第三編
第二章
第十三節 終身定期金
第六百九十七条 終身定期金契約ハ当事者ノ一方カ自己、相手方又ハ第三者ノ死亡ニ至ルマテ定期ニ金銭又ハ其他ノ物ヲ相手方又ハ第三者ニ供与スルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
第六百九十八条 終身定期金ハ日割ヲ以テ之ヲ供与スルコトヲ要ス但別段ノ定アルトキハ此限ニ在ラス
第六百九十九条 定期金債務者カ定期金ノ供与ヲ怠リ又ハ其他ノ義務ヲ履行セサルトキハ相手方ハ定期金ノ元本トシテ債務者ニ与ヘタル財産ノ返還ヲ請求スルコトヲ得但既ニ受取リタル定期金ノ中ヨリ其財産ノ価額ノ利息ヲ控除シタルモノヲ債務者ニ返還スルコトヲ要ス
前項ノ規定ハ損害賠償ノ請求ヲ妨ケス
第七百条 第五百三十一条ノ規定ハ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第七百一条 死亡カ定期金債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ生シタルトキハ裁判所ハ債権者又ハ其相続人ノ請求ニ因リ相当ト認メタル期間債権ノ存続ヲ宣告スルコトヲ得
前項ノ規定ハ第六百九十九条ニ定メタル権利ノ行使ヲ妨ケス
第七百二条 本節ノ規定ハ終身定期金ノ遺贈ニ之ヲ準用ス
第十四節 賭事
第七百三条 賭事ハ当事者ノ一方又ハ其各自カ未タ知ラサル事実ノ到来スヘキコト又ハ到来シタルコトヲ期シ其事実ノ到来ヲ確知シタルトキ或給付ヲ相手方ニ為スコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
当事者ノ一方カ知リテ告ケサル事実ニ付キ賭事ヲ為シタルトキハ其賭事ハ無効トス
第七百四条 賭事ハ法令ニ於テ之ヲ禁セサル場合ニ限リ其効力ヲ有ス
第十五節 和解
第七百五条 和解ハ当事者カ互ニ譲歩ヲ為シテ其間ニ存スル争ヲ止ムルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス
第七百六条 当事者ノ一方カ和解ニ依リテ争ノ目的タル権利ヲ有スルモノト認メラレ又ハ相手方カ之ヲ有セサルモノト認メラレタル場合ニ於テ其者カ従来此権利ヲ有セサリシ確証又ハ相手方カ之ヲ有セシ確証出テタルトキハ其権利ハ和解ニ因リテ其者ニ移転シ又ハ消滅シタルモノトス