明治民法(明治29・31年)

甲第二十九号議案 (明治二十八年四月六日配付)

参考原資料

第五百二十六条 前八条ノ規定ニ異ナリタル意思表示又ハ慣習アルトキハ其意思表示又ハ慣習ニ従フ 第五百二十七条 或行為ヲ為シタル者ニ一定ノ報酬ヲ与フヘキ旨ヲ広告シタル者ハ其行為ヲ為シタル者ニ対シテ其報酬ヲ与フル義務ヲ負フ 第五百二十八条 前条ノ場合ニ於テ広告者ハ其指定シタル行為ヲ結了スル者ナキ間前ノ広告ト同一ノ方法ニ依リテ其広告ヲ取消スコトヲ得但其広告ニ取消ヲ為ササル旨ヲ表示シタルトキハ此限ニ在ラス 前項ニ定メタル方法ニ依リテ取消ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ他ノ方法ニ依リテ之ヲ為スコトヲ得但其取消ハ之ヲ知リタル者ニ対シテノミ其効力ヲ有ス 広告者カ其指定シタル行為ヲ為ス期間ヲ定メタルトキハ其取消権ヲ放棄シタルモノト推定ス 第五百二十九条 広告ニ定メタル行為ヲ為シタル者数人アルトキハ最初ニ其行為ヲ為シタル者ノミ報酬ヲ受クル権利ヲ有ス 数人カ同時ニ右ノ行為ヲ為シタル場合ニ於テハ各平等ノ割合ヲ以テ報酬ヲ受クル権利ヲ有ス但報酬カ其性質上分割ニ不便ナルトキ又ハ広告ニ於テ一人ノミ之ヲ受クヘキモノトシタルトキハ抽籤ヲ以テ其権利者ヲ定ム 第五百三十条 広告ニ定メタル行為ヲ為シタル者数人アル場合ニ於テ其優等者ノミニ報酬ヲ与フヘキトキハ其広告ハ応募ノ期間ヲ定メタルトキニ限リ其効力ヲ有ス 前項ノ場合ニ於テ応募者中何人ノ行為カ優等ナルヤハ広告ニ定メタル者之ヲ判定ス若シ広告ニ判定者ヲ定メサリシトキハ広告者自ラ之ヲ判定ス 応募者ハ前項ノ判定ニ対シテ異議ヲ述フルコトヲ得ス 数人ノ行為カ同等ナリト判定セラレタルトキハ前条第二項ノ規定ヲ適用ス