明治民法(明治29・31年)

決議案明治二十九年七月十六日配付

参考原資料

穂積陳重博士関係文書 第六部甲

第四編 親族 第一章 総則 第七百二十五条 左ニ掲タル者ハ之ヲ親族トス 一 六親等内ノ血族 二 配偶者 三 三親等内ノ姻族 第七百二十六条 親等ハ親族間ノ世数ヲ算シテ之ヲ定ム 傍系ノ親族ハ其一人又ハ其配偶者ヨリ同始祖ニ遡リ其始祖ヨリ他ノ一人ニ下ルマテノ世数ヲ算シテ其親等ヲ定ム 第七百二十七条 養子ト養父母及ヒ其血族トノ間ニ於テハ養子縁組ノ日ヨリ血族間ニ於ケルト同一ノ親族関係ヲ生ス 第七百二十八条 妻ト夫家ノ直系尊属ト又入夫ト妻家ノ直系尊属トノ間ニ於テハ婚姻ノ日ヨリ血族間ニ於ケルト同一ノ親族関係ヲ生ス 第七百二十九条 姻族関係及ヒ前条ノ親族関係ハ離婚ニ因リテ止ム 夫婦ノ一方カ死亡シタル場合ニ於テ生存配偶者其家ヲ去リタルトキ亦同シ 第七百三十条 養子ト養父母及ヒ其血族トノ親族関係ハ離縁ニ因リテ止ム 養子ノ配偶者、子孫又ハ子孫ノ配偶者カ養子ト共ニ養家ヲ去リタルトキハ養子縁組ニ因リテ其者ト養父母及ヒ其血族トノ間ニ生シタル親族関係ハ之ニ因リテ止ム 第二章 戸主及ヒ家族 第一節 総則 第七百三十一条 戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス 戸主ノ変更アリタル場合ニ於テハ旧戸主及ヒ其家族ハ新戸主ノ家族トス 第七百三十二条 子ハ父ノ家ニ入ル 父ノ知レサル子ハ母ノ家ニ入ル 父母共ニ知レサル子ハ一家ヲ創立ス 第七百三十三条 家族ノ私生子ハ戸主ノ承諾アルニ非サレハ其家ニ入ルコトヲ得ス 私生子カ父ノ家ニ入ルコトヲ得サルトキハ母ノ家ニ入ル 私生子カ母ノ家ニ入ルコトヲ得サルトキハ一家ヲ創立ス 第七百三十四条 女戸主カ入夫婚姻ヲ為シタルトキハ入夫ハ其家ノ戸主ト為ル但当事者カ婚姻ノ当時反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此限ニ在ラス 第七百五十九条乃至第七百六十二条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第七百三十五条 他家ニ在ル戸主ノ親族ハ其承諾ヲ得テ其家族ト為ルコトヲ得但其親族カ他家ノ家族タルトキハ其家ノ戸主ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 第七百三十六条 婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ他家ニ入リタル者カ其配偶者又ハ其養親ノ親族ニ非サル自己ノ親族ヲ婚家又ハ養家ノ家族ト為サント欲スルトキハ前条ノ規定ニ依ル外其配偶者又ハ其養親ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 婚家又ハ養家ヲ去リタル者カ其家ニ在ル自己ノ直系卑属ヲ自家ノ家族ト為サント欲スルトキ亦同シ 第七百三十七条 婚姻又ハ養子縁組ニ因リテ他家ニ入リタル者ハ離婚又ハ離縁ノ場合ニ於テ実家ニ復籍ス 第七百三十八条 婚姻ニ因リテ他家ニ入リタル者カ其配偶者ノ死亡シタル後更ニ他家ニ入ラント欲スルトキハ婚家及ヒ実家ノ戸主ノ承諾ヲ得テ予メ実家ニ復籍スルコトヲ要ス 実家ノ戸主カ復籍ヲ承諾セサルニ拘ハラス婚家ヨリ直チニ他家ニ入リタル者ハ離婚又ハ離縁ノ場合ニ於テ実家ニ復籍ス但其戸主ハ婚姻又ハ養子縁組ノ日ヨリ一年内ニ之ヲ離籍スルコトヲ得 第七百三十九条 前二条ノ規定ニ依リテ実家ニ復籍スヘキ者カ実家ノ廃絶ニ因リテ復籍ヲ為スコト能ハサルトキハ一家ヲ創立ス但実家ヲ再興スルコトヲ妨ケス 第七百四十条 離籍セラレタル家族カ他家ニ入ラサルトキハ一家ヲ創立ス他家ニ入リタル後離婚又ハ離縁ニ因リテ其家ヲ去リタルトキ亦同シ 第七百四十一条 成年ノ家族ハ戸主ノ承諾アルトキハ何時ニテモ分家ヲ為シ又ハ廃絶シタル本家、分家、同家其他親族ノ家ヲ再興スルコトヲ得 第七百四十二条 推定家督相続人ハ廃嫡ノ後ニ非サレハ他家ニ入リ又ハ一家ヲ創立スルコトヲ得ス 第七百四十三条 夫カ他家ニ入リ又ハ一家ヲ創立シタルトキハ妻ハ之ニ随ヒテ其家ニ入ル 第二節 戸主及ヒ家族ノ権利義務 第七百四十四条 戸主及ヒ家族ハ其家ノ氏ヲ称ス 第七百四十五条 戸主ハ其身分及ヒ資力ニ応シ家族ノ扶養及ヒ教育ノ費用ヲ負担ス但家族カ自ラ其費用ヲ支弁スルコトヲ得ルトキハ此限ニ在ラス 第七百四十六条 家族カ自己ノ名ニ於テ得タル財産ハ其特有財産トス 第七百四十七条 家族ハ戸主ノ意ニ反シテ其居所ヲ定ムルコトヲ得ス 家族カ前項ノ規定ニ違反シテ戸主ノ指定シタル居所ニ在ラサル間ハ戸主ハ之ニ対シテ第七百四十五条ノ義務ヲ免ル 前項ノ場合ニ於テ戸主ハ相当ノ期間ヲ定メ其指定シタル場所ニ居所ヲ転スヘキ旨ヲ催告スルコトヲ得若シ家族カ其催告ニ応セサルトキハ戸主ハ之ヲ離籍スルコトヲ得但其家族カ未成年ナルトキハ此限ニ在ラス 第七百四十八条 家族カ婚姻又ハ養子縁組ヲ為サントスルトキハ戸主ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 家族カ前項ノ規定ニ反シテ婚姻又ハ養子縁組ヲ為シタルトキハ戸主ハ一年内ニ其離籍ヲ為スコトヲ得 第七百四十九条 戸主カ其権利ヲ行フコト能ハサルトキハ親族会之ヲ行フ但戸主ニ対シテ親権ヲ行フ者又ハ其後見人アルトキハ此限ニ在ラス 第三節 戸主権ノ喪失 第七百五十条 戸主ハ左ニ掲クル条件ノ具備スルニ非サレハ隠居ヲ為スコトヲ得ス 一 満六十年以上ナルコト 二 完全ノ能力ヲ有スル家督相続人カ相続ノ単純承認ヲ為スコト 第七百五十一条 戸主カ疾病、本家相続其他已ムコトヲ得サル事由ニ因リテ爾後家政ヲ執ルコト能ハサルニ至リタルトキハ前条ノ規定ニ拘ハラス裁判所ノ許可ヲ得テ隠居ヲ為スコトヲ得 第七百五十二条 戸主カ婚姻ニ因リテ他家ニ入ラント欲スルトキハ前条ノ規定ニ従ヒ隠居ヲ為スコトヲ得 第七百五十三条 女戸主ハ年齢ニ拘ハラス隠居ヲ為スコトヲ得 有夫ノ女戸主カ隠居ヲ為スニハ其夫ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス但夫ハ正当ノ理由アルニ非サレハ其承諾ヲ拒ムコトヲ得ス 第七百五十四条 隠居ハ隠居者及ヒ其家督相続人ヨリ戸籍吏ニ届出ツルニ因リテ其効力ヲ生ス 第七百五十五条 隠居者ノ親族及ヒ検事ハ三个月内ニ第七百五十条乃至第七百五十二条ノ規定ニ違反シタル隠居ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 女戸主カ第七百五十三条第二項ノ規定ニ違反シテ隠居ヲ為シタルトキハ夫ハ前項ノ期間内ニ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 第七百五十六条 隠居者又ハ家督相続人カ詐欺又ハ強迫ニ因リテ隠居ノ届出ヲ為シタルトキハ隠居者又ハ家督相続人ハ其詐欺ヲ発見シ又ハ強迫ヲ免レタル時ヨリ一年内ニ隠居ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス 隠居者又ハ家督相続人カ詐欺ヲ発見セス又ハ強迫ヲ免レサル間ハ其親族又ハ検事ヨリ隠居ノ取消ヲ請求スルコトヲ得但其請求ノ後隠居者又ハ家督相続人カ追認ヲ為シタルトキハ取消権ハ之ニ因リテ消滅ス 前二項ノ取消権ハ隠居届出ノ日ヨリ十年ヲ経過シタルニ因リテ消滅ス 第七百五十七条 隠居ノ取消以前ニ家督相続人ノ債権者ト為リタル者ハ其取消ニ因リテ戸主タル者ニ対シテ弁済ノ請求ヲ為スコトヲ得但家督相続人ニ対スル請求ヲ妨ケス 債権者カ債権取得ノ当時隠居取消ノ原因ノ存スルコトヲ知リタルトキハ家督相続人ニ対シテノミ弁済ノ請求ヲ為スコトヲ得家督相続人ノ一身ニ専属スル債務ニ付キ亦同シ 第七百五十八条 一家ノ為メ重大ナル事由アルトキハ裁判所ハ其家ニ在ル実父母ノ発議ニ基キタル親族会ノ請求ニ因リ戸主ノ隠居ヲ命スルコトヲ得 父母ノ一方カ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ他ノ一方ノ発議ノミヲ以テ足ル 父母共ニ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ父母ノ発議アルコトヲ要セス 第七百五十九条 隠居ハ隠居者又ハ家督相続人ヨリ隠居者ノ債権者及ヒ債務者ニ其通知ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ其債権者及ヒ債務者ニ対抗スルコトヲ得ス 第七百六十条 隠居以前ニ隠居者ノ債権者ト為リタル者ハ其隠居者ニ対シテ弁済ノ請求ヲ為スコトヲ得但家督相続人ニ対スル請求ヲ妨ケス 第七百六十一条 第四百二十四条乃至第四百二十六条ノ規定ハ隠居ニハ之ヲ適用セス 第七百六十二条 隠居ハ隠居者ノ一身ニ専属スル権利義務ニ其効力ヲ及ホサス 第七百六十三条 新ニ家ヲ立テタル者ハ其家ヲ廃シテ他家ニ入ルコトヲ得 家督相続ニ因リテ戸主ト為リタル者ハ其家ヲ廃スルコトヲ得ス但本家ノ相続又ハ再興其他正当ノ事由ニ因リ裁判所ノ許可ヲ得テ廃家ヲ為スハ此限ニ在ラス 第七百六十四条 戸主カ適法ニ廃家シテ他家ニ入リタルトキハ其家族モ亦其家ニ入ル 第七百六十五条 戸主死亡シテ家督相続人ナキトキハ絶家シタルモノトシ其家族ハ各一家ヲ創立ス但第七百四十三条ノ適用ヲ妨ケス 前項ノ場合ニ於テ子ハ父ニ随ヒ又父ノ知レサルトキ、他家ニ在ルトキ若クハ死亡シタルトキハ母ニ随ヒテ其家ニ入ル 第三章 婚姻 第一節 婚姻ノ成立 第一款 婚姻ノ要件 第七百六十六条 男ハ満十七年女ハ満十五年ニ至ラサレハ婚姻ヲ為スコトヲ得ス 第七百六十七条 配偶者アル者ハ重ネテ婚姻ヲ為スコトヲ得ス 第七百六十八条 女ハ前婚ノ解消又ハ取消ノ後六个月内ニ再婚ヲ為スコトヲ得ス 女カ前婚ノ解消又ハ取消ノ前ニ懐胎セシ場合ニ於テハ其分娩ノ日ヨリ前項ノ規定ヲ適用セス 第七百六十九条 姦通ニ因リテ離婚ノ宣言ヲ受ケ又ハ刑ニ処セラレタル妻ハ其姦夫ト婚姻ヲ為スコトヲ得ス 第七百七十条 直系ノ血族間ニ於テハ婚姻ヲ為スコトヲ得ス 傍系ノ三親等内亦同シ但養子ト養親ノ親族トノ間ハ此限ニ在ラス 第七百七十一条 直系ノ姻族間ニ於テハ婚姻ヲ為スコトヲ得ス第七百二十九条ノ規定ニ依リ姻族関係カ止ミタル後亦同シ 第七百七十二条 養子、其配偶者、其直系卑属及ヒ其直系卑属ノ配偶者ト養親及ヒ其直系尊属トノ間ニ於テハ第七百三十条ノ規定ニ依リ親族関係カ止ミタル後ト雖モ婚姻ヲ為スコトヲ得ス 第七百七十三条 子カ婚姻ヲ為スニハ其家ニ在ル父母ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 父母ノ一方カ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ他ノ一方ノ承諾ノミヲ以テ足ル 父母共ニ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ未成年者ハ其後見人ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 第七百七十四条 嫡母又ハ継父母カ子ノ婚姻ヲ承諾セサルトキハ親族会ハ子ノ請求ニ因リ其婚姻ヲ許可スルコトヲ得 第七百七十五条 婚姻ハ夫ノ住所ノ戸籍吏ニ之ヲ届出ツルニ因リテ其効力ヲ生ス但壻養子縁組及ヒ入夫婚姻ノ場合ニ於テハ妻ノ住所ノ戸籍吏ニ其届出ヲ為スコトヲ要ス 前項ノ届出ハ当事者双方及ヒ成年ノ証人二人以上ヨリ口頭ニテ又ハ自ラ署名シタル書面ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス 第七百七十六条 戸籍吏ハ婚姻カ第七百三十八条、第七百四十八条、第七百五十二条及ヒ前十条ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ其届出ヲ受理スルコトヲ得ス但婚姻カ第七百三十八条又ハ第七百四十八条ノ規定ニ違反スル場合ニ於テ戸籍吏カ注意ヲ為シタルニ拘ハラス当事者カ其届出ヲ為サント欲スルトキハ此限ニ在ラス 第七百七十七条 第七百六十六条乃至第七百七十四条ノ規定ハ日本人カ外国ニ於テ婚姻ヲ為ス場合ニモ亦之ヲ適用ス 第七百七十八条 外国ニ在ル日本人間ニ於テ婚姻ヲ為サント欲スルトキハ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ其届出ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ第七百七十五条及ヒ第七百七十六条ノ規定ヲ準用ス 第七百七十九条 第七百六十七条乃至第七百七十二条ノ規定ハ外国人カ日本ニ於テ婚姻ヲ為ス場合ニモ亦之ヲ適用ス 戸籍吏ハ婚姻ヲ為サント欲スル外国人ヲシテ其婚姻カ本国ノ法令ニ違反セサルコトヲ証明セシムル為メ其本国ノ相当ナル官庁ノ証明書ヲ差出サシムルコトヲ要ス 第二款 婚姻ノ無効及ヒ取消 第七百八十条 婚姻ハ左ノ場合ニ限リ無効トス 一 人違其他ノ事由ニ因リテ当事者間ニ婚姻ヲ為ス意思ナキトキ 二 当事者カ婚姻ノ届出ヲ為ササルトキ但其届出カ第七百七十五条ニ掲ケタル条件ヲ欠クニ止マルトキハ婚姻ハ之カ為メニ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ 第七百八十一条 婚姻ハ第七百八十二条乃至第七百八十七条ノ規定ニ依ルニ非サレハ之ヲ取消スコトヲ得ス 第七百八十二条 第七百六十六条乃至第七百七十二条ノ規定ニ違反シタル婚姻ハ各当事者、其戸主、其直系尊属及ヒ検事ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但検事ハ当事者ノ一方カ死亡シタル後ハ之ヲ請求スルコトヲ得ス 第七百六十七条乃至第七百六十九条ノ規定ニ違反シタル婚姻ニ付テハ当事者ノ配偶者又ハ前配偶者モ亦其取消ヲ請求スルコトヲ得 第七百八十三条 第七百六十六条ノ規定ニ違反シタル婚姻ハ不適齢者カ適齢ニ達シタルトキハ其取消ヲ請求スルコトヲ得ス 不適齢者ハ適齢ニ達シタル後尚ホ三个月間其婚姻ノ取消ヲ請求スルコトヲ得但追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス 第七百八十四条 第七百六十八条ノ規定ニ違反シタル婚姻ハ前婚ノ解消又ハ取消ノ日ヨリ六个月ヲ経過シ又ハ女カ再婚後懐胎シタルトキハ其取消ヲ請求スルコトヲ得ス 第七百八十五条 第七百七十三条ノ規定ニ違反シタル婚姻ハ承諾権ヲ有セシ者ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得承諾カ詐欺又ハ強迫ニ因リタルトキ亦同シ 第七百八十六条 前条ノ取消権ハ左ノ場合ニ於テ消滅ス 一 承諾権ヲ有セシ者カ婚姻アリタルコトヲ知リタル後又ハ詐欺ヲ発見シ若クハ強迫ヲ免レタル後六个月ヲ経過シタルトキ 二 承諾権ヲ有セシ者カ追認ヲ為シタルトキ 三 婚姻届出ノ日ヨリ三年ヲ経過シタルトキ 第七百八十七条 詐欺又ハ強迫ニ因リテ婚姻ヲ為シタル者ハ其婚姻ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 前項ノ取消権ハ当事者カ詐欺ヲ発見シ若クハ強迫ヲ免レタル後三个月ヲ経過シ又ハ追認ヲ為スニ因リテ消滅ス 第七百八十八条 婚姻ノ取消ハ其効力ヲ既往ニ及ホサス 婚姻ノ当時其取消ノ原因ノ存スルコトヲ知ラサリシ当事者カ婚姻ニ因リテ財産ヲ得タルトキハ現ニ利益ヲ受クル限度ニ於テ其返還ヲ為スコトヲ要ス 婚姻ノ当時其取消ノ原因ノ存スルコトヲ知リタル当事者ハ婚姻ニ因リテ得タル利益ノ全部ヲ返還スルコトヲ要ス尚ホ相手方カ善意ナリシトキハ之ニ対シテ損害賠償ノ責ニ任ス 第二節 婚姻ノ効力 第七百八十九条 妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル 入夫及ヒ壻養子ハ妻ノ家ニ入ル 第七百九十条 妻ハ夫ト同居スル義務ヲ負フ 夫ハ妻ヲシテ同居ヲ為サシムルコトヲ要ス 第七百九十一条 夫婦ハ互ニ扶養ヲ為ス義務ヲ負フ 第七百九十二条 妻カ未成年者ナルトキハ成年ナル夫ハ其後見人ノ職務ヲ行フ 第七百九十三条 夫婦間ニ於テ契約ヲ為シタルトキハ其契約ハ婚姻中何時ニテモ夫婦ノ一方ヨリ之ヲ取消スコトヲ得但第三者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス 第三節 夫婦財産制 第一款 総則 第七百九十四条 夫婦カ婚姻ノ届出ヲ為スマテニ其財産ニ付キ別段ノ契約ヲ為ササルトキハ其財産関係ハ次款ニ定ムル所ニ依ル 第七百九十五条 外国人カ日本ニ於テ其財産ニ付キ別段ノ契約ヲ為サスシテ婚姻ヲ為シタルトキハ其財産関係ハ夫ノ本国ノ法定財産制ニ依ル但嫁資財産ヲ譲渡シ得サルモノトスル規定其他公ノ秩序ニ反スル規定ハ此限ニ在ラス 第七百九十六条 夫婦カ法定財産制ニ異ナリタル契約ヲ為シタルトキハ婚姻ノ届出マテニ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ夫婦ノ承継人及ヒ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第七百九十七条 夫婦ノ財産関係ハ婚姻届出後ニ之ヲ変更スルコトヲ得ス但夫婦ノ一方カ他ノ一方ノ財産ヲ管理スル場合ニ於テ管理ノ失当ニ因リ其財産ヲ危クシタルトキハ他ノ一方ハ自ラ其管理ヲ為サンコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 共有財産ニ付テハ之ヲ分割シテ管理センコトヲ請求スルコトヲ得 第七百九十八条 前条ノ規定又ハ契約ノ結果ニ依リ管理者ヲ変更シ又ハ共有財産ノ分割ヲ為シタルトキハ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ夫婦ノ承継人及ヒ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第二款 法定財産制 第七百九十九条 夫ハ婚姻ヨリ生スル一切ノ費用ヲ負担ス但妻カ戸主タルトキハ妻之ヲ負担ス 前項ノ規定ハ第七百九十一条及ヒ第九百六十条ノ規定ノ適用ヲ妨ケス 第八百条 夫又ハ女戸主ハ婚姻ヨリ生スル需要ノ為メ用方ニ従ヒ其配偶者ノ財産ノ使用及ヒ収益ヲ為ス権利ヲ有ス 妻又ハ入夫カ受クヘキ終身定期金ハ之ヲ果実ト看做ス 妻又ハ入夫ハ其財産ノ果実中ヨリ其債務ノ利息ヲ控除スルコトヲ得 第八百一条 第五百九十五条及ヒ第五百九十八条ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス 第八百二条 夫ハ妻ノ財産ヲ管理ス 夫カ妻ノ財産ヲ管理スルコト能ハサルトキハ妻自ラ之ヲ管理ス 第八百三条 夫カ妻ノ為メニ借財ヲ為シ、妻ノ財産ヲ譲渡シ、之ヲ担保ニ供シ又ハ第六百二条ノ期間ヲ超エテ其賃貸ヲ為スニハ妻ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス但管理ノ範囲内ニ於テ果実ヲ処分スルハ此限ニ在ラス 第八百四条 夫カ妻ノ財産ヲ管理スル場合ニ於テ其財産ニ付キ危険アルトキハ裁判所ハ妻ノ請求ニ因リ夫ヲシテ其財産ノ管理及ヒ返還ニ付キ相当ノ担保ヲ供セシムルコトヲ得 第八百五条 日常ノ家事ニ付テハ妻ハ夫ノ代理人ト看做ス 夫ハ前項ノ代理権ノ全部又ハ一部ヲ否認スルコトヲ得但之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第八百六条 夫カ妻ノ財産ヲ管理シ又妻カ夫ノ代理ヲ為ス場合ニ於テハ自己ノ為メニスルト同一ノ注意ヲ為スコトヲ要ス 第八百七条 第六百五十四条及ヒ第六百五十五条ノ規定ハ夫カ妻ノ財産ヲ管理シ又妻カ夫ノ代理ヲ為ス場合ニ之ヲ準用ス 第八百八条 妻又ハ入夫カ婚姻前ヨリ有セル財産及ヒ婚姻中自己ノ名ニ於テ得タル財産ハ其特有財産トス 夫婦ノ孰レニ属スルヤ判然セサル財産ハ夫又ハ女戸主ノ財産ト推定ス 第四節 離婚 第一款 協議上ノ離婚 第八百九条 夫婦ハ其協議ヲ以テ離婚ヲ為スコトヲ得 第八百十条 満二十五年ニ達セサル者カ協議上ノ離婚ヲ為スニハ第七百七十三条及ヒ第七百七十四条ノ規定ニ依リ其婚姻ニ付キ承諾権ヲ有スル者ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 第八百十一条 協議上ノ離婚ハ之ヲ戸籍吏ニ届出ツルニ因リテ其効力ヲ生ス此場合ニ於テハ第七百七十五条ノ規定ヲ準用ス 第八百十二条 前条ノ場合ニ於テ戸籍吏ハ協議ノ真実ナルコト及ヒ前二条ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ離婚ノ届出ヲ受理スルコトヲ得ス 第八百十三条 協議上ノ離婚ヲ為シタル者カ其協議ヲ以テ子ノ監護ヲ為スヘキ者ヲ定メサリシトキハ其監護ハ父ニ属ス 父カ離婚ニ因リテ婚家ヲ去リタル場合ニ於テハ子ノ監護ハ母ニ属ス 前二項ノ規定ハ監護ノ範囲外ニ於テ父母ノ権利義務ニ変更ヲ生スルコトナシ 第二款 裁判上ノ離婚 第八百十四条 夫婦ノ一方ハ左ノ場合ニ限リ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 一 配偶者カ重婚ヲ為シタルトキ 二 妻カ姦通ヲ為シタルトキ 三 配偶者カ婚姻中姦淫罪ニ因リテ刑ニ処セラレ又ハ自己ニ汚辱ヲ及ホスヘキ他ノ罪ニ因リテ重禁錮一年以上ノ刑ニ処セラレタルトキ 四 配偶者ヨリ同居ニ堪ヘサル虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ 五 配偶者ヨリ悪意ヲ以テ遺棄セラレタルトキ 六 配偶者カ自己ノ直系尊属ニ対シテ虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ為シタルトキ 七 配偶者ノ直系尊属ヨリ虐待又ハ重大ナル侮辱ヲ受ケタルトキ 八 配偶者ノ生死カ三年間分明ナラサルトキ 第八百十五条 前条第一号乃至第三号ノ場合ニ於テ夫婦ノ一方カ他ノ一方ノ行為ニ同意シタルトキハ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 同条第一号乃至第五号及ヒ第七号ノ場合ニ於テ夫婦ノ一方カ他ノ一方又ハ其直系尊属ノ行為ヲ宥恕シタルトキ亦同シ 第八百十六条 第八百十四条第三号ニ掲ケタル処刑ノ宣告ヲ受ケタル者ハ其配偶者ノ処刑ヲ理由トシテ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第八百十七条 第八百十四条第一号乃至第七号ノ場合ニ於テ離婚ノ訴ハ之ヲ提起スル権利ヲ有スル者カ離婚ノ原因タル事実ヲ知リタル時ヨリ一年ヲ経過シタル後ハ之ヲ提起スルコトヲ得ス其事実発生ノ時ヨリ十年ヲ経過シタル後亦同シ 第八百十八条 法定代理人ハ本人ニ代ハリテ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第八百十九条 夫婦ノ一方ノ過失ニ因リテ離婚ノ判決アリタルトキハ其一方ハ他ノ一方カ自活スルコト能ハサル場合ニ於テ之ヲ扶養スル義務ヲ負フ 前項ニ定メタル義務ハ夫婦ノ一方カ死亡シ又ハ扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者カ再婚シタルトキハ消滅ス 第八百二十条 第八百十三条ノ規定ハ裁判上ノ離婚ニ之ヲ準用ス但裁判所ハ子ノ利益ノ為メ其監護ニ付キ之ニ異ナリタル処分ヲ命スルコトヲ得 第四章 親子 第一節 実子 第一款 嫡出子 第八百二十一条 婚姻中ニ妻カ懐胎シタル子ハ夫ノ子ト推定ス 婚姻成立ノ日ヨリ二百日後又ハ婚姻ノ解消若クハ取消ノ日ヨリ三百日内ニ生レタル子ハ婚姻中ニ懐胎シタルモノト推定ス 婚姻成立ノ日ヨリ百八十日後百九十九日内又ハ婚姻ノ解消若クハ取消ノ日ヨリ三百一日後三百二十日内ニ生レタル子ハ医師ノ鑑定ニ依リ其発育程度カ経過日数ニ適合スルコトノ証明セラレタルトキニ限リ婚姻中ニ懐胎シタルモノト推定ス 第八百二十二条 前条ノ場合ニ於テ子ノ嫡出ナルコトヲ否認スル権利ハ夫ノミニ属ス 第八百二十三条 否認権ハ子又ハ其法定代理人ニ対スル訴ニ依リテ之ヲ行フ但夫カ子ノ法定代理人ナルトキハ裁判所ハ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス 第八百二十四条 夫カ子ノ出生後ニ於テ其嫡出子タルコトヲ承認シタルトキハ其否認権ヲ失フ 第八百二十五条 夫カ無能力者ナル場合ニ於テ否認ノ訴ヲ提起シ又ハ前条ノ承認ヲ為スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要セス 第八百二十六条 夫ノ法定代理人ハ夫ニ代ハリテ否認ノ訴ヲ提起シ又ハ第八百二十四条ノ承認ヲ為スコトヲ得ス但夫カ禁治産者ナルトキハ其法定代理人ハ親族会ノ認許ヲ得テ否認ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 夫カ否認ノ訴ヲ提起シタル後判決確定ニ至ラサル間ニ禁治産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ其法定代理人ニ於テ訴訟ヲ継続スルコトヲ要ス 第八百二十七条 否認ノ訴ハ夫カ子ノ出生ヲ知リタル時ヨリ一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス 第八百二十八条 夫カ未成年者ナルトキハ前条ノ期間ハ其成年ニ達シタル時ヨリ之ヲ起算ス但夫カ成年ニ達シタル後ニ子ノ出生ヲ知リタルトキハ此限ニ在ラス 夫カ禁治産者ナルトキハ前条ノ期間ハ其法定代理人カ子ノ出生ヲ知リタル時又ハ禁治産ノ取消アリタル後夫カ子ノ出生ヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス 第八百二十九条 夫カ子ノ出生前又ハ否認ノ訴ヲ提起セスシテ第八百二十七条ノ期間内ニ死亡シタルトキハ其子ノ為メニ相続権ヲ害セラルヘキ者其他三親等内ノ血族ニ限リ否認ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 前項ノ場合ニ於テハ否認ノ訴ハ夫ノ死亡ノ日ヨリ一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス 夫カ否認ノ訴ヲ提起シタル後判決確定ニ至ラサル間ニ死亡シタルトキハ第一項ニ掲ケタル者ニ於テ其訴訟ヲ継続スルコトヲ得 第八百三十条 第七百六十八条第一項ノ規定ニ違反シテ再婚ヲ為シタル女カ分娩シタル場合ニ於テ第八百二十一条ノ規定ニ依リ其前夫又ハ後夫ヲ以テ子ノ父トスヘキカヲ定ムルコト能ハサルトキハ裁判所ハ事実ヲ審査シテ之ヲ定ム 第二款 私生子 第八百三十一条 私生子ハ其父又ハ母ニ於テ之ヲ認知スルコトヲ得 父カ認知シタル私生子ハ之ヲ庶子トス 第八百三十二条 父又ハ母カ無能力者ナル場合ニ於テ前条ノ認知ヲ為スニハ其法定代理人ノ同意ヲ得ルコトヲ要セス 第八百三十三条 私生子ノ認知ハ戸籍吏ニ届出ツルニ依リテ之ヲ為ス 認知ハ遺言ニ依リテモ亦之ヲ為スコトヲ得 前二項ノ規定ニ依リテ為シタル認知ハ出生ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス 第八百三十四条 成年ノ私生子ハ其承諾アルニ非サレハ之ヲ認知スルコトヲ得ス 第八百三十五条 父ハ胎内ニ在ル子ト雖モ之ヲ認知スルコトヲ得此場合ニ於テハ母ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 父又ハ母ハ死亡シタル子ト雖モ其直系卑属ノ為メ之ヲ認知スルコトヲ得但其直系卑属カ成年ニ達シタル場合ニ於テハ前条ノ規定ヲ準用ス 第八百三十六条 認知ハ之ヲ取消スコトヲ得ス但第  条ノ適用ヲ妨ケス 第八百三十七条 子其他ノ利害関係人ハ認知ニ対シテ反対ノ事実ヲ主張スルコトヲ得 第八百三十八条 父又ハ母カ任意ニ認知ヲ為ササルトキハ子、其直系卑属又ハ此等ノ者ノ法定代理人ハ父又ハ母ニ対シテ認知ヲ求ムルコトヲ得 第八百三十九条 庶子ハ之ヲ認知シタル父母ノ婚姻ニ因リテ嫡出子タル身分ヲ取得ス 婚姻中父母カ認知シタル私生子ハ其認知ノ時ヨリ嫡出子タル身分ヲ取得ス 前二項ノ規定ハ子カ既ニ死亡シタル場合ニ之ヲ準用ス 第二節 養子 第一款 縁組ノ要件 第八百四十条 成年ニ達シタル者ハ養子ヲ為スコトヲ得 第八百四十一条 何人ト雖モ自己ヨリ年長ナル者ヲ養子ト為スコトヲ得ス 第八百四十二条 何人ト雖モ其尊属ヲ養子ト為スコトヲ得ス 第八百四十三条 推定家督相続人アル者ハ男子ヲ養子ト為スコトヲ得ス但壻養子ヲ為スハ此限ニ在ラス 第八百四十四条 後見人ハ管理ノ計算ヲ終ハラサル間ハ被後見人ヲ養子ト為スコトヲ得ス但遺言ヲ以テ之ヲ養子ト為スハ此限ニ在ラス 第八百四十五条 配偶者アル者ハ其配偶者ト一致スルニ非サレハ縁組ヲ為スコトヲ得ス 前項ノ規定ハ夫婦ノ一方カ他ノ一方ノ子ヲ養子ト為ス場合ニハ之ヲ適用セス但他ノ一方ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 第八百四十六条 前条第一項ノ場合ニ於テ夫婦ノ一方カ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ他ノ一方ハ双方ノ名義ヲ以テ縁組ヲ為スコトヲ得 第八百四十七条 養子ト為ルヘキ者カ第七百六十六条ノ年齢ニ達セサルトキハ他日養親ノ子ノ配偶者ト為スヘキ予約ヲ以テ之ヲ養子ト為スコトヲ得ス 養親ノ子カ第七百六十六条ノ年齢ニ達セサルトキハ他日養子ヲ其配偶者ト為スヘキ予約ヲ以テ縁組ヲ為スコトヲ得ス 第八百四十八条 縁組又ハ婚姻ニ因リテ他家ニ入リタル者ハ実家ニ復籍シタル後ニ非サレハ更ニ養子トシテ他家ニ入ルコトヲ得ス但第八百四十五条ノ場合ハ此限ニ在ラス 第八百四十九条 養子ト為ルヘキ者カ十五年未満ナルトキハ其家ニ在ル父母之ニ代ハリテ縁組ノ承諾ヲ為スコトヲ得 父母ノ一方カ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ他ノ一方ニ於テ承諾ヲ為スコトヲ得 父母共ニ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ其意思ヲ表示スルコト能ハサルトキハ後見人ハ親族会ノ認許ヲ得テ承諾ヲ為スコトヲ得 第八百五十条 成年ノ子カ養子ヲ為シ又ハ満十五年以上ノ子カ養子ト為ルニハ其家ニ在ル父母ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス此場合ニ於テハ第七百七十三条第二項、第三項及ヒ第七百七十四条ノ規定ヲ準用ス 第八百五十一条 第七百七十五条ノ規定ハ縁組ニ之ヲ準用ス 第八百五十二条 養子ハ遺言ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得 此場合ニ於テハ養子ト為ルヘキ者又ハ其法定代理人及ヒ成年ノ証人二人以上ヨリ縁組ノ届出ヲ為スコトヲ要ス 第八百五十三条 戸籍吏ハ縁組カ第七百四十二条、第七百四十八条、第七百六十三条第二項及ヒ前十三条ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ其届出ヲ受理スルコトヲ得ス 第七百七十六条但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第八百五十四条 第八百四十条乃至第八百五十条ノ規定ハ日本人カ外国ニ於テ縁組ヲ為ス場合ニモ亦之ヲ適用ス 第八百五十五条 外国ニ在ル日本人間ニ於テ縁組ヲ為サント欲スルトキハ其国ニ駐在スル日本ノ公使又ハ領事ニ其届出ヲ為スコトヲ得此場合ニ於テハ第八百五十一条乃至第八百五十三条ノ規定ヲ準用ス 第二款 縁組ノ無効及ヒ取消 第八百五十六条 縁組ハ左ノ場合ニ限リ無効トス 一 人違其他ノ事由ニ因リ当事者間ニ縁組ヲ為ス意思ナキトキ 二 当事者カ縁組ノ届出ヲ為ササルトキ但其届出カ第八百五十一条及ヒ第八百五十二条ニ掲ケタル条件ヲ欠クニ止マルトキハ縁組ハ之カ為メニ其効力ヲ妨ケラルルコトナシ 第八百五十七条 縁組ハ後九条ノ規定ニ依ルニ非サレハ之ヲ取消スコトヲ得ス 第八百五十八条 第八百四十条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ養親又ハ其法定代理人ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但養親カ成年ニ達シタル後六个月ヲ経過シ又ハ追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス 第八百五十九条 第八百四十一条乃至第八百四十三条又ハ第八百四十七条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ各当事者、其戸主、直系尊属及ヒ検事ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 第八百六十条 第八百四十四条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ養子又ハ其法定代理人ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但管理ノ計算カ終ハリタル後六个月ヲ経過シ又ハ追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス 養子カ満十五年ニ達セサル間ニ管理ノ計算カ終ハリタル場合ニ於テハ前項但書ノ期間ハ養子カ満十五年ニ達シタル時又ハ後任ノ後見人カ就職シタル時ヨリ之ヲ起算ス 第八百六十一条 第八百四十五条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ承諾ヲ為ササリシ配偶者ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但其配偶者カ縁組アリタルコトヲ知リタル後六个月ヲ経過シタルトキハ追認ヲ為シタルモノト看做ス 第八百六十二条 第八百四十六条ノ規定ニ依リテ為シタル縁組ハ意思ヲ表示スルコト能ハサリシ配偶者ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但其配偶者カ意思ヲ表示スルコトヲ得ルニ至リタル後六个月ヲ経過シ又ハ追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス 第八百六十三条 第八百四十八条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ養子ノ実家ノ戸主及ヒ直系尊属ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但其直系尊属カ縁組アリタルコトヲ知リタル後六个月ヲ経過シ又ハ追認ヲ為シタルトキハ此限ニ在ラス 第八百六十四条 第八百五十条ノ規定ニ違反シタル縁組ハ承諾権ヲ有セシ者ヨリ其取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得承諾カ詐欺又ハ強迫ニ因リタルトキ亦同シ 第七百八十六条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第八百六十五条 壻養子縁組ノ場合ニ於テハ各当事者ハ婚姻ノ無効又ハ取消ヲ理由トシテ縁組ノ取消ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得但婚姻ノ無効又ハ取消ノ請求ニ附帯シテ縁組ノ取消ヲ請求スルコトヲ妨ケス 前項ノ取消権ハ当事者カ婚姻ノ無効ナルコト又ハ其取消アリタルコトヲ知リタル後六个月ヲ経過シ又ハ其取消権ヲ抛棄シタルトキハ消滅ス 第八百六十六条 第七百八十七条及ヒ第七百八十八条ノ規定ハ縁組ニ之ヲ準用ス但第七百八十七条第二項ノ期間ハ之ヲ六个月トス 第三款 縁組ノ効力 第八百六十七条 養子ハ縁組ノ日ヨリ養親ノ嫡出子タル身分ヲ取得ス 第八百六十八条 養子ハ縁組ニ因リテ養親ノ家ニ入ル 第四款 離縁 第八百六十九条 縁組ノ当事者ハ其協議ヲ以テ離縁ヲ為スコトヲ得 養子カ十五年未満ナルトキハ其離縁ハ養親ト養子ニ代ハリテ縁組ノ承諾ヲ為ス権利ヲ有スル者トノ協議ヲ以テ之ヲ為ス 養親カ死亡シタル後養子カ離縁ヲ為サント欲スルトキハ戸主ノ承諾ヲ得テ之ヲ為スコトヲ得但養子カ戸主ナルトキハ親族会ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 第八百七十条 満二十五年ニ達セサル者カ協議上ノ離縁ヲ為スニハ第八百五十条ノ規定ニ依リ其縁組ニ付キ承諾権ヲ有スル者ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 第八百七十一条 第七百七十五条ノ規定ハ協議上ノ離縁ニ之ヲ準用ス 戸籍吏ハ協議ノ真実ナルコト及ヒ前条ノ規定其他ノ法令ニ違反セサルコトヲ認メタル後ニ非サレハ離縁ノ届出ヲ受理スルコトヲ得ス 第八百七十二条 縁組ノ当事者ノ一方ハ他ノ一方又ハ其直系尊属ニ左ノ事由アルトキハ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 一 当事者ノ一方カ他ノ一方ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルコト 二 当事者ノ一方カ他ノ一方ノ直系尊属ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルコト 三 養親ノ直系尊属カ養子ニ対シテ虐待ヲ為シ又ハ之ニ重大ナル侮辱ヲ加ヘタルコト 四 当事者ノ一方カ他ノ一方ニ汚辱ヲ及ホスヘキ罪ニ因リテ重禁錮一年以上ノ刑ニ処セラレタルコト 五 当事者ノ一方カ悪意ヲ以テ他ノ一方ヲ遺棄シタルコト 六 養子ニ家名ヲ涜シ又ハ家産ヲ傾クヘキ重大ナル過失アリタルコト 七 養子カ逃亡シテ三年以上復帰セサルコト 八 養子ノ生死カ三年以上分明ナラサルコト 第八百七十三条 前条第一号及ヒ第三号乃至第七号ノ場合ニ於テ当事者ノ一方カ他ノ一方又ハ其直系尊属ノ行為ヲ宥恕シタルトキハ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第八百七十四条 第八百七十二条第四号ノ場合ニ於テ当事者ノ一方カ他ノ一方ノ行為ニ同意シタルトキハ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 処刑ノ宣告ヲ受ケタル者ハ他ノ一方ノ処刑ヲ理由トシテ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス 第八百七十五条 養子カ満十五年ニ達セサル間ハ其縁組ニ付キ承諾権ヲ有セル者ヨリ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 第八百七十六条 養親カ禁治産者ナルトキハ其法定代理人ハ親族会ノ認許ヲ得テ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 養子カ禁治産者ナルトキハ実家ノ直系尊属又ハ戸主ヨリ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 第八百七十七条 離縁ノ訴ハ之ヲ提起スル権利ヲ有スル者カ離縁ノ原因タル事実ヲ知リタル時ヨリ一年ヲ経過シタル後ハ之ヲ提起スルコトヲ得ス其事実発生ノ時ヨリ十年ヲ経過シタル後亦同シ 第八百七十二条第七号ノ事由ニ因ル離縁ノ訴ハ養親カ養子ノ復帰シタルコトヲ知リタル後一年又ハ其復帰ノ後十年ヲ経過シタルトキハ之ヲ提起スルコトヲ得ス 同条第八号ノ事由ニ因ル離縁ノ訴ハ養子ノ生死カ分明ト為リタル後ハ之ヲ提起スルコトヲ得ス 第八百七十八条 壻養子縁組ノ場合ニ於テハ各当事者ハ離婚ヲ理由トシテ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得但離婚ノ請求ニ附帯シテ離縁ノ請求ヲ為スコトヲ妨ケス 前項ニ定メタル権利ハ当事者カ離婚アリタルコトヲ知リタル後六个月ヲ経過シ又ハ其権利ヲ抛棄シタルトキハ消滅ス 第八百七十九条 養子カ戸主ト為リタル後ハ之ニ対シテ離縁ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス但隠居ヲ為シタル後ハ此限ニ在ラス 第八百八十条 当事者ノ一方ノ過失ニ因リテ離縁ノ判決アリタルトキハ其一方ハ他ノ一方カ自活スルコト能ハサル場合ニ於テ之ヲ扶養スル義務ヲ負フ 前項ニ定メタル義務ハ当事者ノ一方カ死亡シ又ハ扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者カ更ニ縁組ヲ為シタルトキハ消滅ス 第八百八十一条 養子ハ離縁ニ因リ其実家ニ於テ有セシ身分ヲ回復ス但第三者カ既ニ得タル権利ヲ害スルコトヲ得ス 第八百八十二条 家女ト婚姻ヲ為シタル養子ノ離縁ノ場合ニ於テハ家女ハ其父母及ヒ夫ノ承諾ヲ得テ其夫ノ家ニ入ルコトヲ得但家女カ推定家督相続人ナルトキハ此限ニ在ラス 第八百八十三条 夫婦カ養子ト為リ又ハ養子カ養親ノ他ノ養子ト婚姻ヲ為シタル場合ニ於テ妻カ離縁ニ因リテ養家ヲ去ルヘキトキハ夫ハ其選択ニ従ヒ離縁又ハ離婚ノ訴ヲ提起スルコトヲ要ス 第五章 親権 第一節 総則 第八百八十四条 子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス但独立ノ生計ヲ立ツル成年者ハ此限ニ在ラス 父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ其家ニ在ル母之ヲ行フ 第八百八十五条 継父、継母又ハ嫡母カ親権ヲ行フ場合ニ於テハ次章ノ規定ヲ準用ス 第二節 親権ノ効力 第八百八十六条 親権ヲ行フ父又ハ母ハ其未成年ノ子ノ監護及ヒ教育ヲ為ス権利ヲ有シ義務ヲ負フ 第八百八十七条 未成年ノ子ハ親権ヲ行フ父又ハ母カ指定シタル場所ニ其居所ヲ定ムルコトヲ要ス但第七百四十七条ノ適用ヲ妨ケス 第八百八十八条 未成年ノ子カ兵役ヲ出願スルニハ親権ヲ行フ父又ハ母ノ許可ヲ得ルコトヲ要ス 第八百八十九条 親権ヲ行フ父又ハ母ハ必要ナル範囲内ニ於テ自ラ其子ヲ懲戒シ又ハ裁判所ノ許可ヲ得テ之ヲ相当ノ懲戒場ニ入ルルコトヲ得 子ヲ懲戒場ニ入ルル期間ハ六个月以下ノ範囲内ニ於テ裁判所之ヲ定ム但此期間ハ父又ハ母ノ請求ニ因リ何時ニテモ之ヲ短縮スルコトヲ得 第八百九十条 子ハ親権ヲ行フ父又ハ母ノ許可ヲ得ルニ非サレハ職業ヲ営ムコトヲ得ス 父又ハ母ハ第六条第二項ノ場合ニ於テハ前項ノ許可ヲ取消シ又ハ之ヲ制限スルコトヲ得 第八百九十一条 親権ヲ行フ父又ハ母ハ未成年ノ子ノ財産ヲ管理シ又其財産ニ関スル法律行為ニ付キ其子ヲ代表シ又ハ之ニ同意ヲ与フ 第八百九十二条 未成年ノ子カ其配偶者ノ財産ヲ管理スヘキ場合ニ於テハ親権ヲ行フ父又ハ母之ニ代ハリテ其財産ヲ管理ス 第八百九十三条 親権ヲ行フ父又ハ母カ未成年ノ子ニ代ハリテ左ニ掲ケタル行為ヲ為シ又ハ子ノ之ヲ為スコトニ同意スルニハ親族会ノ認許ヲ得ルコトヲ要ス 一 借財又ハ保証ヲ為スコト 二 不動産又ハ重要ナル動産ニ関スル権利ノ喪失ヲ目的トスル行為ヲ為スコト 三 不動産又ハ重要ナル動産ニ関スル和解又ハ仲裁契約ヲ為スコト 四 相続ヲ抛棄スルコト 五 遺贈又ハ贈与ヲ拒絶スルコト 第八百九十四条 親権ヲ行フ父又ハ母ト其未成年ノ子ト利益相反スル行為ニ付テハ父又ハ母ハ其子ノ為メニ特別代理人ヲ選任センコトヲ親族会ニ請求スルコトヲ得父又ハ母カ数人ノ子ニ対シテ親権ヲ行フ場合ニ於テ其一人ト他ノ子ト利益相反スル行為ニ付キ亦同シ 第八百九十五条 親権ヲ行フ父又ハ母カ其権限ヲ超エテ為シタル行為ハ父若クハ母又ハ子ニ於テ之ヲ取消スコトヲ得此場合ニ於テハ第十九条ノ規定ヲ準用ス 前項ノ規定ハ第百二十一条乃至第百二十六条ノ適用ヲ妨ケス 第八百九十六条 親権ヲ行フ父又ハ母ハ自己ノ為メニスルト同一ノ注意ヲ以テ財産ノ管理ヲ為スコトヲ要ス 第八百九十七条 子カ成年ニ達シタルトキハ親権ヲ行ヒタル父又ハ母ハ遅滞ナク其管理ノ計算ヲ為スコトヲ要ス但其子ノ扶養、教育及ヒ財産ノ管理ノ費用ハ其子ノ財産ノ収益ト之ヲ相殺シタルモノト看做スコトヲ得 第八百九十八条 前条但書ノ規定ハ無償ニテ子ニ財産ヲ与フル者カ反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ其財産ニ付テハ之ヲ適用セス 第八百九十九条 無償ニテ子ニ財産ヲ与フル者カ親権ヲ行フ父又ハ母ヲシテ之ヲ管理セシメサル意思ヲ表示シタルトキハ其財産ハ父又ハ母ノ管理ニ属セサルモノトス 前項ノ場合ニ於テ第三者カ管理者ヲ指定セサリシトキハ裁判所ハ子、其親族又ハ検事ノ請求ニ因リ其管理者ヲ選定ス 第三者カ管理者ヲ指定セシトキト雖モ其管理者ノ権限カ消滅シ又ハ之ヲ改任スル必要アル場合ニ於テ第三者カ更ニ管理者ヲ指定セス又ハ之ヲ指定スルコト能ハサルトキ亦同シ 第二十七条乃至第二十九条ノ規定ハ前二項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第九百条 第六百五十四条及ヒ第六百五十五条ノ規定ハ父又ハ母ノ管理権ニ之ヲ準用ス 第九百一条 親権ヲ行ヒタル父又ハ母ト其子トノ間ニ財産ノ管理ニ付テ生シタル債権ハ其管理権消滅ノ時ヨリ五年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス 前項ノ期間ハ子カ未タ成年ニ達セサル間ニ管理権カ消滅シタルトキハ其子カ成年ニ達シ又ハ後任ノ法定代理人カ就職シタル時ヨリ之ヲ起算ス 第九百二条 親権ヲ行フ父又ハ母ハ其未成年ノ子ニ代ハリテ戸主権又ハ親権ヲ行フ 第三節 親権ノ喪失 第九百三条 父又ハ母カ親権ヲ濫用シ又ハ著シク不行跡ナルトキハ裁判所ハ子ノ親族又ハ検事ノ請求ニ因リ其親権ノ喪失ヲ宣告スルコトヲ得 第九百四条 親権ヲ行フ父又ハ母カ管理ノ失当ニ因リ其子ノ財産ヲ危クシタルトキハ裁判所ハ子ノ親族又ハ検事ノ請求ニ因リ其管理権ノ喪失ヲ宣告スルコトヲ得 第九百五条 親権ヲ行フ母ハ財産ノ管理ヲ辞スルコトヲ得 第六章 後見 第一節 後見ノ開始 第九百六条 後見ハ左ノ場合ニ於テ開始ス 一 未成年者ニ対シ親権ヲ行フ者ナキトキ又ハ母カ財産ノ管理ヲ辞シタルトキ 二 成年者カ禁治産ノ宣告ヲ受ケタルトキ 第二節 後見ノ機関 第一款 後見人 第九百七条 未成年者ニ対シテ最後ニ親権ヲ行フ者ハ遺言ヲ以テ後見人ヲ指定スルコトヲ得但財産ノ管理ヲ辞シタル母ハ此限ニ在ラス 親権ヲ行フ父ノ生前ニ於テ母カ予メ財産ノ管理ヲ辞シタルトキハ父ハ前項ノ規定ニ依リ後見人ノ指定ヲ為スコトヲ得 第九百八条 成年者カ禁治産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ親権ヲ行フ父又ハ母其後見人ト為ル 妻カ禁治産ノ宣告ヲ受ケタルトキハ夫其後見人ト為ル夫後見人タラサルトキハ前項ノ規定ニ依ル 夫カ禁治産ノ宣告ヲ受ケタル場合ニ於テ父又ハ母後見人タラサルトキハ妻其後見人ト為ル 第九百九条 前二条ノ規定ニ依リテ家族ノ後見人タル者アラサルトキハ戸主其後見人ト為ル 第九百十条 前三条ノ規定ニ依リテ後見人タル者アラサルトキハ後見人ハ親族会之ヲ選定ス 第九百十一条 母カ財産ノ管理ヲ辞シ、後見人カ其職務ヲ辞シ、親権ヲ行ヒタル父若クハ母カ他家ニ入リ又ハ戸主カ隠居ヲ為シタルニ因リ後見人ヲ選定スル必要ヲ生シタルトキハ其父、母又ハ後見人ハ遅滞ナク裁判所ニ親族会ノ招集ヲ請求スルコトヲ要ス 第九百十二条 後見人ハ一人タルコトヲ要ス 第九百十三条 後見人ハ婦女ヲ除ク外左ノ事由アルニ非サレハ其任務ヲ辞スルコトヲ得ス 一 軍人又ハ軍属トシテ現役ニ服スルコト 二 被後見人ノ住所ノ市又ハ郡以外ニ於テ公務ニ従事スルコト 三 自己ヨリ先ニ後見人タルヘキ者ニ付キ本条又ハ次条ニ掲ケタル事由ノ存セシ場合ニ於テ其事由カ消滅シタルコト 四 禁治産者ニ付テハ十年以上後見ヲ為シタルコト但配偶者、直系血族及ヒ戸主ハ此限ニ在ラス 五 親族会ニ於テ正当ト認メタル事由 第九百十四条 左ニ掲ケタル者ハ後見人タルコトヲ得ス 一 未成年者 二 禁治産者及ヒ準禁治産者 三 剥奪公権者及ヒ停止公権者 四 裁判所ニ於テ免黜セラレタル法定代理人又ハ保佐人 五 復権ヲ得サル破産者 六 被後見人ニ対シ訴訟ヲ為シ又ハ為シタル者及ヒ其配偶者並ニ直系血族 七 行方ノ知レサル者 八 親族会ニ於テ後見ノ任務ニ堪ヘサル事跡、不正ノ行為又ハ著シキ不行跡アリト認メタル者 第九百十五条 第九百八条乃至第九百十一条、第九百十三条及ヒ前条ノ規定ハ保佐人ニ之ヲ準用ス 第二款 後見監督人 第九百十六条 後見人ヲ指定スルコトヲ得ル者ハ遺言ヲ以テ後見監督人ヲ指定スルコトヲ得 第九百十七条 前条ノ規定ニ依リテ指定シタル後見監督人ナキトキハ法定後見人又ハ指定後見人ハ其事務ニ著手スル前親族会ノ招集ヲ請求シ後見監督人ヲ選定セシムルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ親族会ハ其後見人ヲ免黜スルコトヲ得 親族会ニ於テ後見人ヲ選定シタルトキハ直チニ後見監督人ヲ選定スルコトヲ要ス 第九百十八条 後見人就職ノ後後見監督人ノ欠ケタルトキハ後見人ハ遅滞ナク親族会ノ招集ヲ請求シ後見監督人ヲ選定セシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前条第一項ノ規定ヲ準用ス 第九百十九条 後見人ノ更迭アリタルトキハ親族会ハ後見監督人ヲ改選スルコトヲ要ス但前後見監督人ヲ重選スルコトヲ妨ケス 新後見人カ親族会ノ選定ニ係ラサル者ナルトキハ後見監督人ハ遅滞ナク親族会ノ招集ヲ請求シ前項ノ規定ニ依リテ改選ヲ為サシムルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ後見人ノ行為ニ付キ之ト連帯シテ其責ニ任ス 第九百二十条 後見人ノ配偶者、直系血族又ハ弟妹ハ後見監督人タルコトヲ得ス 第九百二十一条 後見監督人ノ職務左ノ如シ 一 後見人ノ事務ヲ監督スルコト 二 後見人ノ欠ケタル場合ニ於テ遅滞ナク其後任者ノ任務ニ就クコトヲ促シ若シ後任者ナキトキハ親族会ノ招集ヲ請求シ其選定ヲ為サシムルコト 三 急迫ノ事情アル場合ニ於テ必要ナル処分ヲ為スコト 四 後見人又ハ其代表スル人ト被後見人トノ利益相反スルトキハ被後見人ヲ代表スルコト 第九百二十二条 第六百四十四条、第九百十三条及ヒ第九百十四条ノ規定ハ後見監督人ニ之ヲ準用ス 第三節 後見ノ事務 第九百二十三条 後見人ハ遅滞ナク被後見人ノ財産ノ調査ニ著手シ其著手ノ時ヨリ一个月内ニ財産ノ調査ヲ終ハリ其目録ヲ調製スルコトヲ要ス但此期間ハ親族会ニ於テ之ヲ伸長スルコトヲ得 財産ノ調査及ヒ其目録ノ調製ハ後見監督人ノ立会ヲ以テ之ヲ為スニ非サレハ其効ナシ 後見人カ前二項ノ規定ニ従ヒテ財産ノ目録ヲ調製セサルトキハ親族会ハ之ヲ免黜スルコトヲ得 第九百二十四条 後見人ハ目録ノ調製ヲ終ハルマテハ急迫ノ必要アル行為ノミヲ為ス権限ヲ有ス但之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第九百二十五条 後見人カ被後見人ニ対シ債権ヲ有シ又ハ債務ヲ負フトキハ財産ノ調査ニ著手スル前ニ之ヲ後見監督人ニ申出ツルコトヲ要ス 後見人カ被後見人ニ対シ債権ヲ有スルコトヲ知リテ之ヲ申出テサルトキハ其債権ヲ失フ 後見人カ被後見人ニ対シ債務ヲ負フコトヲ知リテ之ヲ申出テサルトキハ親族会ハ其後見人ヲ免黜スルコトヲ得 第九百二十六条 前三条ノ規定ハ後見人就職ノ後被後見人カ包括財産ヲ取得シタル場合ニ之ヲ準用ス 第九百二十七条 未成年者ノ後見人ハ第八百八十六条乃至第八百九十条及ヒ第八百九十二条ニ定メタル事項ニ付キ親権ヲ行フ父又ハ母ト同一ノ権利義務ヲ有ス但親権ヲ行フ父又ハ母カ定メタル教育ノ方法及ヒ居所ヲ変更シ、未成年者ヲ懲戒場ニ入レ、営業ヲ許可シ、其許可ヲ取消シ又ハ之ヲ制限スルニハ親族会ノ認許ヲ得ルコトヲ要ス 第九百二十八条 禁治産者ノ後見人ハ禁治産者ノ資力ニ応シテ其療養看護ヲ力ムルコトヲ要ス 禁治産者ヲ瘋癲病院ニ入レ又ハ私宅ニ監置スルト否トハ親族会ノ認許ヲ得テ後見人之ヲ定ム 第九百二十九条 後見人ハ被後見人ノ財産ヲ管理シ又其財産ニ関スル法律行為ニ付キ被後見人ヲ代表ス 此他未成年者ノ後見人ハ財産ニ関スル法律行為ニ付キ未成年者ニ同意ヲ与フルコトヲ得 第九百三十条 後見人ハ其就職ノ初ニ於テ親族会ノ認許ヲ得テ被後見人ノ生活、教育又ハ療養看護及ヒ財産ノ管理ノ為メ毎年費スヘキ金額ヲ予定スルコトヲ要ス但後見人ハ実際ノ必要ニ応シテ予定額ヲ変更スルコトヲ妨ケス 第九百三十一条 親族会ハ後見人及ヒ被後見人ノ資力其他ノ事情ニ依リ被後見人ノ財産中ヨリ相当ノ報酬ヲ後見人ニ与フルコトヲ得但後見人カ被後見人ノ配偶者、直系血族又ハ戸主ナルトキハ此限ニ在ラス 第九百三十二条 後見人ハ親族会ノ認許ヲ得テ有給ノ財産管理者ヲ使用スルコトヲ得但第百六条ノ適用ヲ妨ケス 第九百三十三条 親族会ハ後見人就職ノ初ニ於テ後見人カ被後見人ノ為メニ受取リタル金銭カ何程ノ額ニ達セハ之ヲ寄託スヘキカヲ定ムルコトヲ要ス 後見人カ被後見人ノ為メニ受取リタル金銭カ親族会ノ定メタル額ニ達スルモ相当ノ期間内ニ之ヲ寄託セサルトキハ其法定利息ヲ払フコトヲ要ス 金銭ヲ寄託スヘキ場所ハ親族会ノ認許ヲ得テ後見人之ヲ定ム 第九百三十四条 指定後見人及ヒ選定後見人ハ毎年少クトモ一回被後見人ノ財産ノ状況ヲ親族会ニ報告スルコトヲ要ス 第九百三十五条 後見人カ被後見人ニ代ハリテ第十二条第一項ニ掲ケタル行為ヲ為シ又ハ未成年者ノ之ヲ為スコトニ同意スルニハ親族会ノ認許ヲ得ルコトヲ要ス但元本ヲ領収スルハ此限ニ在ラス 第九百三十六条 後見人カ被後見人ノ財産及ヒ被後見人ニ対スル第三者ノ権利ヲ譲受ケタルトキハ被後見人ハ之ヲ取消スコトヲ得此場合ニ於テハ第十九条ノ規定ヲ準用ス 前項ノ規定ハ第百二十一条乃至第百二十六条ノ適用ヲ妨ケス 第九百三十七条 後見人ハ親族会ノ認許ヲ得ルニ非サレハ未成年者ノ財産ヲ賃借スルコトヲ得ス 第九百三十八条 後見人カ其任務ヲ曠クスルトキハ親族会ハ臨時管理人ヲ選任シ後見人ノ責任ヲ以テ被後見人ノ財産ヲ管理セシムルコトヲ得 第九百三十九条 親族会ハ後見人ヲシテ被後見人ノ財産ノ管理及ヒ返還ニ付キ相当ノ担保ヲ供セシムルコトヲ得 第九百四十条 被後見人カ戸主ナルトキハ後見人ハ之ニ代ハリテ其権利ヲ行フ但家族ヲ離籍シ又ハ家族カ分家ヲ為シ若クハ廃絶家ヲ再興スルコトヲ承諾スルニハ親族会ノ認許ヲ得ルコトヲ要ス 後見人ハ未成年者ニ代ハリテ親権ヲ行フ但第九百二十三条乃至第九百二十七条及ヒ前十条ノ規定ヲ準用ス 第九百四十一条 母カ財産ノ管理ヲ辞シタル場合ニ於テハ後見人ハ財産ニ関スル権限ノミヲ有ス 第九百四十二条 第六百四十四条、第八百九十五条及ヒ第八百九十九条ノ規定ハ後見ニ之ヲ準用ス 第四節 後見ノ終了 第九百四十三条 後見人ノ任務カ終了シタルトキハ後見人又ハ其相続人ハ二个月内ニ其管理ノ計算ヲ為スコトヲ要ス但此期間ハ親族会ニ於テ之ヲ伸長スルコトヲ得 第九百四十四条 後見人ノ管理ノ計算ハ後見監督人ノ立会ヲ以テ之ヲ為ス 後見人ノ更迭アリタル場合ニ於テハ其管理ノ計算ハ親族会ノ認可ヲ得ルコトヲ要ス 第九百四十五条 未成年者カ成年ニ達シタル後後見ノ計算ノ終了前ニ其者ト後見人又ハ其相続人トノ間ニ為シタル契約ハ其者ニ於テ之ヲ取消スコトヲ得其者カ後見人又ハ其相続人ニ対シテ為シタル単独行為亦同シ 第十九条及ヒ第百二十一条乃至第百二十六条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第九百四十六条 後見人カ被後見人ニ返還スヘキ金額及ヒ被後見人カ後見人ニ返還スヘキ金額ニハ後見人ノ管理ノ計算終了ノ時ヨリ利息ヲ附スルコトヲ要ス 後見人カ自己ノ為メニ被後見人ノ金銭ヲ消費シタルトキハ其消費ノ時ヨリ之ニ利息ヲ附スルコトヲ要ス尚ホ損害アリタルトキハ其賠償ノ責ニ任ス 第九百四十七条 第六百五十四条及ヒ第六百五十五条ノ規定ハ後見ニ之ヲ準用ス 第九百四十八条 第九百一条ニ定メタル時効ハ後見人、後見監督人又ハ親族会員ト被後見人トノ間ニ於テ後見ニ関シテ生シタル債権ニ之ヲ準用ス 前項ノ時効ハ第九百四十五条ノ規定ニ依リテ法律行為ヲ取消シタル場合ニ於テハ其取消ノ時ヨリ之ヲ起算ス 第七章 親族会 第九百四十九条 本法其他ノ法令ノ規定ニ依リ親族会ヲ開クヘキ場合ニ於テハ会議ヲ要スル事件ノ本人、戸主、親族、後見人、後見監督人、保佐人、検事又ハ利害関係人ヨリ本人ノ親族ヲ招集シテ親族会員ヲ選定セシム 前項ノ規定ニ依リテ招集スヘキ親族ナキトキ及ヒ親族ニ於テ親族会員ヲ選定セサルトキハ裁判所ハ前項ニ掲ケタル者ノ請求ニ因リテ之ヲ選定ス 第九百五十条 親族会員ハ三人以上トス但親族三人ニ満タサルトキハ其家又ハ本人ニ縁故アル他人ヲ以テ之ヲ補充ス 親族会員ヲ選定シタルトキ又ハ其変更アリタルトキハ会員ノ連署ヲ以テ之ヲ戸籍吏ニ届出ツルコトヲ要ス 第九百五十一条 遠隔ノ地ニ居住スル者ハ親族会員タルコトヲ辞スルコトヲ得 後見人、後見監督人及ヒ保佐人ハ親族会員タルコトヲ得ス 此他第九百十三条第五号及ヒ第九百十四条ノ規定ハ親族会員ニ之ヲ準用ス 第九百五十二条 第九百四十九条第一項ニ掲ケタル者ニ於テ親族会員ノ選定ニ付キ異議アルトキハ三个月内ニ其理由ヲ開示シテ会員ノ改選ヲ裁判所ニ申請スルコトヲ得但第九百四十九条第二項ノ場合ハ此限ニ在ラス 第九百五十三条 親族会ノ決議ハ会員ノ過半数ニ依ル 会員ハ自己ノ利害ニ関スル決議ニ加ハルコトヲ得ス 第九百五十四条 本人、戸主、其家ニ在ル父母、配偶者、本家、分家ノ戸主、後見人、後見監督人及ヒ保佐人ハ親族会ニ其意見ヲ述フルコトヲ得 親族会ノ招集ハ前項ニ掲ケタル者ニ之ヲ通知スルコトヲ要ス 第九百五十五条 無能力者ノ為メニ設ケタル親族会ハ其無能力ノ止ムマテ継続ス 第九百五十六条 前条ノ場合ニ於テ親族会ニ欠員ヲ生シ補欠ノ必要アリト認ムルトキハ親族会其補欠員ヲ選定ス 前項ノ場合ニ於テハ第九百四十九条第二項及ヒ第九百五十条ヲ準用ス 第九百五十七条 親族会ノ決議ニ対シテハ一个月内ニ会員其他第九百四十九条第一項ニ掲ケタル者ヨリ其不服ヲ裁判所ニ訴フルコトヲ得 第九百五十八条 親族会カ決議ヲ為スコト能ハサルトキハ裁判所ハ会員ノ請求ニ因リ其決議ニ代ハルヘキ決定ヲ為ス 第九百五十九条 第六百四十四条ノ規定ハ親族会員ニ之ヲ準用ス 無能力者ノ法定代理人ハ親族会ノ認許ヲ得テ為シタル法律行為ニ付テモ其責ヲ免ルルコトヲ得ス但裁判所ニ於テ法定代理人ニ過失ナカリシモノト認定シタルトキハ此限ニ在ラス 第八章 扶養ノ義務 第九百六十条 直系血族及ヒ兄弟姉妹ハ互ニ扶養ヲ為ス義務ヲ負フ 夫婦ノ一方ト他ノ一方ノ直系尊属ニシテ其家ニ在ル者トノ間亦同シ 第九百六十一条 扶養ノ義務ヲ負フ者数人アル場合ニ於テハ其義務ヲ履行スヘキ者ノ順序左ノ如シ 第一 配偶者 第二 直系卑属 第三 直系尊属 第四 戸主 第五 第九百六十条第二項ニ掲ケタル者 第六 兄弟姉妹 第七 第八百十九条及ヒ第八百八十条ノ規定ニ依リテ扶養ノ義務ヲ負フ者 直系ノ卑属又ハ尊属ノ間ニ於テハ其親等ノ最モ近キ者ヲ先ニス第九百六十条第二項ニ掲ケタル配偶者ノ直系尊属間亦同シ 第九百六十二条 同順位ノ扶養義務者数人アルトキハ各其資力ニ応シテ其義務ヲ分担ス但家ニ在ル者ト家ニ在ラサル者トノ間ニ於テハ家ニ在ル者先ツ扶養ヲ為スコトヲ要ス 第九百六十三条 扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者数人アル場合ニ於テ扶養義務者ノ資力カ其一同ヲ扶養スルニ足ラサルトキハ扶養義務者ハ左ノ順序ニ従ヒ扶養ヲ為スコトヲ要ス 第一 直系尊属 第二 直系卑属 第三 配偶者 第四 第九百六十条第二項ニ掲ケタル者 第五 兄弟姉妹 第六 前五号ニ掲ケタル者ニ非サル家族 第七 第八百十九条及ヒ第八百八十条ノ規定ニ依リテ扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者 第九百六十条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第九百六十四条 同順位ノ扶養権利者数人アルトキハ各其需要ニ応シテ扶養ヲ受クルコトヲ得 第九百六十二条但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス 第九百六十五条 扶養ノ義務ハ扶養ヲ受クヘキ者カ自己ノ資産又ハ労務ニ依リテ生活ヲ為スコト能ハサルトキニノミ存在ス自己ノ資産ニ依リテ教育ヲ受クルコト能ハサルトキ亦同シ 兄弟姉妹間ニ在リテハ扶養ノ義務ハ扶養ヲ受クル必要カ之ヲ受クヘキ者ノ過失ニ因ラスシテ生シタルトキニノミ存在ス 第九百六十六条 扶養ノ程度ハ扶養権利者ノ需要ト扶養義務者ノ身分及ヒ資力トニ依リテ之ヲ定ム 第九百六十七条 扶養義務者ハ扶養権利者ヲ引取リテ引之ヲ養ヒ又ハ之ヲ引取ラスシテ生活ノ資料ヲ給付スルコトヲ得但正当ノ事由アルトキハ裁判所ハ扶養権利者ノ請求ニ依リ扶養ノ方法ヲ定ムルコトヲ得 第九百六十八条 扶養ノ程度又ハ方法カ判決ニ因リテ定マリタル場合ニ於テ其判決ノ根拠ト為リタル事情ニ変更ヲ生シタルトキハ当事者ハ其判決ノ変更又ハ取消ヲ請求スルコトヲ得 第九百六十九条 扶養ヲ受クル権利ハ之ヲ処分シ又ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス 第九百七十条 扶養ノ義務ハ扶養権利者又ハ扶養義務者ノ死亡ニ因リテ消滅ス但其死亡ノ当時既ニ弁済期ノ至リタルモノハ此限ニ在ラス