明治民法(明治29・31年)

甲第五十五号議案 (明治二十九年一月十八日配付)

参考原資料

第四編 第四章 親子 第一節 実子 第一款 嫡出子 第八百十九条 婚姻中ニ妻カ懐胎シタル子ハ夫ノ子ト推定ス 婚姻成立ノ日ヨリ二百日後又ハ婚姻ノ解消若クハ取消ノ日ヨリ三百日内ニ生レタル子ハ婚姻中ニ懐胎シタルモノト推定ス 婚姻成立ノ日ヨリ百八十日後百九十九日内又ハ婚姻ノ解消若クハ取消ノ日ヨリ三百一日後三百二十日内ニ生レタル子ハ医師ノ鑑定ニ依リ其発育程度カ経過日数ニ適合スルコトノ証明セラレタルトキニ限リ婚姻中ニ懐胎シタルモノト推定ス 第八百二十条 前条ノ場合ニ於テ子ノ嫡出ナルコトヲ否認スル権利ハ夫ノミニ属ス 第八百二十一条 否認権ハ子又ハ其法定代理人ニ対スル訴ニ依リテ之ヲ行フ但夫カ子ノ法定代理人ナルトキハ裁判所ハ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス 第八百二十二条 夫カ子ノ出生後ニ於テ其嫡出子タルコトヲ承認シタルトキハ其否認権ヲ失フ 第八百二十三条 夫ハ無能力者ナルトキト雖モ否認ノ訴ヲ提起シ又ハ前条ノ承認ヲ為スコトヲ得 第八百二十四条 夫ノ法定代理人ハ夫ニ代ハリテ否認ノ訴ヲ提起シ又ハ第八百二十二条ノ承認ヲ為スコトヲ得ス但夫カ禁治産者ナルトキハ其法定代理人ハ親族会ノ認許ヲ得テ否認ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 第八百二十五条 否認ノ訴ハ夫カ子ノ出生ヲ知リタル時ヨリ一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス 第八百二十六条 夫カ禁治産者ナルトキハ前条ノ期間ハ其法定代理人カ子ノ出生ヲ知リタル時又ハ禁治産ノ取消アリタル後夫カ子ノ出生ヲ知リタル時ヨリ之ヲ起算ス 夫カ未成年者ナルトキハ前条ノ期間ハ其成年ニ達シタル時ヨリ之ヲ起算ス 第八百二十七条 夫カ子ノ出生前又ハ否認ノ訴ヲ提起セスシテ第八百二十五条ノ期間内ニ死亡シタルトキハ其子ノ為メニ相続権ヲ害セラルヘキ者其他三親等内ノ血族ニ限リ否認ノ訴ヲ提起スルコトヲ得 前項ノ場合ニ於テハ否認ノ訴ハ夫ノ死亡ノ日ヨリ一年内ニ之ヲ提起スルコトヲ要ス 夫カ否認ノ訴ヲ提起シタル後判決確定ニ至ラサル間ニ死亡シタルトキハ第一項ニ掲ケタル者ニ於テ其訴訟ヲ継続スルコトヲ得 第八百二十八条 第七百六十七条第一項ノ規定ニ違反シテ再婚ヲ為シタル女カ分娩シタル場合ニ於テ第八百十九条ノ規定ニ依リ其前夫又ハ後夫ヲ以テ子ノ父トスヘキカヲ定ムルコト能ハサルトキハ裁判所ハ事実ヲ審査シテ之ヲ定ム 第二款 私生子 第八百二十九条 私生子ハ其父又ハ母ニ於テ之ヲ認知スルコトヲ得前項ノ認知ハ無能力者ト雖モ之ヲ為スコトヲ得 第八百三十条 私生子ノ認知ハ之ヲ戸籍吏ニ届出ツルニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス 認知ハ遺言ニ依リテモ亦之ヲ為スコトヲ得 前二項ノ規定ニ依リテ為シタル認知ハ出生ノ時ニ遡リテ其効力ヲ生ス 第八百三十一条 成年ノ私生子ハ其承諾アルニ非サレハ之ヲ認知スルコトヲ得ス 第八百三十二条 父ハ胎内ニ在ル子ト雖モ之ヲ認知スルコトヲ得此場合ニ於テハ母ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス 父又ハ母ハ死亡シタル子ト雖モ之ヲ認知スルコトヲ得 第八百三十三条 認知ハ之ヲ取消スコトヲ得但  条ノ適用ヲ妨ケス 第八百三十四条 子其他一切ノ利害関係人ハ認知ニ対シテ反対ノ事実ヲ主張スルコトヲ得 第八百三十五条 父又ハ母カ任意ニ認知ヲ為ササルトキハ子及ヒ其直系卑属又此等ノ者ノ法定代理人ハ父又ハ母ニ対シテ認知ヲ求ムルコトヲ得 第八百三十六条 父母ノ知レタル私生子ハ其父母ノ婚姻ニ因リテ嫡出子タル身分ヲ取得ス 前項ノ規定ハ子カ既ニ死亡シタル場合ニ之ヲ準用ス 婚姻中父母カ認知シタル私生子ハ其認知ノ時ヨリ嫡出子タル身分ヲ取得ス