第五編
第二章
第三節
第二款
第千九条 共同相続人中被相続人ヨリ遺贈ヲ受ケ又ハ分家、婚姻、養子縁組ノ為メ若クハ生計ノ資本トシテ贈与ヲ受ケタル者アルトキハ其相続分ハ前三条ニ定メタル相続分ヨリ其遺贈又ハ贈与ノ価額ヲ控除シテ之ヲ定ム但被相続人カ反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此限ニ在ラス
遺贈又ハ贈与ノ価額カ相続分ノ価額ヲ超ユルトキハ受遺者又ハ受贈者ハ其相続分ヲ受クルコトヲ得ス
第千十条 共同相続人ノ一人カ分割前ニ其相続分ヲ第三者ニ譲渡シタルトキハ他ノ共同相続人ハ其価額及ヒ費用ヲ償還シテ其相続分ヲ譲受クルコトヲ得
共同相続人ノ一人カ其相続分ヲ第三者ニ売渡サントスルトキハ他ノ共同相続人ハ之ニ対シテ先買権ヲ有ス
前二項ニ定メタル権利ハ一个月内ニ之ヲ行使スルコトヲ要ス
第三款 遺産ノ分割
第千十一条 被相続人ハ遺言ヲ以テ分割ノ方法ヲ定メ又ハ之ヲ定ムルコトヲ第三者ニ委託スルコトヲ得
第千十二条 被相続人ハ遺言ヲ以テ相続開始ノ時ヨリ五年ヲ超エサル期間内分割ヲ禁スルコトヲ得
第千十三条 遺産ノ分割ハ相続開始ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス
第千十四条 各共同相続人ハ相続開始前ヨリ存スル事由ニ付キ他ノ共同相続人ニ対シ売主ト同シク其相続分ニ応シテ担保ノ責ニ任ス但被相続人カ遺言ヲ以テ反対ノ意思ヲ表示シタルトキハ此限ニ在ラス
第千十五条 各共同相続人ハ其相続分ニ応シ他ノ共同相続人カ分割ニ因リテ受ケタル債権ニ付キ分割ノ当時ニ於ケル債務者ノ資力ヲ担保ス
弁済期ニ至ラサル債権ニ付テハ各共同相続人ハ弁済ノ期日ニ於ケル債務者ノ資力ヲ担保ス
第千十六条 担保ノ責ニ任スル共同相続人中償還ヲ為ス資力ナキ者アルトキハ其償還スルコト能ハサル部分ハ求償者及ヒ他ノ資力アル者各其相続分ニ応シテ之ヲ分担ス但求償者ニ過失アルトキハ他ノ共同相続人ニ対シテ分担ヲ請求スルコトヲ得ス