第四編
第八章 扶養ノ義務
第九百五十一条 直系ノ血族ハ互ニ扶養ヲ為ス義務ヲ負フ
夫婦ノ一方ト他ノ一方ノ直系尊属ニシテ其家ニ在ル者トノ間亦同シ
前二項ニ定メタル義務ハ扶養ヲ受クヘキ者カ自己ノ資産又ハ労務ニ依リテ生活スルコト能ハサルトキニノミ存在ス
第九百五十二条 兄弟姉妹間ニ在リテハ自己ノ過失ニ因ラスシテ生活スルコト能ハサル者ニ限リ之ヲ扶養スルコトヲ要ス
第九百五十三条 扶養ノ義務ヲ負フ者数人アル場合ニ於テハ其義務ヲ履行スヘキ者ノ順序左ノ如シ
第一 配偶者
第二 直系卑属
第三 直系尊属
第四 戸主
第五 第九百五十一条第二項ニ掲ケタル者
第六 兄弟姉妹
直系ノ卑属又ハ尊属ノ間ニ於テハ其親等ノ最モ近キ者ヲ先ニス第九百五十一条第二項ニ掲ケタル配偶者ノ直系尊属間亦同シ
第九百五十四条 同順位ノ扶養義務者数人アルトキハ各其資力ニ応シテ其義務ヲ分担ス但家ニ在ル者ト家ニ在ラサル者トノ間ニ於テハ家ニ在ル者先ツ扶養ヲ為スコトヲ要ス
第九百五十五条 扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者数人アル場合ニ於テ扶養義務者ノ資力カ其一同ヲ扶養スルニ足ラサルトキハ扶養義務者ハ左ノ順序ニ従ヒ扶養ヲ為スコトヲ要ス
第一 直系尊属
第二 直系卑属
第三 配偶者
第四 第九百五十一条第二項ニ掲ケタル者
第五 兄弟姉妹
第六 前五条ニ掲ケタル者ニ非サル家族
第九百五十三条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第九百五十六条 同順位ノ扶養権利者数人アルトキハ各其需要ニ応シテ扶養ヲ受クルコトヲ得
第九百五十四条但書ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
第九百五十七条 第八百十八条及ヒ第八百七十九条ノ規定ニ依リ扶養ノ義務ヲ負ヒ又ハ扶養ヲ受クル権利ヲ有スル者ハ若シ離婚又ハ離縁ナカリシトセハ其義務ヲ負ヒ又ハ其権利ヲ有スヘキ順序ニ従フ
第九百五十八条 扶養義務者ハ扶養権利者ヲ引取リテ之ヲ養ヒ又ハ之ヲ引取ラスシテ生活ノ資料ヲ給付スルコトヲ得但正当ノ事由アルトキハ裁判所ハ扶養権利者ノ請求ニ依リ其方法ヲ定ムルコトヲ得
第九百五十九条 扶養ノ程度ハ扶養権利者ノ需要ト扶養義務者ノ身分及ヒ資力ニ依リテ之ヲ定ム
扶養義務者ハ前項ニ定メタル範囲内ニ於テ扶養権利者ノ生活ニ必要ナルモノノ外其教育ノ費用ヲ負担ス但法令ニ別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第九百六十条 扶養ノ方法又ハ程度カ判決ニ因リテ定マリタル場合ニ於テ其判決ノ根拠ト為リタル事情ニ変更ヲ生シタルトキハ裁判所ハ当事者ノ請求ニ依リ何時ニテモ其判決ヲ変更スルコトヲ得
第九百六十一条 扶養ヲ受クル権利ハ之ヲ処分シ又ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス
第九百六十二条 扶養ノ義務ハ扶養権利者又ハ扶養義務者ノ死亡ニ因リテ消滅ス但其死亡ノ当時既ニ弁済期ノ至リタルモノハ此限ニ在ラス