明治民法(明治29・31年)

甲第五十九号議案明治二十九年四月二十九日配付

参考原資料

民法第一議案 [国立国会図書館デジタルコレクション]
第四編 第六章 第二節 第二款 後見監督人 第九百十五条 後見人ヲ指定スルコトヲ得ル者ハ遺言ヲ以テ後見監督人ヲ指定スルコトヲ得 前項ノ規定ニ依リテ指定シタル後見監督人ハ正当ノ事由アルトキハ親族会ニ於テ之ヲ改選スルコトヲ得 第九百十六条 前条ノ規定ニ依リテ指定シタル後見監督人ナキトキハ法定後見人又ハ指定後見人ハ其事務ニ著手スル前親族会ノ招集ヲ請求シ後見監督人ヲ選定セシムルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ親族会ハ其後見人ヲ免黜スルコトヲ得 親族会ニ於テ後見人ヲ選定シタルトキハ直チニ後見監督人ヲ選定スルコトヲ要ス 第九百十七条 後見人就職ノ後後見監督人ノ欠ケタルトキハ後見人ハ遅滞ナク親族会ノ招集ヲ請求シ後見監督人ヲ選定セシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前条第一項ノ規定ヲ準用ス 第九百十八条 後見人ノ更送アリタルトキハ親族会ハ後見監督人ヲ改選スルコトヲ要ス但前後見監督人ヲ重選スルコトヲ妨ケス 新後見人カ親族会ノ選定ニ係ラサルトキハ後見監督人ハ遅滞ナク親族会ノ招集ヲ請求シ前項ノ規定ニ依リテ改選ヲ為サシムルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ後見人ノ行為ニ付キ之ト連帯シテ其責ニ任ス 第九百十九条 後見人ノ配偶者、直系血族又ハ兄弟姉妹ハ後見監督人タルコトヲ得ス 第九百二十条 後見監督人ノ職務左ノ如シ 一 後見人ノ事務ヲ監督スルコト 二 後見人ノ欠ケタル場合ニ於テ遅滞ナク其後任者ノ任務ニ就クコトヲ促シ若シ後任者ナキトキハ親族会ノ招集ヲ請求シ其選定ヲ為サシムルコト 三 急迫ノ事情アル場合ニ於テ必要ナル処分ヲ為スコト 四 後見人又ハ其代表スル人ト被後見人トノ利益相反スルトキハ被後見人ヲ代表スルコト 第九百二十一条 第六百四十四条、第九百十二条及ヒ第九百十三条ノ規定ハ後見監督人ニ之ヲ準用ス 第三節 後見ノ事務 第九百二十二条 後見人ハ遅滞ナク被後見人ノ財産ノ調査ニ著手シ其著手ノ時ヨリ一个月内ニ財産ノ調査ヲ終ハリ其目録ヲ調製スルコトヲ要ス但此期間ハ親族会ニ於テ之ヲ伸長スルコトヲ得 財産ノ調査及ヒ其目録ノ調製ハ後見監督人ノ立会ヲ以テ之ヲ為スニ非サレハ其効ナシ 後見人カ前二項ノ規定ニ従ヒテ財産ノ目録ヲ調製セサルトキハ親族会ハ之ヲ免黜スルコトヲ得 第九百二十三条 後見人ハ目録ノ調製ヲ終ハルマテハ急迫ノ必要アル行為ノミヲ為ス権限ヲ有ス但之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第九百二十四条 後見人カ被後見人ニ対シ債権ヲ有シ又ハ債務ヲ負フトキハ目録ノ調製ヲ終ハルマテニ之ヲ後見監督人ニ申出ツルコトヲ要ス 後見人カ被後見人ニ対シ債権ヲ有スルコトヲ知リテ之ヲ申出テサルトキハ其債権ヲ失フ 後見人カ被後見人ニ対シ債務ヲ負フコトヲ知リテ之ヲ申出テサルトキハ親族会ハ其後見人ヲ免黜スルコトヲ得 第九百二十五条 前三条ノ規定ハ後見人就職ノ後被後見人カ財産ヲ取得シタル場合ニ之ヲ準用ス 前項ノ規定ニ依リテ調製スヘキ目録ハ前目録ニ追記シ又ハ別ニ之ヲ調製シテ其旨ヲ前目録ニ記入スルコトヲ要ス 第九百二十六条 未成年者ノ後見人ハ第八百八十五条乃至第八百八十九条及ヒ第八百九十一条ニ定メタル事項ニ付キ親権ヲ行フ父又ハ母ト同一ノ権利義務ヲ有ス但親権ヲ行フ父又ハ母カ定メタル教育ノ方法及ヒ居所ヲ変更シ、未成年者ヲ懲戒場ニ入レ、営業ヲ許可シ、其許可ヲ取消シ又ハ之ヲ制限スルニハ親族会ノ認許ヲ得ルコトヲ要ス 第九百二十七条 禁治産者ノ後見人ハ禁治産者ノ資力ニ応シテ其療養看護ヲ力ムルコトヲ要ス 禁治産者ヲ瘋癲病院ニ入レ又ハ私宅ニ監置スルト否トハ親族会ノ認許ヲ得テ後見人之ヲ定ム 第九百二十八条 後見人ハ被後見人ノ財産ヲ管理シ又其財産ニ関スル法律行為ニ付キ被後見人ヲ代表ス 此他未成年者ノ後見人ハ財産ニ関スル法律行為ニ付キ未成年者ニ同意ヲ与フルコトヲ得 第九百二十九条 後見人ハ其就職ノ初ニ於テ親族会ノ認許ヲ得テ被後見人ノ生活、教育又ハ療養看護及ヒ財産ノ管理ノ為メ定期ニ費スヘキ金額ヲ予定スルコトヲ要ス但後見人ハ実際ノ必要ニ応シテ予定額ヲ変更スルコトヲ妨ケス 第九百三十条 親族会ハ後見人及ヒ被後見人ノ消力其他ノ事情ニ依リ被後見人ノ財産中ヨリ相当ノ報酬ヲ後見人ニ与フルコトヲ得但後見人カ被後見人ノ配偶者、直系血族又ハ戸主ナルトキハ此限ニ在ラス 第九百三十一条 後見人ハ親族会ノ認許ヲ得テ有給ノ財産管理者ヲ使用スルコトヲ得但第百六条ノ適用ヲ妨ケス 第九百三十二条 親族会ハ後見人就職ノ初ニ於テ後見人カ被後見人ノ為メニ受取リタル金銭カ何程ノ額ニ達セハ之ヲ寄託スヘキカ定ムルコトヲ要ス 後見人カ被後見人ノ為メニ受取リタル金銭カ親族会ノ定メタル額ニ達スルモ相当ノ期間内ニ之ヲ寄託セサルトキハ其法定利息ヲ払フコトヲ要ス 金銭ヲ寄託スヘキ場所ハ親族会ノ認許ヲ得テ後見人之ヲ定ム 第九百三十三条 指定後見人及ヒ選定後見人ハ毎年少クトモ一回被後見人ノ財産ノ状況ヲ親族会ニ報告スルコトヲ要ス 第九百三十四条 後見人カ被後見人ニ代ハリテ第十二条第一項ニ掲ケタル行為ヲ為シ、又ハ未成年者ノ之ヲ為スコトニ同意スルニハ親族会ノ認許ヲ得ルコトヲ要ス但元本ヲ領収スルハ此限ニ在ラス 第九百三十五条 後見人カ被後見人ノ財産及ヒ被後見人ニ対スル第三者ノ権利ヲ譲受ケタルトキハ被後見人ハ之ヲ取消スコトヲ得此場合ニ於テハ第十九条ノ規定ヲ準用ス 前項ノ規定ハ第百二十一条乃至第百二十六条ノ適用ヲ妨ケス 第九百三十六条 後見人ハ親族会ノ認許ヲ得ルニ非サレハ未成年者ノ財産ヲ賃借スルコトヲ得 第九百三十七条 後見人カ其任務ヲ曠クスルトキハ親族会ハ臨時管理人ヲ選任シ後見人ノ責任ヲ以テ後見事務ヲ処理セシムルコトヲ得 第九百三十八条 親族会ハ後見人ヲシテ被後見人ノ財産ノ管理及ヒ返還ニ付キ相当ノ担保ヲ供セシムルコトヲ得 第九百三十九条 被後見人カ戸主ナルトキハ後見人ハ之ニ代ハリテ其権利ヲ行フ 後見人ハ未成年者ニ代ハリテ親権ヲ行フ但第九百二十二条乃至第九百二十六条及ヒ前十条ノ規定ヲ準用ス 第九百四十条 母カ財産ノ管理ヲ辞シタル場合ニ於テハ後見人ハ財産ニ関スル権限ノミヲ有ス 第九百四十一条 第六百四十四条、第八百九十四条及ヒ第八百九十八条ノ規定ハ後見ニ之ヲ準用ス