第二編
第四章 地上権
第二百六十五条 地上権者ハ他人ノ土地ニ於テ工作物又ハ竹木ヲ所有スル為メ其土地ヲ使用スル権利ヲ有ス
第二百六十六条 地上権者カ土地ノ所有者ニ定期ノ地代ヲ払フヘキトキハ第二百七十四条及ヒ第二百七十五条ノ規定ヲ準用ス
此他地代ニ付テハ賃貸借ノ規定ヲ準用ス
第二百六十七条 第二百十条乃至第二百三十八条ノ規定ハ地上権者間又ハ地上権者ト土地ノ所有者トノ間ニ於テモ亦之ヲ適用ス但第二百二十九条ノ推定ハ地上権設定後ニ為シタル工事ニ付テノミ之ヲ地上権者ニ適用ス
第二百六十八条 地上権ノ存続期間ハ五十年ヲ超ユルコトヲ得ス若シ之ヨリ長キ期間ヲ以テ地上権ヲ設定シタルトキハ其期間ハ之ヲ五十年ニ短縮ス
地上権ノ設定ハ之ヲ更新スルコトヲ得但其期間ハ更新ノ時ヨリ五十年ヲ超ユルコトヲ得ス
第二百六十九条 設定行為ヲ以テ地上権ノ存続期間ヲ定メサルトキハ別段ノ慣習アル場合ノ外左ノ規定ニ従フ
地上権者ハ何時ニテモ其権利ヲ放棄スルコトヲ得但地代ヲ払フヘキトキハ一年前ニ予告ヲ為シ又ハ未タ期限ノ至ラサル一年分ノ地代ヲ払フコトヲ要ス
地上権者カ前項ノ規定ニ依リ其権利ヲ放棄セサルトキハ裁判所ハ当事者ノ請求ニ因リ十年以上五十年以下ノ範囲内ニ於テ工作物又ハ竹木ノ種類及ヒ状況其他地上権設定ノ当時ノ事情ヲ斟酌シテ其存続期間ヲ定ム
第二百七十条 地上権者ハ其権利消滅ノ時ニ土地ヲ原状ニ復シテ其築造シタル工作物及ヒ其栽植シタル竹木ヲ収去スルコトヲ得但土地ノ所有者時価ヲ提供シテ之ヲ買取ルヘキ旨ヲ通知スルトキハ地上権者ハ相当ノ理由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス
前項ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ
第五章 小作権
第二百七十一条 小作人ハ小作料ヲ払ヒテ他人ノ土地ニ耕作ヲ為ス権利ヲ有ス但土地ニ永久ノ損害ヲ生スヘキ変更ヲ加フルコトヲ得ス
第二百七十二条 小作人ハ其権利ヲ他人ニ譲渡シ、之ヲ担保ニ供シ又ハ其権利ノ存続期間内ニ於テ耕作ノ為メ土地ヲ賃貸スルコトヲ得但設定行為ヲ以テ之ヲ禁スルトキハ此限ニ在ラス
第二百七十三条 小作人ノ義務ニ付テハ本章ノ規定及ヒ設定行為ヲ以テ定ムルモノノ外賃貸借ノ規定ヲ準用ス
第二百七十四条 小作人ハ不可抗力ニ因リ収益ニ付キ損失ヲ受クルモ小作料ノ免除又ハ減少ヲ請求スルコトヲ得ス
第二百七十五条 小作人ハ不可抗力ニ因リ引続キ三年以上全ク収益ヲ得ス又ハ五年以上小作料ヨリ少ナキ収益ヲ得タルトキハ小作権ヲ放棄スルコトヲ得
第二百七十六条 設定行為ヲ以テ小作権ノ存続期間ヲ定メサルトキハ小作人ハ其権利ヲ放棄スルコトヲ得但一年前ニ予告ヲ為シ又ハ未タ期限ノ至ラサル一年分ノ小作料ヲ払フコトヲ要ス
地主モ亦一年前ニ予告ヲ為シテ小作権ノ消滅ヲ請求スルコトヲ得
第二百七十七条 前六条ノ規定ニ異ナリタル慣習アルトキハ其慣習ニ従フ
第二百七十八条 第二百六十八条及ヒ第二百七十条ノ規定ハ小作権ニモ亦之ヲ適用ス