第五百六十八条 強制競売ノ場合ニ於テハ競落人ハ前七条ノ規定ニ依リ債務者ニ対シテ契約ノ解除ヲ為シ又ハ代金ノ減少ヲ請求スルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ債務者カ無資力ナルトキハ競落人ハ代金ノ配当ヲ受ケタル債権者ニ対シテ其代金ノ全部又ハ一部ノ返還ヲ請求スルコトヲ得
前二項ノ場合ニ於テ債務者カ権利又ハ物ノ欠缺ヲ知リテ之ヲ申出テス又ハ債権者カ之ヲ知リテ競売ヲ請求シタルトキハ競落人ハ其過失者ニ対シテ損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得
第五百六十九条 債権ノ売主カ債務者ノ資力ヲ担保シタルトキハ契約ノ当時ニ於ケル資力ヲ担保シタルモノト推定ス
弁済期ニ至ラサル債権ノ売主カ債務者ノ将来ノ資力ヲ担保シタルトキハ満期日ニ於ケル資力ヲ担保シタルモノト推定ス但定期金ノ債権ニ付テハ契約ノ日ヨリ五年間ノ資力ヲ担保シタルモノト推定ス
第五百七十条 前九条ノ規定ハ契約又ハ慣習ニ別段ノ定アル場合ニハ之ヲ適用セス但第五百六十四条第四項及ヒ第五百六十六条第三項ノ規定ハ此限ニ在ラス
第五百七十一条 売買ノ目的物ニ隠レタル瑕疵アリタルトキハ第五百六十六条ノ規定ヲ準用ス但強制競売ニ付テハ此限ニ在ラス
第五百七十二条 第五百三十一条ノ規定ハ第五百六十四条乃至第五百六十六条及ヒ前条ノ場合ニ之ヲ準用ス
第五百七十三条 売主ハ前十二条ニ定メタル担保ノ責任ヲ負ハサル旨ヲ特約シタルトキト雖モ其知リテ告ケサリシ事実及ヒ自ラ第三者ニ与ヘタル権利ニ付キ其責ヲ免カルルコトヲ得ス
第五百七十四条 売買ノ目的物ノ引渡ニ付キ期限アルトキハ代金ノ支払ニ付テモ同一ノ期限ヲ付シタルモノト推定ス
第五百七十五条 売買ノ目的物ノ引渡ト同時ニ代金ヲ支払フヘキトキハ其引渡ノ場所ニ於テ代金ヲ支払フコトヲ要ス
第五百七十六条 未タ引渡ササル売買ノ目的物カ果実ヲ生シタルトキハ其果実ハ売主ニ属ス
買主ハ引渡ノ日ヨリ代金ノ利息ヲ払フ義務ヲ負フ但代金ノ支払ニ付キ期限アルトキハ其期限ノ到来マテハ利息ヲ払フコトヲ要セス
第五百七十七条 売買ノ目的ニ付キ権利ヲ主張スル者アリテ買主カ其買受ケタル権利ノ全部又ハ一部ヲ失フ虞アルトキハ買主ハ其危険ノ限度ニ応シ代金ノ全部又ハ一部ノ支払ヲ拒ムコトヲ得但売主カ相当ノ担保ヲ供スルトキハ此限ニ在ラス
第五百七十八条 買受ケタル不動産ニ付キ先取特権又ハ抵当権ノ登記アルトキハ買主ハ滌除ノ手続ヲ終ハルマテ其代金ノ支払ヲ拒ムコトヲ得但売主ハ買主ニ対シテ直チニ滌除ヲ為スヘキ旨ヲ請求スルコトヲ得
第五百七十九条 前二条ノ場合ニ於テ売主ハ買主ニ対シテ代金ノ供託ヲ請求スルコトヲ得
第五百八十条 前六条ノ規定ハ別段ノ定アル場合ニハ之ヲ適用セス