明治民法(明治29・31年)

甲第四十五号議案 (明治二十八年九月十日配付)

参考原資料

第三編 第三章 事務管理 第七百六条 義務ナクシテ他人ノ為メニ事務ヲ管理スル者ハ其事務ノ性質ニ従ヒ最モ本人ノ利益ニ適スヘキ方法ニ依リテ管理ヲ為スコトヲ要ス 管理者カ本人ノ意思ヲ知リ又ハ之ヲ推知シ得ヘキトキハ其意思ニ従ヒテ管理ヲ為スコトヲ要ス 第七百七条 管理者カ本人ノ身体、名誉又ハ財産ニ対スル危害ヲ免レシムル為メニ其事務ノ管理ヲ為シタルトキハ悪意又ハ重大ナル過失アルニ非サレハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任セス 第七百八条 管理者ハ遅滞ナク其管理ヲ始メタルコトヲ本人ニ通知スルコトヲ要ス但本人カ既ニ之ヲ知レルトキハ此限ニ在ラス 第七百九条 管理者ハ本人、其相続人又ハ其法定代理人カ管理ヲ為スコトヲ得ルニ至ルマテ其管理ヲ継続スルコトヲ要ス但其管理ノ継続カ本人ノ意思ニ反シ又ハ本人ノ為メニ不利ナルコト明カナルトキハ此限ニ在ラス 第七百十条 第六百五十一条乃至第六百五十三条ノ規定ハ事務管理ニ之ヲ準用ス 第七百十一条 管理者カ本人ノ為メニ有益ナル費用ヲ出シタルトキハ本人ニ対シテ其償還ヲ請求スルコトヲ得 管理者カ本人ノ為メニ有益ナル債務ヲ負担シタルトキハ本人ハ之ニ代ハリテ其弁済ヲ為スコトヲ要ス此場合ニ於テハ第六百五十六条第二項ノ規定ヲ準用ス 管理者カ本人ノ意ニ反シテ管理ヲ為シタルトキハ本人ノ為メ現存スル利益ノ限度ニ於テノミ前二項ノ規定ヲ適用ス 第七百十二条 本章ノ規定ニ異リタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ