明治民法(明治29・31年)

甲第二十四号議案 (明治二十八年二月二十日配付)

参考原資料

第四百九十六条 債務者ノ為メニ弁済ヲ為ス者ハ其弁済ト同時ニ債権者ノ承諾ヲ以テ之ニ代位スルコトヲ得 前項ノ場合ニ於テ代位者ハ第(ママ)条ノ規定ニ従ヒ債権者ニ代位シタルコトヲ債務者ニ通知シ又ハ債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ其代位ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス 第四百九十七条 左ニ掲クル者ハ弁済ニ因リテ当然債権者ニ代位ス 一 不可分債務者、連帯債務者、保証人及ヒ自己ノ財産ヲ以テ他人ノ債務ノ担保ニ供シタル者 二 先取特権又ハ抵当権ノ目的物タル不動産ノ第三所持者 三 他ノ債権者 第四百九十八条 前条ノ規定ニ依リテ債権者ニ代位シタル者ハ債権ノ効力及ヒ担保トシテ其債権者カ有セシ総テノ権利ヲ行フコトヲ得但左ノ制限ニ従フコトヲ要ス 一 不可分債務者、連帯債務者又ハ保証人ノ一人ハ他ノ共同債務者ニ対シ其各自ノ負担部分ニ付テノミ債権者ニ代位ス 二 保証人ハ第(ママ)条ノ規定ニ従ヒタルトキニ非サレハ第三所持者ニ対シテ債権者ニ代位セス 三 第三所持者ハ保証人ニ対シテ債権者ニ代位セス 四 第三所持者ノ一人ハ各不動産ノ価額ニ応スルニ非サレハ他ノ第三所持者ニ対シテ債権者ニ代位セス 第四百九十九条 代位者ハ其弁済シタル価額ヲ超エテ債権者ノ権利ヲ行フコトヲ得ス 第五百条 債権ノ一部ニ付キ代位弁済アリタルトキハ代位者ハ其弁済シタル価額ニ応シテ債権者ト共ニ其権利ヲ行フ 前項ノ場合ニ於テ債務ノ不履行ニ因ル契約ノ解除ハ債権者ノミ之ヲ請求スルコトヲ得但代位者ニ其弁済シタル価額ヲ償還スルコトヲ要ス 第五百一条 前条第一項ノ場合ニ於テ代位者ノ要求アルトキハ債権者ハ之ニ債権証書ヲ示シ且之ヲシテ質物ノ保存ヲ監督セシムルコトヲ要ス 第五百二条 第四百九十七条ノ規定ニ依リテ代位ヲ為スヘキ債務者アル場合ニ於テ債権者カ故意又ハ懈怠ニテ其担保ヲ喪失又ハ減少シタルトキハ右ノ債務者ハ其喪失又ハ減少ニ因リ償還ヲ受クルコト能ハサル限度ニ於テ其責ヲ免カル 第五百三条 債務者カ同一ノ債権者ニ対シテ一様ノ性質ヲ有スル数箇ノ債務ヲ負担スル場合ニ於テ弁済トシテ提供シタル給付カ総債務ヲ消滅セシムルニ足ラサルトキハ弁済者ハ給付ノ時ニ於テ其弁済ヲ充当スヘキ債務ヲ指定スルコトヲ得 弁済者カ前項ノ指定ヲ為ササルトキハ弁済受領者ハ受取証書ニ於テ其弁済ノ充当ヲ為スコトヲ得但弁済者カ其受取証書交付ノ時ニ於テ其充当ニ対シテ異議ヲ述ヘタルトキハ此限ニ在ラス 第五百四条 当事者カ弁済ノ充当ヲ為ササルトキハ左ノ規定ニ従ヒ其弁済ヲ充当ス 一 総債務中弁済期ニ在ルモノト弁済期ニ在ラサルモノトアルトキハ弁済期ニ在ルモノヲ先ニス 二 総債務カ弁済期ニ在ルトキ又ハ弁済期ニ在ラサルトキハ債務者ノ為メニ弁済ノ利益多キモノヲ先ニス 三 債務者ノ為メニ弁済ノ利益相同シキトキハ弁済期ノ先ツ至リ又ハ至ルヘキモノヲ先ニス 四 前三号ニ掲ケタル事項ニ付キ相同シキ債務ノ弁済ハ各債務ノ額ニ応シテ之ヲ充当ス 第五百五条 一箇ノ債務ノ弁済トシテ数箇ノ給付ヲ為スヘキ場合ニ於テ弁済者カ其債務ノ全部ヲ消滅セシムルニ足ラサル給付ヲ為シタルトキハ前二条ノ規定ヲ準用ス 第五百六条 債務者カ元本ノ外利息及ヒ費用ヲ払フヘキ場合ニ於テ弁済者カ其債務ノ全部ヲ消滅セシムルニ足ラサル給付ヲ為シタルトキハ之ヲ以テ順次ニ費用、利息及ヒ元本ニ充当スルコトヲ要ス 第五百七条 弁済ノ提供ハ其提供ノ時ヨリ不履行ニ因リテ生スヘキ一切ノ責任ヲ防止ス 第五百八条 弁済ノ提供ハ債務ノ本旨ニ従ヒテ現実ニ之ヲ為スコトヲ要ス但債務者カ予メ其受領ヲ拒ミ又ハ債務ノ履行ニ付キ債権者ノ所為ヲ要スルトキハ弁済ノ準備ヲ為シタル旨ヲ通知シテ其受領ヲ催告スルヲ以テ足ル 第五百九条 債権者カ弁済ノ受領ヲ拒ミ又ハ之ヲ受領スルコト能ハサルトキハ弁済者ハ債権者ノ為メニ弁済ノ目的物ヲ供託所ニ寄託スルコトヲ得弁済者ノ過失ナクシテ債権者ヲ確知スルコト能ハサルトキ亦同シ 供託所ニ付キ法令ニ別段ノ定ナキトキハ裁判所ハ弁済者ノ請求ニ因リ供託所ノ指定及ヒ供託物保管人ノ選任ヲ為スヘシ 債務者ハ供託ニ因リテ其債務ヲ免カル 第五百十条 債権者カ供託ヲ受諾セス又ハ其供託カ確定判決ニ因リテ有効ト宣告セラレサル間ハ弁済者ハ其供託物ヲ取戻スコトヲ得 此場合ニ於テハ供託ヲ為ササリシモノト看做ス 第五百十一条 弁済ノ目的物カ供託ニ適セス又ハ其物ニ付キ滅失若クハ毀損ノ虞アルトキハ弁済者ハ裁判所ノ許可ヲ得テ之ヲ競売シ其代価ヲ供託スルコトヲ得其物ノ保存ニ付キ過分ノ費用ヲ要スルトキ亦同シ 第五百十二条 債務者カ債権者ノ反対給付ニ対シテ弁済ヲ為スヘキ場合ニ於テハ債権者ハ其反対給付ヲ為スニ非サレハ供託物ヲ受取ルコトヲ得ス