百四十一條ノ包含スト云フノハ默示デス
(淸岡委員)
縱令明示默示デ解除ガ書イテアツテモ登記ガ出來ル、本統ノモノヲ履行サセルコトガ出來ル
(栗塚報吿委員)
本統ノモノヲ履行サセルカ損害ヲ取リマスカ孰レカデ御座イマス
(委員長)
修正ノ通リニシマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
「又ハ明示ノ解除ヲ利唱スル」ヲ「又ハ明示ノ場合ニ於テ未タ之ヲ援唱スル」ト改ム
第四百四十四條朗讀ス
第四百四十四條 裁判上ニ解除ヲ請求シ又ハ當然ニ行ハレタル解除ヲ援唱スル當事者ハ其他受ケタル損害ノ補償ヲ得ルコトヲ得〔第千百八十四條第二項〕
(栗塚報吿委員)
「得ルコトヲ得」ハ未定デ御座リマスカラ此儘御置キヲ願ヒマス
(松岡委員)
解除ト損害ハ併セラルルト云フノダナ
(栗塚報吿委員)
ソウデス「裁判上ニ」ハ「裁判上ニテ」ノ誤リデ御座リマス
(鶴田委員)
行ハレタル解除ト云フノハ裁判上デ解除シテ宜シイトヤラシタノデスカ
(栗塚報吿委員)
裁判所デハナイ、明示ノ解除ノ場合デ利唱シタ處デス
(鶴田委員)
其レハ明示ニ書イテアツテモ解除ハ裁判所ヘ以テ行カナケレバ出來ナイトアルデシヨウ、之ハ裁判所ヘ以テ往キタルコトデハアリマセンカ
(南部委員)
裁判所ヘ以テ行カナイデ出來ルノデス
(栗塚報吿委員)
四百四十一條ノ前ノ未必條件デス
(鶴田委員)
明示ノ解除ト云フコトハ未必條件ニ限ルノデスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス明示ハ未必條件ニハ限リマセン
(松岡委員)
云ヒ換ヘレバ四百四十一條二條ノ場合ニ於テ損害賠償ガ取レルト云フノダロウ
(栗塚報吿委員)
左樣デス
本條除ハ原案ニ決ス
第四百四十五條朗讀ス
第四百四十五條 當事者ハ其權利カ停止條件ニ從ヒ又ハ其訴權カ權利上ノ期限若クハ恩惠期限ニ因リ遲延セラルヽト雖モ其間ニ此法律及ヒ民事訴訟法ニ規定シタル如ク自己ノ權利ノ總テノ保存處分ヲ爲スコトヲ得〔第千百八十條〕
(栗塚報吿委員)
恩惠ノ下ニ「上ノ」ノ二字ガ翻譯デ入リマス
(渡委員)
自己ノ權利ノ總テノ保存處分ト云フノハ如何ナルコトデスカ
(栗塚報吿委員)
假差押デス
(淸岡委員)
停止條件ニ從フト云フノハ
(栗塚報吿委員)
貴君ニ私ノ家ヲ賣リマシテモ當分家ヲ御渡シ申ス譯ニ行キマセン今年ノ暮ニ家ガ一軒出來タラバ御渡シ申スト云フ場合デス
(淸岡委員)
ソウ云フ場合ニ遲延ト云フノハ可笑シイ
(栗塚報吿委員)
當事者ハ其權利ガ停止條件ニ從フタルトキト雖モト云ハナケレバイケマセン
(淸岡委員)
成程
(委員長)
期限ノ遲延シタルトキモ入ルシ停止ニナツテ居ルカラ決定スル迄ハ遲延ノコトニナルト思フテ居タ
(栗塚報吿委員)
遲延ト云フノハ訴權丈ケデス、權利ハ停止條件ニ從テ居ルト云ハナケレバナリマセン
(委員長)
其レナレバ彼方此方ニ書ケバ宜シイ
(栗塚報吿委員)
「當事者ハ其訴權カ權利上ノ期限若クハ恩惠上ノ期限ニ依リ遲延セラレ又ハ其權利カ停止條件ニ從フト雖モ」トスレバ宜シウ御座イマス
(村田委員)
此儘デ宜シイ
(松岡委員)
從ヒ遲延セラレト云フコトハ起ラナイ
(栗塚報吿委員)
「停止條件ニ從フ當事者又ハ法律上ノ期限若クハ恩惠上ノ期限ニ因リ遲延セラレタル訴權ヲ有スル當事者ハ其間ニ此法律及ヒ民事訴訟法ニ規定シタル如ク自己ノ權利ト總テノ保存處分ヲモ爲スコトヲ得」デ御座イマス
(委員長)
彼方此方ニスル方ガ分ル
(栗塚報吿委員)
其レデハ修正致シマシヨウ
本條ハ左ノ如ク決ス
當事者ハ其訴權カ權利上ノ期限若クハ恩惠上ノ期限ニ因リ遲延セラレ又ハ其權利カ停止條件ニ從フト雖モ其間ニ此法律及ヒ民事訴訟法ニ規定シタル如ク自己ノ權利ノ總テノ保存處分ヲ爲スコトヲ得
第四百四十六條朗讀ス
第四百四十六條 賣買契約ニ於テ特ニ慣用セラルヽ隨意ノ停止又ハ解除ノ條件ハ第三編十二章第六百六十六條乃至第六百六十九條ニ之ヲ規定ス
(南部委員)
「慣用セラルル」ハ「慣用スル」トシテハ如何デス
(鶴田委員)
「スル」デ宜シイ
(委員長)
其レデハ「スル」トシマス
本條ハ左ノ如ク決ス
「慣用セラルル」ヲ「慣用スル」ト改ム
第四百四十七條朗讀ス
第二款 負擔シタル目的ニ關シテ單純ナリ擇一ナリ又ハ任意ナル義務
第四百四十七條 義務カ或ハ各箇ニ定メラレタル一箇又ハ數箇ノ物或ハ數量及ヒ品質ヲ以テノミ定メラレタル類定物或ハ物ノ聚集又ハ包括ヲ目的トシテ有スルトキハ其義務ハ單純ナリ
又義務カ或ハ同時或ハ順次ノ別異ナル數箇ノ給付ヲ目的トシテ有スルトキモ其給付カ唯一ノ合意又ハ連繫ノ合意ニ憑リテ負擔セラルヽニ於テハ尙ホ其義務ハ單純ナリト看做サル
右數箇ノ場合ニ於テハ債務者ハ負擔シタル總テノ物ノ給付ニ因ルニアラサレハ其義務ヲ免カレス
(修正案) 第一項「各箇」ノ二字ヲ「特」ト改メ目的トノ下「シテ有」ノ三字ヲ刪ル第二項義務ノ下「或ハ」ノ二字ヲ刪リ同時ノ下「或」ヲ「又」ニ改メ目的トノ下「シテ有」ノ三字ヲ刪ル
(栗塚報吿委員)
表題ノ「單純ナリ」ハ「單一ナリ」トナリマス
(鶴田委員)
「單一ナリ擇一ナリ」ノ「ナリ」ハ二ツトモ刪リマスカ
(栗塚報吿委員)
左樣デス「單一擇一又ハ任意ナル義務」トナリマス其レカラ修正ガ御座イマス第一項ハ「義務カ或ハ特ニ定メタル」トシテ次ギノ「定メラレタル」モ「定メ」トシテ「目的トシテ有スル」ハ「目的トスルトキハ」ト致シマス第二項ハ「又義務カ同時又ハ」ト致シマシテ「目的トシテ有スル」ハ「目的トスル」ト致シマス其レカラ「其給付ヲ唯一ノ合意又ハ連繋ノ合意ニ憑リテ負擔スルニ於テハ尙ホ其義務ハ單一ナリト看做ス」ト致シマス
(委員長)
「給付ヲ」ト云フト義務ガ給付ヲ負擔スルコトニナル
(南部委員)
ソウデハ御座イマセン義務ガ給付ヲ目的トシテ居ルトキデモ給付ヲ負擔スルニ於テハト云フコトデス
(委員長)
給付ガ義務ヲ負擔スル樣ニナルダロウ
(栗塚報吿委員)
「義務カ負擔シテ居ルトキ」デモ宜シウ御座イマス
(委員長)
幾分ヲ負擔シテ居ルト云フコトデハナイカト思フ
(栗塚報吿委員)
幾分ヲ負擔セラレテ居ル、其レハ何ニ負擔セラレテ居ルカ義務者ニ負擔セラレテ居ル
(鶴田委員)
連繋ノ合意ト云フノハ
(栗塚報吿委員)
家ヲ賣ルト云ヒマシタトキトカ又ハ相續ヲ以テ御賣リ申シマシヨウト云フノハ連繋ノ合意デアリマシテ家ヲ賣ルノハ唯一ノ合意デ御座イマス
(松岡委員)
馬ヲ賣ルニ馬具モ付ケテヤルト云フノカ
(淸岡委員)
類定物ト云フノハ前ニアリマスカ
(栗塚報吿委員)
物ノ區別ノ處ニアリマス
(南部委員)
五百十七條ニ在リマス
(村田委員)
五百十七條ニハ確定物量定物包括物トアツテ類定物トハナイ
(松岡委員)
類ヲ以テ定メタト云フノダ、品質デ云フカラ量ト云フハ惡ルカツタモノト見ヘル、書物庫トカ何トカ云フノダロウ
(淸岡委員)
ソレナラバ「量定物」トシタラ宜カロウ
(村田委員)
「量定物」トスルガ宜シイ
(栗塚報吿委員)
矢張リ此儘御置キヲ願ヒマス
(淸岡委員)
類定物ガ單一ナル物トスルト法定物ハ如何ナル物カト云ヘバ量定物モ本質ノ物モアル其類ヲ以テ定メルト云フ樣ナ譯デ衣物ト云ヘバ衣物ノ中ヘ入テ居ル
(栗塚報吿委員)
米澤糸織ヲ十圓持テ來イト云フト量定物デス、詰リ代補物ト云フモ同ジデス
(淸岡委員)
量定物モ類定物モ同ジト云フノハ甚ダ困ル
(委員長)
同ジト云フコトハナイ、字ガ變ツテ居ル丈ケノコトハアル
(栗塚報吿委員)
起案者ニ尋ネテ見マシヨウガ、孰レデモ同ジデス
(委員長)
茲ハ特ニ定メタモノデ其中ニ一個又ハ數個ハ品質デ定メタモノデ量定物ノ樣ニ寸尺デスルモノデナイ
(南部委員)
特定物包括物聚集物ノ外ハ量定物ノ外ハアリマスマイ
(委員長)
之ヲ量定物トシナケレバナラヌト云フコトハナイ
(南部委員)
ソウデハ御座イマセン旨意丈ケヲ申スノデ御座イマス
(栗塚報吿委員)
詰リ類定物ト書イテアツテモ量定物ヲ見レバ宜シイ、此馬ト此犬トヲ賣ルト云フトキハ二ツアツテモ單一デス
(松岡委員)
米ガ何俵金物ガ何貫目ト云フテ來テモ宜イノダ
(鶴田委員)
少シモ功能ハナイ
(委員長)
一番仕舞ヒ丈ケノコトダ
(栗塚報吿委員)
今日ハ是レ迄デ御座イマス
本條ハ左ノ如ク決ス
表題「單純ナリ擇一ナリ」ヲ「單一擇一」ト改ム第四百四十七條義務カ或ハ特ニ定メタル一箇又ハ數箇ノ物或ハ數量及ヒ品質ヲ以テノミ定メタル類定物或ハ物ノ聚集又ハ包括ヲ目的トスルトキハ其義務ハ單一ナリ又義務カ同時又ハ順次ノ別異ナル數箇ノ給付ヲ目的トスルトキモ其給付ヲ唯一ノ合意又ハ連繋ノ合意ニ憑リテ負擔スルニ於テハ尙ホ其義務ハ單一ナリト看做ス
于時午後第四時二十分閉會