明治民法(明治29・31年)

甲第五十二号議案明治二十八年十二月六日配付

参考原資料

民法第一議案 [国立国会図書館デジタルコレクション]
第四編 第三章 第二節 婚姻ノ効力 第八百五条 妻ハ婚姻ニ因リテ夫ノ家ニ入ル 入夫及ヒ壻養子ハ妻ノ家ニ入ル 第八百六条 妻ハ夫ト同居スル義務ヲ負フ 夫ハ妻ヲシテ同居ヲ為サシムルコトヲ要ス 第八百七条 夫婦ハ互ニ扶養ヲ為ス義務ヲ負フ 第八百八条 夫婦間ニ於テ契約ヲ為シタルトキハ其契約ハ婚姻中何時ニテモ夫婦ノ一方ヨリ之ヲ取消スコトヲ得但第三者ノ権利ヲ害スルコトヲ得ス 第三節 夫婦財産制 第一款 総則 第八百九条 夫婦カ婚姻ノ届出ヲ為スマテニ其財産ニ付キ別段ノ契約ヲ為ササルトキハ其財産関係ハ次款ニ定ムル所ニ依ル 第八百十条 外国人カ日本ニ於テ其財産ニ付キ別段ノ契約ヲ為サスシテ婚姻ヲ為シタルトキハ其財産関係ハ夫ノ本国ノ法定財産制ニ依ル但嫁資財産ヲ譲渡シ得サルモノトスル規定其他公ノ秩序ニ反スル規定ハ此限ニ在ラス 第八百十一条 夫婦カ法定財産制ニ異ナリタル契約ヲ為シタルトキハ婚姻ノ届出マテニ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ夫婦ノ承継人及ヒ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第八百十二条 夫婦ノ財産関係ハ婚姻届出後ニ之ヲ変更スルコトヲ得ス但夫婦ノ一方カ他ノ一方ノ財産又ハ共有財産ヲ管理スル場合ニ於テ管理ノ失当ニ因リ其財産ヲ危クスルトキハ他ノ一方又ハ其推定相続人ハ自ラ其管理ヲ為シ又ハ第三者ヲシテ之ヲ為サシメンコトヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得 共有財産ニ付テハ前項ノ請求ト共ニ其分割ヲ請求スルコトヲ得 第八百十三条 前条ノ規定又ハ契約ノ結果ニ依リ管理者ヲ変更シ又ハ共有財産ノ分割ヲ為シタルトキハ其登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ夫婦ノ承継人及ヒ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス但其請求ヲ為シタル推定相続人ニ対抗スルハ此限ニ在ラス 第八百十四条 夫婦カ如何ナル財産制ニ依ル場合ニ於テモ夫カ妻ノ財産ヲ管理スルトキハ裁判所ハ妻ノ請求ニ因リ夫ヲシテ其財産ノ管理及ヒ其返還ノ担保ヲ供セシムルコトヲ得 第二款 法定財産制 第八百十五条 夫ハ婚姻ヨリ生スル一切ノ費用ヲ負担ス但妻カ戸主タルトキハ妻之ヲ負担ス 前項ノ規定ハ第八百七条及ヒ第 条ノ規定ノ適用ヲ妨ケス 第八百十六条 夫又ハ女戸主ハ婚姻ヨリ生スル需要ノ為メ用方ニ従ヒ其配偶者ノ財産ノ使用及ヒ収益ヲ為ス権利ヲ有ス 妻又ハ入夫カ受クヘキ終身定期金ハ之ヲ果実ト看做ス 妻又ハ入夫ノ債務ノ利息ハ其財産ノ果実中ヨリ之ヲ控除スルコトヲ得 第八百十七条 第五百九十七条及ヒ第六百条ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス 第八百十八条 夫ハ妻ノ財産ヲ管理ス 夫カ妻ノ財産ヲ管理スルコト能ハサルトキハ妻自ラ之ヲ管理ス 第八百十九条 夫カ妻ノ財産ヲ譲渡シ、之ヲ担保ニ供シ又ハ第六百五条ノ期間ヲ超エテ其賃貸ヲ為スニハ妻ノ承諾ヲ得ルコトヲ要ス但管理ノ範囲内ニ於テ果実ヲ処分スルハ此限ニ在ラス 第八百二十条 日常ノ家事ニ付テハ妻ハ夫ノ代理人ト看做ス 夫ハ前項ノ代理権ノ全部又ハ一部ヲ否認スルコトヲ得但之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第八百二十一条 夫カ妻ノ財産ヲ管理シ又妻カ夫ノ代理ヲ為ス場合ニ於テハ自己ノ為メニスルト同一ノ注意ヲ為スコトヲ要ス 第八百二十二条 妻又ハ入夫カ婚姻前ヨリ有セル財産及ヒ婚姻中自己ノ名ニ於テ得タル財産ハ其特有財産トス 夫婦ノ孰レニ属スルヤ判然セサル財産ハ夫又ハ女戸主ノ財産ト推定ス