明治民法(明治29・31年)

甲第八号議案 (明治二十七年四月十七日配付)

参考原資料

第一編 第四章 第四節 条件及ヒ期限 第百二十七条 停止条件附法律行為ハ条件成就ノ時ヨリ其効力ヲ生ス 解除条件法律行為ハ条件成就ノ時ヨリ其効力ヲ失フ 当事者カ条件成就ノ効果ヲ其成就以前ニ遡ラシムル意思ヲ有シタルトキハ其意思ニ従フ 第百二十八条 条件附法律行為ノ当事者ハ条件未定ノ間ニ於テ条件ノ成就ニ因リ其行為ヨリ生スヘキ相手方ノ利益ヲ害スルコトヲ得ス 第百二十九条 条件附権利義務ハ無条件ノ権利義務ニ関スル規定ニ従ヒ之ヲ処分、相続、保存又ハ担保スルコトヲ得 第百三十条 条件ノ成就ニ因リ不利益ヲ受クヘキ当事者カ故意ニ其条件ノ成就ヲ妨ケタルトキハ其条件ハ成就シタルモノト看做ス 第百三十一条 条件カ法律行為ヲ為ス時既ニ成就セル場合ニ於テ其条件カ停止条件ナルトキハ其法律行為ハ無条件トシ解除条件ナルトキハ無効トス 条件ノ不成就カ法律行為ヲ為ス時既ニ確定セル場合ニ於テ其条件カ停止条件ナルトキハ其法律行為ハ無効トシ解除条件ナルトキハ無条件トス 前二項ノ場合ニ於テ当事者カ条件ノ成就又ハ不成就ヲ知ラサル間ハ第百二十八条及ヒ第百二十九条ノ規定ヲ適用ス 第百三十二条 不法ノ条件ヲ附シタル法律行為ハ無効トス不法ノ行為ヲ為ササルヲ以テ条件トスルモノ亦同シ 第百三十三条 不能ノ停止条件ヲ附シタル法律行為ハ無効トス 不能ノ解除条件ヲ附シタル法律行為ハ無条件トス 第百三十四条 停止条件附法律行為ハ其条件カ債務者ノ単純ナル意思ノミニ係ルトキハ無効トス 第百三十五条 停止条件附法律行為ノ目的物カ条件未定ノ間ニ於テ滅失シタルトキハ其滅失ハ債務者ノ負担ニ帰ス 物カ債務者ノ過失ニ因ラスシテ毀損シタルトキハ其毀損ハ債権者ノ負担ニ帰ス 物カ債務者ノ過失ニ因リテ毀損シタルトキハ債務者ハ条件成就ノ場合ニ於テ其選択ヲ以テ損害賠償ト共ニ法律行為ノ履行又ハ解除ヲ請求スルコトヲ得 第百三十六条 法律行為ニ始期ヲ附シタルトキハ其法律行為ノ履行ハ期限ノ到来スルマテ之ヲ請求スルコトヲ得ス 法律行為ニ終期ヲ附シタルトキハ其法律行為ノ効力ハ期限ノ到来シタル時ニ於テ消滅ス 第百三十七条 期限ハ反対ノ証拠ナキトキハ債務者ノ利益ノ為メニ定メタルモノト看做ス 期限ノ利益ハ之ヲ放棄スルコトヲ得但之カ為メニ相手方ノ利益ヲ害スルコトヲ得ス 第百三十八条 左ノ場合ニ於テハ債務者ハ期限ノ利益ヲ主張スルコトヲ得ス 一 債務者カ破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ 二 債務者カ担保ヲ毀滅シ又ハ之ヲ減少シタルトキ 三 債務者カ其約シタル担保ヲ供セサルトキ